続・月夜に… 7
予約投稿第三弾です❗
本日も『続・月夜に…』です🎶
それではどうぞ~✴
「ねぇ、雛?彼とは上手くいってるの?」
「仲良くやってるわよ。」
「そう、よかったわね。
けどいつまでパパに内緒にしておくつもりなの?」
「う~ん、分かんない・・でも
その内ちゃんと紹介するから心配しないで。」
「ねぇ?分かってると思うけどいきなり結婚するとか言い出すのはやめてね。
ママにも心の準備ってものがあるんだから。
それから、子供が出来たっていうのもナシよ!」
「えーーどうして?ママは今の私の歳で産んだんでしょ?
なのに私はダメな の?」
「ダメじゃないわよ、あなたが本当に愛してる人の子供だったら
ママは応援するわよ。だけど、ただ出来ちゃったから産むって言うのはナシよ。
そんな話しパパが聞いたら卒倒しちゃうから!」
「ねぇ?ママは妊娠してるって分かった時ってどんな気持ちだったの?」
「えっ?!雛?どうしてそんな事聞くの?
あなた…まさか…よね?」
「大丈夫よ。妊娠してるなんて事はないから。
ちゃんとピル飲んでるから安心して!」
「安心してって…
それも絶対にパパには言っちゃダメよ!
刺激が強すぎるからね!」
「分かってる!で、どんな気持ちだった?」
「嬉しかったわよ。
雛が居るって分かった時、司は刺され た後遺症でママの事忘れてたけど
司との絆がまだ切れたわけじゃないって思ったの。
だから一人でもちゃんと産んで育てようって思ったわよ。
あなたを産んだ時ママも記憶が無かったけど
生まれてきたあなたを見て本当に嬉しかったのを憶えてるわよ。」
「ふ~ん…ねぇママ?
産んでくれてありがとう。」
雛からこんな事を言われるなんて思ってもみなかった
「どういたしまして。」
笑顔で答えているとロビーが急に慌ただしくなり
ホテル前にリムジンが止まり降りてきたのは司
見慣れている姿だけどいつもと違うシチュエーションに
自分の夫ながら思わずドキッとしてしまう
ブランド物のスーツをセンスよく着こなし
薄 い色のサングラスをかけている
堂々とした態度でホテルに入ってきた彼は
ロビーに居た女性の視線を一身に集めている
いつもながらすごい
メディアなどに露出も多い司だから顔を知っている人も多いだろう
女性達の視線を一身に集めている
そんな状況の中で雛が司に気付き立ち上がり手を挙げて呼んだ
「パパ~」
雛のその言葉に今度はラウンジどころかロビー中の女性の視線がこちらに集まる
司も雛もそんな事は全然お構いなしに平然としているけど
こんな時、私は一人居心地が悪い
雛の声で私達に気付いた司は秘書さん達が見たら
きっと仰け反りそうな笑顔を浮かべながら
私達の元へとたどり着いた司はまず雛を抱き締め
頬にKISSをして私の隣に座った
もちろん私にもKISSしてくる…
こんな真昼間のホテルで勘弁してほしいだけど
ここは東京なのよN.Yでもないしパリでもないのよ!
機嫌良く席に着いた司だったんだけどね…
ホラ!案の定雛の服装に気付いてとたんに表情が険しくなる
やっぱり…
雛の今の格好は丈の短いセーターとローライズのジーンズの
おかげでお腹はもちろんおへそまで見えている
おまけに胸元も大きく開いているため
すこし前かがみになると胸が見えてしまいそうな感じだから
それを司が見逃すわけがない
司が口を開く前に先に釘をさしておく
「司、こんな所で大きな声出さないでよ!」
「分かってるよ!雛、お前いつもそんな格好で出歩いてんのか?」
「うん!かわいいでしょ!?」
全く気付いていない
「ねぇ 雛?パパはね少し大胆じゃないかって言ってるのよ。」
やんわりとそれとなく伝えるんだけど…
「そう?これぐらい今は普通だと思うけど?」
「そ、そうよね、けどねパパは心配なのよ。」
「心配?何が?」
もう!この子は!
自分の娘ながらこの鈍感ぶりには感心してしまう
だけど今は感心している場合じゃない!
私が再度、口を開こうとした瞬間
「もういい!とにかく着替えろ!」
「着替えるの?ここで?」
バカ!
このバカっぷりは絶対司に似たのよね!
私じゃない!
「バカか?
とにかく行くぞ!」
さっさと席を立ってしまった司
こうなったらもう大人しく付いて行くしかない
「えーーー!」
雛は文句を言っているけれど
「雛、諦めなさい!
これ以上ここでパパを怒らせないで、行くわよ!」
「もぅ!勝手なんだから!」
メープルのブティックで司は雛を自分の選んだ服に強引に着替えさせると
もう機嫌が直っている
今度は逆に雛の機嫌が悪い
もう!この親子はいい加減にしてくれないかしら?
どちらかが機嫌が良くなるとどちらかの機嫌が悪くなる
二人とも機嫌のいい時なんて滅多にない
二人とも機嫌が悪いというのはよくあることだけど
メープルホテルの道明寺家の人間しか使用することの出来ない
プライベートエリアのスウィートでシェフを呼んで三人でランチをとる
三人だけで食事をするのなんて本当に久しぶりだった
なんとか雛の機嫌も直り
司はもちろん上機嫌で昼間から二人で
ワインのボトルを空けている
「ちょっと!司!まだ仕事があるんでしょ?
あんまり飲んだら仕事にならないわよ。
雛も未成年なんだからそれぐらいにしておきなさい!ここは日本なのよ!」
「もう、ママったらこれぐらい全然平気よ!」
「それよりママがあんまり飲まない方がいいんじゃない?
アルコール弱いんだから。」
「ママは飲んでないわよ。
ところで、雛はこの後どうするの?」
「この後は友達と約束してるけど。」
雛の言葉を聞いた途端に司の表情が厳しくなる
「友達って誰だ?
まさか男じゃないだろうな!?」
「違うわよ!英徳の時の同級生だった女の子よ!」
雛はわざと"女の子"という所を強調している…
「だったらいい!」
何がだったらいいのよ…!?
司は本当にどう思っているんだろう?
本気で雛には今まで好きな人など居なかったとか思ってないわよね?
まさか…よね?
怖くて聞けないけど…
「じゃぁ、雛はママの車使いなさい。」
「いいの?
ママはどうするの?」
「ママはタクシーで 帰るから大丈夫よ。」
「ダメだ!お前は俺のを使え。
俺がタクシーで行く!」
「あなたをタクシーなんて乗せられるわけないでしょ!?
仮にも道明寺財閥の総裁なのよ!
あなたをタクシーなんかに乗せて何かあったらどうするのよ!」
「俺なら大丈夫だ!そんなヤワに出来てねぇ!
それより俺はお前の方が心配なんだよ!
大人しく俺のリムジンで帰れ!」
「分かったわよ。
じゃぁ一緒に乗って行くからそれでいい?」
「ああ、それならいい!」
私はここ数年自分でも驚く程丸くなったと思う
昔の私なら意地でもタクシーで行くと言っただろうけど
ここで私が意地を張っても司とケンカになるだけ
今の私は司と雛の間で板ばさみになっているから
これ以上、機嫌の悪い司につき合わされるのはごめんだ…
司も雛もお互い頑固で自分の意見を譲らないから
私まで自我を発揮してしまうと大変な事になる
それに家にはまだ二人司にそっくりなのがいる
それでも数年に一度、私も我慢の限界でキレる時がある
そういう時は蓮と鈴だけ連れて家出をする
だって原因はたいてい司と雛のケンカなのだから
そして、いつも何処からか噂を聞きつけた滋さんと
桜子が共に子供を引き連れて私の家出先までやってくる
家出先と言っても世界中にある道明寺家の別荘のどれかにいるんだけど
その後、それぞれのダンナ様が迎えにやってくる
このパターンの繰り返し
「晩御飯はどうするの ?」
「う~ん、そんなに遅くならないと思うから家で食べる。」
「分かった。じゃぁ用意して待ってるわね。
けどあんまり遅くならないでね。
帰りもちゃんと車使いなさいよ。」
「うん、分かった。」
雛は私の車に乗り出かけて行ってしまった
雛を見送り私も司と共にリムジンに乗り込む
まず司のオフィスで彼が降り
私がそのままリムジンで屋敷へと帰った

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