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彼女が結婚しない理由 3

こんばんは~😊
本日は『彼女が結婚しない理由3』です。🎵
いつも通りどってことない内容ですが楽しんで頂ければ幸いです。

シャレにならない暑い毎日が続いておりますが
皆さん体調には気を付けてお盆休みを楽しんでくださいね❤

それではどうぞ~(^▽^)/





私信です。
☆様
こんばんは~🌙🌃
コメントありがとうございます。❤
返事が遅くなってごめんなさい。m(__)m
はい!このお話しのつくしちゃんは歳を重ねて
少しだけ素直になってます。😊
























のどかな北陸の営業所に二人目の王子様が降臨なされた



ただしこちらの王子様は以前の王子様とは違って

少し控え目でいきなりなんの前触れもなく突然現れたりはしなかった



社会人らしく事前にアポを取り

営業所を朝からパニックに陥れている



東京から大企業の御曹司のご来訪に

朝から横断幕が準備されそうなほどの勢いで

あたしは密かにため息




就業時間が終わる一時間程前に

一応、ビジネスモードで手土産だと

東京で最近人気のお菓子を持ち

颯爽と営業所に現れた美作さんは



所長との会話もそこそこにあたしを連れ出した



連れて来られたのは

市内から少し離れた温泉街にある老舗の高級旅館



客室は全て離れになっていて


どうやら彼は今日ここに泊まる予定らしい



“自分が泊まる部屋にあたしを連れ込んで何が目的?”



と訝しがるあたしに対して彼は




“今さらお前に対して下心なんて持つかよ!
ただ静かな場所でゆっくりと話しがしたかっただけだ!”




と言った彼は言葉通り


すぐに彼は浴衣に着替えて


部屋に付いている露天風呂へと行ってしまったから


あたしも浴衣に着替える


え?


って思ってる?


さっき下心がどうとか言ってたじゃない?


って思ってると思うんだけど



あたしにとって美作さんってちょっと特別なのよね


どう特別なわけ?


所詮は男と女でしょ?


って思った?


う〜ん・・説明は難しいんだけど



今のあたしと美作さんの関係って所謂、兄妹みたいな関係性で


彼もあたしもその境界線を超える事は絶対に無いのよね


気軽に軽口が叩けるし


気兼ねだってしない


そんな関係性になったのには理由がある



道明寺が結婚した当時


あたしは本当に生きて行くのが大変な時期があった



あの頃は自分の予想以上にダメージが大きくて


心と身体がバラバラで・・


なんとか仕事に行っていたけれど


私生活はボロボロだった




だけどねあの頃のあたしは


とっくに限界を突破してしまっている自分の現状を認められなくて



自分の異常性を認識出来ていなくて

無理を重ねていて


ある日、突然


プツンと糸が切れたみたいに


一線を超えてしまった




その事を知っているのは美作さんだけ


彼が知ったのも本当に偶然



取引先の人が入院していた病院にお見舞いに来ていた彼と

偶然会って全てを知られてしまった


その時、彼が口にした言葉は謝罪だった


彼は何も悪くないのに


あたしに対し


“何も力になってやれなくてごめんな”


と言い



退院したあたしを一人にはしておけないからと

自分のお屋敷に連れ帰った



あたしはそこで約一ヶ月間


何をするわけでもなく


ただただ時間が過ぎるのを待っていただけだったような気がするんだけど


ただ何もしないその時間と

美作さん家族の優しさや温もりが

あたしを現実の世界に引き戻してくれた



そんな事があってから美作さんは

あたしのお兄ちゃまになった



頻繁に連絡を取り合っているわけじゃないけれど

それでも節目節目には連絡をしていて


転勤の事もちゃんと伝えていた




だから今だってなんの気兼ねも無く

彼が出た後、温泉に浸かり


お化粧も綺麗に落としてスッピン浴衣姿で


温泉旅館で向かい合い夕食を食べている





豪華な夕食と美味しい日本酒に舌鼓を打っていると

美作さんが箱を取り出して来て土産だと言ってあたしに手渡してきた



その箱には見覚えがある


一応、受け取ったけど


そのまますぐに


“いらない”


と突き返した箱



そんなあたしに彼は苦笑いを浮かべながら



“いいから、とにかく受け取れ”


と返す事を拒否した美作さん


中身は見なくても想像が付く



「いつから宅配業者になったわけ?」


「なってねぇーよ!」


「だったらパシリ?」


「パシリでもねぇ!」


「だったら何よ?」



「とにかく要らなきゃ捨てろ!
いちいち受け取り拒否するからややこしくなるんだろ?!」



「受け取る理由が無いもの」




「だとしてもだ!
要らなきゃ処分すればいいだけの話しだろ?」



「わざわざコレの為にこんな所まで来たわけ?」



「別にそれはついでだ!
俺はお前に会いたいから来ただけだ」





前髪をかき上げながらそう言った美作さんと

箱を手にしたまま眉間に皺を寄せるあたし



この箱なに?


って思ってるわよね?


説明するとね・・


箱の送り主は道明寺


先月辺りから毎週のように送られてくるの


最初は何か分からなくて受け取っちゃったんだけどね


送り主を見てすぐに後悔


中身は食器


世界的に有名な陶器メーカーのシリーズ物を

一つずつ送ってくる道明寺に身震いする


今のあたしにとっては


ホラーだから!




このシリーズは以前のあたしのお気に入りで


あの頃のあたしは結婚したら

新居にこのシリーズの食器を揃えたいと

道明寺に話していた



道明寺にしたら安物なんだろうけど

あたしはそのシリーズの落ち着いた色使いや柄が気に入っていて

少しずつ買い揃えていた



その食器を送ってくるようになった道明寺



最初はコーヒーカップとソーサが一客


それから定期的に・・


って・・



毎週送られてくるの


ねぇ



ホラーでしょ?



受け取ってしまってから後悔


二回目からは受け取り拒否している




「あいつに返して来てよ」



「やだね。
返したけりゃ自分で返しに行って来い」



「ケチ!
あっ!お屋敷宛に着払いで送り返せばいいのか?!」



「それこそ受け取り拒否されておしまいだ」



「ならどうすればいいわけ?」



「司に連絡してやれよ。
あいつはそれを待ってんだよ」




「ん・・連絡先知らないし・・
知ってても・・したくない」



「ハァ〜司の番号なら変わってねぇよ」



ため息まじりにそう告げられても知らない物は知らない



正確には分からない



あたしは道明寺と別れた後


彼に繋がる物は全て処分してしまったから


連絡先も同じ


それまで使っていたスマホはとっくに処分してしまった




「あいつが訴訟起こしたの知ってるだろ?」



「ん・・類に聞いた・・
ご丁寧に記録まで送ってきたから・・」



「そうか。
で、読んだのか?」



「読んでない・・
遊びに来た同期が読んでたけど・・」



美作さんは彼女の事を知っている



「そうか。
で、お前は読まなかったのか?」



「読んでない・・
彼女はこの中にあたしへの愛が一杯詰まってるって言ってたけどね・・」



「俺もそう思うぞ。
必要の無い訴訟をわざわざ大金を掛けて起こして
あの司が出廷して証言までしたんだぞ。
全部、お前への愛だ」




だから読まなかった


正しくは


読めなかった


今さら



そんな物


知りたくなかったから





「とにかく一度ちゃんと話し合った方がいいと俺は思うけどな。
今はまだ宅配便で送りつけてくるぐらいで済んでるけどあいつの事だから何してくるか分からねぇぞ」




「なにされても・・
幾ら話し合ってもあたしの答えは変わらないんだけど・・」



「それでも変わらないって事をあいつにちゃんと伝えてやれ」



どうしてこんなにも頑なに


って思ってる?


こんなにも愛されてるんだから


その想いに応えてあげればいいじゃない!


って思ってるわよね?


もう誰も愛せないとか


愛し方を忘れたとか



そんな単純な話しじゃないの



ある日


突然


眼の前から


幸せな未来が消えたの



道は続いているものだと思っていたのに


プッツリと途切れていて


あたしは新たな道を無我夢中で切り開いてきたの



息をするのも苦しい程の道のりを


あたしは一人で歩いて来たの



この道の先に道明寺はいない




豪華な温泉旅館の離れで



美作さんと二人グラスを傾けながらあの頃の感情を思い起こしていると


やっぱり行き着く先はいつも同じ



あゝ・・思い出ってやっかいだ





















応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

Comments 6

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2022/08/11 (Thu) 21:01 | EDIT | REPLY |   

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2022/08/11 (Thu) 21:17 | EDIT | REPLY |   

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2022/08/13 (Sat) 23:30 | EDIT | REPLY |   
kirakira

kirakira  

き〇粉様

こんばんは~😊
コメントありがとうございます❣(^^♪
返事が遅くなってごめんなさい。m(__)m


楽しんでいただけて嬉しいです!
タイトル通り結婚しない理由なので・・きっと理由は一つじゃなくて
司君には理解不能な理由ばかりだと思っています。



『螺旋』・・これも放置してばかりでごめんなさい。m(__)m
こちらも随時更新していきますね❤

2022/08/15 (Mon) 19:22 | EDIT | REPLY |   
kirakira

kirakira  

パ○ちゃん様

こんばんは~🎵
コメントありがとうございます。(^▽^)/
返事が遅くなってごめんなさい。m(__)m

分かります!
日中は機能が停止してますよね!(笑)


一応ね二人で話し合って別れたって設定なんですよ
でも別れたくて別れたんじゃなくて司君の政略結婚が避けられなくて
別れたって設定なので司君は離婚してつくしちゃんと復縁する事を目標に生きてきたのですが
つくしちゃんにとっては既に過去のお話しで・・
二人の温度差の違いですね・・


つくしちゃんにとっては過去のお話しなのでそういった意味では
あまり感情を揺り動かされる事がなくて淡々としています❣(^^♪

2022/08/15 (Mon) 19:28 | EDIT | REPLY |   
kirakira

kirakira  

ふ○ゃろば様

こんばんは~😊
コメントありがとうございます。🎵
返事が遅くなってごめんなさい。m(__)m

ムフフ♥今回もありがとうございます❣(^^♪
つくしちゃん・・鬼じゃん!って思ってしまいました!(笑)

あれぐらいやらないと司君には伝わらないですね・・

でもでも司君・・諦めてあっさりと帰ってくれるかしら?(笑)

2022/08/15 (Mon) 19:31 | EDIT | REPLY |   

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