怜 5 -残響-
なかなか進みませんが・・💦
本日も『怜』です。
それではどうぞ~❤
私信です。
☆様
こんばんは~(^▽^)/
コメントありがとうございます。❤
はい・・優紀ちゃんにも不幸が・・😢
司君は影が薄いままですがショックとかではなく
彼は全てに無関心を貫くことで彼自身の心の平衡感覚を維持していたんだと思っております。
それは復讐というには
あまりにも残酷で
あまりにも哀しい
出来事だった
その出来事が起こったのは今から25年前
日本だけではなく
世界中に衝撃を与えた
その出来事は
当時、高校生だった私の進路にも大きな影響を与えた
あの出来事・・
出来事と表現するのは適切ではないかもしれない
だけど私は敢えて事件ではなく出来事と表現している
その理由は私にとっても私の父にとっても
あの事件は単なる殺人事件ではなくそれ以上の
もっとなにか深い
単純に言葉では言い表わせない物があるから・・
私が知っているあの出来事の概要は
当時のテレビや週刊誌で報道されていた物だけで
社会人となりジャーナリストとして活動を始めてから読んだ
公判記録と当時あの出来事を取材していた先輩記者から聞いた話しぐらい
それで分かった事は沢山あったけれど
私はどうしても当事者達から直接話しを聞きたかった
だけど
道明寺さんに何度も取材を申し込んでも断られ続けていて
父でさえも多くを語りたがらなかった
そんな背景があり
私はより深く
知りたいと思った
真実は明白だと思っていた
これ以上の真実など無いと思っていた
だけど
ここまで来て
三条さんの話しを聞いて
私が知っていたのは事実であって
真実じゃない
真実は
もっと
残酷で
もっと
哀しい
今から25年前
単なる女子高生だった私の身に突然降りかかった災難とも呼べる出来事
当時の私の中には突然、降りかかった災難に抱いていた感情は怒り
突然現れた見ず知らずの他人とも言える伯母と従兄弟の死によって
私自身の生活も変化し家族も変化した
連日のように家の前に群がるマスコミに外出することも出来ず
学校へも行けなくなってしまった
父は連日、警察署に呼ばれ事情聴取をされていて
当然、仕事どころではない
母もパートに出られず
近くに住んでいた祖父と祖母も同じような状況
私達が何かをしたわけじゃない
被害者の立場なのに
過去を掘り返し
面白おかしく想像だけで物語を組み立てるように
報道するマスコミに対して
好奇の視線を向けてくる世間の目
私を取り巻く全ての物に対し怒りを覚えていた
そんな私の怒りを真実が知りたいと思う原動力に変えてのは
父の一言
何気なく発した父の一言が私の未来を大きく変える事になった
その日も父は朝から警察署に呼ばれていて
日が暮れた頃に二つの小さな骨壺を大切そうに胸に抱いて帰宅した
狭い我が家
小さな部屋の片隅で父は
持ち帰った小さな骨壺を抱きしめたまま肩を震わせてながら
”嘘ばっかりだ”
小さな声で・・
でもはっきりとした声で
そう呟いた父の声は今でも耳に残っている
三条さんの言葉が突き刺さる
”知りたかったのよ・・自分のアイデンティティーを・・”
その言葉が全てなのだと思った
知りたいと思った
彼もまた
私と同じように
真実が知りたかったのだ
その結果があの出来事で
彼は最後の最後に知ることが出来たのだろうか?
「あの子が日本に行くと言った時は本当に驚いたのよ」
「どうして反対されなかったんですか?
彼が当時使っていた”怜”という名前や戸籍などを偽造したのは貴方ですよね?」
「もちろん反対はしたのよ・・だけどねあの子の決意が固くて止めきれなかったのよ・・
だから出来る限りのことをしたの」
当時、彼は倉橋怜と名乗り
怜という名前を使いモデルをしていた
「貴方は当時、彼が日本で何をしていたのか
どれぐらいご存知だったのですか?」
「大学に在学中にスカウトされてモデルを始めたと連絡があった時は本当に驚いたわ。
そしてすぐに帰国してあの子には危険だから目立つような行動は慎むように言ったのよ」
「でも彼は聞き入れなかったんですね?」
「えぇ、何を言ってもあの子は聞き入れてはくれなかったわ・・」

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