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銀杏落葉

こんにちは~😊
本日は観察日記から桜子ちゃん編『銀杏落葉』です。
わたくし・・金曜日にワクチンの3回目を接種しまだ少し死んでおります・・💦
副反応・・今回が一番キツイかも?😢
なので『暁』が間に合いませんでした。
楽しみにしてくださった方はごめんなさい。m(__)m
それではどうぞ~❤







私信です。
☆様
こんにちは~❤
コメントありがとうございます。(^^♪
う~ん・・そこまでは考えてなかったです・・💦


















都内にありながら広大な敷地を誇る英徳学園には

周辺の喧騒なんか関係なく穏やかで優雅な時間が流れている



今の

私はここが好きだ


以前は大嫌いだった


人間の負の感情の見本市みたいな場所


だけど私がここに戻ってきたのはあの人がいたから


幼い私の恋心をズタズタに傷つけた

大好きなあの人がいたから






今思えば私はどうしたかったのだろうか?


お金で解決出来ない物なんて無い


家柄だって完璧


ポッと出の成金なんか目じゃない



コンプレックスだった容姿だって

整形という手段で克服して完璧だったはず



だけど大好きなあの人が私に投げかけた言葉は

あの時と同じ物だった


愛情の裏返しの憎しみだけが私の中に渦巻いていて

傷つけることでしか自分を慰める事が出来なかった



克服したはずのコンプレックスがまた新たなコンプレックスを生む

そんな悪循環の中で彼女だけが私に嘘をつかなかった



欺瞞だらけのこの学園の中で彼女だけが私を許してくれた


この世界で誰に嫌われても構わない周りはみんな敵


そんな風に思っていた私を許してくれた人


そんな彼女が黄色い絨毯のような落葉に敷き詰められた銀杏並木の中を歩いてくる



彼女はまだ私の存在に気が付いていない



いつもは忙しそうに速歩きで忙しなく歩いている彼女なのに

今日は敷き詰められた落葉の感触を楽しむようにゆっくりと足元を見ながら歩いている



早く私に気付いて下さいな、先輩




そんな念を送っているにも関わらず彼女は時折、木の下にしゃがみ込み

黄色い絨毯の中から葉っぱを拾い上げている


手にした葉っぱを陽の光に翳しにっこりと微笑んだ彼女は

そのまま頭上の木を見上げ

今まさに風に舞い散りそうな黄色い葉っぱを掴もうと手を伸ばす



ひらひらと舞う黄色い葉っぱ


手を伸ばし


あと少しの所で彼女の20センチ上から長い腕を伸ばし

先に取ってしまったのは私の最大のライバル



私のこの歪んだ性格の元凶であり

嘗ての想い人であり私と彼女を邪魔する諸悪の根源



いつも見ていたのは冷たい目と不機嫌そうな表情


それさえも私を惹きつけていたこの学園の暴君



今なら分かるの



彼のその冷たい目に


常に不機嫌そうなその表情に


隠されていた彼の本当の思いが・・


だけど


あの頃の私には分からなかった



彼の苛立ちも


彼の寂しさも


本当の彼が何を求めていたのかも・・


ただ


彼を取り巻く物ばかりに気を取られ

彼が吐く言葉に傷つき


大切な物に気がついていなかった


傷つけられたのなら


傷つけ返せばいい


それだけ


なんて


短絡的な思考だったのだろう


それに気付かせてくれたのが彼女



それにしてもあの二人



最近、一緒に暮らし始め

四六時中一緒に居るのにも関わらず学園内でも・・


お陰で私が先輩不足でいい迷惑ですわ!



銀杏の木の下でいちゃつく二人


腰を抱き寄せ


顔を寄せ


笑いあう二人


いつもならベタベタする彼に

寄るな触るな大騒ぎのクセに


二人っきりの時はそんな顔して笑うんですね


誰にも見られていないと思って

油断しているんでしょうけど


しっかり見てますから!



背の高い彼が少し腰を折り

顔を傾けながら近づくとゆっくりと重なった影と影


スマホを取り出しカメラをオン



風に舞う黄色い葉っぱが

カーテンのように二人を覆い隠す


その向こう


見つめ合う二人をパシャリ


グループラインを呼び出し




送信っと



先輩不足解消を諦めて歩き出した私の足元を一陣の風が吹き抜ける




銀杏落葉




風に舞ったのは・・




















~ Fin ~












『銀杏落葉』 初冬の季語

応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

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