130億とちょっとの女 20 -30億の女-
遅くなりました。<(_ _)>
本日も『130億とちょっとの女』です❣(^^♪
それではどうぞ~❤
順調だったはずの会見が
ある質問をきっかけに雲行きが怪しくなり始めた
記者にしてみれば悪気などなかっただろうし
特段、引っ掛かるような質問でもなかった
自慢じゃないが俺達はモテる
ずっとモテてきた
顔やスタイルが良いってだけのそこら辺の奴とは違って
生まれ持ったバックボーンが違う
その中でも司はダントツ
家柄にしても資産額にしても桁が違う
そんなあいつだから昔から
女なんて寝ていても集まってくる
蜜に群がる昆虫のように群がってくるが
司はそんな女達に対して
人間性の欠片さえ持ち合わせていない男だから
奴にとって女にモテるなんて
迷惑以外の何物でも無いし
実際、奴の言葉通り
司にとって同族?の女はこの世にたった一人
牧野だけ
後は・・
道端の石ころと同じ
石ころと女神と形容して憚らない自分の女を比べるような質問をされたら
男なら誰だって怒るだろ?
まさにそんな感じ
司の事を知っていれば納得も出来る反応だけど
知らない奴にとってはそれが司の地雷だって事は分からなくて
ただの褒め言葉ぐらいにしか思わないだろう
それに司の辞書には謙遜なんて言葉は載っていない
普通の奴の反応ならこんな時は
“いやいや、そんなことは・・”
ととりあえずは謙遜の態度を示すところだろうけれど
司は違う
ある意味、ストレートに反応してしまう
その結果が・・
俺様モード全開の答えになってしまう
今どき、企業のトップが
女性蔑視だと取られかねない受け答えはしない
それなのに・・
牧野もその辺の心配をしたから
司の口を塞ぐなんて実力行使に出たのだろうが
司の発言はある意味
清々しさを感じさせるほどの
一途な牧野に対する想いが詰まっていて
司らしいちゃらしいけど・・
画面の中の牧野はそれどころじゃないようだった
女として生まれてってだけじゃなくて
人間として生まれて
こんなにも誰かに愛されて
必要とされるなんて
きっと
奇跡的なことなんだと思う
地位だとか肩書きだとか
見た目だとか資産だとか
それぞれ大切だし
あるに越したことはないけれど
一番じゃない
優先順位は人それぞれだろうけれど
少なくとも
あたしにとっての一番は
人間性
えっ?
人間性って?
思った?
確かにね
他人から見れば
道明寺の人間性なんて・・
さっきの発言で分かったと思うけど
非常識が服着て歩いているようなものだけど
あたしにとってはこれほど信頼出来る人はいない
道明寺はあたしには嘘はつかない
誤魔化したりもしない
その行動は非常識だったりもするけれど
あたしは今まで道明寺の気持ちを疑った事は無い
そうなのよ・・
あたし
気持ちを疑った事は無いの
婚約解消を申し出たのも
そこが理由じゃなくて
グルグルしたあたしが逃げただけ
はぁ〜〜
あたしってやっぱりポンコツだったんだ
こんなにも簡単な答えに辿り着くまでに五年も掛かった
あたしなんかのどこが良いのか分からないんだけど
出会ってからずっとことあるごとに
あたしを女神だと形容して憚らない男なんて
きっと宇宙中探しても道明寺ぐらいだと思う
今の言動だって道明寺の事を良く知らない人が聞いたら
とんでもない女性蔑視発言だけど
彼の事を良く知っているあたし達にしてみればいつもの事
ある意味
安定の道明寺
そんな彼の変わらない気持ちに触れて
やっとあたしの心は決まった
んだけどね
とりあえず今の状況もなんとかしないと
このままじゃ大変な事になる
あたしが道明寺の口を塞いだタイミングで
西田さんが軌道修正しようとしているけれど
道明寺はそんな西田さんに対して
黙れと言うように鋭い視線を投げかけると
「さっき言った通りだ!訂正も謝罪も必要ねぇ!
俺にとっては女は未来永劫お前だけだ!」
と言い放った
「だとしてもそれをここで言う必要ないでしょ!?」
「やっと認めんだな?」
「ん?なにを?」
「お前は俺のもんだって事をだ!」
この流れでどうしてそうなるのか分からないんだけど・・
相変わらずの物扱いにはカチンとくる
「あたしを物扱いしないでってずっと言ってるでしょ!?
あたしはあたしなの!誰かの所有物じゃないの!」
「いいや!お前は俺のもんだ!
で、俺はお前のもんだ!俺の全てはお前だけの物だ!分かったか?!バカ女!
こんなにも一途で健気な俺様をセフレ扱いしやがって!きっちり反省しやがれ!」
どこまでも俺様な道明寺の発言に呆れる
呆れるんだけど
今は記者会見の真っ最中
ヒートアップしていく一方の彼を落ち着かせる為に
声のトーンを落とし反論する
「セフレ扱いなんてしてないでしょ?
誤解するような言い方しないで!」
「世界中の誰になんて思われようと関係ねぇんだよ!
俺はお前が側にいてくれるだけで世界一幸せなんだからお前は黙って俺の側にいろ!」
「///////////バ、バッカじゃないの?」
「おぉ!バカで上等だ!」
そう言った道明寺の腕が伸びてきて
あたしの後頭部をガッチリと押さえ込んだと思ったら
斜め45°に傾けられた道明寺の顔が近付いてきて
あたしの唇を塞いだ
五年ぶりのキス
隣の類も向かい側の総二郎も腹を抱えて笑ってやがるし
牧野にキスをした司を見て滋はキャッと小さく悲鳴を上げ
顔を手で覆っているが指の隙間からしっかりと見ているし
流石の桜子も少しだけ顔が赤い
テレビの中ではまだ記者会見が続いている
ハッキリ言ってめちゃくちゃな記者会見だ
世界的な大企業の御曹司だとは思えない発言の数々と
脈略の無いキス
軌道修正しようとしていた西田ももう諦めたのか?
口を挟まずで
暴走する司を牧野がなんとか止めようともがいているが
そもそもが司は周囲の状況など気にしていないのだから効果無し
やがて牧野との五年ぶりのキスに満足したのか?
それともキスだけでは収まりが付かなくなったのか?
恐らく後者だろうけれど
画面の中の司は尊大な態度で記者席を見回すと一言
「このあとハワイで挙式の予定が入っている。
会見はここまでだ」
と一方的に告げると
何も聞いていなくて驚きを顔面に貼り付けたままの牧野を
抱き上げ会見場から出て行ってしまった

応援ありがとうございます。