怜 4 -残響-
本日も『怜』です。
それではどうぞ~❤
私信です。
☆様
こんばんは~❤
コメントありがとうございます。(^▽^)/
ハイ!その方です!
・・が!一筋縄ではいかないんです・・💦
大人の女性が一人
普段通りに行動していたにも関わらず
その行動の痕跡が何も出てこないはずがない
あの当時であっても駅や街中には防犯カメラは設置されていた
それらの全てを避けて行動する事など不可能だし
それをする必要は無い
それなのに東京での先輩の足取りが全く掴めなかった
唯一残っていたのは最寄り駅から新幹線の駅までと
東京行きの新幹線に乗り込む姿だけ
探しても探しても
それ以上の情報が得られない
その不自然さで
わたくしは先輩の身に何か突発的な事態が起こったと確信した
わたくしはこの失踪には
滋さんが関わっていると確信した
そしてこの失踪に道明寺さんは関わっていない
もし道明寺さんも関わっているならば
最寄り駅や新幹線に乗り込む場面の映像を
見逃すはずが無いから
あの人の後ろにいつも控えている
あの有能な秘書さんがそんなミスをするはずはない
そう思ったから
東京での先輩の動きが出てこないことに
意図的で
誰かの意志で
東京での先輩の行動が隠されている
そうでなければ先輩の動きが出てこないことの説明が付かない
そしてそれが出来るのは・・
その力を持っている人間
先輩を呼び出した人間
自ずと選択肢は限られてくる
そして一番重要な部分・・
恐らく滋さんは暖人の事を知っている
道明寺さんは知らなかったはず・・
もしも道明寺さんが暖人の事を知っていたとしたら
何としてでも滋さんとは別れ
先輩とやり直そうとしただろう
先輩は道明寺さんと別れた後、それまで使っていたスマホは解約し
番号も新しくなっている
そしてその番号は優紀さんとわたくししか知らなかったはず
それなのに滋さんはダイレクトに先輩に連絡をしてきていた
滋さんなら先輩の新しい番号を調べるなんて簡単な事
そして調べるとしたらスマホの番号だけでは無く
先輩の現状も調べているはず
この時点でのわたくしは
まだ先輩は生きていると思っていた・・
優紀さんの元に留まること一週間
「探しても探しても手掛かりさえ見つからない状況に
わたくしと優紀さんはある決断をしたの」
「それは暖人さんの事ですか?」
「えぇ、でも暖人だけでは無くて
わたくしが帰国して優紀さんに接触している痕跡と
優紀さんの事も隠すことにしたの」
人を消すなんて簡単なようで簡単では無い
「痕跡を消すだけじゃダメだったから
かなり骨の折れる作業だったけれど
なんとか暖人と優紀さんを別人に変える事が出来たの」
「どうして伯母の友人まで別人に変える必要があったのですか?」
「優紀さんの安全の為よ。
滋さんが暖人の存在を知っていると仮定して
先輩の行方が分からない以上、滋さんの行動が予測出来なかったからよ」
「それで伯母の友人は名前を変えてどうなったのですか?」
「優紀さんも一緒にドイツに渡ったの」
優紀さんと何度も話し合った
簡単に答えの出ることじゃない
だけど時間は無かった
決断するしかなかった
こうして優紀さんは名前を変え
それまでの生活も人間関係もなにもかも
全てを捨て別人としてドイツへと渡った
そしてまだ2歳にもなっていなかった幼い暖人も
母親の顔さえ記憶に留める時間も無いままに
名前を変え出自を隠し日本を離れた
ドイツからも先輩の行方は探していた
ドイツと日本
その距離と時差にもどかしさを感じながらも
根気強く先輩を探していたけれど
時間と共に情報は少なくなり
3年が過ぎた頃には新しい情報は全く入らなくなってしまった
時間経過と共に募る焦燥感と
諦めにも似た絶望感を感じていた
だけど諦めたわけじゃなかった
諦めるわけにはいかなかった
生きていてほしいと願いながらも
正反対の結末も予想していた
「でもね悲しいことばかりではなかったのよ。
わたくしと優紀さんは日々成長していく暖人に癒やされて
なんとしてもこの子だけはと思って
過ごしていたの」
「伯母の友人だった優紀さんはいつお亡くなりなられたんですか?」
「暖人が高校生になる直前だったわ・・」
「事故だったんですよね?」
「えぇ、ドレスデンまで買い物に出かけた帰りにね・・」
「暖人さんはショックだったでしょうね?」
「えぇ、本当の親子のような間柄だったから・・
事故の後は暫く塞ぎ込んでいたわ・・」
「その暖人さんってどんな子供だったんですか?」
「そうね・・いたって普通の子だったわね。
どこにでもいる普通の男の子・・
明るくて優しくて・・他の子と同じように
反抗期だってあったのよ」
「お二人に大切に育てられた暖人さんが
どうしてあんな行動に出てしまったのでしょうか?」
「そうね・・知りたくなったんだと思うの・・自分のアイデンティティーをね・・
自分が何者でどこから来たのか・・人間の基本的な部分が知りたくなったんだと思うの・・
そして・・貴方と同じように・知りたかったんだと思うの・・
真実を・・」

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