司 5 -不易-(完)
本日も『怜』の番外編です!
そして本日が最終話です。
ダークで救いようのないお話しに長々とお付き合いいただきありがとうございました!
次は笑えるのにします!(笑)
それではどうぞ~❤
私信です。
☆様
こんばんは~(^▽^)/
コメントありがとうございます。❤
はい!少しだけでしたが心穏やかに過ごせたようです!
ゆ◯様
こんばんは~🎵
コメントありがとうございます。❤
進君によって司君もF3も最後には穏やかな時間を
過ごすことが出来たようです。
ずっとハードな内容だったので最後ぐらいはと・・
ドイツのドレスデンから車で約一時間
風光明媚な村の一軒の屋敷の前で車を停める
車から降り立ち周囲を見渡す
暖人が育った場所
初めて降り立ったこの場所に吹く風を頬に感じながら
しばらく屋敷の周辺を歩いた
屋敷の裏を流れる小川
この風景の其処此処に暖人を感じる
幼い暖人はここで遊んだのだろうか?
この道を通って学校へと通ったのだろうか?
暖人はここでどんな風に過ごしていたのだろうか?
暖人に思いを馳せながら歩いていると
心に浮かぶのは後悔の念ばかり
ポケットに入れている手で
暖人の為に作ったピンキーリングを撫でながら
暖人に対する贖罪の念に駆られる心
そんな俺を三条は少しばかりの驚きを伴いながらも
穏やかに迎え入れてくれた
連絡もせずに訪ねた俺は
三条に指輪を託した
互いに掛け合う言葉など持ち合わせてはいない
謝罪も言い訳も思い出も
今となっては
全てが無意味
ただ一つ
持ち合わせているとすれば
それは感謝
ここに至るまで
俺の中には
様々な葛藤があった
事件直後は三条に対して
相反する二つの感情が俺の中に渦巻いていた
何故、暖人を隠したのか?
もしもっと早い段階で・・
いや、牧野が行方不明になった時点で知らせてくれていれば・・
俺が信用出来なかったのなら
類にでも・・
そこまで考え
いつも
行き当たる答えは同じ
あの頃の状況をよく思い出してみろ
大河原に絡め取られるように政略結婚した俺のどこを信用出来た?
類にしても同じ
いや
類ならもしかしたら俺よりは
少しマシだったかもしれない・・
そう考える事もあったけれど
三条は俺が大河原との政略結婚を受け入れた時点で
類もあきらも総二郎も全てが同じ穴のムジナだったのだろう
三条にとっては隠す事が最善の策だったのだろう
そしてそれが三条の罪
三条もその罪から逃れるつもりはない
事件後も一貫としてこの地に留まり続け
共に暖人を育てた牧野の友人の墓守をしているのが
その意思表示なのだろう
他の道だってあったはず
三条にしても牧野の友人にしても
自身の幸せを追求する人生だってあったはずだ
それなのに・・
背負わなくてもいい俺の罪まで背負い
まるでこの罪も罰も一蓮托生とばかりに
今はただ静かにその時を待っている
俺もまた同じ
最後のその時を
静かに
待つだけ
余りにも多くの人間を巻き込みすぎてしまった
若気の至りではすまされない
愚かな行為
ただ
幸せになりたかっただけ
ただ
それだけだった
それだけだったはずなのに・・
小さな波紋は
大きな大きなうねりとなり
全てを飲み込んでしまった
そろそろ幕引きの時間
リビングの窓際に置かれているロッキングチェアに座り
庭木を揺らす風の音を聞きながら背凭れに身体を預け目を閉じた
“司!”
“父さん!”
呼びかけに顔を上げ目を開けると目の前に二人の姿
二人は俺の方を見て笑っている
あゝそうか
やっとか・・
やっと俺もそっちに逝けるのか・・
“あゝ俺もお前達と同じ所に行けるのか?”
“当たり前でしょ、私達は家族なんだから!
みんなも待ってるわよ!”
”あいつらもいんのかよ?”
”なに言ってんのよ!?
当たり前でしょ!”
“そうか・・”
“ほら!父さん、行くよ!
父さんが遅いから類おじさんがずっと母さんにイチャイチャしてて
母さんもまんざらじゃないって顔してるよ!”
”はぁ!?ふざけんな!
類の野郎!ぶっ殺してやる!”
”いや、もう死んでるから!ほら!行くよ!”
“そうだな・・それじゃあそろそろ行こうか”
差し出された手を掴み立ち上がる
罪も
罰も
後悔も
全てを
この世に置いたまま
三人で
ゆっくりと
光の射す方へと歩き出す
~ Fin ~
最後までお付き合いありがとうございました。<(_ _)>

応援ありがとうございます。