修羅場ってる？-ＮＹ編- 9

「だからね‥握手しよ」


はぁ？！だろ？


この流れでなんの握手だよ？


笑顔で手を出す牧野の表情から

その真意を探ろとする俺



「ほら！あんたも手出してよ！」



そう言いながら強引に俺の手を握り

上下に振る牧野



「なんの握手だよ？」


「ん？‥まぁ、強いて言えば仲直り？のかな」



仲直り‥


その言葉にプッと吹き出してしまった



仲直り‥


俺達はケンカをしていたわけじゃない


悪いのは俺であってこいつじゃない


まぁ


こいつも色々とやらかしてるとか自分で言ってるから


こいつも悪いっちゃー悪ぃけど


って！


思い出したらまたムカついてきたぞ！



そして再燃したムカつきのままに


俺の口はまた余計な事を口走る




「仲直りして欲しいんだったら
全部話せ！」




な？余計だろ？


自覚はあんだぞ！


そんな事聞いたって余計にムカつくだけだって事も分かってんだぞ！


だけどやっぱり気になるんだよ！



「はぁ？あんた‥それ聞いてどうすんの？」



「どうもしねぇーよ！
でも気になんだよ！俺と結婚してたくせに！
あー！クソッ！ムカつくんだよ！」



「プッ」



「笑うな！
お前は俺の事全部知ってんだろ？！
なのに俺はお前の事をなんも知らねぇなんて不公平だろ？！」



「不公平って‥言われても‥
う～ん‥別に隠してるわけじゃないし‥いいんだけどね‥
話聞いても何もしないって約束してくれたら話してもいいけど‥約束してくれる？」



「あぁ、約束してやる。
なんもしねぇ！」




しねぇわけねぇーだろ！


お前に触った奴は全員纏めて

地球上から抹殺してやる！



「ほんとに？嘘つかない？」



「あぁ！つかねぇーよ！
だからさっさと話せ！」



嘘はついてねぇーぞ！



ただちょっと気が変わるだけだ！








俺は今


最高にムカついていて



最悪に凹んでいる



全部、話せと言ったのは確かに俺だ



だけど


バカ正直に全部話すんじゃねぇーよ！


楽しそうに思い出話しやがって！


ＳＰだった男を含めて五人


そのどれもが俺様の足元にも及ばねぇ

普通の男ばかり


身長もルックスもスタイルも社会的な地位も財力も権力も

何から何まで俺様より劣っている

ただの男ばかり



こいつが男に求めていた物が

ただただ純粋に自分に対する愛情だって事が分かる



そしてそれが余計に俺をムカつかせる


本来であればそれは俺から得るべき物だったはず


だけど俺は・・・




「ねぇ？正直に話せって言ったから
話しただけなんだからそんなに落ち込まないでよ」



「落ち込んでねぇーよ！」



「落ち込んでるじゃん！
あっ！本当に何もしないでよ？！
もししたら離婚だからね！」



「なっ！落ち込んでねぇーし
離婚もしねぇ！」



ムカついている俺を落ち込んでいると勘違いしたこいつは

伝家の宝刀を盾に念を押してきやがる



「ならいいけど。
嘘ついて裏でこっそりなんて
今の私には通用しないからね！」



「分かってるよ！クソッ！」


分かっている


今のこいつはこいつが言うように

バレないように裏でこっそりなんて通用しねぇ


逆にこいつの方が俺にバレずに裏でこっそりなんて朝飯前で


その気になれば道明寺を乗っ取ることだって簡単に出来ちまうだろう


まぁ、宇宙が大爆発を起こしてもこいつはそんなことはしねぇだろうけど


もしババァとこいつが結託したら俺なんて指先一つで排除されちまうんじゃねぇか？



いや・・されるな・・



ある意味、ババァの最恐の懐刀



















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