怜 12 -残響-
本日も『怜』です。
少しバタバタしていて時間が取れません・・
頂いているコメントのお返事は後日させていただきます。
ごめんなさい。m(__)m
それではどうぞ~❤
私信です。
☆様
こんばんは~🌙
コメントありがとうございます。❤
返事が遅くなってごめんなさい。m(__)m
そうなんです・・暖人君が・・😢
「その後、三条さんはどうされたのですか?」
「近くのホテルに滞在しながら毎日、病院に通っていたわ」
病院に一番近いホテルに滞在し
毎日、暖人の元へと通っていた
そして三日目
それまで規則正しく波形を刻んでいた
電子機器が突然、大きく乱れ
耳障りな警告音が大音量で鳴り響いた
医師や看護師がなだれ込んできて
暖人を取り囲む
騒然とする集中治療室
全てが夢を見ているようで
看護師さんに外へと出され
大きなガラス窓越しにあの子の名前を必死で呼びかけていた
どれくらいの時間だったのだろうか
祈るような時間
やがて波形は消え
医師が時計を見た
静寂の中に響くのは機械音だけ
やがてその機械音も消え
耳を塞ぎたくなるほどの絶叫がわたくしの体内を駆け抜けた
絶望の果てに残った物は何も無い
何をするわけでもなく
ただただまだ温もりの残る手を摩り
幼いころ
眠る前
そうしたように
暖人の額にキスをして
病院を出た
その後の記憶は曖昧で気付いた時にはわたくしはホテルの部屋に居た
窓の外
綺麗に整えられた庭の方へと視線を向けながら
遠いあの日の事を話してくれた三条さん
きっと今まで誰にも話した事はなかっただろう
それを話してくれた三条さんに感謝している
きっと話したくなかっただろう
きっと思い出したくなかっただろう
きっとあの時の慟哭は今も彼女の胸の中で
姿形を変えることなく
残ったままだろう
「お辛い事を思い出させてしまって申し訳ありません」
「いいえ、いいのよ・・
わたくしには貴方に伝える責任があると思うから・・」
「責任ですか?」
「えぇ、責任よ・・
もう誰も残っていないわ・・
わたくしが最後の一人・・
だからね貴方には暖人の事を覚えておいて欲しいの。
あの子が何を考えどう生きたのか覚えておいて欲しいの」
そう言って微笑んだ三条さん
あの出来事は私の人生にも大きな影響を与えた
話した事も無い相手なのに
今は彼をとても身近に感じている
そう
まるで
今もその窓際に置かれているカウチに彼が座って
私と話す三条さんを見守っているかのよう
「三条さんは許されたのですか?
道明寺家の人達を許すことが出来たのですか?」
「それは・・難しい質問ね・・
そもそもが許すとか許さないとかじゃないのよ・・」
そう答えながら三条さんは少し困った表情を浮かべていた
「三条さんは恨んではいないということなのですか?」
「そうね・・恨みとは少し違うわね・・」
あの直後、わたくしが感じていたのは
絶望と後悔だけで恨む気持ちは無かった
全く無かったわけじゃないけれど
それよりも後悔の方が大きかった
そして暖人を失った喪失感
ただひたすらどこで間違えてしまったのだろうか?
あの時
ああすれば良かったのかもしれない
いや
こうすれば良かったのかもしれない
と
取り返しのつかない時間に思いを馳せていた
それと同時に
もうあの子はいない
喪失感がわたくしの心に重くのしかかり
身動きが取れなくなっていた
不思議な事に滋さんに対する
恨みは無かった
滋さんだけじゃなくて
道明寺さんに対しても同じで
暖人を刺した真愛さんに関しては
彼女が今まで置かれていた境遇に対して
哀れみの気持ちさえ抱いていたほど
わたくしは道明寺さんをよく知っている
そして滋さんの事も
だからこそ真愛さんには哀れみを感じていた

応援ありがとうございます。