つくしちゃんBD２０２１ １１

「つくしちゃん！道明寺さんがつくしちゃんの婚約者ってほんとなの？！
それにＦ４まで〜～！キャ〜～！！」

春菜さんの悲鳴が耳元で響いている

道明寺達が現れてから公民館がカオスです・・


「えっと・・一応・・婚約者かな？」


「オイ！かな？ってなんだよ！？
疑問形でしゃべんな！俺はお前のご主人様なんだぞ！！」


目の前で胡座をかいて座る道明寺がご立腹です・・

ん・・確かに

怒るのは分かるんだけどね

でもねあたしとしては婚約はしているけれど
まだ正式に発表しているわけじゃないから
道明寺の立場だとかその他諸々を考えて
答えを濁した・・？

濁せてない？

まぁ、そんな感じだったのに！


婚約した時にお義母様からは
正式に発表するまでは行動を慎むように
なんて言われてたのに・・

あたしの親戚達に堂々と・・


ご主人様って・・！

あたしは犬か！？

はっ！？

どっちかって言うと犬は道明寺の方じゃない？

そうよね？

そう思うわよね？

プッ！

お手！とか

お座り！って！


ププププッ！

笑っちゃう・・

でね

笑ってたら

ゴン！って凄い音が脳内に響いて


「テメェ！俺様が犬とはいい度胸してんじゃねぇーか？！」


頭突きですか？！


頭突きされました！


「痛〜ぃ！なにすんのよ？！
石頭！手加減とか知らないわけ？！バカ！」


「煩ぇ！バカはお前の方だ！
俺様が犬だとかお手とかお座りだとか！
でっけえ独り言吐きやがって！
全部聞こえてんだよ！」


「ワン！」


「てめぇ！」


「いひゃ〜ぃ！はなしぇ！」


また心の声がダダ漏れで怒った道明寺が
頭突きだけでは足りず両頬を引っ張ってくる


「もぅ！いひゃいってば！」


頬を引っ張る道明寺の手を強引に引き離し頬を擦りながら



「ねぇ？いつ戻ったのよ？」

と今さらだけど聞いてみた

「今朝だ」


「年明けまで帰れないって言ってたじゃん」


「あぁ、だからお前をあっちに呼ぼうと思ってたんだよ！
それなのにお前が先にこっちに帰るからとか言い出したから
ややこしくなってんだろーが！」

ややこしくはなってないと・・

あたしは思うんだけどね・・

道明寺はそうは思っていないみたいだから
とりあえずは逆らわずにこのままで・・

「そうだったんだ・・あたしもね一応は考えたんだよ。
そっちに行こうかなって・・でもさ」


「でももくそもねぇーんだよ！
どうせ仕事の邪魔したくないとか
くだらねえこと考えてたんだろーが！」


「くだらなくないから！
実際、邪魔したくないし
あんたは仕事だからあっちでも一人じゃつまらないしさ
それに来年からは年末年始に実家でゆっくりなんて出来ないだろうって
思ったから・・」


「ハァ〜んなことだろうと思ったから
俺がこっちに来てやったんだよ！」


「・・ごめんね。
あのさ・・怖いからさ・・そろそろ睨むの止めてくれない？」


「お前が反省して二度と勝手なことしないって約束したら止めてやる」


「勝手なことなんて・・してるつもりないんだけど？
例えば？」


「一人で行動するな！
それから車の運転もするな！
お前は俺の婚約者なんだぞ！ちょっとは自覚しろ！」


「自覚はしてるけど・・まだ正式に発表してるわけじゃないから・・
いちいちＳＰさんに付いてきてもらうのもだし・・車の運転したいじゃん！」


「するな！危ないことはダメだ！
お前にもしものことがあったらどうすんだよ！？
それにＳＰはお前を守るのが仕事だ！
いい加減慣れろ！」

道明寺の言いたい事は分かっているし
理由だって理解はしている

だけどね

今まではどちらかって言うと家族を守ってきた方の立場だったでしょ

だからね

守られるって事に慣れてなくて

自分の都合で誰かの手を煩わすって行為がどうしても苦手で

道明寺の言う通りＳＰさん達にとってはそれがお仕事なんだけど

どうしても慣れなくて


「それは分かってるんだけど・・」

今までも何度も道明寺に言われ続けてきたことなんだけどね

いつもこの話題になると歯切れが悪くなるあたし

そんなあたしを見慣れている彼は大きなため息を一つ零しながらも

表情はいつもの優しい彼に戻ってあたしの頭を撫でてくれる

そして

「とにかく危ないことはするな！」

で締めくくるから

これが道明寺の優しさだって分かっているから


いつも

いつも

ちょっとだけ

ウルッとしそうになるの


ほんとにちょっとだけだけどね












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