Family 15

お義母様の書斎から部屋に戻って最初に思った事は


あっ！桜子に電話しなきゃ！だった

色々聞かれるだろうけど

どう説明すればいいのか分かんないけど

桜子からの着信が夕べから十件を超えていて

そろそろ連絡しないと後々ずーっと言われ続けるだろうから

ちょっと気合いを入れ直して桜子の番号を押してみる

数回の呼び出し音の後

携帯から飛び出してきたのは桜子の大きな声


「先輩！！」


すでにすっごく怒ってるじゃない！



「さ、桜子…？」


携帯を耳から少し離す


「先輩！どうなってるんですか？！
説明してください！」


「う、うん…説明しようと思って連絡したんだけどね…
色々ありすぎて…長くなりそうなんだけど…」


「分かりました！今から滋さんとそちらに伺いますから待っててください！
いいですね？！」

いいですね？なんて言いながらあたしの返事は求めてなんてなくて

言いたい事だけ言われて切られちゃった


で…ね！

一時間もしない内に二人が到着した

「い、いらっしゃい！」

まぁね…

夕べから何度も連絡してきてくれていて

心配してくれてたんだろうなぁって事は分かってるんだけどね

そ、そんな露骨に怒った顔しないでよ！

プリプリって感じのままソファーに座った桜子と

いつもの感じであたしに突進してきた滋さん

「勿論！先輩には怒ってます！
でも滋さんにも怒ってます！」


「えっ！？私、なんかした？」

「しました！自覚ないんですか？！」


呆れたように言った桜子が徐にテレビを点けた

んだけどね…

画面から飛び出してきたのは滋さんのどアップだった


「キャッ！滋ちゃん！可愛いじゃん！ねぇねぇ！桜子！そう思わない？！
私まだまだどアップに耐えられる～！」

テレビでは飽きもせずまだあたし達の事をやっていて

どうやら滋さん達はお屋敷の前に集まっている取材陣にインタビューを受けたみたい

お屋敷前に到着したリムジン

誰が乗っているのか分からないけど
とりあえず群がり車内に向けて焚かれるフラッシュ


そんな中、リムジンの窓が開き
身を乗り出すように顔を出した滋さんと
後ろから車内に引き戻そうとしている桜子


“司はね高等部の頃からつくし一筋なの！
二人は未だにラブラブで見てるこっちが発情しちゃうくらい仲良しなんだから！”

聞かれてないのに話し始めちゃってる滋さんと
後ろから必死で引っ張ってる桜子

“藤城なんちゃらってのが誰だか知らないけど
昔、このナイスバディの滋ちゃんが裸で突撃しても勃たなかったのに！
つくしの気配感じただけで突進しちゃうぐらいつくしバカの
司が他の女なんて相手するわけないでしょ！”


滋さん…？

「し、滋さん…発情…しちゃうの？」


「しちゃう！しちゃう！」

「しないでください！
もう！ご自分が何言ってるか分かってるんですか！？」


「え～分かってるよ～！
でも本当の事じゃない！」

「本当だったら何言ってもいいわけじゃありません！」


一番年下なんだけど…


あたしと滋さんって桜子に叱られる事が多くない？


「もぅ～そんな怒んないでよ～桜子～！
ほら！この生クリーム美味しいよ！」


そう言ってスプーンで掬い上げたショートケーキを
桜子の口に強引に押し込んだ滋さん


「止めてください！ケーキなんて食べたくありません！もぅ！」


「まぁまぁ、滋さんも反省してるからもうその辺でいいでしょ？」


“反省してるようには見えませんけど！”

なんて桜子はまだ怒ってるけどさっさと話題を変えてしまう








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