遥か 41
こんばんは~(^O^)/
本日も『遥か』です。🎵
このお話しは後1話で完結の予定です~❤
それではどうぞ~❣
私信です。
☆様
こんばんは~😊
コメントありがとうございます。(^^♪
ムフフ♥予想外でしたか?
流れ的に不要かなとも思ったりもしたのですが
やっぱり区切りをつけるという意味では必要じゃない?と思い
最後に差し込んじゃいました~❤
墓参りを済ませた後
俺は車をある場所へと走らせた
墓地からは5分程の距離
山間の細くくねった道を過ぎると
少し開けた場所へと出る
山を切り拓き斜面に張り付くように田畑が連なり
その先に数軒の民家が見える
そこを見下ろせる場所で車を停めた
民家に続く道は綺麗に雪が退けられていて
道の両端には雪がうず高く積まれている
その中の一軒
二階建ての古民家に牧野の両親が住んでいて
その向かいにあるまだ真新しい家は
弟の進が家族で住んでいる
牧野の両親はここに移り住んだ当初は
他人との接触を嫌い人付き合いもほとんどなかった
たまに訪ねて来るのはここを世話した
西田の親戚だけだった
だけど進が高校を卒業し役場に就職した頃から
少しずつ周囲の人間とも交流を始め
今は畑で野菜を育てながら民宿もやっている
この辺りは特に観光産業が盛んというわけではないが
近くに清流が流れていて渓流釣りのシーズンには
イワナやヤマメを釣りに来る釣り客が泊まりに来たりしている
そんな客達に自分達で育てた野菜を使った料理をふるまい
それがなかなか好評らしくリピート客も多いらしい
そんな牧野の両親は数年前から
事ある毎に俺に対し幸せになって下さいと
西田を通じてメッセージを送ってきている
牧野の両親の傷が癒えたとは思っていない
ただ彼らなりに少しずつ前に進んでいる
忘れたわけじゃない
決して忘れることの出来ない存在
決して癒える事の無い傷を抱えながらも
前を向いて歩いて行こうとしている
俺には出来なかった
その強さが羨ましくもあり
腹立たしくもあった
そんな俺の元に戻ってきた牧野の生まれ変わり
彼女によって俺は少しずつ癒やされ
再び時間が動き始めた
そして彼女も・・
説明出来ない感情を抱えながら
牧野つくしとして生きられない矛盾に葛藤しながらも
瀬戸口遥として生きてきた
20年という時間も
生まれ変わりと言う言葉も
言葉にするのは簡単だ
だがそこには
それぞれに
計り知れない絶望と葛藤があった
それらを乗り越え再会出来たからこそ
今日ここに彼女を連れて来る事が出来た
だから最後にここに立ち寄った
「お袋さん達に会いたいか?」
そう問いかけた俺に静かに首を横に振った彼女
「今はちゃんと生活してるんでしょ?」
「あぁ、進の家族と一緒にちゃんとやっている」
「だったら・・もういいよ・・
今さら期待させても可哀想だし・・
あたしはもう・・パパとママに何もしてあげられないから・・」
「そうか・・分かった」
「でも・・ありがとね。
ここに連れて来てくれてありがとう・・
あたしの中の牧野つくしが消える事はないけど・・
区切りは付けられた・・」
「あぁ・・俺もだ・・
もうここに来る事は無いと思う・・」
「うん・・それでいいんだと思う・・」
優しく微笑みなが冷えた手を俺の頬に添えると
軽く触れるだけのキスをしてきた彼女
そのキスに物足りなさを感じながらも
アクセルを踏む足に力を入れる
バックミラー越しに遠ざかる景色を脳裏に焼き付けながら
俺達の生きる場所へと車を走らせた
東京へと戻ったのは夜
すっかり日も暮れた真冬の夜の街を
俺はもう一つの目的の場所を目指して
車を走らせた
その場所はあの港
あの場所で全てが終わり
あの場所で全てが始まった
20年経っても港の風景はあの頃とさほど変わっておらず
この場所に立つと否が応でも
あの時の光景が思い起こされる
飛び交う怒号に無数のフラッシュ
もみくちゃにされ右も左も分からないまま
崩れ落ちる身体を抱きかかえ
次第に大きくなる血だまりに慄き
なにも出来なかったあの時
全てが一瞬で
全てが永遠だった
あの後の数カ月間の記憶は定かじゃない
気が付いたらNYにいた
そんな感じだった
過去と決別したいわけじゃない
人生からあの出来事を切り離せるなんて思ってもいない
ただ区切りをつけたいだけ
あの時
あの場所にいた全員で
過去に区切りをつけ
全員で新しい一歩を踏み出すために
仲間達をこの場所に呼び出していた

応援ありがとうございます。
本日も『遥か』です。🎵
このお話しは後1話で完結の予定です~❤
それではどうぞ~❣
私信です。
☆様
こんばんは~😊
コメントありがとうございます。(^^♪
ムフフ♥予想外でしたか?
流れ的に不要かなとも思ったりもしたのですが
やっぱり区切りをつけるという意味では必要じゃない?と思い
最後に差し込んじゃいました~❤
墓参りを済ませた後
俺は車をある場所へと走らせた
墓地からは5分程の距離
山間の細くくねった道を過ぎると
少し開けた場所へと出る
山を切り拓き斜面に張り付くように田畑が連なり
その先に数軒の民家が見える
そこを見下ろせる場所で車を停めた
民家に続く道は綺麗に雪が退けられていて
道の両端には雪がうず高く積まれている
その中の一軒
二階建ての古民家に牧野の両親が住んでいて
その向かいにあるまだ真新しい家は
弟の進が家族で住んでいる
牧野の両親はここに移り住んだ当初は
他人との接触を嫌い人付き合いもほとんどなかった
たまに訪ねて来るのはここを世話した
西田の親戚だけだった
だけど進が高校を卒業し役場に就職した頃から
少しずつ周囲の人間とも交流を始め
今は畑で野菜を育てながら民宿もやっている
この辺りは特に観光産業が盛んというわけではないが
近くに清流が流れていて渓流釣りのシーズンには
イワナやヤマメを釣りに来る釣り客が泊まりに来たりしている
そんな客達に自分達で育てた野菜を使った料理をふるまい
それがなかなか好評らしくリピート客も多いらしい
そんな牧野の両親は数年前から
事ある毎に俺に対し幸せになって下さいと
西田を通じてメッセージを送ってきている
牧野の両親の傷が癒えたとは思っていない
ただ彼らなりに少しずつ前に進んでいる
忘れたわけじゃない
決して忘れることの出来ない存在
決して癒える事の無い傷を抱えながらも
前を向いて歩いて行こうとしている
俺には出来なかった
その強さが羨ましくもあり
腹立たしくもあった
そんな俺の元に戻ってきた牧野の生まれ変わり
彼女によって俺は少しずつ癒やされ
再び時間が動き始めた
そして彼女も・・
説明出来ない感情を抱えながら
牧野つくしとして生きられない矛盾に葛藤しながらも
瀬戸口遥として生きてきた
20年という時間も
生まれ変わりと言う言葉も
言葉にするのは簡単だ
だがそこには
それぞれに
計り知れない絶望と葛藤があった
それらを乗り越え再会出来たからこそ
今日ここに彼女を連れて来る事が出来た
だから最後にここに立ち寄った
「お袋さん達に会いたいか?」
そう問いかけた俺に静かに首を横に振った彼女
「今はちゃんと生活してるんでしょ?」
「あぁ、進の家族と一緒にちゃんとやっている」
「だったら・・もういいよ・・
今さら期待させても可哀想だし・・
あたしはもう・・パパとママに何もしてあげられないから・・」
「そうか・・分かった」
「でも・・ありがとね。
ここに連れて来てくれてありがとう・・
あたしの中の牧野つくしが消える事はないけど・・
区切りは付けられた・・」
「あぁ・・俺もだ・・
もうここに来る事は無いと思う・・」
「うん・・それでいいんだと思う・・」
優しく微笑みなが冷えた手を俺の頬に添えると
軽く触れるだけのキスをしてきた彼女
そのキスに物足りなさを感じながらも
アクセルを踏む足に力を入れる
バックミラー越しに遠ざかる景色を脳裏に焼き付けながら
俺達の生きる場所へと車を走らせた
東京へと戻ったのは夜
すっかり日も暮れた真冬の夜の街を
俺はもう一つの目的の場所を目指して
車を走らせた
その場所はあの港
あの場所で全てが終わり
あの場所で全てが始まった
20年経っても港の風景はあの頃とさほど変わっておらず
この場所に立つと否が応でも
あの時の光景が思い起こされる
飛び交う怒号に無数のフラッシュ
もみくちゃにされ右も左も分からないまま
崩れ落ちる身体を抱きかかえ
次第に大きくなる血だまりに慄き
なにも出来なかったあの時
全てが一瞬で
全てが永遠だった
あの後の数カ月間の記憶は定かじゃない
気が付いたらNYにいた
そんな感じだった
過去と決別したいわけじゃない
人生からあの出来事を切り離せるなんて思ってもいない
ただ区切りをつけたいだけ
あの時
あの場所にいた全員で
過去に区切りをつけ
全員で新しい一歩を踏み出すために
仲間達をこの場所に呼び出していた

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