Day Light 6
本日のDayLight🎶
少しだけジャックの過去が…
それではどうぞ🎵
類の部屋に集まった俺達四人とジャック
類が俺達と別れ一人何を調べてきたのか分からないけれど
とりあえず看護士から聞き出した事を話し
念のために牧野の病室に警備員を配してきた事を伝えると
司はずっと黙ったままで何か考えているようだった
「あきら?牧野は誰かに狙われてるって事か?」
「分からない・・・その男は怪しいとは思うけどな・・・
ジャック?あんたは何か心当たりはないのか?」
「・・・お、俺は・・・特には・・・」
正直な所、今はまだ何一つ確証は無い
怪しいと思う事はあっても
ただ怪しいと感じているだけで
何がどう怪しいのか明確な言葉では言い表せない
だから次に打つべき一手が見つからない
手掛かりとなるのはジャックだけだから
心当たりを尋ねたけれどその答えは曖昧で期待していた物とは違っていた
「あんた、いい加減ほんとの事話したら?」
曖昧な答えを返したジャックに
突然、類が冷たい口調で言葉を投げ掛けた
類の言葉に弾かれたように顔を上げ類の方を見たジャックだったけれど
それも一瞬で類と視線が合うとすぐに反らし再び下を向いてしまった
「俺は・・・別に何も隠してない・・・」
明らかに何かを隠している・・・
態度でバレバレなのに否定するジャック
「あんたが自分で話せないんなら俺が話してあげようか?」
「オイ!類!どういう事だよ?こいつになんかあんのかよ?!」
苛立つように声を上げる司と
ジャックを鋭い目つきで睨みつけている総二郎
あきらは驚いたように俺とジャックの顔を見比べている
ERの看護士の話しを聞く前から
ずっと何かがおかしいと感じていた
あきらも総二郎も同じみたいだったけれど
疑惑の正体が掴めずまだ靄の中を漂っているような感じだった
だから看護士に詳しい話しを聞くのを二人に任せて俺は一人で先に病院を後にした
疑惑は疑惑のままでまだ何も分からなかったけれど
だからこそ自分の勘に従って怪しいと思ったところから調べを始めた
NYの花沢のオフィスに篭るとまず手初めに
ジャックと言う男の事を調べるように指示を出した
たった三時間程だったけれど手元に届けられた報告書の中には
意外な事が書かれていた
ジャック・ブレナン
性別は男
年齢は牧野と同じ26歳
出身はNYブルックリン
家族は父親が違う弟が一人だけ
その弟は現在カージャックと麻薬不法所持の罪でオクラホマの刑務所に服役中
両親ついては父親は不明
母親は職業がストリッパーでジャックが10歳の時、
当時の交際相手が運転する車がハドソン河に転落し男と共に死亡している
運転していた男と母親の体内からは共に大量のアルコールが検出されたため
飲酒運転による事故だと判断され
唯一の肉親だった母親を失った兄弟は保護施設に保護されその後は別々の家庭に引き取られていた
ジャックが引き取られた先はシカゴ
養母はキャシー・デービス当時52歳
独身で結婚歴は無く
ずっと地元の小学校で美術の教師をしていた
ジャックはキャシーの元で地元の中学、高校に通った
高校を卒業後は奨学金を得て後に牧野が留学してくる大学に進学した
そして進学を機にキャシーの元を離れ
大学近くの学生専用アパートで一人暮らしを始めている
大学の成績は優秀で逮捕歴も無い
卒業後すぐにNYに舞い戻り会社を立ち上げ牧野と結婚し
去年の春に協議離婚が成立している
ここまではどうって事無い人生だ
いやむしろ恵まれている方かもしれない
幼くして母親を失ってしまったのは悲劇だけれど劣悪な環境から抜け出し
いい里親にも巡り逢え道を踏み外す事なくここまでこれたのだから
だが一つ気になる点がある
それは金だ
ジャックが入学当時得ていた奨学金は卒業後に返済が必要な物だったのに
牧野が留学する直前に全額返済が必要の無い奨学金に切り替わっている
そして卒業後に立ち上げた会社の設立資金の10万ドルが
ある投資会社から融資という形で提供されている
どんな手を使ったのか大学を出たばかりで
なんの後ろ盾も実績も無い若者に10万ドルもの大金が簡単に提供されている
そしてその10万ドルの融資に対して返済や利益配分が行われている形跡が無い
ジャックが社長を勤めるデザイン会社の業績は悪くない
むしろいい方だと思う
利益もこの程度の規模のデザイン会社にすれば出ている方なのに
1ドルも返済されていない
ただ一度だけ大口の取引先だった企業から契約を打ち切られ
経営が傾きかけた時期があったがそれも社員のリストラですぐに持ち直している
その時期がちょうど牧野と離婚した時期に当たる
報告書を読み終わって
どうも引っ掛かる・・・
ジャックの金に動きがある時期が
全て牧野に関係しているように思えてならない
「あんた牧野が病院に運ばれた時、
傍にいた警官に絶対に自殺じゃないから調べてくれって詰め寄ったんだろ?」
あの時、不審な男の話しを聞かせてくれた看護士は
付き添って病院に来たジャックの事も話してくれていた
たいていは身内や友人が自殺騒ぎを起こして病院に駆け付けても
最初は事態が上手く理解出来ず呆然としているか興奮していたとしても
治療にあたるドクターや看護士に助けてくれと詰め寄る人が多いのに
ジャックは呆然と立ちすくむわけでもなくドクターに詰め寄るわけでもなく
たまたま別の傷害事件の被害者のためにERに来ていた警官に
彼女は自殺なんかじゃないから調べてくれと詰め寄っていた
ジャックのその異常にも映る行動と言動は印象に残っていると話していた
調べてくれと言われた警官も最初は別の事件の担当だからと
ジャックを相手にはしていなかったがあまりにもしつこく食い下がられ根負けしたのか
一応、病院に運んだ救急隊員と治療にあたったドクターから話しを聞き
部屋の状況や容態から自ら大量の薬を服用した
自殺未遂と結論づけ事件性は無いと判断されたと言っていた
「俺は・・・別に何も隠してなんて・・・いない・・・」
「あんたがどうしても話したくないっていうなら無理には聞かないけど
調べればすぐに分かる事だよ。俺達を頼ったのはあんただ
あんまり俺達を舐めない方がいいと思うけど」
「舐めないてなんていない!
俺はただつくしに何が起こったのか調べて欲しいだけだ!俺の事は関係ない!」
「関係ないかどうかは俺達が判断する。
何も分からない状況で可能性があるかもしれない物は
全て調べるのは当たり前だと思うけど」
「とにかくあんた達が何と思おうと俺は関係無い!
つくしの事を調べてくれる気が無いならもう結構だ!あんた達を頼った俺が間違ってた!
後は俺が一人で調べてみせる!つくしは絶対にあんた達には渡さない!」
激昂したジャックは一気にそう言い終えると
脇に無造作に置いてあったジャケットを掴み席を立った
自分の事へと話しが及ぶといきなり激昂し出て行こうとするその態度が
俺達の目には益々怪しく映る
「都合が悪くなると逃げんのかよ!?」
ジャックの背中に投げ付けられる総二郎の声
その声もジャックは無視して部屋から出て行こうとしたその時
俺とあきらとジャックの携帯がほぼ同時に鳴った
同時に着信を告げる携帯に一瞬だけその場に痛い全員の動きが止まった
まず俺が電話に出ると続いてあきらも出て最後にジャックが出た

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