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2009 ホワイトデー 3

こんにちは。🎵

2009年ホワイトデーの続きです。🎶

それではどうぞ~✴









あれから二週間

俺の決意の硬さのおかげなのか

奴らから問題を持ち込まれる事も無く

腰の痛みがぶり返す事も無く本来の穏やかなシングルライフを謳歌していた

今夜は道明寺家のパーティーが予定されていて
そこで久々にF4が揃う事になっている

それには一抹の不安を感じていたが

今夜のパーティーには司のお袋さんも出席する事になっているから
あの人が居る場で流石の司もバカな事はしないだろうと思っている‥

いや!思っているし!

例え何があろうとも俺はもう関わらないって決めてるんだ!

仕事を終えオフィスで着替えをして

そのままパーティーが行われている司の屋敷へと向かった

屋敷に到着すると招待客が続々と到着していて

屋敷の車寄せは招待客の車でちょっとした渋滞が起こっていたので

少し手前で先に車を降りるとちょうど3台ほど前の車から総二郎が降りて来た

声を掛け並んでエントランスを目指す

エントランスにも沢山の招待客が居て混雑している

招待状のチェックやらセキュリティのチェックやら

面倒臭いものは全てパスの俺達はそのまま
セキュリティチェックの順番を待つ人々の横を摺り抜け中へと入ろうとした所で妖怪‥

いや‥

使用人頭のタマさんと出くわした

「これは坊ちゃま方お揃いでよくお越しくださいました」

「司は?」

「司坊ちゃまでしたらすでにお客様にご挨拶をしておられますよ」

それじゃ俺達も‥と言いかけた瞬間

後ろから有り得ない声が響いてきた

「タマ先輩!バカはどこですか?!」

「おやま!つくし!どうしたんだい?坊ちゃまなら大広間にいらっしゃるよ」

バカ=司で成立してんだな‥

あっさりと司の居所を牧野に教えたタマさんは俺達の存在に気付く事無く

目の前を素通りして行く牧野の背中に

  ”用が済んだらお茶でも飲みにおいで”

と声を掛けている

セキュリティの順番を待つ招待客で混雑しているエントランスで

ある意味で俺達以上に顔パスだけど

今夜のパーティーには不釣り合いな女の出現に何事かとざわめきが起こっている

「あいつも招待されて‥」


横に立つ総二郎が楽しそうにそう言いかけたのを
視線だけで切り返すと奴はさらに楽しそうに笑みを浮かべ

「んなわけねぇか‥」

と続けた

牧野の恰好は普段仕事をしている時と同じスーツ姿

いくら牧野でもパーティーに招待されたならもう少しドレスアップしてくるだろうし

パーティー嫌いの女がよほどの事が無い限り大人しく招待されないだろうし

何より招待客ならあんな登場の仕方は絶対にしない

と思うから‥

後考えられるのは後先考えず

頭に目一杯血が昇った状態で怒鳴り込んで来ただけ

とすれば‥

また司が何かやらかしたんだな‥

って!

今夜のパーティーにはお袋さんも出席するんだぞ!?

いくら牧野でもそんな所で騒ぎを起こせばタダじゃ済まないだろう!?

あいつ一人が自滅するのは勝手だけど
あいつらの近くにいると必ず俺も巻き込まれる!

冗談じゃねぇーぞ!!

「総二郎!俺、朝から腹の調子が悪かったの思い出したから帰る!」

「腹なんてすぐに気にならなくなる!
 もしもの時はお前だけが頼りなんだから逃げんな!」

がっちり総二郎に肩を掴まれ引きずられて行く俺‥

目の前のパーティー会場への扉が地獄への門に見えてきた

「坊ちゃま方くれぐれもつくしをよろしくお願いしますよ」

牧野を素通りさせあっさりと司の居場所を教えたタマさんは

これから起こるであろう諸々全てを俺達に押し付けるとさっさと

  ”あたしは歳だからそろそろ失礼させていただきますよ”

と自室へと引き上げてしまった

いよいよ地獄の門が開いた‥?

地獄の門の向こう側には
当たり前だけど地獄とは思えない華やかな世界が広がっていた

総二郎が扉を開けた瞬間‥

ちょうど牧野が手にしていたバッグやらを床にバサリと放り投げ
狙いを定め勢いよく司へと跳び蹴りを繰り出すところだった

周囲からは音が消え牧野だけがゆっくりとスローモーションで跳んで行く

空中をゆっくりゆっくりと移動しながら
牧野の発した司を呼ぶ声だけが妙にリアルに響いていた

司が牧野の声に気付き振り向いた時には時既に遅しで
見事に顔面に牧野の跳び蹴りがヒットし

勢いでそのまま仰向けに倒れ込んだ所を素早く体制を立て直した牧野に馬乗りになられ

両手で胸元を掴まれ前後に激しく揺さぶられ
いい感じに脳みそをシェイクされまくっている

「あいつ相変わらずいいジャンプしてんな!」

隣で俺の肩を掴んだままの総二郎の脳天気な発言

他の招待客もあまりに突然の事に呆然としていて誰も止めに入ろうとはしないし

当然この事態に気付いているはずのSPも
相手が牧野だと分かると足を止めて成り行きを見守っている

SPまでも無力化してしまう牧野‥

「何があったのか知らねぇけどそろそろ止めてやった方がいいんじゃねぇか?」

なんでも俺にさせようとすんなよな!

「俺は腹の調子が悪いんだからお前が止めて来いよ!」

「俺はフェミニストの平和主義者だから。あきら、お前が行け!」

F4の中で司の次に喧嘩っ早くて武闘派のお前がいつから平和主義者になったんだよ!?

「それなら俺も平和主義者で暴力反対なんだよ!」

「やっぱここはお前がビシッと決めるとこだろ?」

「何をビシッと決めんだよ?!」

「こういう時はお前だって決まってんだから深く考えんな!
 とりあえず行って来い!」

総二郎はそう言うが早いか肩を掴んでいた手で俺を騒動の真っ只中へと押し出しやがった

背中を押され否応なしに火中の栗を拾う役目を担う事になってしまった俺

覚えてろよ!と若干の殺意を込め総二郎の方へ振り向くと
総二郎は早く止めろとばかりに笑顔で手で合図してやがる

無理やりだけど一歩踏み出してしまった事で周囲の視線は俺にも向けられていて
このまま後ろには引けない状況になっている

目の前では相変わらず牧野が何やら叫びながら
今度は司に往復ビンタを繰り出している

髪を振り乱し馬乗りになり鬼の形相で叫びながら
自分より遥かに身体のデカイ男に往復ビンタを食らわせている女って‥

マジで怖ぇーぞ!

これが牧野じゃなかったら絶対に止めに入ったりしねぇーぞ!!

「牧野!何があったのか知らねぇーけどもう十分だろ?!
 それぐらいにしといてやれ!」

牧野の横に膝を付き今まさに司へと振り下ろされようとしていた手を掴んで止めた

牧野は手を掴まれた事で一瞬だけ動きを止め俺の方を見たけれど

すぐに”邪魔しないで!今度こそは絶対にこのバカを許さないんだから!”

と掴んでいる手を振り払おうとした

「分かったから!ちょっと落ち着け!
 何があったんだ?」

「このバカがいつの間にか私の勤めてる会社を買収して
 私を社長にするって訳分かんない辞令を出してきたのよ!」

あ~やっぱりそれか‥

計らずも一枚噛んでしまっている俺の中に多少の後ろめたさみたいなもんは感じるけれど

ここでそれを正直に話し矛先がこちらに向けられるのはごめんだから

とりあえずは初耳って顔で話しを進める

「お前が怒ってる理由は分かったけどこの状態じゃ落ち着いて話しが出来ないだろう?
 とりあえず司の上から降りて詳しく聞かせてくれ!」

掴んでいる手を離す意志は無い事を伝える為に力を込めると

牧野は諦めたように馬乗りになっていた司から身体をずらし立ち上がった

牧野がどいた事で事態を見守っていたSPが
司に駆け寄り半分意識が飛んでしまっている司を助け起こしている

なんとか牧野を司から引き離したけれど彼女の怒りはまだまだ継続中で
隙あらばまた掴み掛かりそうな雰囲気なので手を離せない

「ここじゃなんだから場所変えた方がいいんじゃねぇか?」

ずっと高みの見物を決め込んでいた総二郎が
二人を引き離した途端そう声を掛けてきた

お前に言われなくても分かってんだよ!

そう怒鳴りたい気持ちをぐっと押さえ
無言のまま牧野の手を引っ張りパーティー会場から出ようとした瞬間

後ろから一番聞きたくなかった声が響いてきた

「一体なんの騒ぎです!?」

鋭いその声に牧野と同時に振り向くと
司のお袋さんが厳しい表情で立っていた

出来る事なら穏便に‥

これだけ大騒ぎしていずれはお袋さんの耳に入るとしても
今ここでお袋さんの鋭い眼光に曝されるのだけは避けたかった

何の騒ぎです!?なんて問われても何て答えればいいのか?

咄嗟には何も言葉が出てこなくて

  ”あっ!いや‥その‥ちょっと‥”


中途半端な言葉のカケラが口の端から零れ落ちるだけで万事休す

「関係ねぇ奴は口出しすんな!」

なんとなくまだぼんやりとしたままだけど

とりあえずお袋さんには悪態をつく司をお前には聞いていないと言わんばかりに
視線は俺にロックオンしたままのお袋さんは

「誰かきちんと説明の出来る方はいないのですか?」

と続けた

完全に無視された司はガキみたいに剥きになって声を上げるけれど
お袋さんは不愉快そうに右の眉を少し動かしただけ

「パーティーの主催者は私です。
 招待もされていないそちらのお嬢さんがここにいる理由を知る権利があります」

確かにそうだ‥

そうだけど‥

この状況でこの人を納得させられる言葉なんてこの世には存在しないように思える

だけどこの女は違った出来て

「全部このバカが悪いんです!」

真っ正面からお袋さんを見据え司を指さしながらそう叫んだ牧野

昔っからお袋さんの前でも司の事を道明寺と呼び捨て

侮蔑の言葉を投げ付けられれば熱い紅茶をぶっかけ
間違っていると思えばビンタだってしてしまう

元々、牧野はお袋さんに気に入られようとか

取り入ろうとか思っていない

だからいつだって真正面から立ち向かっていける

いつもどんな時も誰が相手でも間違っているといると思えば

真っ向から挑んでいく肝の座った女だ

牧野の言葉にはお袋さんの眼光が少し鋭くなっただけで微動だにしない

「あなたは相変わらずなのね」

こちらも肝の座り方は半端じゃない

たっぷりの嫌味と皮肉を込めた突き刺さるような言葉にも牧野は

「あなたもお変わりなさそうですね」

と切り返した

二人の間をビシバシと飛び交う火花で火傷しそうだ

「今すぐここから出て行きなさい!」

「言われなくても用が済めば出て行きます!」

「関係ねぇ奴は引っ込んでろ!俺はその辞令を引っ込めねぇからな!
 お前は黙って俺様に従ってればいいんだよ!」

お袋さんと牧野の間に突然割って入った司

火花がビシバシ飛び交う中に割って入れるのも司ぐらいだろうけど

最後の余計な一言は牧野の怒りにダイナマイトぶち込んだようなもので

案の定‥

怒りをさらに燃やした牧野が俺の手を振りほどき司に掴み掛かろうとした

「待て!落ち着け!」

振りほどかれるすんでの所で牧野を掴んでいる手に力を込め引き戻したけど

もう完全に収拾不可能な状態に思えた

そんな中でも一人眉一つ動かさず冷静だったのはお袋さんだけで

「一体、何の辞令ですか?」

「ババァには関係ねぇ!」

司はなんとしてもお袋さんの介入を阻止しようとしているけれど無駄な抵抗で

牧野が床に投げ置いたままだったバッグの中から辞令を取り出しお袋さんの鼻先に突き付けた

「これです!」

少し欝陶しそうに鼻先に突き付けられた辞令を手にしたお袋さんは司の方へと向き直ると

「司さん、これはどういう事ですか?」

「書いてある通りだよ!
 俺がその会社買収したからちょっと人事移動しただけだ!」

「ちょっと人事移動って!
 社長をクビにして平社員を社長にするって目茶苦茶でしょ!」

「目茶苦茶でもなんでもオーナーは俺様だ!」

お互い掴み掛かりそうな勢いで言い合いをする司と牧野

それを制したのはもちろんお袋さんだった

「二人共いい加減になさい!
ここを何処だと思ってるんですか!?
西田、今の話しは事実ですか?」

鋭い声で後ろに控えていた西田を呼ぶお袋さん

「はい、事実でございます。先日、司様が元のオーナーであられました花沢類氏より
 美作様ご同席の元、現金10億にて譲り受けられました。
 楓様にご報告が遅れました事をお詫びいたします。報告書はこちらでございます」


深々と頭を下げながらサラリと簡潔に俺も一枚噛んでる事を報告してくれた西田

「金は俺のポケットマネーだから関係ねぇだろ!
 余計な口出ししてくんな!」


元のオーナーが類で

10億の現金がポケットマネーで

俺もその場に同席していて‥

次々と明るみに出た真実に牧野はこれ以上ねぇってぐらい目を見開き
今にも泡噴いて倒れそうになっている

「分かりました」

何が分かったのか‥?

すっげえ怖ぇけど

とにかくお袋さんはそう言うと一呼吸置き

成り行きを見守っていた招待客にパーティーの開始を少し遅らせると告げると
司と牧野、それに何故か俺と総二郎まで書斎へと来るように指示した

お袋さんが何を考えているのかは分からないけれど
完全にとばっちりじゃねぇーかよ!

とは言ってもついて行かないわけにはいかず

放心状態のままの覚束ない足どりで歩く牧野の後ろからついてお袋さんの書斎へと入る






応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

Comments 2

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2019/03/19 (Tue) 21:10 | EDIT | REPLY |   

kirakira  

あ○様

こんばんは。🎵
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m

ムフフ💕遅くなってごめんなさい。(#^.^#)
司君に飛び蹴りするつくしちゃん‥SPさんにとっては見慣れた光景なんだと思います❗(笑)
楓さんにもロックオンされてしまったのでもう逃げられないと思います。♥
司君専属で道明寺家も安泰です。🎵

普通は出来ませんよね~💧つくしちゃんの身体能力って凄い❗😆💕✨
飛び蹴りは司君にしか繰り出されない伝家の宝刀で
MAXに怒った時に出る火事場のバカ力的?なものじゃないかと‥(笑)

2019/03/20 (Wed) 19:54 | EDIT | REPLY |   

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