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園ちゃんシリーズ 2008年クリスマスVer 8

園ちゃんシリーズ2008年クリスマスVerの第8話です。


それではどうぞ🎶




「パ、パパ!?」

電話を掛け始めているパパを止めようと

ママが慌てて声を掛けたんだけど

ママも相当焦っているのか声が上擦っちゃってる

「なんだ?」


ママの呼び掛けに電話する手を止めたパパ

ママは上擦ってしまった声をごまかすように

パパの横に立ち電話を持つ腕に手を掛けた


「パパ、お土産沢山買ってきてくれたんでしょ?
 ママ早く見たいわ!ねぇ、いいでしょ?」


パパの腕に自分の腕を少しづつ絡めながら

ゆっくりとパパに体重を預けるように身体を密着させ

一撃必殺パパ殺しの上目使いを繰り出すママ

一瞬たじろいだように上体を反らしたパパだったけど
ママの上目使いの威力は抜群で

途端に目尻が下がり優しいパパに大変身

「ねぇ、ママには何を選んでくれたの?」


そう言ったママに腕を取られたまま

促されるように二三歩前へと歩き始めたパパ


なんとかママにごまかされてくれたのかしら?

きっとその場にいた全員がそう思っていたと思うの

私の隣に立っていた総二郎おじさんもそう思ったから

そっーとパパには気付かれないように

私の腰を軽く押したんだと思うんだけど


パパはそんなに甘くはなかった・・・


二三歩進んだパパは急に立ち止まり振り返って私の顔を見た後、 ママの顔を見て一言


「お前ら、なんか隠してねぇか?」


「な、何も隠してなんてないわよ・・・いやね、パパったら! オホホホホ!」

ママ・・・怪しいって!

焦ってたにしてもオホホホホ!は白状してるのと同じじゃん!

パパもママのオホホホホ!で分かっちゃったみたいで

途端に顔が険しくなっちゃったじゃない・・・

絶対絶命の大ピンチ

もうこれ以上ごまかす事なんて出来ないと思った


「パパ!ごめんなさい!」


「何がごめんなさいなんだ?」


パパの声のトーンがいつもより少し低くて

ちょっと怒り始めてるのが分かる


「あ、あのね・・・嘘ついてたの・・・」


「何を?」


「私がインフルエンザだっていうのも
 これからお医者様に行くっていうのも全部嘘なの・・・」


「なんでそんな嘘つく必要があったんだ?
 お前はパパに嘘までついて今から何処へ出掛けるつもりだったんだ ?」


あ~あ・・・パパ怒っちゃった・・・

怒るのは当たり前よね・・・

出張から戻ってきた途端に私がインフルエンザだなんて聞かされて


本気で心配してくれてたのに

それが全部嘘だなんて言われたら

パパじゃなくても怒るわよね・・・


罪悪感から下を向いてしまった私に近付いてくるパパ


「何処へ行くつもりだったんだ?」


「あのね・・・えっと・・・私・・・」


「園子は今からデートしに行くんだよ」


言いにくそうにしている私に代わって

パパの後ろから類おじさんが答えてくれたんだけど

ちょっとストレートすぎない?


「デートだと?!クリスマスイブにか?!」


「クリスマスだからデートするんじゃないの」

確かに類おじさんの言ってる事は正しいと思うんだけど

この場合あまりにストレートすぎないかしら・・・?


「そんな事言ってんじゃねぇんだよ!相手は誰だ!?
 お前らみんな知ってて俺を騙そうとしてたのか?!」


パパの怒りはもっともです・・・

「パパ!別にパパを騙そうなんて思ってたわけじゃないのよ」

「インフルエンザだなんて嘘ついてたじゃねぇか!?」

「確かに嘘はついてたけど・・・
 本当の事話したらパパが心配すると思ったから」


ママはパパの怒りが私に向かわないようにしようと

言葉を繋いでくれてるけど効果無し

「園子、こっちへ来なさい」


ママの言葉を無視して

私にリビングへと来るように言ったパパ

「パ、パパ!園ちゃんは悪くないのよ!
 園ちゃんはパパにもちゃん話そうとしてたんだけど
 パパが心配するからってママが止めたの!」


リビングへと向かって前を歩くパパを止めようと

ママがパパの腕を掴んでいるけど

今日のパパはいつもと違って

腕を振りほどくとママに怒鳴り声を上げた・・・


「お前は黙ってろ!
 園子、来なさい!」


パパがママに大きな声出すところなんて初めて聞いた・・・

いつも優しいパパが怒鳴るなんて・・・

怒鳴られたママもショックを受けたみたいで


信じられない物でも見ているような顔つきでパパを見上げている


パパに続いてリビングへと入り

パパが座ったソファーの向かい側に腰を下ろした


ママ達も私とパパを取り囲むようにそれぞれ腰を下ろしている


シーンとした室内


重苦しい沈黙が降りてくる


誰も口を開こうとしない


パパも怖い顔をしたままで


私から話し出すのを待っているんだと感じた












応援ありがとうございます。♪
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kirakira
Posted bykirakira

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