月夜に 95
おはようございます。🎵
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴
牧野の記憶が戻ってから1週間後、少し早いが彼女の退院が決まり
退院して3日後にはパリに帰る事が決まった
この迅速な決定はあきらの親父さんの命令によるものだ
当初、3週間だけの帰国の予定が事故の為
大幅に伸びてしまっている
パリでも彼女が帰ってこないことで業務に支障をきたし始めているようだし
何より彼女を落ち着いた環境で過ごさせるための配慮だった
当然、司は大反対でかなり抵抗していたが
司自身もそろそろNYへ戻らないとまずい
彼女達がパリへと帰る日の前日、美作邸では退院祝いのパーティーが開かれていた
その日は司もさすがにもう怒り出す事もなく
懐かしいメンバー勢ぞろいして
久しぶりの穏やかな時間が流れていた
そんな中でパーティも終盤に差し掛かってきた頃
椿姉ちゃんから出されたその提案が櫻のデザイナーとしての今後を大きく決定付ける事となる
その提案とは・・・
「ねぇ、櫻ちゃん?カメリアにお店出してみない?」
「・・えっ?」
「まず最初に言っておくけどこの話しは司とは何の関係もないのよ。
実はカメリアではsakuraのデザイナーが櫻ちゃんだって分かる前から
美作のおじ様に『sakura』の出店を打診してたんだけどいい返事を
貰えてなかったの。それで今回、デザイナーが櫻ちゃんだって分かって
もう一度お願いしたいって私の主人から連絡があったんだけど。
どうかしら?」
椿お姉さんのカメリアへの出店の話しは事業拡大の願っても無い
チャンスだけどお父様が一度、断られている話しを私が簡単に返事出来ないと思った
そんな私に代わってあきらが答えてくれた
「カメリアにって話しは願ってもないことだけど返事は少し待って欲しい。
『sakura』は日本でも出店したばかりだしヨーロッパでも現在、3店舗の新規出店が
控えていてこれ以上は手が回らない状態なんだ。いずれはアメリカへの進出を考えてはいるけど
今すぐには人手も足らないし何よりこれ以上忙しくなると櫻が大学に行く時間が取れなくなってしまうんだ。
櫻はまだ学生だから出来ればそちらを優先させたい」
以前からあきらは私が大学に通える時間を
無理して作ってくれているのは分かっていた
彼は私をデザイナーにした事に責任を感じているのだろうか?
「分かってるわ。でも検討してみる価値はあるでしょ?
人手が足りないんだったらこちらから出してもいいし
道明寺からでも構わないのよ、だから考えてみてくれない?」
「・・・分かった、で、店を出すのは何処になるんだ?」
「まずはロスからって思ってるけど」
「分かった」
「ねぇ~ママ~?ロスに行くの~?」
じっと話しを聞いてた雛だった
雛が何故、ロスという地名に反応したのかは分かっている
「まだ分からないわよ」
「ママがロスに行くんだったら雛も行く~!」
「ママがもしロスに行くとしても遊びに行くんじゃないのよ」
「いいよ~ママがお仕事してる間、
雛はディズニーランドに行ってるから~!」
「一人では行けないでしょ?」
「大丈夫だよ!雛は英語だって話せるしもう一年生なんだから!!」
雛は大丈夫だと自信満々で言い切ったが
英語が話せて一年生だからってどうして大丈夫なのだろうか?
でも目をランランと輝かせて行く気満々の彼女に
仕事だからダメだと言ったところで通用しないだろうから
「そっか、じゃあ今度から歯医者さんも一人で大丈夫ね?」
雛の顔を覗き込むようにそう言うと
「・・うっ・・だ、だいじょうぶ・・じゃない・・けど・・
だいじょうぶ・・」
「じゃあ、来月の歯医者さんは我が儘言わないでちゃんと行けたら
ママも考えるわね」
「・・わかった・・よ・・」
しぶしぶながら分かったといい終えた雛は隣に座っていた
あきらの膝の上に登り始めた
そしてあきらの膝に座りながらお得意の上目遣いで彼を凋落しに
かかっている
今、一人で大丈夫だと言ったばかりなのに・・・
「ねぇ~パパ~?歯医者さんに一人で行かないとダメ~?」
「今、一人で大丈夫だってママに言ったばかりじゃないのか?」
「言ったけど、それはママが雛に意地悪するからだよ!」
イジワルって・・・
雛は自分が言った事は棚に上げてあきらに訴えかけている
「ねぇ~パパは雛が一人で歯医者さんに行けると思う?
パパは雛が一人で行って心配じゃないの?」
ハァ~何なのよ~この子は!
それにしても普段なら簡単に陥落してしまうあきらも
さすがにみんなの前だとがんばっている
「心配だけどママが怒ってるぞ。
ママが怒ったら怖いの知ってるだろ?」
私が怒っていることを雛に知らせようと私を引き合いに出しているが
雛には全く通用していない
「ハァ~ やっぱりパパもママが一番なのね」
深々と溜息をつきながら本当に悲しそうな顔をした雛は
唖然としたままのあきらの膝から降りて今度は花沢類の膝に登り始めている
全員が雛の行動を見守っていると彼女は花沢類に向かって
あきらにした事を同じ事をやり始めた
膝の上に座られた花沢類は一瞬、驚いた表情をしていたが
雛の言葉はどうやら彼のツボにはまったらしく笑い始めてしまった
雛は笑い始めた花沢類も無理だと判断したのか彼の膝から降りると
今度は西門さんの膝に座った
何?
順番にするつもりなの?
でもどうしてあきらの次が花沢類なの?
普通、道明寺じゃないの?
恐る恐る道明寺の顔色を窺い見ると額に幾つもの青筋を浮かべながら
西門さんを睨んでいる
西門さんも道明寺の様子には気付いているようだったけど
思いがけず雛に膝に座られ上目遣いで"そうちゃん"なんて呼ばれて
英徳一のプレイボーイが赤くなって固まってしまっている
笑いがおさまりかけていた花沢類がそんな西門さんを見て
再び火が付いてしまったようだ・・・
自分が笑われている事に気付いた西門さんは咳払いを一つすると
「雛、俺も無理だけど、雛の言う事なら何でも聞いてくれる奴を
知ってるぞ。」
「本当?それってダ~レ~?」
「知りたいか?」
「うん、知りたい!」
「あいつだよ」
そう言って西門さんが視線を動かした先には青筋を立てたままの道明寺
確かに彼なら雛の言う事を何だって聞いてしまうだろう
みんながそう思ったが、雛から返ってきた答えは予想外の物だった
雛は道明寺の方をチラッと見ただけでまた大きくため息をついた
「そうちゃん、あの人はダメよ」
ダメと言われた道明寺はもちろんだけど
その場に居た全員が雛の言葉に固まってしまった
西門さんは気を利かせて道明寺にふったのだろうけど
この展開に慌てている
「ど、どうして司はダメなんだ?」
「そうちゃん、分からないの?」
「あ、ああ・・」
「知りたい?」
「あぁ・・・教えてくれないか?」
「本当に分からないの?」
そう言うと雛は又ため息を一つ
もう何なのよ!
早く教えなさいよ!!
「だってあの人はママが一番なんだもん」
誰もが驚きで固まってしまっている中で
花沢類だけがまた笑いだしてしまった
「プッ、クックックッ・・・雛は自分が一番じゃないとダメなんだね・・
クックックッ・・」
雛は当たり前じゃないという顔で花沢類を見ているけど
そんな雛に西門さんが
「雛、司はきっと違うぞ
司は雛が一番だと思うけどな」
「ほんと?」
「本当だよ。確かめてきたらどうだ?」
そう言われて雛はやっと西門さんの膝から降りて道明寺の前へと立ち
すぐには膝には座らずに下から覗き込むように見上げていて
見上げられた彼は真っ赤になって固まってしまっている
そんな彼の前で雛は覗き込むのを止めると
両手を腰につけて仁王立ちになり
さもどっち?
と言わんばかりに答えを促している
「お、俺はひ、雛もママもどっちも一番だ」
どっちも一番・・?
恐らく彼の本心だろうけど
そんな答えで雛が納得するはずがない
だけどおどおどした様子で答える道明寺に
思わず笑いが込み上げてくる
彼の答えを聞いた雛はまた大きくため息をついている
そのため息に彼は慌てて私の方を窺いながらもやっと
雛が満足する答えを口にした
何?
どうして私を見たわけ?
別に雛が一番だって言っても私は怒ったりしないわよ!
やっと自分が一番だと聞いた彼女は今までの
不機嫌さがウソのように満面の笑みを浮かべて道明寺の膝に座った
単純なところは道明寺にソックリ・・!
雛は道明寺の顔を触りながら早速
歯医者さんに連れて行く予定を立てている
雛は膝の上に座り顔を触るのはいつものクセだけど
絶対に嫌いな人にはしない
って事は・・
雛も道明寺の事をちゃんとパパだって分かっているのだろう
道明寺は本当について行く気なのだろうか?
それにしてもこの子
一体誰に似たんだろう・・?
私の考えている事が分かったのだろうか?
前に座っていた桜子が
「先輩じゃないですよ」
「・・えっ?」
「先輩はこんなに器用じゃないですから」
桜子の器用じゃないと言う言葉に反応したのは西門さん
「そ~だな、司もガキん時から歯医者は大嫌いだったし
何でも自分が一番じゃないと気に入らなかったもんな」
「だけど司とも違うような気もするけど・・・」
「確かに司はこんなに口は上手くなかったし
口じゃ負けるから力技だったもんな」
「じゃぁ、誰に似たんだ?」
「誰でしょうね?」
みんなが口々に好きな事を話しているのに道明寺は
こちらに構う余裕はないようだった
雛を膝に抱きながら崩れきった表情でどんどん予定を入れられている
雛は彼を歯医者だけでは飽き足らず
自分の行きたい所全て連れて行ってもらうつもりのようで
話しはどんどん進んでいく・・・
歯医者の次はロスのディズニーランドで
その次がマイアミのディズニーワールド、
ここら辺は私でも大体想像はついていたが・・その後は全く予想外だった
雛が行きたい所
アメリカのサンディエゴにある有名な動物園に
パンダを見るためにだけに中国と
コアラとカンガルーのためにオーストラリア・・
果てにはアフリカのナイロビ国立自然保護区?
これってこの前、全部TVでやってた所じゃない!?
道明寺はその全てに連れて行くと約束してしまっている
サンディエゴもオーストラリアも中国もいいけど・・アフリカまで・・?
それからしばらくはご機嫌で話しをしていた雛だったが
道明寺に抱かれたまま眠ってしまった
雛が眠ってしまったのをきっかけにその場はお開きとなった
あの日から私と彼の新しい関係が始まった
時間が少しスピードをあげたようだった・・・・

応援ありがとうございます。
お引っ越しです。🎶
それではどうぞ~✴
牧野の記憶が戻ってから1週間後、少し早いが彼女の退院が決まり
退院して3日後にはパリに帰る事が決まった
この迅速な決定はあきらの親父さんの命令によるものだ
当初、3週間だけの帰国の予定が事故の為
大幅に伸びてしまっている
パリでも彼女が帰ってこないことで業務に支障をきたし始めているようだし
何より彼女を落ち着いた環境で過ごさせるための配慮だった
当然、司は大反対でかなり抵抗していたが
司自身もそろそろNYへ戻らないとまずい
彼女達がパリへと帰る日の前日、美作邸では退院祝いのパーティーが開かれていた
その日は司もさすがにもう怒り出す事もなく
懐かしいメンバー勢ぞろいして
久しぶりの穏やかな時間が流れていた
そんな中でパーティも終盤に差し掛かってきた頃
椿姉ちゃんから出されたその提案が櫻のデザイナーとしての今後を大きく決定付ける事となる
その提案とは・・・
「ねぇ、櫻ちゃん?カメリアにお店出してみない?」
「・・えっ?」
「まず最初に言っておくけどこの話しは司とは何の関係もないのよ。
実はカメリアではsakuraのデザイナーが櫻ちゃんだって分かる前から
美作のおじ様に『sakura』の出店を打診してたんだけどいい返事を
貰えてなかったの。それで今回、デザイナーが櫻ちゃんだって分かって
もう一度お願いしたいって私の主人から連絡があったんだけど。
どうかしら?」
椿お姉さんのカメリアへの出店の話しは事業拡大の願っても無い
チャンスだけどお父様が一度、断られている話しを私が簡単に返事出来ないと思った
そんな私に代わってあきらが答えてくれた
「カメリアにって話しは願ってもないことだけど返事は少し待って欲しい。
『sakura』は日本でも出店したばかりだしヨーロッパでも現在、3店舗の新規出店が
控えていてこれ以上は手が回らない状態なんだ。いずれはアメリカへの進出を考えてはいるけど
今すぐには人手も足らないし何よりこれ以上忙しくなると櫻が大学に行く時間が取れなくなってしまうんだ。
櫻はまだ学生だから出来ればそちらを優先させたい」
以前からあきらは私が大学に通える時間を
無理して作ってくれているのは分かっていた
彼は私をデザイナーにした事に責任を感じているのだろうか?
「分かってるわ。でも検討してみる価値はあるでしょ?
人手が足りないんだったらこちらから出してもいいし
道明寺からでも構わないのよ、だから考えてみてくれない?」
「・・・分かった、で、店を出すのは何処になるんだ?」
「まずはロスからって思ってるけど」
「分かった」
「ねぇ~ママ~?ロスに行くの~?」
じっと話しを聞いてた雛だった
雛が何故、ロスという地名に反応したのかは分かっている
「まだ分からないわよ」
「ママがロスに行くんだったら雛も行く~!」
「ママがもしロスに行くとしても遊びに行くんじゃないのよ」
「いいよ~ママがお仕事してる間、
雛はディズニーランドに行ってるから~!」
「一人では行けないでしょ?」
「大丈夫だよ!雛は英語だって話せるしもう一年生なんだから!!」
雛は大丈夫だと自信満々で言い切ったが
英語が話せて一年生だからってどうして大丈夫なのだろうか?
でも目をランランと輝かせて行く気満々の彼女に
仕事だからダメだと言ったところで通用しないだろうから
「そっか、じゃあ今度から歯医者さんも一人で大丈夫ね?」
雛の顔を覗き込むようにそう言うと
「・・うっ・・だ、だいじょうぶ・・じゃない・・けど・・
だいじょうぶ・・」
「じゃあ、来月の歯医者さんは我が儘言わないでちゃんと行けたら
ママも考えるわね」
「・・わかった・・よ・・」
しぶしぶながら分かったといい終えた雛は隣に座っていた
あきらの膝の上に登り始めた
そしてあきらの膝に座りながらお得意の上目遣いで彼を凋落しに
かかっている
今、一人で大丈夫だと言ったばかりなのに・・・
「ねぇ~パパ~?歯医者さんに一人で行かないとダメ~?」
「今、一人で大丈夫だってママに言ったばかりじゃないのか?」
「言ったけど、それはママが雛に意地悪するからだよ!」
イジワルって・・・
雛は自分が言った事は棚に上げてあきらに訴えかけている
「ねぇ~パパは雛が一人で歯医者さんに行けると思う?
パパは雛が一人で行って心配じゃないの?」
ハァ~何なのよ~この子は!
それにしても普段なら簡単に陥落してしまうあきらも
さすがにみんなの前だとがんばっている
「心配だけどママが怒ってるぞ。
ママが怒ったら怖いの知ってるだろ?」
私が怒っていることを雛に知らせようと私を引き合いに出しているが
雛には全く通用していない
「ハァ~ やっぱりパパもママが一番なのね」
深々と溜息をつきながら本当に悲しそうな顔をした雛は
唖然としたままのあきらの膝から降りて今度は花沢類の膝に登り始めている
全員が雛の行動を見守っていると彼女は花沢類に向かって
あきらにした事を同じ事をやり始めた
膝の上に座られた花沢類は一瞬、驚いた表情をしていたが
雛の言葉はどうやら彼のツボにはまったらしく笑い始めてしまった
雛は笑い始めた花沢類も無理だと判断したのか彼の膝から降りると
今度は西門さんの膝に座った
何?
順番にするつもりなの?
でもどうしてあきらの次が花沢類なの?
普通、道明寺じゃないの?
恐る恐る道明寺の顔色を窺い見ると額に幾つもの青筋を浮かべながら
西門さんを睨んでいる
西門さんも道明寺の様子には気付いているようだったけど
思いがけず雛に膝に座られ上目遣いで"そうちゃん"なんて呼ばれて
英徳一のプレイボーイが赤くなって固まってしまっている
笑いがおさまりかけていた花沢類がそんな西門さんを見て
再び火が付いてしまったようだ・・・
自分が笑われている事に気付いた西門さんは咳払いを一つすると
「雛、俺も無理だけど、雛の言う事なら何でも聞いてくれる奴を
知ってるぞ。」
「本当?それってダ~レ~?」
「知りたいか?」
「うん、知りたい!」
「あいつだよ」
そう言って西門さんが視線を動かした先には青筋を立てたままの道明寺
確かに彼なら雛の言う事を何だって聞いてしまうだろう
みんながそう思ったが、雛から返ってきた答えは予想外の物だった
雛は道明寺の方をチラッと見ただけでまた大きくため息をついた
「そうちゃん、あの人はダメよ」
ダメと言われた道明寺はもちろんだけど
その場に居た全員が雛の言葉に固まってしまった
西門さんは気を利かせて道明寺にふったのだろうけど
この展開に慌てている
「ど、どうして司はダメなんだ?」
「そうちゃん、分からないの?」
「あ、ああ・・」
「知りたい?」
「あぁ・・・教えてくれないか?」
「本当に分からないの?」
そう言うと雛は又ため息を一つ
もう何なのよ!
早く教えなさいよ!!
「だってあの人はママが一番なんだもん」
誰もが驚きで固まってしまっている中で
花沢類だけがまた笑いだしてしまった
「プッ、クックックッ・・・雛は自分が一番じゃないとダメなんだね・・
クックックッ・・」
雛は当たり前じゃないという顔で花沢類を見ているけど
そんな雛に西門さんが
「雛、司はきっと違うぞ
司は雛が一番だと思うけどな」
「ほんと?」
「本当だよ。確かめてきたらどうだ?」
そう言われて雛はやっと西門さんの膝から降りて道明寺の前へと立ち
すぐには膝には座らずに下から覗き込むように見上げていて
見上げられた彼は真っ赤になって固まってしまっている
そんな彼の前で雛は覗き込むのを止めると
両手を腰につけて仁王立ちになり
さもどっち?
と言わんばかりに答えを促している
「お、俺はひ、雛もママもどっちも一番だ」
どっちも一番・・?
恐らく彼の本心だろうけど
そんな答えで雛が納得するはずがない
だけどおどおどした様子で答える道明寺に
思わず笑いが込み上げてくる
彼の答えを聞いた雛はまた大きくため息をついている
そのため息に彼は慌てて私の方を窺いながらもやっと
雛が満足する答えを口にした
何?
どうして私を見たわけ?
別に雛が一番だって言っても私は怒ったりしないわよ!
やっと自分が一番だと聞いた彼女は今までの
不機嫌さがウソのように満面の笑みを浮かべて道明寺の膝に座った
単純なところは道明寺にソックリ・・!
雛は道明寺の顔を触りながら早速
歯医者さんに連れて行く予定を立てている
雛は膝の上に座り顔を触るのはいつものクセだけど
絶対に嫌いな人にはしない
って事は・・
雛も道明寺の事をちゃんとパパだって分かっているのだろう
道明寺は本当について行く気なのだろうか?
それにしてもこの子
一体誰に似たんだろう・・?
私の考えている事が分かったのだろうか?
前に座っていた桜子が
「先輩じゃないですよ」
「・・えっ?」
「先輩はこんなに器用じゃないですから」
桜子の器用じゃないと言う言葉に反応したのは西門さん
「そ~だな、司もガキん時から歯医者は大嫌いだったし
何でも自分が一番じゃないと気に入らなかったもんな」
「だけど司とも違うような気もするけど・・・」
「確かに司はこんなに口は上手くなかったし
口じゃ負けるから力技だったもんな」
「じゃぁ、誰に似たんだ?」
「誰でしょうね?」
みんなが口々に好きな事を話しているのに道明寺は
こちらに構う余裕はないようだった
雛を膝に抱きながら崩れきった表情でどんどん予定を入れられている
雛は彼を歯医者だけでは飽き足らず
自分の行きたい所全て連れて行ってもらうつもりのようで
話しはどんどん進んでいく・・・
歯医者の次はロスのディズニーランドで
その次がマイアミのディズニーワールド、
ここら辺は私でも大体想像はついていたが・・その後は全く予想外だった
雛が行きたい所
アメリカのサンディエゴにある有名な動物園に
パンダを見るためにだけに中国と
コアラとカンガルーのためにオーストラリア・・
果てにはアフリカのナイロビ国立自然保護区?
これってこの前、全部TVでやってた所じゃない!?
道明寺はその全てに連れて行くと約束してしまっている
サンディエゴもオーストラリアも中国もいいけど・・アフリカまで・・?
それからしばらくはご機嫌で話しをしていた雛だったが
道明寺に抱かれたまま眠ってしまった
雛が眠ってしまったのをきっかけにその場はお開きとなった
あの日から私と彼の新しい関係が始まった
時間が少しスピードをあげたようだった・・・・

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