月夜に 86
おはようございます。🎵
お引っ越し話です。🎶
それではどうぞ~✴
櫻のただならぬ様子に最初に気付いたのは類だった
抱きしめていた身体を離すと彼女の様子がおかしい
目の焦点が合っていない
ぼんやりと壁を見つめたまま
呼びかけてみるが反応がない
それに気付いたあきらが彼女の肩に手を置いて呼んでみるが
やっぱり反応は無い
もう一度、今度は声を掛けながら軽く肩を揺すってみるが同じ
瞳を大きく見開いたまま壁を見つめていた彼女の瞳にしだいに涙が溜まり始めた
その涙に焦ったあきらが両肩を掴み大きくゆすった瞬間
まるで夢から醒めたようにゆっくりとあきらに向けられる視線
彼女の瞳から大粒の涙が零れ落ちた
「櫻!!どうしたんだ?」
肩を掴んだままの問いかけに櫻の瞳からあふれ出した涙は止まる事を
忘れてしまったかのように次々と零れ落ちてくる
涙声の櫻が俺の名前を呼んだ
「・・あきら・・」
涙の止まらない櫻を抱き寄せ腕の中に収め落ち着くまで
背中を撫でていた
「どうしたんだ?大丈夫か?」
腕の中の櫻が小さく頷いたのが分かった
少し体をはずし顔を覗き込む
「ごめんね、あきら・・長い間・・ごめんなさい」
「・・お、お前・・思い出したのか・・・?俺の事も・・?」
また、櫻が小さく頷いた・・・
体をはずし俯いたままの彼女の顔をしっかりと覗き込む
「何を思い出したんだ?話してくれ」
「・・・あきらと西門さんが私をからかって遊んでて・・
その横で花沢類がお腹を抱えて笑ってて・・桜子が嫌味言ってて、
滋さんに抱きつかれてて、音楽室で花沢類がバイオリン弾いてくれて、
非常階段でカッターで髪の毛切ってもらって・・」
「お団子屋さんであきらと西門さんが私のバイトを手伝ってるの・・
あきらはお団子買ってくれたお客さんにキスしてた・・?」
「ああ、総二郎とお前がバイトしてたお団子屋さん手伝った事あるよ」
「後は・・私・・あの学校・・大嫌いだったの。
ママの見栄で通わされててなんか前髪を鶏冠みたいに立てた人達にイジメられてた?」
「そうだな、お前、英徳にはお袋さんの強い希望で通ってたから
大嫌いだったかもな。それにイジメられてたの確かだよ。
前髪立ててるのって・・確か・・お前の同級生にそんな女がいたなぁ・・
名前は覚えてないけど」
「浅井ですよ」
名前を覚えていたのは桜子だった
「お前、よく覚えてたな?」
「そりゃー覚えてますよ!
毎日のように顔合わせれば先輩に悪口言ってた人達ですから」
「ねぇ、どうして?私、その人達に悪口言われてたの?
私、何かしたの?」
「何もしてませよ。先輩がF4と仲良かったから嫉妬してただけですよ。
まぁーイジメの根本的な原因はF4の赤札ですけど」
桜子がじとーっとした視線を俺達に送ってくる
そんな桜子の視線を全く意に介する事なく類は
「俺は関係ないよ。赤札なんて貼ったことないし。
牧野を泣かせた事なんてないよ」
「そう言われればそうですね。
赤札貼ってたのって道明寺さんだけで
その後もいろいろ先輩にちょっかい出してましたもんね。
イジメてたのは道明寺さんだけですね」
桜子に自分だけだといわれた司は固まってしまっている
「ねぇ、赤札って・・F4って書いてあって・・下駄箱に貼ってあった?」
「あー!もうそんな事どうだっていいだろうが!
なぁ、俺の事は何も思い出してないのか?」
自分の分が悪いと思ったのだろうか
まだまだ続きそうな桜子の嫌味を含んだ口撃に司が強引に割り込んだ
「ごめんなさい・・あなたも一緒に居たのよね・・・?」
「ああ、一緒に居た!俺達は付き合ってたし、雛は俺の娘だ!!」
司の言葉に眉間に皺を寄せて考え込んでしまった櫻に
類が優しく声を掛ける
「牧野、無理に思い出そうとしなくていいよ。
大丈夫だから、焦らないで」
「・・う、うん・・分かってる・・ごめんなさい」
「謝んなくていいから」

応援ありがとうございます。
お引っ越し話です。🎶
それではどうぞ~✴
櫻のただならぬ様子に最初に気付いたのは類だった
抱きしめていた身体を離すと彼女の様子がおかしい
目の焦点が合っていない
ぼんやりと壁を見つめたまま
呼びかけてみるが反応がない
それに気付いたあきらが彼女の肩に手を置いて呼んでみるが
やっぱり反応は無い
もう一度、今度は声を掛けながら軽く肩を揺すってみるが同じ
瞳を大きく見開いたまま壁を見つめていた彼女の瞳にしだいに涙が溜まり始めた
その涙に焦ったあきらが両肩を掴み大きくゆすった瞬間
まるで夢から醒めたようにゆっくりとあきらに向けられる視線
彼女の瞳から大粒の涙が零れ落ちた
「櫻!!どうしたんだ?」
肩を掴んだままの問いかけに櫻の瞳からあふれ出した涙は止まる事を
忘れてしまったかのように次々と零れ落ちてくる
涙声の櫻が俺の名前を呼んだ
「・・あきら・・」
涙の止まらない櫻を抱き寄せ腕の中に収め落ち着くまで
背中を撫でていた
「どうしたんだ?大丈夫か?」
腕の中の櫻が小さく頷いたのが分かった
少し体をはずし顔を覗き込む
「ごめんね、あきら・・長い間・・ごめんなさい」
「・・お、お前・・思い出したのか・・・?俺の事も・・?」
また、櫻が小さく頷いた・・・
体をはずし俯いたままの彼女の顔をしっかりと覗き込む
「何を思い出したんだ?話してくれ」
「・・・あきらと西門さんが私をからかって遊んでて・・
その横で花沢類がお腹を抱えて笑ってて・・桜子が嫌味言ってて、
滋さんに抱きつかれてて、音楽室で花沢類がバイオリン弾いてくれて、
非常階段でカッターで髪の毛切ってもらって・・」
「お団子屋さんであきらと西門さんが私のバイトを手伝ってるの・・
あきらはお団子買ってくれたお客さんにキスしてた・・?」
「ああ、総二郎とお前がバイトしてたお団子屋さん手伝った事あるよ」
「後は・・私・・あの学校・・大嫌いだったの。
ママの見栄で通わされててなんか前髪を鶏冠みたいに立てた人達にイジメられてた?」
「そうだな、お前、英徳にはお袋さんの強い希望で通ってたから
大嫌いだったかもな。それにイジメられてたの確かだよ。
前髪立ててるのって・・確か・・お前の同級生にそんな女がいたなぁ・・
名前は覚えてないけど」
「浅井ですよ」
名前を覚えていたのは桜子だった
「お前、よく覚えてたな?」
「そりゃー覚えてますよ!
毎日のように顔合わせれば先輩に悪口言ってた人達ですから」
「ねぇ、どうして?私、その人達に悪口言われてたの?
私、何かしたの?」
「何もしてませよ。先輩がF4と仲良かったから嫉妬してただけですよ。
まぁーイジメの根本的な原因はF4の赤札ですけど」
桜子がじとーっとした視線を俺達に送ってくる
そんな桜子の視線を全く意に介する事なく類は
「俺は関係ないよ。赤札なんて貼ったことないし。
牧野を泣かせた事なんてないよ」
「そう言われればそうですね。
赤札貼ってたのって道明寺さんだけで
その後もいろいろ先輩にちょっかい出してましたもんね。
イジメてたのは道明寺さんだけですね」
桜子に自分だけだといわれた司は固まってしまっている
「ねぇ、赤札って・・F4って書いてあって・・下駄箱に貼ってあった?」
「あー!もうそんな事どうだっていいだろうが!
なぁ、俺の事は何も思い出してないのか?」
自分の分が悪いと思ったのだろうか
まだまだ続きそうな桜子の嫌味を含んだ口撃に司が強引に割り込んだ
「ごめんなさい・・あなたも一緒に居たのよね・・・?」
「ああ、一緒に居た!俺達は付き合ってたし、雛は俺の娘だ!!」
司の言葉に眉間に皺を寄せて考え込んでしまった櫻に
類が優しく声を掛ける
「牧野、無理に思い出そうとしなくていいよ。
大丈夫だから、焦らないで」
「・・う、うん・・分かってる・・ごめんなさい」
「謝んなくていいから」

応援ありがとうございます。
スポンサーサイト