続・月夜に… 2
こんにちは。
本日は『続・月夜に…』です🎶
『二度目』『Family』がストック切れなので今日はこちらで…m(__)m
二日ほどクズ男司君だったのでラブラブなつかつくで💕
それではどうぞ~✴
私信です
☆様
こんにちは。
コメントありがとうございます。😆
とりあえず一山越えたと思うので
後は夫婦の再生♥に向けてつくしちゃん一歩前で進んで行くと思います❗😃💕
N.Y 道明寺邸
今日は仕事が早く終わり司と櫻は二人で外で食事をして帰ってきた
この二人は紆余曲折を得て10年前に結婚し
現在はN.Yで生活をしている
二人にはパリで生活している雛と結婚してから(?)もうけた
10歳になる息子と7歳になる娘の三人の子供がいる
10歳の息子の名前は蓮(レン)
7歳の娘の名前は鈴(スズ)
共にN.Y生まれ
司がシャワーを浴びて出てくるとちょうど子供達の様子を見に行っていた
櫻が部屋に戻ってきた
「二人とも寝たのか?」
「うん、ぐっすり寝てる。
相変わらず何しても起きない。」
「雛もそうだったけど、どうして家の子は
みんな一旦寝ると何があっても起きないんだろう?」
「お前に似たんだろ!
お前も何しても起きないし。
乗り物に乗るとすぐに寝るところなんてそっくりだ!」
確かに司の言うとおり私達親子は乗り物に乗るとみんなすぐに眠 ってしまう
本当の事だけど面と向かって言われるとなんだかムカつくのよね!
「確かにそうだけど…でも寝起きの悪さは司似よね?
私の寝起きはあんなに機嫌が悪くないもの!」
「そうだけど、俺も鈴には負ける!」
そう…我が家の末娘はある意味最強なの!
雛の時も蓮の時もそうだったけれど
三人共どちらかと言うと司似で
容姿はもちろん性格も司によく似ている
特に末娘の鈴は司に生き写しで
怖いぐらい…
あきらが"チビ司"と名づけたぐらいだから
それを聞いた総二郎がセンスの無いネーミングと一言つぶやいていたのが妙に印象的だった…
容姿から性格、言動、行動パターンに至るまで全てが司と同じで
幼い頃の司を知る人はそのあまりの同じっぷりに言葉を失っていた
それは今もあまり変わっていなくて…
母親としてはもう少し女の子らしくなって欲しいんだけど
当の鈴にはそんな気は全くなくやりたい放題やっている…
去年小学校へ入学した鈴だけど
幼稚園の頃から何回先生に注意された事か…
迎えに行くたびに私が担任の先生はおろか園長先生にまで注意される始末
それは小学生になっても変わらずまだ1年生なのに
何度も担任の先生に呼び出されそのたびに頭を下げて帰ってくる
本人は全然気にしてないし悪いとも思っていない…
司は私や子供達にはめっぽう甘い、特に鈴には甘いので
必然 的に我が家で最強なのは末娘の鈴ということになる
そんなお姫様も唯一私に似ているところと言えば
一度寝たらなかなか起きないというところだけ
後、司に言わせると食い意地の張っている所もそっくりだそうだが
そんな所、似てるって言われたって全然うれしくない!
そんな事を考えながらハーブティーを淹れ
司の横に腰掛けると、すぐに彼の腕が私の肩に回る
以前、パリであきらが私にしていたように…
私が初めてN.Yに来た時…
周りの人達の彼に対する態度に驚いた事がある
私の知っている彼は短気だけれど優しくて
私と雛の事を一番に考えてくれる人だった
私と離れて過ごしていた時の彼は表に出す感情は怒りのみで
暴力的で周りの人はみな彼の事を恐れていた
彼の笑顔を見た事など無く
だから結婚して私と雛がN.Yに来た当初は
随分と周りの人達に感謝されたのが印象深かった
今でも仕事をしている彼の印象はあまり変わらないけど
それでも昔よりは随分とやわらかくなったと思う
何よりこの10年、彼は私から離れる事が無い
日本で再会した時に言われた言葉
"二度と離さない"
をそのまま実践している
時々、息苦しさを感じる時もあるけれど
何よりもまっすぐに私だけに愛情を向けてくれる彼の事を愛おしく思っている
私の記憶に関して司はかなり不安だったようだが
今では自分の選択が間違っていなかったと思っている
「 何、考えてるんだ?」
私の髪を撫でながら優しい声が聞こえる
彼がこんなにやさしい声で話すことを知っている人間は少ないだろう…
「う~ん、やっぱり司と結婚してよかったなぁ~って思って…」
そう言うと彼は私の頭を自分の肩に乗せそっと額にキスを落としてくる
「当たり前だ!俺以外にお前を幸せにできる男はいねぇからな!」
相変わらず
こんなところは変わらない
で…
ね…
私が笑っていると
「お前、何笑ってんだよ!」
って
「う・・ん、相変わらずだな~って考えてたの」
「当たり前だ!俺はいつだってお前を誰よりも愛してるからな!」
やっぱり
相変わらずだわ
照れずにこんなクサイ台詞を言えるんだから
このままこの話を続けていても
聞いているこっちが恥ずかしくなるだけだから話題を変えよっと
「ねぇ?来月、日本に帰るんでしょ?」
「ああ、帰るぞ!」
簡単に言っている
2ヶ月程前、パリに居る雛から珍しく司に電話が掛かってきた
司は雛が自分に電話を掛けてきてくれただけで
その日は一日中機嫌がいい
司と雛はちょうど今の鈴ぐらいの年までお互いの存在を知らずに過ごしてきた
司は今でもその事を負い目に感じているようで
小さい頃に自分が側に居てやる事が出来なかった責任を感じている
当の雛はそんな事全然気にしていないみたいだけど
とにかく司は気にしていて何かと雛をかまいたがる
ここ数年はいい加減年頃の娘にいろいろと口を出し
挙句の果てには嫌われて落ち込むを繰り返している
私から言わせると全く学習能力のない…
一度、あまりに干渉する司にキレた雛が
こんな所は親子そっくりなんだけど!
司に向かって投げかけた決定的な言葉
“あきらがパパだったらよかったのに!”
を言ってしまった…
確かに雛がそう言いたくなる気持ちも分かる…
あの時の司は本当に酷かったから
でもね!
やっぱりその言葉はダメ!
雛にそう言われた司の落ち込みようは激しくて
自分には全く関係のない所で親子喧嘩のタネにされた
あきらを初め総二郎に類まで当たりに当たられ大変な騒ぎだった
その後、さすがに言い過ぎたと思ったのか
あの雛が司に謝っていたけど…
雛も司と同じで謝るという事を知らない…
謝るんだったら最初っから言うんじゃないわよ!
って思ったけれど雛に謝られた司の機嫌は一瞬で戻り
今まで一体何だったのよ!って
こっちが怒りたい気分だった
あの時の喧嘩の原因って何だったんだろう?
あの二人の喧嘩の原因なんて多すぎて分からない
だけど…
たしか?
あっ!そうだ!
中学生の雛が同級生とキャンプに行くって話になった時だ!
キャンプに行くのもしぶしぶOKしたのに
一緒に行くメンバーの中に男の子がいる事を知った司が猛反対した
とにかく何を言ってもダメの一点張りで全く聞く耳を持ってなくって
私も何とか司を説得しようと思っていた所へ雛のあの言葉…
司もあれ以来懲りたのかあまり口うるさく干渉する事は無くなったけれど
それでも充分うるさいと思う
だから雛のボーイフレンドの話などもってのほかで
今、雛に恋人がいるなんて口が裂けても言えない…
バレたらどうなるんだろう?
考えたくないんだけど…
話を戻すと雛からの電話は
仕事で日本に行く事が決まったからという
それだけの事だったのに!
“雛が日本に帰るなら俺も帰る!”
の一言で秘書さん達をパニックに陥れた…
司のスケジュールは何ヶ月も前からびっしり決まっている
今までも何度か司のいきなりのスケジュール変更はあったけれど
2週間も
それも日本へとなると話は別だ!
司に2週間日本に帰るからスケジュールを調整しろと
言われた時の秘書さんは可哀想なぐらい小さく見えた…
一度言い出したら聞かないのは分かっているけど
別に雛は司に日本に帰って来てくれと頼んだわけじゃない!
ただ日本での仕事が入った事を報告しただけなのに…
結局、いきなり2週間の休暇など取れるわけもなく
日本での仕事を前倒しして無理やりスケジュールを調整しただけ
それでも何とか日本に帰れるのだから秘書さんに感謝こそすればなのに
当の司は日本でのスケジュールがきついと文句を言っている
ったく…
「みんな連れて帰るからな!」
「分かったわ。じゃあ学校にも連絡しておかないとね
2週間も学校を休ませると大変だから家庭教師も連れて行くわね」
「なんでそんなもん連れて行く必要あんだよ!?
蓮と鈴がかわいそうだろ!」
「かわいそうだから連れて行くのよ。
2週間も学校を休んだらどれだけ授業が進んでると思ってるのよ!
いざ学校に戻っても全然授業について行けなかったら後で大変でしょ!」
「そんなもん2週間ぐらい大丈夫だろ?
俺は授業なんか受けた事無かったぞ!」
「だから大学に入って苦労したんでしょ!
そんな事自慢でもなんでもないんだから!
鈴の前でそんな事絶対に言わないでよ!
あの子、あなたのバカなところばっかり真似するんだから!」
「お、お前、今俺の事バカって言ったか?」
「言ったわよ。バカにバカって言って何が悪いのよ?」
「お前ぐらいだぞ!天下の道明寺司様に向ってバカなんて言うの!」
「だからそこがバカだって言ってるのよ!
何が天下の道明寺司様よ!
いい加減にその言い方も止めてよね!
こないだ鈴があなたの真似して自分の事を鈴様よ!
なんて言ってるところ聞いちゃったんだからね!」
「…えっ…?!」
さすがに司も言葉に詰まっている
だからここぞとばかり私も話を続ける
「どうして雛が日本で仕事するからって司まで帰る必要があるの?
雛は司に帰って来てなんて言ってないでしょ?」
「そんな事聞かなくても分かるだろ!
雛がわざわざ俺に電話してきたんだぞ、
俺に会いたいから電話してきたに決まってんだろ!」
"ハァ~"
司がそう思うのは無理もないんだけどね
雛が司に電話してきたのは私がそうするように言ったからなんだけど
半年前、雛から私に電話が掛かってきた
彼女の声は弾んでいて
"日本でのショーに出られる事になった"
と言っていた
だから私は半年前からこの事を知っていた
司は雛が一番に自分に伝えてきたと思っているけど
それは間違いで
恐らく一番最後だと思っている
あきらに類、総二郎はとっくに知っていたし
口止めしといてよかった
別に司に内緒にしてたわけじゃないけど
雛には自分で司に伝えなさいと言っておいたから
雛から電話が掛かってきた時
「Hello~!ママ~?」
「雛?どうしたの?」
「うん、あのね私、日本でのショーに出られる事になったの!」
「へぇ~ すごいじゃない!
いつなの?そのショ ーって?」
「まだ半年ぐらい先の話なんだけどね。
先週、オーディションがあってその結果が今日来たの!」
「そう、よかったわね!
おめでとう!」
「ありがとう~ ママ!」
「ねぇ?パパにも伝えておいてくれない?」
「自分で言いなさい。
雛が電話してあげるとパパ喜ぶから」
「う~ん、分かった…
今日、パパは?」
「パパは今日、マイアミに行ってるわ」
「マイアミ?」
「ええ、新しく手掛けるリゾート開発の視察でマイアミに出張中よ」
「へぇ~!じゃぁママ、今一人なの?」
「そうよ」
「パパが居なくて寂しいんでしょ?」
「寂しくなんかないわよ。
それにね蓮もいるし鈴もいるのよ」
「ウソばっかり」
「親をからかってないで、さっそとパパに電話しなさい!」
「は~い!そのうちね!
じゃぁね~」
言いたい事だけ言って電話は切られてしまった
"そのうちね"
と言っていた雛が司に電話してきたのが
それから数ヵ月後…
電話を受けた司は2週間日本に帰ることを決め
雛の出るショーにも出席する事をあっさりと決めてしまった
確かに招待状は届いている
だけどN.Yにいる司はよほどの付き合いがない
限り日本のパーティーに出席したりしない
特にファッションショーなど普段からあまり出ないのに
おまけに日本にいるメンバー全てが揃うらしい
おかしいでしょ!
どう考え ても
日本にいるメンバー
あきらは現在、日本にいる
私が司と結婚した2年後
彼は桜子からの猛アタックで結婚し
今は6歳と4歳の女の子のパパだ
総二郎と滋さんは私達より1年早く結婚して
蓮と同い年の男の子と5歳の女の子がいる
類だけまだ独身で
さすがにあの年で独身は大変なようで
最近はものすごい数のお見合いが持ち込まれているみたい
お見合いはしているらしいけど一向に結婚しようとしない類の事を司は
"あいつはまだお前の事を諦めてない!"
なんて言っている…
それは無いと思うんだけど
それにしても司は分かってるのかしら?
雛は自分が司の娘だって事を隠してるって
司もショーに出席する
何も起こらなければいいんだけど
本当に大丈夫?

応援ありがとうございます。
本日は『続・月夜に…』です🎶
『二度目』『Family』がストック切れなので今日はこちらで…m(__)m
二日ほどクズ男司君だったのでラブラブなつかつくで💕
それではどうぞ~✴
私信です
☆様
こんにちは。
コメントありがとうございます。😆
とりあえず一山越えたと思うので
後は夫婦の再生♥に向けてつくしちゃん一歩前で進んで行くと思います❗😃💕
N.Y 道明寺邸
今日は仕事が早く終わり司と櫻は二人で外で食事をして帰ってきた
この二人は紆余曲折を得て10年前に結婚し
現在はN.Yで生活をしている
二人にはパリで生活している雛と結婚してから(?)もうけた
10歳になる息子と7歳になる娘の三人の子供がいる
10歳の息子の名前は蓮(レン)
7歳の娘の名前は鈴(スズ)
共にN.Y生まれ
司がシャワーを浴びて出てくるとちょうど子供達の様子を見に行っていた
櫻が部屋に戻ってきた
「二人とも寝たのか?」
「うん、ぐっすり寝てる。
相変わらず何しても起きない。」
「雛もそうだったけど、どうして家の子は
みんな一旦寝ると何があっても起きないんだろう?」
「お前に似たんだろ!
お前も何しても起きないし。
乗り物に乗るとすぐに寝るところなんてそっくりだ!」
確かに司の言うとおり私達親子は乗り物に乗るとみんなすぐに眠 ってしまう
本当の事だけど面と向かって言われるとなんだかムカつくのよね!
「確かにそうだけど…でも寝起きの悪さは司似よね?
私の寝起きはあんなに機嫌が悪くないもの!」
「そうだけど、俺も鈴には負ける!」
そう…我が家の末娘はある意味最強なの!
雛の時も蓮の時もそうだったけれど
三人共どちらかと言うと司似で
容姿はもちろん性格も司によく似ている
特に末娘の鈴は司に生き写しで
怖いぐらい…
あきらが"チビ司"と名づけたぐらいだから
それを聞いた総二郎がセンスの無いネーミングと一言つぶやいていたのが妙に印象的だった…
容姿から性格、言動、行動パターンに至るまで全てが司と同じで
幼い頃の司を知る人はそのあまりの同じっぷりに言葉を失っていた
それは今もあまり変わっていなくて…
母親としてはもう少し女の子らしくなって欲しいんだけど
当の鈴にはそんな気は全くなくやりたい放題やっている…
去年小学校へ入学した鈴だけど
幼稚園の頃から何回先生に注意された事か…
迎えに行くたびに私が担任の先生はおろか園長先生にまで注意される始末
それは小学生になっても変わらずまだ1年生なのに
何度も担任の先生に呼び出されそのたびに頭を下げて帰ってくる
本人は全然気にしてないし悪いとも思っていない…
司は私や子供達にはめっぽう甘い、特に鈴には甘いので
必然 的に我が家で最強なのは末娘の鈴ということになる
そんなお姫様も唯一私に似ているところと言えば
一度寝たらなかなか起きないというところだけ
後、司に言わせると食い意地の張っている所もそっくりだそうだが
そんな所、似てるって言われたって全然うれしくない!
そんな事を考えながらハーブティーを淹れ
司の横に腰掛けると、すぐに彼の腕が私の肩に回る
以前、パリであきらが私にしていたように…
私が初めてN.Yに来た時…
周りの人達の彼に対する態度に驚いた事がある
私の知っている彼は短気だけれど優しくて
私と雛の事を一番に考えてくれる人だった
私と離れて過ごしていた時の彼は表に出す感情は怒りのみで
暴力的で周りの人はみな彼の事を恐れていた
彼の笑顔を見た事など無く
だから結婚して私と雛がN.Yに来た当初は
随分と周りの人達に感謝されたのが印象深かった
今でも仕事をしている彼の印象はあまり変わらないけど
それでも昔よりは随分とやわらかくなったと思う
何よりこの10年、彼は私から離れる事が無い
日本で再会した時に言われた言葉
"二度と離さない"
をそのまま実践している
時々、息苦しさを感じる時もあるけれど
何よりもまっすぐに私だけに愛情を向けてくれる彼の事を愛おしく思っている
私の記憶に関して司はかなり不安だったようだが
今では自分の選択が間違っていなかったと思っている
「 何、考えてるんだ?」
私の髪を撫でながら優しい声が聞こえる
彼がこんなにやさしい声で話すことを知っている人間は少ないだろう…
「う~ん、やっぱり司と結婚してよかったなぁ~って思って…」
そう言うと彼は私の頭を自分の肩に乗せそっと額にキスを落としてくる
「当たり前だ!俺以外にお前を幸せにできる男はいねぇからな!」
相変わらず
こんなところは変わらない
で…
ね…
私が笑っていると
「お前、何笑ってんだよ!」
って
「う・・ん、相変わらずだな~って考えてたの」
「当たり前だ!俺はいつだってお前を誰よりも愛してるからな!」
やっぱり
相変わらずだわ
照れずにこんなクサイ台詞を言えるんだから
このままこの話を続けていても
聞いているこっちが恥ずかしくなるだけだから話題を変えよっと
「ねぇ?来月、日本に帰るんでしょ?」
「ああ、帰るぞ!」
簡単に言っている
2ヶ月程前、パリに居る雛から珍しく司に電話が掛かってきた
司は雛が自分に電話を掛けてきてくれただけで
その日は一日中機嫌がいい
司と雛はちょうど今の鈴ぐらいの年までお互いの存在を知らずに過ごしてきた
司は今でもその事を負い目に感じているようで
小さい頃に自分が側に居てやる事が出来なかった責任を感じている
当の雛はそんな事全然気にしていないみたいだけど
とにかく司は気にしていて何かと雛をかまいたがる
ここ数年はいい加減年頃の娘にいろいろと口を出し
挙句の果てには嫌われて落ち込むを繰り返している
私から言わせると全く学習能力のない…
一度、あまりに干渉する司にキレた雛が
こんな所は親子そっくりなんだけど!
司に向かって投げかけた決定的な言葉
“あきらがパパだったらよかったのに!”
を言ってしまった…
確かに雛がそう言いたくなる気持ちも分かる…
あの時の司は本当に酷かったから
でもね!
やっぱりその言葉はダメ!
雛にそう言われた司の落ち込みようは激しくて
自分には全く関係のない所で親子喧嘩のタネにされた
あきらを初め総二郎に類まで当たりに当たられ大変な騒ぎだった
その後、さすがに言い過ぎたと思ったのか
あの雛が司に謝っていたけど…
雛も司と同じで謝るという事を知らない…
謝るんだったら最初っから言うんじゃないわよ!
って思ったけれど雛に謝られた司の機嫌は一瞬で戻り
今まで一体何だったのよ!って
こっちが怒りたい気分だった
あの時の喧嘩の原因って何だったんだろう?
あの二人の喧嘩の原因なんて多すぎて分からない
だけど…
たしか?
あっ!そうだ!
中学生の雛が同級生とキャンプに行くって話になった時だ!
キャンプに行くのもしぶしぶOKしたのに
一緒に行くメンバーの中に男の子がいる事を知った司が猛反対した
とにかく何を言ってもダメの一点張りで全く聞く耳を持ってなくって
私も何とか司を説得しようと思っていた所へ雛のあの言葉…
司もあれ以来懲りたのかあまり口うるさく干渉する事は無くなったけれど
それでも充分うるさいと思う
だから雛のボーイフレンドの話などもってのほかで
今、雛に恋人がいるなんて口が裂けても言えない…
バレたらどうなるんだろう?
考えたくないんだけど…
話を戻すと雛からの電話は
仕事で日本に行く事が決まったからという
それだけの事だったのに!
“雛が日本に帰るなら俺も帰る!”
の一言で秘書さん達をパニックに陥れた…
司のスケジュールは何ヶ月も前からびっしり決まっている
今までも何度か司のいきなりのスケジュール変更はあったけれど
2週間も
それも日本へとなると話は別だ!
司に2週間日本に帰るからスケジュールを調整しろと
言われた時の秘書さんは可哀想なぐらい小さく見えた…
一度言い出したら聞かないのは分かっているけど
別に雛は司に日本に帰って来てくれと頼んだわけじゃない!
ただ日本での仕事が入った事を報告しただけなのに…
結局、いきなり2週間の休暇など取れるわけもなく
日本での仕事を前倒しして無理やりスケジュールを調整しただけ
それでも何とか日本に帰れるのだから秘書さんに感謝こそすればなのに
当の司は日本でのスケジュールがきついと文句を言っている
ったく…
「みんな連れて帰るからな!」
「分かったわ。じゃあ学校にも連絡しておかないとね
2週間も学校を休ませると大変だから家庭教師も連れて行くわね」
「なんでそんなもん連れて行く必要あんだよ!?
蓮と鈴がかわいそうだろ!」
「かわいそうだから連れて行くのよ。
2週間も学校を休んだらどれだけ授業が進んでると思ってるのよ!
いざ学校に戻っても全然授業について行けなかったら後で大変でしょ!」
「そんなもん2週間ぐらい大丈夫だろ?
俺は授業なんか受けた事無かったぞ!」
「だから大学に入って苦労したんでしょ!
そんな事自慢でもなんでもないんだから!
鈴の前でそんな事絶対に言わないでよ!
あの子、あなたのバカなところばっかり真似するんだから!」
「お、お前、今俺の事バカって言ったか?」
「言ったわよ。バカにバカって言って何が悪いのよ?」
「お前ぐらいだぞ!天下の道明寺司様に向ってバカなんて言うの!」
「だからそこがバカだって言ってるのよ!
何が天下の道明寺司様よ!
いい加減にその言い方も止めてよね!
こないだ鈴があなたの真似して自分の事を鈴様よ!
なんて言ってるところ聞いちゃったんだからね!」
「…えっ…?!」
さすがに司も言葉に詰まっている
だからここぞとばかり私も話を続ける
「どうして雛が日本で仕事するからって司まで帰る必要があるの?
雛は司に帰って来てなんて言ってないでしょ?」
「そんな事聞かなくても分かるだろ!
雛がわざわざ俺に電話してきたんだぞ、
俺に会いたいから電話してきたに決まってんだろ!」
"ハァ~"
司がそう思うのは無理もないんだけどね
雛が司に電話してきたのは私がそうするように言ったからなんだけど
半年前、雛から私に電話が掛かってきた
彼女の声は弾んでいて
"日本でのショーに出られる事になった"
と言っていた
だから私は半年前からこの事を知っていた
司は雛が一番に自分に伝えてきたと思っているけど
それは間違いで
恐らく一番最後だと思っている
あきらに類、総二郎はとっくに知っていたし
口止めしといてよかった
別に司に内緒にしてたわけじゃないけど
雛には自分で司に伝えなさいと言っておいたから
雛から電話が掛かってきた時
「Hello~!ママ~?」
「雛?どうしたの?」
「うん、あのね私、日本でのショーに出られる事になったの!」
「へぇ~ すごいじゃない!
いつなの?そのショ ーって?」
「まだ半年ぐらい先の話なんだけどね。
先週、オーディションがあってその結果が今日来たの!」
「そう、よかったわね!
おめでとう!」
「ありがとう~ ママ!」
「ねぇ?パパにも伝えておいてくれない?」
「自分で言いなさい。
雛が電話してあげるとパパ喜ぶから」
「う~ん、分かった…
今日、パパは?」
「パパは今日、マイアミに行ってるわ」
「マイアミ?」
「ええ、新しく手掛けるリゾート開発の視察でマイアミに出張中よ」
「へぇ~!じゃぁママ、今一人なの?」
「そうよ」
「パパが居なくて寂しいんでしょ?」
「寂しくなんかないわよ。
それにね蓮もいるし鈴もいるのよ」
「ウソばっかり」
「親をからかってないで、さっそとパパに電話しなさい!」
「は~い!そのうちね!
じゃぁね~」
言いたい事だけ言って電話は切られてしまった
"そのうちね"
と言っていた雛が司に電話してきたのが
それから数ヵ月後…
電話を受けた司は2週間日本に帰ることを決め
雛の出るショーにも出席する事をあっさりと決めてしまった
確かに招待状は届いている
だけどN.Yにいる司はよほどの付き合いがない
限り日本のパーティーに出席したりしない
特にファッションショーなど普段からあまり出ないのに
おまけに日本にいるメンバー全てが揃うらしい
おかしいでしょ!
どう考え ても
日本にいるメンバー
あきらは現在、日本にいる
私が司と結婚した2年後
彼は桜子からの猛アタックで結婚し
今は6歳と4歳の女の子のパパだ
総二郎と滋さんは私達より1年早く結婚して
蓮と同い年の男の子と5歳の女の子がいる
類だけまだ独身で
さすがにあの年で独身は大変なようで
最近はものすごい数のお見合いが持ち込まれているみたい
お見合いはしているらしいけど一向に結婚しようとしない類の事を司は
"あいつはまだお前の事を諦めてない!"
なんて言っている…
それは無いと思うんだけど
それにしても司は分かってるのかしら?
雛は自分が司の娘だって事を隠してるって
司もショーに出席する
何も起こらなければいいんだけど
本当に大丈夫?

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