Family 101

ただ父さんの術中に嵌まっているだけなんて癪に障ったから

「ねぇ、仕事手伝ったら車買っていい？」


「まだ免許持ってねぇーだろ？」


「１８になったらすぐに取るから
後少しじゃん」


「なら取ってから言え！」


「取ったら買っていいわけ？」


「あぁ、いいぞ！
但し、つくしがＯＫしたらな！」

卑怯だ！

最後の最後に一番の難問を突きつけてくる父さん

「んだよ？！」


「母さんがＯＫするわけないじゃん！
分かってて言ってんでしょ？！」


「決めつけんな！
ちゃんと説得してみろ！
それともなんだ？出来ねぇーのか？」


まただ‥


「父さんだって出来ないくせに‥」


苦し紛れに小声で呟いた言葉を
父さんは聞き逃さなかった


「うるせぇーよ！
生意気言ってねぇーで
てめえでなんとかしてみろ！
この話はこれで終わりだ！仕事の事は西田に聞け！」



都合が悪くなった父さんはタイミングよくオフィスに入ってきた西田さんに
話を丸投げして自分は仕事に戻ってしまった

デスクに座る父さんは完全に仕事モードで
こうなると話しかける事は無理だから
大人しく西田さんに続いてオフィスを出た







父さんの仕事を手伝い始めて３ヶ月

少しずつ慣れ始めてきた

平日は学校からそのまま父さんのオフィスへと出向き
父さんから出される課題をしたり
会議を見学したりとまだまだ仕事って程じゃないけれど

父さんが普段どんな事をしているのか

どうやってこの怪物みたいな大きな会社を動かしているのかが見えてくると
益々、父さんに対する憧れが強くなってくる


俺も父さんみたいになりたい
そう強く思っている

望との関係も順調

あの一件以来、望もカフェでのバイトを辞め
今はあきらおじさんのお母さんが経営している
ケーキ屋でバイトをしている

そしてあれ以降、何かと変な三人組が俺達に関わってくるようになった


ここなら安全だからとあきらおじさんのお母さんのお店を紹介され
あきらおじさんのお母さんに気に入られた望は
今じゃバイトの無い日はあきらおじさんの屋敷に呼ばれ
おばさんと一緒に甘ったるいケーキを焼いているし

総二郎おじさんは俺が直々にお茶を教えてやるから習いに来い！
と強引に屋敷に連れて帰ってしまい

それ以降、望は毎週通っている


類おじさんは時々、フラリと父さんのオフィスに現れて
”健、借りるね”と行き先も告げず返事待たず連れ出されていた


“どこに行くのさ？”


“ん？美味しい物食べさせたげる”


なんてそれ以上は何を聞いても明確な答えは返って来なくて

連れていかれ先は類おじさんのお見合いの席だったりして

父さんとは違う意味で緊張する


こうして少しずつだけど将来に向けて歩き始めた俺達


まだまだだけど‥

結局、車は保留にされたままだけど‥


充実した高校生活を送れている









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