怜 8 -残響-
予約投稿です。🎵
少し短いですが・・💦
それではどうぞ~❤
「では、貴方は何に絶望されたのですか?」
「何も・・絶望などしていないわ・・
先輩の事を考えたら絶望なんてそんな生易しい言葉ではいい表せないもの・・」
彼女の言う通りだと思った
私の今の質問は浅はかだ
ようやく歩き始めたばかりの可愛い盛りの我が子を置いて
逝かなければならなかった伯母の気持ちを考えると
到底、絶望などという言葉では言い表わせない
「申し訳ありません。
今の私の質問は浅はかでした。
ご気分を害されましたよね・・」
「いいえ、大丈夫よ。
貴方は本当に先輩にそっくりね」
そう言って私の目を見て微笑んだ三条さん
三条さんは今、私を通して伯母に語りかけているように思えた
豪華絢爛な婚約パーティー
当時、そのパーティーには
私が新人だった頃に指導してくれた先輩記事が出席していて
その時の事を詳しく話してくれていた
出席者の顔ぶれは多岐に渡っていて
政治家や実業家だけでなく芸能人も数多く出席していたらしい
そんな華やかな宴の最後
挨拶の為に壇上に上がったのは
婚約した若い二人と道明寺夫妻
そのタイミングで壁に掛けられていたスクリーンに映し出されたのは
隠し撮りされたようなアングルの映像だった
何処かのホテルの一室らしいその光景の中
登場したのは怜と婚約者の母親である滋さんの姿
二人は共にバスローブ姿で
ベッドに並んで腰を掛け
手にはワイングラスを持っていた
ワインに口をつけ
怜に甘えるようにしなだれかかる滋さん
それに応えるように
彼女を抱き寄せキスをした怜
ベッドへと倒れ込んだ二人
そこで映像は切り替わり
続けざまに流れてきたのは
先程と同じ部屋でバスローブ姿で食事をする
怜と滋さんの姿
映像には音声も入っていて
話していたのは主に滋さんの方で
彼女はしきりに怜に自身の現状を嘆いていた
先輩記者は嘆いていたと表現したが
実際は道明寺氏に対する不満ばかりで
やがて滋さんは立ち上がると怜の前でバスローブを脱ぎ捨て
見せつけるように裸体を晒すと娘に対する対抗心を口にした
その映像を目の当たりにした先輩記者は
狂っていると感じたと言っていた
記者なんて職業を長年続けてきて
醜悪な人間は多々見てきたが
その自分が狂っていると感じてしまうほどだったと言っていた
突然の状況に先輩記者も
事態がよく呑み込めず
その場にいた他の人間も同じような反応で
見てはいけない
見たくない
本能に近い場所からの警告にも似た感情が湧き上がってきたが
目が離せなかったと話していた
息を呑む状況の中
一番最初に動いたのが
映像で裸体を晒したその人で
突然、狂ったような声を上げ
映像を止めるよう叫んだ
そんな中
突然
笑い声を上げた怜
その光景に先輩記者は怜もおかしくなってしまったんだと感じていた
だけど
違った

応援ありがとうございます。