DESPERATE 後編
『DESPERATE』の続きです。🎶
それではどうぞ~✴
「責任取れよ!」
「な、なんの責任よ!?」
「俺様を弄んだ責任だよ!!」
「も、弄んでなんてない!!」
「弄んでんじゃなぇーかよ!!
この責任はきっちり取ってもらうからな!」
だって・・
もう・・
泣きたい気分・・
責任を取れと言った男はまず手始めにと言わんばかりに
手にしていた私の携帯を真っ二つに割ってしまった
「ちょ、ちょっと!何すんのよ!私の携帯!」
「うるせぇー!黙ってろ!」
彼の手には二つに割れた携帯
彼はそれをなみなみと水の張っているグラスに投げ込むと
今度は自分の携帯を取り出しSPさんを呼び出している
「今日からお前にもSPつけるからな!
それからバイトも止めろ!いいな!
携帯は俺様が新しいのを買ってやる!
それには俺様の番号しか入れるなよ!」
「ちょっと!だったら私はどうやってみんなと連絡取るわけ?」
「俺に言え!」
「私にみんなと連絡取るなって言いたいわけ?」
「言いたいんじゃなくて取るなって言ってんだよ!
これは命令だ!お前に拒否する権利は無い!!」
「そ、そんな横暴な!」
「横暴だと!?
お前にそんな事言う権利あると思ってんのか?
俺様に黙って他の男とイチャイチャしやがって!」
「イチャイチャなんてしてない!!
何をどう解釈すればそうなるのよ!!」
「クラブに行って合コンしてきたんだろーが!!
現にさっきの野郎はお前の事、下の名前で呼んでただろーが!!
バカ女!見ず知らずの野郎に簡単に名前を教えるな!!」
「そんな!自己紹介ぐらいするでしょ!普通!!」
「お前はしなくていいんだよ!!
とにかくお前は黙って俺様の言う事を聞いてればいいんだよ!!」
なんつっー横暴な・・
思いっきり怒鳴り返したい気分なんだけど
事の始まりは私がクラブに行った事を黙っていた事みたいだし
ここは下手に抵抗して司の怒りのボルテージを上げるよりは
一応、下手に出てこのピンチをかわす方が得策かも?
「・・わ、分かった・・黙ってたのは私が悪かったんだから謝るよ。
ごめんね。けど・・バイトを止めるはいいけど・・
やっぱりみんなと直接連絡取れないのは不便だし
大学と部屋を行き来するだけだからSPさんも必要ないと思うの・・
だから、ねぇ、携帯とSPさん付けるの以外だったら何でも言う事聞くから
許してほしいんだけど・・」
なるべく可愛く下手にお願いしてみたんだけど
「本当だな?本当に俺様の言う事なんでも聞くんだな?」
あっ・・!?
もしかして私・・今、墓穴掘った・・?
少し機嫌がよくなってきたような気もするんだけど
なんとな~くイヤ~な予感もする・・
「・・う、うん・・あ、あの・・でもあんまり・・」
「何でも聞くって言ったよな?!」
「・・言いました・・はい・・」
司の様子を観察していると何やらよからぬ事を考えているようで
時折、表情が変化して今までの鬼のような形相から一転して
ニヤニヤしたりなんかしている・・
やっぱ・・SPさんにしとけばよかったかも・・・?
「つ、司?決まった?」
「ああ、決まったぞ!
まず携帯とSPはさっき言ったとおりだ!」
「そ、そんな!約束が違うでしょ!!」
「俺はお前と約束したつもりはねぇーぞ!
それにお前は俺様の言う事を何でも聞くんだったよな?」
「そんな横暴な!!」
「横暴でも何でも俺様の言うとおりにしろ!
それからアレだ!アレ!」
何やら急に口ごもる彼
アレって・・何?
「アレって何よ?」
「アレって言ったらアレしかねぇーだろ!」
「だからアレって何よ!?
分かんないわよ!ちゃんと言ってよ!」
「言っていいのかよ?」
「いいわよ!・・って・・あっ!ダメ!!
それだけは絶対にダメ!!」
「ダメじゃねぇーんだよ!
今日こそぜってぇーアレしてもらうからな!!」
「だから、ダメだって!
他の事なら何でも聞くからそれだけはヤダ!!」
私と司のアレ、ダメ、ヤダの会話に全く話しが見えないお祭りコンビが口を挟んできた
「オイ!さっきからアレだとかダメだとか何の話しをしてんだ?」
「いいから!西門さん達は黙ってて!!
司!絶対にヤダからね!!あんなの絶対に着ない!!」
「何でだよ!いいじゃねぇーかよ!
お前、何でも言う事聞くって言っただろ!?
だったら今夜ちゃんとセーラー服着ろよ!!」
「「「「セーラー服!?」」」」
見事な四重奏がカフェに響き渡った・・
あ~あ・・もうバカ!!
そう、気付いた方も多いと思うけど
最近の司はコスプレにはまってる・・
毎日のように何かしら衣装を持って帰って来ては
私に着ろと言う・・
着たってすぐに脱がされちゃうんだから
着替える意味ないと思うんだけど・・
とにかくこのバカ男は何処で手に入れてくるのか分からないけど
いろんな衣装を持って帰ってくる・・
今までどんな衣装着たかって・・?
某航空会社のスチュワーデスさんでしょ
それに定番の看護婦さんに女医さんの白衣
後はメイド服・・
そしてこの前、持って帰ってきたのがセーラー服・・
中学のとき以来のセーラー服にご丁寧にルーズソックスまで
高校を卒業して3年
さすがにヤダ!
そう思って拒否したんだけど・・
「オイ!セーラー服ってお前らそんな事やってんのか?」
「うるせぇー!何してようと俺らの勝手だ!
口出すな!!」
俺ら・・って・・複数形で言わないで・・!
俺って言ってよ!
あんただけなんだから!!
「とにかく今日は逃がさねぇーからな!」
もう私の事なんか全然無視で
どんどん勝手に話しが進んでいく・・
「そうと決まったら、帰るぞ!!」
って・・
「ちょ、ちょっと私、まだこれから講義が残ってる!」
「そんなもんいつだっていい!!」
いつだっていい・・って・・!?
講義なのよ・・?
いつだっていいわけないでしょ?!
いつだっていいのはセーラー服の方よ!!
なのに・・
この俺様バカ男の頭の中ではすでに私はセーラー服を着ているみたいで・・
あっさりと担ぎ上げられて荷物のようにカフェから運び出されていく・・
いつか見た光景・・デジャヴ?
あ~あ、牧野つくし絶体絶命のピンチ!!
~Fin~
2005/11/28 本宅掲載

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