Fighting!2
こんにちは👋😃
本日は短編です。
以前Upした『Fighting!(仮)』の続きになっております。
楽しんで頂ければ嬉しいです❗😆💕✨
それではどうぞ~✴
私信です
ゆ○様
こんにちは。🎵
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
お話しを楽しんで頂けて嬉しいです。🎵
蓮君と司パパのちょっと力の抜けた感じを
私も楽しんでおります❗😆💕✨
葉○様
こんにちは👋😃
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
蓮君と司パパにタマさんとくればもう最強ですよね🎵
タマさん一気に若がえってしまうと思います❗(笑)
ひ○わり様
こんにちは✨😃❗
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
ムフフ💕これからは蓮君司パパのコンビにタマさんも加わって
ますます蓮君も元気いっぱいにやらかしてくれるはずです🎵(笑)
☆様
こんにちは✨😃❗
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
ウフフ💕鯉さん達を家来にしちゃいました❗(笑)
きっと鯉さん達はいい迷惑だと思いますが
蓮君は満足です❗😆💕✨お屋敷の庭には手頃な木が沢山あるので
絶対やります!(笑)
m○ru様
こんにちは✨😃❗
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
柊君も紬ちゃんもきっと言うと思います❗(笑)
で、ケンカが始まるパターンかも?です❗
う~ん‥返り咲きは‥どうしましょう?♥
匿名希望様
こんにちは✨😃❗
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
お話し楽しんで頂けて嬉しいです。(#^.^#)
これからもよろしくお願いします。\(^-^)/
"えっ!?ちょ、ちょっと、ママ!
無茶言わないでよ!急に言われてもムリだって!
あっ!ちょっと!ママ!"
もう!勝手に切らないでよ!
はぁ~ほんと勝手なんだから!
仕事から帰るとリビングから聞こえてきた
でっけぇ独り言
ネクタイを緩めながらリビングへ入って行くと
つくしも帰ったばかりだったのか
まだスーツ姿のままソファーにバッグを投げ置いたままで
腰に手を当てて仁王立ちでたった今
切られたばかりのスマホを睨み付けている
「お袋さんなんだって?」
「ん?あっ!お帰りなさい」
俺の声に振り返ったつくしの眉間にはシワが寄ったまま
「で、どうしたんだ?」
「あっ‥それがね‥今年はおばあちゃんの十三回忌だから
お盆に田舎に帰るみたいなんだけど‥」
「けど?」
「私も一緒にって言ってきたの‥
お盆なんて急に言われたってムリだって断ったんだけど
十三回忌だし親戚がみんな集まるからって‥
ほら?あの後、色々とお祝いとか頂いたでしょ?
だからそのお礼とかしなきゃとか言ってたんだけど‥
結局はママがパパと二人だけで行きたくないだけだと思うのよかね‥
どうしよう?ホテルに勤めててお盆なんて休めるわけないし‥
休めたとしても行きたくない!」
半年前の従姉妹の結婚式の最中
突然カミングアウトしたつくし
結婚式の騒動後
俺達はすぐにハワイにバカンスに出掛けたが
戻ってきたら牧野の親戚からお祝いが届いていて
牧野の実家がえらい事になっていた
従姉妹の結婚は破談になり
その後は弁護士を介して慰謝料やら何やら
まぁ、そこそこの金額で決着を付けたようだったが
つくしがカミングアウトした事を全く知らされていなかった親父さんとお袋さんの元には
今まで長年疎遠だった親戚から続々と連絡が入っていたらしい
そんな中で今年はちょうど牧野の祖母の十三回忌の法要が行われる予定になっていたらしく
親父さんとお袋さんは久しぶりに田舎に帰る予定にはなっていたが
法要に顔を出しただけで本家には長居せず近くのホテルに一泊して帰ってくる予定にしていたが
あのカミングアウトのお陰でそうもいかなくなってしまった
「いいじゃねぇかよ?
お前も田舎は久しぶりなんだろ?
休みなら俺がなんとかしてやるから
親父さん達と行ってたまには親孝行してこいよ!」
行く事を薦めた俺
そんな俺が意外だったのか
「あんた‥それ本気で言ってる?」
「あぁ、本気だぞ!」
「泊まりなんだよ?
それもお盆だし!」
「あぁ、分かってるよ!
でも久しぶりだしばあさんの法要なんだから
休みぐらいなんとかなんだろ?」
「まぁ‥そうなんだけど‥」
「とにかくあんま考えすぎんな!
気楽に親孝行だと思って楽しんで来いよ!」
「‥う、うん‥わかった‥
けど‥あんた‥なんか企んでない?」
「なんも企んでねぇーよ!
まぁ、企んでるとすればコレだな!」
「えっ?!キャッ!」
「ほら!風呂入るぞ!」
言うが早いかつくしを抱き上げバスルームへと運ぶ
よし!
俺も休み取るぞ!
突然の帰省
段取りは全部、司がしてくれたから楽ちゃ楽なんだけどね‥
この帰省に関して妙に積極的だった彼が気になりつつ
呑気に駅弁を広げている私
司は車でなんて言ってたんだけど
お盆のこの時期はどこも渋滞だらけだから
久しぶりに列車でパパとママと三人でのんびりと帰省中
まぁ、列車内も満員なんだけど
時間の心配をしなくてもいいから
それだけでもちょっと気が楽でしょ?
やっぱり列車にして正解だったかも?
人は多いけど座ってれば時間通りに駅につくし
何より車窓からの景色を眺めながら
のんびりとパパとママと三人で駅弁食べながらの旅行って楽しい
進も来れば良かったのに
あの子ったら逃げ足だけは早いんだから!
現在、トルコに赴任中の進
こっちはお盆なんて関係ないから!とか言って帰って来なかったくせに
SNSにトルコの有名な観光地の写真をアップしまくっていた
パパとママはSNSなんて観ないから気がついてないみたいだけど
夕べもカッパドキアで気球に乗った写真をアップしていて
ちょっとだけジェラシー
そんなこんなで始まった帰省なんだけど
せっかくだから楽しまなくちゃね
色々と気の重い事もあるけれど
今日の夜は司が取ってくれた有名な温泉旅館で親子水入らずだぁ~
うふ
楽しみ
法要が行われるのは本家
村のお寺のお坊さんに来てもらって
法要が執り行われた後は集まっている親戚一同で宴会がはじまる
最寄りの駅からタクシーで本家に着いた時から大変だった
だってね
大歓迎なんだもん
今までとは大違い
今までは家族で帰省しても
"あら、いたの?"ぐらいの扱いで
叔母から手土産がショボいって嫌味言われるのがヲチなのに‥
今回だってママが選んだ手土産は東京駅で買った
東京銘菓だけだったのに叔母からの嫌味は無くて
代わりにママがこれみよがしに
"愛弓ちゃん、大変だったわね~"なんて
着いて早々の先制攻撃に苦笑いでため息しか出ない
長年のライバル関係はなかなかチャラには出来ないにしても
お互い無視すればいいだけなのにそれも出来ないのね‥
周囲もそれは分かっているから
誰も口を挟まない
到着早々にやっぱりな空気
まずはお仏壇にご挨拶
と思い通りに仏間に入ってびっくり
だってね仏壇がすっごく大きくなっていて
周りには花が溢れかえっていて
その花に埋もれるようにしてお供え物も
うず高く積み上げられてて仏間を占領している
これには流石にパパとママもびっくりしている
「つくし、あんたの旦那様は若いのにしっかりしていて
いい男捕まえたね」
ん?
振り返るとそこにいたのはお婆ちゃんの妹の十三子お婆ちゃん
「お婆ちゃん?どういう意味?」
「あんたの旦那様がお仏壇を新しくしてくれて
今日の為にお花とお供え物まで準備してくださったんだよ」
「司が‥?」
「そうだよ。
あんた、知らなかったのかい?」
「‥な、なにも聞いてない‥」
「そうかい、こないだあんたの旦那様の使いだってお人が訪ねてきなさって
みんなびっくりしたんだけど
あっという間にこんな立派な仏壇にしてくれてありがたいじゃないかい!
あんたからもちゃんと礼を言っといておくれよ」
そう言われてまたびっくり
「‥わ、分かった‥」
「それから愛弓の事だけど
あんた、頑張ってくれたんだってね」
「あっ、うん‥」
「あんたの旦那様のホテルにも迷惑かけたようだけど
ちゃんと気に掛けてくださってありがたいよ。
大事にしなきゃダメだよ」
「う、うん‥分かった‥」
大歓迎の理由は分かったけれど
全く知らされてなかったから本当に驚いた
そして嬉しかった
法要も無事に終わって
宴会も始まって宴もたけなわって感じ
私は相変わらず隅っこにいるんだけど
パパとママは今までは冷たくされていた親戚からお酒を勧められたりしていて
単純だなぁなんて思いながらも嬉しそうだからまっいっかって感じ
そんな様子を眺めていると脇に置いてあったスマホが鳴った
スマホを持ち廊下に出て画面をタップする
「もしもし?」
『おぅ!俺だ!』
「ん、どうしたの?」
『お前、まだ本家か?』
「うん、まだみんなで食事してる」
『そっか、分かった』
「あっ!あんた、色々してくれてたんだね?
知らなかったからびっくりしちゃったけどありがとね。
みんな、喜んでたよ」
『おぅ!良かった。
じゃあ、そろそろ切るな』
「ん、またね」
『あぁ』
電話を終えてまた元の場所に戻り
楽しそうに親戚と会話をするパパとママを眺めていた
時間にして5分程だったんだと思うんだけど
ちょっとボンヤリとしてたかも
部屋の中から外へと視線を移すと
本家の目の前には田んぼが広がっていてその向こう側には山があって
景色は日本の里山の風景そのもの
都会とは違う虫の声も沢山
のんびりとしていてこんな時間もいいなぁ~
なんて思っていると虫の声を書き消すように
ヘリの音が近づいてきた
パラパラからバタバタと近づいてくる羽音
余りの近さにみんな手を止めて
縁側から身を乗りだし音のする方を確かめている
やがて羽音はますますちかくなってきて
その機体が本家の前の田んぼに降り立ち中から奴が姿を現した
目の前で少しずつ降下してくるヘリをみんな信じられない表情で眺めている
本家の前は細い道路になっているけれど
その向こう側には民家はなく一面田んぼばかり
道路にしてもほとんど車は通らなくて
今日は本家の庭に入りきらなかった親戚達の車が
ずらりと路上駐車してあるだけ
そんな場所に突然舞い降りたヘリから降り立った男が
悠然とした足取りでこちらへと歩いてくる
「よぉ!」
「よぉ?」
私と両親はこいつのこのド派手な登場には幾分かの免疫はあるんだけど
親戚達はそんな物持ち合わせていないから‥
ほら!
もう!
十三子おばあちゃんが腰抜かしてるじゃない!
まぁ
腰抜かしてるのってばあちゃんだけじゃないんだけど
年寄りばっかりなんだからびっくりさせないでよね!
ゆっくりと私の横まで来た彼
「あんた、なにやってんの?」
「いつも言ってんだろ!?」
「な、何を?」
「俺だって家族なんだから除けもんにすんな!」
「べ、別に除け者になんてしてないでしょ!?」
「じゃあなんで今回も俺を誘わねぇーんだよ?!」
「いや‥それは‥急だったから
休みなんて取れないと思ってたから‥
って!あんた!また西田さんに無理言ったんじゃないの?!」
「言ってねぇーよ!
なぁ、西田?」
「はい、大丈夫でございます」
「おい、西田!
あれ持ってこい!」
「畏まりました」
彼が西田さんに何か指示を出すと
西田さんは本家の前の道路に出て
何か合図をしている
みんな何がはじまるのか固唾を飲んで見守っていると
一台のワゴン車が庭に入ってきて
西田さんがその車の鍵を司に手渡した
そしてその鍵を受け取った司は
私の腕を掴み立ち上がらせると
そのまま上座に座っている十三子お婆ちゃんの所まで連れてきた
「初めまして、つくしの夫の道明寺司です。
ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。
先日は私共の結婚のお祝いに皆様に
大層なお祝いを頂きましてありがとうございました。
これはそのお返しで腰が悪く病院に行くのに
車の乗り降りが大変だと伺いましたので
車椅子のまま乗り降りが出来る車を持参しましたので
お納め下さい。
それから他の皆様にもお伺いしていた品を持参しましたので
それぞれお納め頂ければと思っております」
そう言って十三子お婆ちゃんに頭を下げた彼
なんかいつもとは違って俺様じゃない彼に倣って
私も慌てて頭を下げた
それからはね‥
何台トラックが来るの?って感じ
家電からトラクターまで‥
続々と運び込まれていてそれぞれが自宅に配送してもらう手続きまで始めちゃってて
みんな物欲が爆発しちゃってる‥
「ちょっとやり過ぎじゃない?」
「そうか?でもみんな喜んでんぞ!」
「まぁ、そうだけど‥
それにしても‥」
「いいんだよ!これで親父さん達も心置き無く帰ってこれんだろ?
それよりもそろそろ行くぞ!」
「どこへ?」
「いいから、ついて来い!」
そう言って強引に私を立たせると
フワリと抱き上げられて縁側から庭へ
「えっ!?あっ!ちょ、ちょっと!」
「暴れんな!落っことすぞ!」
「いや!だったら下ろしなさいよ!
ちょ、ちょっと!」
そのままヘリに乗せられてしまった私
シートベルトをされヘッドフォンを付けられ
あっという間に上昇して行くヘリ
「ちょ、ちょっと!
どこ行くのよ?!」
「これからNYに出張になったから一緒に行く」
「へっ?パ、パパとママは?
お、温泉!?私、この後パパとママと温泉にって!?」
「温泉は親父さん達だけだ!
お前の休みは俺とNYだ!」
横でニヤリと笑った彼
い~や~私も温泉がいい~!
~fin~

応援ありがとうございます。
本日は短編です。
以前Upした『Fighting!(仮)』の続きになっております。
楽しんで頂ければ嬉しいです❗😆💕✨
それではどうぞ~✴
私信です
ゆ○様
こんにちは。🎵
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
お話しを楽しんで頂けて嬉しいです。🎵
蓮君と司パパのちょっと力の抜けた感じを
私も楽しんでおります❗😆💕✨
葉○様
こんにちは👋😃
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
蓮君と司パパにタマさんとくればもう最強ですよね🎵
タマさん一気に若がえってしまうと思います❗(笑)
ひ○わり様
こんにちは✨😃❗
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
ムフフ💕これからは蓮君司パパのコンビにタマさんも加わって
ますます蓮君も元気いっぱいにやらかしてくれるはずです🎵(笑)
☆様
こんにちは✨😃❗
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
ウフフ💕鯉さん達を家来にしちゃいました❗(笑)
きっと鯉さん達はいい迷惑だと思いますが
蓮君は満足です❗😆💕✨お屋敷の庭には手頃な木が沢山あるので
絶対やります!(笑)
m○ru様
こんにちは✨😃❗
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
柊君も紬ちゃんもきっと言うと思います❗(笑)
で、ケンカが始まるパターンかも?です❗
う~ん‥返り咲きは‥どうしましょう?♥
匿名希望様
こんにちは✨😃❗
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m
お話し楽しんで頂けて嬉しいです。(#^.^#)
これからもよろしくお願いします。\(^-^)/
"えっ!?ちょ、ちょっと、ママ!
無茶言わないでよ!急に言われてもムリだって!
あっ!ちょっと!ママ!"
もう!勝手に切らないでよ!
はぁ~ほんと勝手なんだから!
仕事から帰るとリビングから聞こえてきた
でっけぇ独り言
ネクタイを緩めながらリビングへ入って行くと
つくしも帰ったばかりだったのか
まだスーツ姿のままソファーにバッグを投げ置いたままで
腰に手を当てて仁王立ちでたった今
切られたばかりのスマホを睨み付けている
「お袋さんなんだって?」
「ん?あっ!お帰りなさい」
俺の声に振り返ったつくしの眉間にはシワが寄ったまま
「で、どうしたんだ?」
「あっ‥それがね‥今年はおばあちゃんの十三回忌だから
お盆に田舎に帰るみたいなんだけど‥」
「けど?」
「私も一緒にって言ってきたの‥
お盆なんて急に言われたってムリだって断ったんだけど
十三回忌だし親戚がみんな集まるからって‥
ほら?あの後、色々とお祝いとか頂いたでしょ?
だからそのお礼とかしなきゃとか言ってたんだけど‥
結局はママがパパと二人だけで行きたくないだけだと思うのよかね‥
どうしよう?ホテルに勤めててお盆なんて休めるわけないし‥
休めたとしても行きたくない!」
半年前の従姉妹の結婚式の最中
突然カミングアウトしたつくし
結婚式の騒動後
俺達はすぐにハワイにバカンスに出掛けたが
戻ってきたら牧野の親戚からお祝いが届いていて
牧野の実家がえらい事になっていた
従姉妹の結婚は破談になり
その後は弁護士を介して慰謝料やら何やら
まぁ、そこそこの金額で決着を付けたようだったが
つくしがカミングアウトした事を全く知らされていなかった親父さんとお袋さんの元には
今まで長年疎遠だった親戚から続々と連絡が入っていたらしい
そんな中で今年はちょうど牧野の祖母の十三回忌の法要が行われる予定になっていたらしく
親父さんとお袋さんは久しぶりに田舎に帰る予定にはなっていたが
法要に顔を出しただけで本家には長居せず近くのホテルに一泊して帰ってくる予定にしていたが
あのカミングアウトのお陰でそうもいかなくなってしまった
「いいじゃねぇかよ?
お前も田舎は久しぶりなんだろ?
休みなら俺がなんとかしてやるから
親父さん達と行ってたまには親孝行してこいよ!」
行く事を薦めた俺
そんな俺が意外だったのか
「あんた‥それ本気で言ってる?」
「あぁ、本気だぞ!」
「泊まりなんだよ?
それもお盆だし!」
「あぁ、分かってるよ!
でも久しぶりだしばあさんの法要なんだから
休みぐらいなんとかなんだろ?」
「まぁ‥そうなんだけど‥」
「とにかくあんま考えすぎんな!
気楽に親孝行だと思って楽しんで来いよ!」
「‥う、うん‥わかった‥
けど‥あんた‥なんか企んでない?」
「なんも企んでねぇーよ!
まぁ、企んでるとすればコレだな!」
「えっ?!キャッ!」
「ほら!風呂入るぞ!」
言うが早いかつくしを抱き上げバスルームへと運ぶ
よし!
俺も休み取るぞ!
突然の帰省
段取りは全部、司がしてくれたから楽ちゃ楽なんだけどね‥
この帰省に関して妙に積極的だった彼が気になりつつ
呑気に駅弁を広げている私
司は車でなんて言ってたんだけど
お盆のこの時期はどこも渋滞だらけだから
久しぶりに列車でパパとママと三人でのんびりと帰省中
まぁ、列車内も満員なんだけど
時間の心配をしなくてもいいから
それだけでもちょっと気が楽でしょ?
やっぱり列車にして正解だったかも?
人は多いけど座ってれば時間通りに駅につくし
何より車窓からの景色を眺めながら
のんびりとパパとママと三人で駅弁食べながらの旅行って楽しい
進も来れば良かったのに
あの子ったら逃げ足だけは早いんだから!
現在、トルコに赴任中の進
こっちはお盆なんて関係ないから!とか言って帰って来なかったくせに
SNSにトルコの有名な観光地の写真をアップしまくっていた
パパとママはSNSなんて観ないから気がついてないみたいだけど
夕べもカッパドキアで気球に乗った写真をアップしていて
ちょっとだけジェラシー
そんなこんなで始まった帰省なんだけど
せっかくだから楽しまなくちゃね
色々と気の重い事もあるけれど
今日の夜は司が取ってくれた有名な温泉旅館で親子水入らずだぁ~
うふ
楽しみ
法要が行われるのは本家
村のお寺のお坊さんに来てもらって
法要が執り行われた後は集まっている親戚一同で宴会がはじまる
最寄りの駅からタクシーで本家に着いた時から大変だった
だってね
大歓迎なんだもん
今までとは大違い
今までは家族で帰省しても
"あら、いたの?"ぐらいの扱いで
叔母から手土産がショボいって嫌味言われるのがヲチなのに‥
今回だってママが選んだ手土産は東京駅で買った
東京銘菓だけだったのに叔母からの嫌味は無くて
代わりにママがこれみよがしに
"愛弓ちゃん、大変だったわね~"なんて
着いて早々の先制攻撃に苦笑いでため息しか出ない
長年のライバル関係はなかなかチャラには出来ないにしても
お互い無視すればいいだけなのにそれも出来ないのね‥
周囲もそれは分かっているから
誰も口を挟まない
到着早々にやっぱりな空気
まずはお仏壇にご挨拶
と思い通りに仏間に入ってびっくり
だってね仏壇がすっごく大きくなっていて
周りには花が溢れかえっていて
その花に埋もれるようにしてお供え物も
うず高く積み上げられてて仏間を占領している
これには流石にパパとママもびっくりしている
「つくし、あんたの旦那様は若いのにしっかりしていて
いい男捕まえたね」
ん?
振り返るとそこにいたのはお婆ちゃんの妹の十三子お婆ちゃん
「お婆ちゃん?どういう意味?」
「あんたの旦那様がお仏壇を新しくしてくれて
今日の為にお花とお供え物まで準備してくださったんだよ」
「司が‥?」
「そうだよ。
あんた、知らなかったのかい?」
「‥な、なにも聞いてない‥」
「そうかい、こないだあんたの旦那様の使いだってお人が訪ねてきなさって
みんなびっくりしたんだけど
あっという間にこんな立派な仏壇にしてくれてありがたいじゃないかい!
あんたからもちゃんと礼を言っといておくれよ」
そう言われてまたびっくり
「‥わ、分かった‥」
「それから愛弓の事だけど
あんた、頑張ってくれたんだってね」
「あっ、うん‥」
「あんたの旦那様のホテルにも迷惑かけたようだけど
ちゃんと気に掛けてくださってありがたいよ。
大事にしなきゃダメだよ」
「う、うん‥分かった‥」
大歓迎の理由は分かったけれど
全く知らされてなかったから本当に驚いた
そして嬉しかった
法要も無事に終わって
宴会も始まって宴もたけなわって感じ
私は相変わらず隅っこにいるんだけど
パパとママは今までは冷たくされていた親戚からお酒を勧められたりしていて
単純だなぁなんて思いながらも嬉しそうだからまっいっかって感じ
そんな様子を眺めていると脇に置いてあったスマホが鳴った
スマホを持ち廊下に出て画面をタップする
「もしもし?」
『おぅ!俺だ!』
「ん、どうしたの?」
『お前、まだ本家か?』
「うん、まだみんなで食事してる」
『そっか、分かった』
「あっ!あんた、色々してくれてたんだね?
知らなかったからびっくりしちゃったけどありがとね。
みんな、喜んでたよ」
『おぅ!良かった。
じゃあ、そろそろ切るな』
「ん、またね」
『あぁ』
電話を終えてまた元の場所に戻り
楽しそうに親戚と会話をするパパとママを眺めていた
時間にして5分程だったんだと思うんだけど
ちょっとボンヤリとしてたかも
部屋の中から外へと視線を移すと
本家の目の前には田んぼが広がっていてその向こう側には山があって
景色は日本の里山の風景そのもの
都会とは違う虫の声も沢山
のんびりとしていてこんな時間もいいなぁ~
なんて思っていると虫の声を書き消すように
ヘリの音が近づいてきた
パラパラからバタバタと近づいてくる羽音
余りの近さにみんな手を止めて
縁側から身を乗りだし音のする方を確かめている
やがて羽音はますますちかくなってきて
その機体が本家の前の田んぼに降り立ち中から奴が姿を現した
目の前で少しずつ降下してくるヘリをみんな信じられない表情で眺めている
本家の前は細い道路になっているけれど
その向こう側には民家はなく一面田んぼばかり
道路にしてもほとんど車は通らなくて
今日は本家の庭に入りきらなかった親戚達の車が
ずらりと路上駐車してあるだけ
そんな場所に突然舞い降りたヘリから降り立った男が
悠然とした足取りでこちらへと歩いてくる
「よぉ!」
「よぉ?」
私と両親はこいつのこのド派手な登場には幾分かの免疫はあるんだけど
親戚達はそんな物持ち合わせていないから‥
ほら!
もう!
十三子おばあちゃんが腰抜かしてるじゃない!
まぁ
腰抜かしてるのってばあちゃんだけじゃないんだけど
年寄りばっかりなんだからびっくりさせないでよね!
ゆっくりと私の横まで来た彼
「あんた、なにやってんの?」
「いつも言ってんだろ!?」
「な、何を?」
「俺だって家族なんだから除けもんにすんな!」
「べ、別に除け者になんてしてないでしょ!?」
「じゃあなんで今回も俺を誘わねぇーんだよ?!」
「いや‥それは‥急だったから
休みなんて取れないと思ってたから‥
って!あんた!また西田さんに無理言ったんじゃないの?!」
「言ってねぇーよ!
なぁ、西田?」
「はい、大丈夫でございます」
「おい、西田!
あれ持ってこい!」
「畏まりました」
彼が西田さんに何か指示を出すと
西田さんは本家の前の道路に出て
何か合図をしている
みんな何がはじまるのか固唾を飲んで見守っていると
一台のワゴン車が庭に入ってきて
西田さんがその車の鍵を司に手渡した
そしてその鍵を受け取った司は
私の腕を掴み立ち上がらせると
そのまま上座に座っている十三子お婆ちゃんの所まで連れてきた
「初めまして、つくしの夫の道明寺司です。
ご挨拶が遅くなり申し訳ございません。
先日は私共の結婚のお祝いに皆様に
大層なお祝いを頂きましてありがとうございました。
これはそのお返しで腰が悪く病院に行くのに
車の乗り降りが大変だと伺いましたので
車椅子のまま乗り降りが出来る車を持参しましたので
お納め下さい。
それから他の皆様にもお伺いしていた品を持参しましたので
それぞれお納め頂ければと思っております」
そう言って十三子お婆ちゃんに頭を下げた彼
なんかいつもとは違って俺様じゃない彼に倣って
私も慌てて頭を下げた
それからはね‥
何台トラックが来るの?って感じ
家電からトラクターまで‥
続々と運び込まれていてそれぞれが自宅に配送してもらう手続きまで始めちゃってて
みんな物欲が爆発しちゃってる‥
「ちょっとやり過ぎじゃない?」
「そうか?でもみんな喜んでんぞ!」
「まぁ、そうだけど‥
それにしても‥」
「いいんだよ!これで親父さん達も心置き無く帰ってこれんだろ?
それよりもそろそろ行くぞ!」
「どこへ?」
「いいから、ついて来い!」
そう言って強引に私を立たせると
フワリと抱き上げられて縁側から庭へ
「えっ!?あっ!ちょ、ちょっと!」
「暴れんな!落っことすぞ!」
「いや!だったら下ろしなさいよ!
ちょ、ちょっと!」
そのままヘリに乗せられてしまった私
シートベルトをされヘッドフォンを付けられ
あっという間に上昇して行くヘリ
「ちょ、ちょっと!
どこ行くのよ?!」
「これからNYに出張になったから一緒に行く」
「へっ?パ、パパとママは?
お、温泉!?私、この後パパとママと温泉にって!?」
「温泉は親父さん達だけだ!
お前の休みは俺とNYだ!」
横でニヤリと笑った彼
い~や~私も温泉がいい~!
~fin~

応援ありがとうございます。
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