秘書の受難 2
本日2度目の更新です!
正確には3回目ですが・・
先程、予告していた『遥か』の番外編です!
本日は『ご挨拶』という記事と
お話しの『パパはおんぞうし?』と『遥か』の番外編を更新しております。
『ご挨拶』の中で『怜』でいただいたコメントに対する
お返事を掲載させていただいておりますので
コメントをいただいた方はそちらをご一読いただければと思っております。
それではどうぞ~❤
私信です。
匿名様
こんばんは~🌟
コメントありがとうございます。🎵
ブラックなF4をお楽しみいただけて良かったです!
大したお話しは置いておりませんがこれからも
お付き合いよろしくお願いします。😊
どう考えても最近の司様は
”殿!ご乱心です!”
でございます・・
年が明けて
内輪ではございますが正式にご婚約をされた司様と遥様
お二人が並ばれているお姿を拝見していると
年齢差もあまり感じさせずとてもお似合いで素敵なカップルではございますが
些か司様のお振舞が・・
とても
とても
いい大人だとは思えません!!
どちらかというと若い遥様の方が落ち着いていらして
あの司様を上手く操縦されているようでございました
危惧しておりました遥様と総裁や楓様との関係も良好で
特に椿様はそれはもう目に入れても痛くないとばかりの溺愛っぷりで
司様の秘書といたしましてはあまりその・・
度が過ぎた溺愛っぷりはお控えいただければありがたいのですが・・
いえ!決して、椿様に不満があるとかではございませんので
誤解なきよう説にお願い申し上げますが・・
椿様が遥様を溺愛されると
司様のご機嫌が急激に悪化し
お仕事に支障をきたします
なので少しお控えいただければと思うのですが・・
そんなわたくしの心情など露知らずの椿様でございますので
今日もまた・・
NYにあまりお詳しくない遥様を観光という名目で
市中引き回し・・いえ!
色んな所へとご案内されているお優しい椿様でございます!
司様にしても若い遥様が可愛くて仕方がない様子でございまして
最近の司様からは何か得体の知れない物が
ドバっと溢れまくっていてますます目のやり場に困る今日このごろでございます
お仕事に関しましては
まぁ、なんとかスケジュール通り
熟していただいておりますので
問題はございません
寧ろ早く遥様の元へとお帰りなられたいようで
決裁などはいつもより倍のスピードで進んでおりますので
秘書と致しましては有り難い限りなのですが・・
とにもかくにも
今までがワーカーホリック気味でございましたので
余暇の使い方に苦労しております
そしてついに危惧していた事態が
起こってしまいました
ご自身のお誕生日に入籍をされた司様と遥様
おめでたいことではございますが
せめて・・
せめて・・
一言だけでも
わたくしめにもお伝えいただきたかった
確かにわたくしめはただの秘書でございます
決して卑下しているわけではございませんが
単なる雇われサラリーマンでございます
ですが長年、司様にお仕えし
それなりに秘書としてお役に立てているとの自負もございます
それなのに・・
だったらそれぐらい察しろ!
と言われればそれまでなのですが・・
とにかく一言だけでもと思ってしまいました
司様がご自身のお誕生日に遥様をお連れになり
帰国されてからの行動は一応把握はしておりました
ですが!
日付が変わったと同時にご友人達が
わざわざマスコミを引き連れて役所に
婚姻届を出しに行かれるだなんて
わたくし聞いておりませんから!
真夜中に突然始まった生中継に
ちょうどお風呂から出たばかりで
パンツも履かず生まれたままの姿で
水で乾いた喉を潤している最中でございました
真っ裸に関しましては深夜自室でございますので
誹謗中傷はご遠慮くださいませ!
そのような状態で水を飲む手が止まり
自身のクシャミで我に返り
慌てて服を着ました
勿論、スーツをでございます
そしてそれと同時にわたくしのスマホには着信の嵐でございます
真夜中に鳴り止まない電話
パニックでございます!
きっと西田先輩であれば上手く対処されるのでしょうけれど
わたくしにはそこまでの技量はございませんでした・・
まだまだでございます
そのことに少し落ち込んではおりますが
落ち込んでばかりはいられません!
とにかく対処しなければ!
大至急、出社し秘書室のメンバーと
広報課のメンバーを緊急召集し
NYとも連絡を取りながら対策を練り
朝一で出す声明文を用意いたしました
今回、はっきりと申し上げますが・・
今まで疎遠だったご友人方それぞれが皆さま
地位や名誉や家柄や・・
錚々たる方々でございます
皆さま社会人として
社会のルール等々に長けた方々だと思っておりましたが・・
失礼を承知で申し上げますと
何してくれてんだーー!
で、ございます
婚姻届を提出した区役所の前でインタビューに答えているご友人方の姿が
繰り返しテレビで放送されていて
わたくしのスマホは鳴りっぱなし
司様にご連絡を取ろうにも当然のように電源はOFF
パニックでございます
朝までの数時間
軽~く記憶喪失で気付いたら朝でございました
朝になり司様と遥様の連名で出された結婚の報告文と
道明寺HDと瀬戸口コーポレーションそれぞれから出された
声明文が世間を賑わせております
いえ、賑わせているなど可愛いものではございません!
そして日本支社の前には報道陣が大挙して押しかけ蜂の巣を突いたような騒ぎでございます
出社してくる社員に群がっておりますが社員には箝口令が敷かれておりますので
インタビューに答える社員はおりません
そして本日、世界中の支社で司様ロスによる女性社員の欠勤が相次ぎ
道明寺HDの約半数の女性社員が有休休暇を取得しており圧倒的に人手不足でございます
幸い比較的に女性社員の多い秘書課と広報課ではロス休暇は出ておりませんが
皆さん朝からため息ばかりでございます
そんな中
わたくしにとっては救世主が到来いたしました!
西田元室長でございます!
西田元室長はわたくしにとっては神でございます!
その神が
“大変でしょうからお手伝いいたしますので
なんでも指示して下さい”
とおっしゃってくださいましたので
お言葉に甘えてさっそく
「西田室長〜何から手をつければいいのか分かりません〜!」
楓様のご引退を機にわたくしも道明寺HDを退社いたしました
入社以来、秘書課一筋
秘書という職業は転職だと思い邁進してまいりましたが
その道のりは波乱に満ちた物でござました
楓様と司様
二代に渡りお仕えしてまいり
パスポートに押されている各国のスタンプを眺めながら
夜、自室で一人波乱の秘書人生を懐かしく思い返す日々でございます
現在、わたくしは楓様の私設秘書をしております
以前とは考えられない穏やかな生活でございます
道明寺を退社するにあたり
わたくしは完全に引退し故郷に帰り
のんびりと余生を過ごす計画を立てておりましたが
それを楓様にお伝えしたところ
“あなたにはそんな生活は似合わないわ。
それに余生ってほど歳も取っていないでしょ。
だからこれからはわたくしの私設秘書をしてくださらないかしら”
そう言っていただき
余生を故郷でのんびりという生活は先送りになりました
ただ引退と申しましても今までのお付き合いが全て無くなったわけではございません
ごくごく限られた少数の方々のみではありますが
ビジネス上のお付き合いは続いていて引退とはいえ
それなりに多忙な日々を過ごさせていただいておりました
そんな中、やはり気がかりでしたのは司様のこと
楓様にしても椿様にしても直接、口には出されませんでしたが
司様のご心配をなされていたのは身近にいて感じておりました
もし牧野様が生きておられたら
きっと今頃はこのお屋敷には子供の声が響いて
賑やかだったのだろうと想像すると
やはりあの時の決断は間違っていたのだと痛感させられます
牧野様の事に関してわたくしは賛成でも反対でもありませんでした
わたくしには賛成する権利も反対する権利もございません
ただ楓様に付き従うのみでございました
それが正しい事だとか
間違っている事だとか
あの当時のわたくしは考えることすらしておりませんでした
ただ盲目的に付き従うだけ
そしてその結果が・・
信じられない一報を楓様にご報告申し上げた直後の
楓様の慟哭は今でも鮮明に覚えております
そしてわたくしも・・
後悔などという生易しい言葉では表現できないほどの衝撃を受けました
ただ幾ら後悔しようとも
過去は変えられません
ただその事実が
目の前に横たわる現実が
息をするのも苦痛なほどの事実が
歩みを止め考えるということを教えてくれました
楓様も同じだったのだろうと思います
全ては道明寺のため
その結果、未来ある尊い命が犠牲になりました
一番大事な物を自らの手で止めを刺したようなものでございます
守りたかったはずなのに
全ての責任は自分にあると思われている楓様
そして未だ失意の底でただ時間が過ぎるのを待っているだけの司様
司様が抱えられている喪失感と
楓様が抱えられている虚無感が
少しでも拭うことが出来ればと
ただそれだけを願う20年間でございました
20年と一口で言葉にするのは簡単でございます
ですが当事者にとってはとてつもなく長い時間でございます
わたくしは現実主義者でございます
勿論、今までの人生の中で
小説や映画の中で非現実的な世界には接してまいりましたが
それらはあくまでも空想の世界
フィクションでございます
それを前提に楽しめる世界でございます
正直、今でもまだ半信半疑な部分はございます
ですがこの数週間に体験した事は
紛れもない現実で言いようの無い高揚感を感じているのも事実でございます
楓様も同じなのだと思っております
実際、ここ数週間の楓様のご表情は柔らかく
そして慈愛に満ちた物でございました
それは楓様に限った事ではなく
突然、使用人頭に復帰されてしまったタマ様然り
NYに入り浸っている椿様然り
それぞれがそれぞれの方法で
あのお二人を見守ってまいりました
そしてついに待ちに待った喜ばしい瞬間がまいりました
予想とは些か違いましたが
嘗てのお仲間達が嘗ての笑顔で
それぞれのお立場など考慮せず
ただそれぞれのお心のままに
感情を爆発させておられました
やっと時間が動き出したのでございます
これを喜ばずして他に何を喜ぶというのでしょうか
ただ一つだけ気掛かりな事がございます
それは司様の第一秘書をしております上條のことでございます
彼を秘書課に抜擢したのはわたくしでございます
工業大学出身で技術職を希望していた彼を
全く畑違いの秘書という職業に導いたのはわたくしでございました
なぜ彼をと問われれば理由は単純明快でございます
むいていると思ったから
ただそこに至るまではきちんと調査は致しました
家柄や出身地及び学力は勿論でございますが
それだけでは勤まりません
彼の性格や人となりも重要でございました
彼の性格は一言で申しますと
少し残念・・でございます
勿論、道明寺に入社出来る程の優秀さはございました
ですが少し残念なのでございます
何が?とお思いだと思います
司様の秘書たる者
完璧であるべきだとお思いだともお思います
ですがそれは違います
完璧である必要はござません
それに完璧な人間など存在いたしません
その点、彼は完璧からは程遠い場所にいます
それが良かったのです
彼は完璧でないが故に努力を惜しみません
そして完璧でないが故にわたくしのように
アンドロイドだなどと揶揄される事もなく
失敗しながらも考え
その失敗を糧に前に進める力がございました
そして何よりあの司様に物怖じしない人間力がございます
わたくしが一番重要視したのが
この人間力でございます
牧野様もお持ちになられていた
この生きる力とも言うべき力が
司様には必要だと思ったからでございます
ともすれば近寄り難く冷たい印象を他者に与える司様のお側に
彼が仕えていることによって司様ご本人だけではなく
周囲にも良い影響を与えると考え
彼を秘書として育てました
彼はわたくしの期待に十分に応えられていると思っております
実際、良くやっていると思います
ですが今のこの状況は些か
彼には重荷なのではないか
朝から楓様とテレビでの報道を見て心配になっておりましたところ
楓様より
“貴方が行ってお手伝いしてくださらない”
と言っていただきましたので
お言葉に甘えさせていただき
老婆心ながら馳せ参じた次第にございます
さて、なにからお手伝いいたしましょうか

応援ありがとうございます。