二度目の恋の話をしよう 55
本日は『二度目』です!
それではどうぞ~❤
私信です。
☆様
こんばんは~(^▽^)/
コメントありがとうございます。🎵
ハイ!相手にはなりません!(笑)
報告書によると
赤ん坊の母親は高級エスコートクラブの従業員で
司が呼んだ事のある女だった
って事は・・
父親って可能性に一歩近付いた
顔面の神経がバグってる司の事は一先ず置いといて
説明すると・・
司はその高級エスコートクラブの常連だった
らしい・・
千人斬りを目指していた総二郎と
人妻相手の不倫が純愛だとかほざいていた俺が
言えた義理じゃねぇーが・・
この歳になっての盛りっぷりにはちょっと引いている・・
俺達よりはるかにハードスケジュールなはずの司
どこにそんな時間とバイタリティーがあったんだ?
単純に元気だなぁ
とか思ってしまう・・
まぁ、それはさて置き
女は一年ほど前にエスコートクラブを辞めていた
恐らく妊娠が分かって辞めたのだろうが
当時、住んでいたマンションはとっくに引き払われていて
現在の住まいは不明
そして女の所在も不明
だが分かった事もある
女が出産した産婦人科が判明し
そこのカルテには引っ越した先の住所が書かれていたが
そこも既に引っ越した後で
それ以降の手掛かりは無し
赤ん坊の出生届けはちゃんと出されている
それによると赤ん坊の父親の欄は空白のままで
名前は洋服のタグに書かれていた通り麻衣で生後まだ五ヶ月
分かった事は多いがこれだけで司が父親かどうか判断は出来ない
奴の針の筵状態はまだ暫く続きそうだった
防犯カメラの映像からこれだけの情報を
短時間で調べだした道明寺の警備部門には感心してしまうけれど
ムカつきは治まらない
どころかますます大きくなっている
呆れとムカつき
そして今回はそこにほんの少しだけ
彼に対する嫌悪感も混ざり始めている
浮気に関しては今まで分かっていて
何も言わず許してきた事実があるから
今さらなんだけどね・・
私は彼を甘やかしすぎた事を反省している
道明寺司って個人と結婚したはずだったのに
いつの間にか道明寺家の嫁という立場にばかり気を取られるようになり
彼を蔑ろにしていた自覚があったから
色んな事を飲み込んできた何十年だったけれど
ここにきて感じている嫌悪感は
私を落ち込ませる
赤ちゃんのお母さんについては
報告書である程度分かったけれど
本人の所在は不明のままだし
DNA検査の結果もまだ
それが判明するまでは動けない
報告書を読んだ後はみんな呆れながらも
とりあえず解散し私は赤ちゃんの夜泣きを理由に
今夜は寝室を別にした
別の部屋で赤ちゃんと寝ると告げた時
彼は赤ちゃんはメイドさんに任せろと怒り
部屋の前まで追い掛けて来たけれど
私はそんな彼を無視して彼の鼻先でドアを閉めカギを掛けた
ため息をつきながらスヤスヤと眠る赤ちゃんの隣に横になる
今夜は眠れそうに無い
はぁ〜〜
こぼれ落ちたのは大きなため息
まだ早朝
メイドさん達もまだだから
屋敷の中は静寂に包まれている
静かな時間
昼間はいい子だった赤ちゃんも
夜になると流石に何かを感じ取っているようで
泣いては少し寝てを繰り返していた
抱いてあやしながら部屋の中をウロウロ
やっと寝てくれたと思ってベッドへと寝かせても
すぐに気が付きまた泣くの繰り返しで
朝を迎えてしまった
空が白み始めたから空気が変わればと思い
赤ちゃんを抱いたままサロンへと来た
ゆっくりと明るくなってくる窓の外
サロンから見える庭には昨夜遅くから降り出した雪が
薄っすらと積もっていて
庭を白く染めていた
まだチラチラと舞う雪を不思議そうな顔で見ていた赤ちゃんだったけれど
流石に眠いのかまたウトウトとし始めた
背中をトントンと叩きながら
気長に眠るのを待つ
やがて私の胸元に顔を埋めるようにして
眠ってしまった赤ちゃん
はぁ〜〜
やっと寝てくれた
だけどベッドに寝かせたらまたって考えて抱っこしたまま
サロンのソファーに腰をおろした
こんなに可愛い子をって考えてしまう
平気で捨てたんじゃない
お母さんにも事情があったんだって
思う自分と
どんな事情があろうとも
って思う自分もいる
なんとかなる!って考えてしまうのは
今の私は恵まれた環境にいるから
お母さんの立場になれば・・
なんて
そこまで考えて止めた
あれこれ想像で考えたところで
どんな結論も納得なんて出来ない
それに私も限界・・
ソファーに腰をおろした辺りから
急に睡魔が襲ってきていて
赤ちゃんを落とさないように抱き直し
少しだけのつもりで目を閉じた
ガタッ
小さな音がして目が覚めた
ほんのちょっとのつもりで目を閉じて
思いのほか眠ってしまっていたようで
まだぼんやりとする頭のまま
慌てて胸に抱いていたはずの赤ちゃんを確認すると・・
いない・・!!
そして私の身体にはブランケットが掛けられていて
目の前のソファーには赤ちゃんを抱いてミルクを飲ませているお義母様
びっくりして飛び起きるとお義母様から一言・・
”孫が増えたって聞いたのでどんな子なのか見に来たのよ”
朝から強烈な一言になんて返せばいいのか分からなくて
思わずお義母様の顔を見て黙ってしまった
「そんな顔するのおやめなさい」
「ご心配をおかけしてもうしわけありません」
「あなたが謝ることじゃないでしょ」
「はい・・ですが・・」
「それで司はあなたに謝ったのかしら?」
「・・いえ・・まだ彼の子供だと決まったわけじゃないので」
「そう、それでもしこの子が司の子供だったらあなたはどうするつもり?」
どうするつもり・・なんて聞かれて
なにも答えられなかった
まだ答えは用意していない・・
「まだ決めておりませんが・・」
「そう、なら離婚なさい」
「・・・・・」
お義母様の言葉に驚いて何も返せない
「わたくしの言葉が聞こえなかったのかしら?」
「・・えっ!?いえ!聞こえてます・・でも・・」
「でも?なんです?」
「だって今、離婚しなさいって・・」
「えぇ、言いました」
「・・やっぱり・・妻失格ですよね・・お義母様がお怒りなのはよく分かります」
「違います。わたくしはあなたの為に言っているのです。
浮気だけならまだしも子供までなんていくらなんでも司は貴方を蔑ろにしすぎです。
もしわたくしが貴方の立場ならとっくの昔に別れています」
思いの外強い口調のお義母様に驚いている
今まで何度かお義母様から離婚という言葉は聞いていたけれど
そのどれもが彼に対しての呆れの延長上のような物で
お義母様にしても決して本気でおっしゃっていたわけじゃない
だけど今回は本気だ
お義母様は本気で彼に腹を立てていらっしゃる
だから私も本心を話す
「今回は少し本気で離婚が頭をよぎりました」
「よぎっただけなのかしら?」
「いえ、色々と考えました。もし本当に離婚した場合の事を」
「そう、それで色々と何を考えたのかしら?」
「もし私が彼に離婚を迫った場合の周囲に波及する影響などです・・
もしそうなった場合、優だけじゃなくて美作さんや西門さん達にも迷惑をかけるのが目に見えていますし・・」
「それが貴方が離婚をしない理由なのかしら?
あの人達に迷惑なんて今さらでしょ?
貴方と司は十代の頃からあの人達に迷惑しか掛けてないじゃないのかしら?」
確かに・・
「おっしゃる通りですが・・今はみんな立場も違いますし
何より彼の持っている権力が・・それに彼が素直に離婚に応じてくれる気がしません・・
揉めている内に寿命が尽きそうで・・それに何より今はこの子の事を最優先させたいので一旦、考えるのを保留しています」
「そう、グダグダと悩むのは貴方の専売特許ですから気が済むまで悩みなさい。
貴方が決めたのならわたくしはそれを支持しますから。
わたくしが居ることを忘れないように」
「分かりました。
ありがとうございます」
お義母様との会話はそこまで
お義母様にミルクを飲ませてもらった赤ちゃんはやっと落ち着いたのか
お義母様の腕から私の腕に戻ってすぐにウトウトし始めた
やっと落ち着いて眠ってくれた
これならベッドに寝かせてもしばらくは大丈夫かも
そう考えて赤ちゃんをそ~っとベッドへと寝かせてみた
うん!
大丈夫!
夕べはベッドに寝かせた途端にぐずり始めたのに
流石に疲れたんだろう
今はぐっすり
このタイミングで彼を起こしに行くと
彼は既に起きていた
というより
彼も昨夜は眠れなかったみたいで
機嫌が悪い
そして私は気がついたの
私
今
彼に
すっごくムカついている
今までの私なら機嫌の悪い彼に対してなるべく波風立てないように
秘書さん達に迷惑が掛からないように下手に出て
彼の機嫌を取っていただろう
だけどね
今朝はそんな気が全く起きなくて
淡々と彼を送り出す準備をしていただけだった

応援ありがとうございます。