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暁 9

こんにちは~🎵
本日も『暁』です❣(^^♪
それではどうぞ~❤




私信です。
☆様
こんにちは~😊
コメントありがとうございます!
ハイ❣司君、頑張りました!



















連れて来られた二人は緊張しているのだろう
その表情は固く姉の方が弟を守るように前に立ち
俺に対し挑むような視線を向けてきている


まだ小学生


突然、父親がいなくなり
状況が理解出来ないままに大人の都合で
無理やり母親から引き離されまだ幼い弟を守る為に
必死だったのだろう


勇敢な少女だが


俺に向けられる挑むような強い視線が
あの頃、無謀にもたった一人で俺達に刃向かってきた牧野にそっくりで

そのことを思い出しフッと笑みが浮かんだ俺に
訝しげな視線を向けてきた少女


その少女の前に立ち


彼女に視線を合わせるように腰を曲げて



「優香と慎太郎か?」



そう問いかけた俺に答える代わりに
小さく首を縦に振った少女




「俺は道明寺司。
お前達のお父さんとお母さんの友達だ。
お母さんの代わりにお前達を迎えに来た。
お母さんが待ってるから一緒に帰ろうな」


そう告げると少女は少しだけ警戒を緩めたのが分かったから
俺の方から少女に手を差し出した


ゆっくりとだけどしっかりと掴まれた手を
大丈夫だの言葉の代わりに強く握り返し
少女の後ろにいた弟を抱き上げると


背後から声が



「若僧があんまり調子に乗らんことだな。
このままでは済まさんからな」


爺さんの声だった


そんな捨て台詞


わざわざ言われなくても



百も承知



俺もこのままで済ますつもりは無い


だが俺は爺さんとは違う


わざわざその事を教えてやるほど親切じゃねぇから


爺さんの言葉には何も返さないまま屋敷を後にした






リムジンに乗り込むと二人は

すぐに牧野の元に駆け寄り抱きついている


そんな二人を涙を流しながら抱きしめた牧野


二週間ぶりの親子の再会



暫くすると牧野は涙を拭いながら俺に



「道明寺、ありがとう・・」


と言った


とりあえず二人は取り返した


だけどまだ危険が完全に取り払われたわけじゃない


このままあの爺さんが大人しく引き下がるとも思えない


俺はそれを牧野に伝えなければならない



「いや、とりあえずは良かった。
でもこれであの爺さんが引き下がるとは思えない。
だから今から俺の屋敷に行くぞ」



「えっ・・でも、これ以上は・・」



屋敷へと言った俺に
戸惑ったような返事を返してきた牧野


牧野の気持ちは分かっている


子供を取り返してくれた事は感謝しているが
これ以上は俺と関わり合いになりたくないだろう


だけど自宅はまだ危険だ



「お前の気持ちは分かっている。
だけど自宅はまだ危険だから
暫くは屋敷に居てくれないか?」



「・・危険って・・まさか・・そんなこと・・」



「あの爺さんの力を侮るな。
それに俺がかなり怒らせたからなその腹いせに
どんな手を使ってくるか分かんねぇ。
でも心配すんな。
今度は俺があいつの代わりにお前達を守るから」



「そんな・・」



「大丈夫だ。
これは俺のあいつに対する恩返しだから
お前は何も気にしなくていいから」



「分かった・・ありがとう・・
でもあんたも無理しないでね」



「あぁ、分かってるから心配すんな」



広い車内で固まって座る四人


牧野の膝の上には末っ子の慎太郎が座り
牧野の右横には優香
そしてその隣には雄一郎


写真では何度も見ていた顔

俺よりもゆるやかな癖毛だが
身長は俺と同じで180センチを超えている


歳ももう22歳


今年、大学を卒業予定


23年前


俺が捨てた


俺の息子


本来であれば俺と牧野の愛情を一身に受け育っていたはずの

俺の血を分けた息子


その雄一郎に会ったのは今日が初めてだが

まだ言葉は交わしていない


何を言うべきなのだろうか?


分からないままリムジンは夜の街を屋敷へと向けて走っている






屋敷に帰り着くと出迎えたのは古くからの使用人が一人だけ


牧野達が驚かないようにわざとこうしたのだけれど


今はもうこの屋敷には牧野の事を知っている使用人は一人だけ


その使用人だけを出迎えに来させ
牧野達を部屋へと案内させた


取り返した下の二人はやっと緊張が解けたのだろう


小さな身体で二週間、頑張って
母親の顔を見てやっと安心出来たのだろう

屋敷に帰り着く頃には眠ってしまっていて


慎太郎は牧野に抱かれ

優香は雄一郎におんぶされたまま
リムジンを降りた


その二人を寝かしつけて落ち着いたら
牧野と雄一郎にはサロンに来るように伝えてあった


俺も一度、部屋に戻り着替えを済ませサロンへと入って行くと
中では秘書と弁護士が俺を待っていた


事前に指示をしていた通りの書類を出す弁護士

俺が指示していたことは・・


牧野と入籍し雄一郎を認知し
下の二人と養子縁組をし
あの四人を道明寺家の人間にしてしまう事


牧野は簡単には首を縦には振らないだろうが
四人を安全に保護する為には一番の方法だと思った


牧野との入籍に関しては下心が全く無いわけじゃない


もしかしたらという願望も含まれてはいるが・・


そんな俺の願望など今はかなぐり捨てて


四人を守るにはこれが一番の方法だと思った






表情はまだ固いまま雄一郎と共にサロンへと入って来た牧野は
俺が一人じゃなかった事に驚いている様子だったが
それには敢えて触れず二人を俺の前のソファーへと座るように促した


腰を落ち着けるとすぐに牧野が


「道明寺、今日は本当にありがとう・・」


そう言って頭を下げたのに習うように
横の雄一郎も同じように頭を下げた



「いや、俺こそ出しゃばるような真似して悪かったな」



「ううん・・本当に助かったから・・
あたしだけじゃどうしようもなくて・・
警察に訴えても取り合ってもらえないし・・
保険会社にしても銀行にしても・・
お義父様に圧力を掛けられてるのは分かってたんだけど・・」



「あぁ、分かってる。
保険会社と銀行に関しては明日にでも家の弁護士が話しを付けに行く
すぐに解決するだろうから心配すんな。
それから・・」



ここで一度言葉を切り改めて雄一郎の顔を見た



「雄一郎、今更だけど俺がお前とお母さんにした事は
何があったとしても許されることじゃない。
申し訳なかった」


立ち上がり頭を下げた俺に対して雄一郎は


落ち着いた声でゆっくりと話し始めた


「あなたの事は父と母から聞いていました。
勿論、当時の事情も全てです。
俺はあなたの事は今はまだ信用出来ませんが父の言葉は信じています。
父は生前、あなたの事を好きだと言っていました。
間違いは犯してしまったけれど本当はいい奴なんだとも言っていました。
それに父は間違いは誰だって犯してしまう大切なのはその後、どう生きるかだとも言っていました。
父はあなたは間違いを認めてやり直していると言っていました。
だから僕は父のその言葉を信じています」



「・・あぁ、ありがとう・・」


それ以上は何も言えなかった



熱いものがこみ上げてきて顔を上げられない・・



そんな俺に対して雄一郎は



「顔を上げて下さい。
きっと父なら今のあなたを見て男のクセにメソメソするなと怒ると思いますよ」


「あぁ、そうだな・・」



瞼を閉じれば奴の顔が浮かんできて


照れ笑いを浮かべながら怒ったような口調で


“オイ!メソメソしてんじゃねぇーよ!”


って声が聞こえた気がした










応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

Comments 6

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2022/03/19 (Sat) 20:20 | EDIT | REPLY |   

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2022/03/19 (Sat) 20:42 | EDIT | REPLY |   

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2022/03/20 (Sun) 19:53 | EDIT | REPLY |   
kirakira

kirakira  

オ◯カミ様

こんばんは~😊
コメントありがとうございます。❤
返事が遅くなってごめんなさい。m(__)m

ありがとうございます❣(^^♪
ムフフ♥転がされちゃってますか?
そんな風に言っていただけると本当に嬉しいです。

司君の提案は金さんを亡くしたばかりのつくしちゃんには受け入れにくい物だと思いますが
なんとか司君にも幸せになってもらうために頑張ります!(笑)

2022/03/21 (Mon) 21:22 | EDIT | REPLY |   
kirakira

kirakira  

き〇粉様

こんばんは~🌙
コメントありがとうございます。❤
返事が遅くなってごめんなさい。m(__)m

いいですよ~😊
このお話しでは今まで司君にいい所が無かったので
これからは司君にかっこいい所を沢山見せてもらいたいと思っております。
いつものような横暴な彼では無く思慮深く大人の男的な司君がいいなぁと思っておりますので
最後までお付き合いよろしくお願いします❣(^^♪

2022/03/21 (Mon) 21:25 | EDIT | REPLY |   
kirakira

kirakira  

ク○ゲ様

こんばんは~(^▽^)/
コメントありがとうございます。🎵

つくしちゃんにとっては司君の提案は受け入れがたい所があるかもですが
司君にはなんとか頑張ってもらおうと思っております❣(^^♪

2022/03/21 (Mon) 21:26 | EDIT | REPLY |   

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