修羅場ってる? 1
本日は新しいお話しです。
タイトルは『修羅場ってる?』です。
とんでもない設定で展開を軽い感じで
出だしはきっと"なんじゃこれ~?"って感じられると思いますが
生暖かい目で気長に見守っていただければ嬉しいです🎵😍🎵
尚、このお話しはいつも以上にのんびり更新になると思いますので
気長にお付き合いよろしくお願いします。
それではどうぞ~✴
私信です
o○i○e様
はじめまして、こんばんは🌙😃❗
コメントありがとうございます。😆
よく行方不明になっちゃうつくしちゃんも問題ですが
すぐに権力使っちゃう司君も大概ですよねぇ~♥
おちおち行方不明にもなれません❗(笑)
それだけ愛されているつくしちゃんが羨ましいですよね🎵
ノロノロ更新ですがこれからもお付き合いよろしくお願いします。\(^-^)/
眼下に見下ろすのは東京の街並み
どこも再開発が進み新しい街が続々と誕生している
そんな都心部
都内の一等地に建つ道明寺HDが手掛けたビル群
道明寺HDの日本支社を始め
商業施設にマンションなどが入る複合施設の一角にあるメープル東京
そのメープル東京の35階にあるバーラウンジは
平日のこんな中途半端な時間だからまだ人影は疎ら
この時期の日暮れは早い
後20分程で夜がやってくる
そこの一番奥まったボックス席で
目の前に座る綺麗な女性
薄いピンク色の花柄の訪問着を身に纏い
若い彼女にはこの着物が良く似合っている
艶のある黒髪はキレイに結い上げられていて上品で凛とした佇まいを見せている
だけど私は目の前に座る彼女の全身から匂い立っているこの強烈な甘ったるい匂いが嫌い
綺麗に訪問着を着こなしているくせにこの甘ったるい匂いはダメ
まるでトワレを一瓶まるごと頭からぶっかけてきたみたい
私をこの場所に呼び出したのは彼女の方なのに
約束の時間にわざと少し遅れて来た彼女は
座る私の全身を舐めるように見た後、
軽く侮蔑の笑みを浮かべ目の前のソファーに腰を下ろした
私は目の前に座るこの綺麗な女性がキライだ
まぁ、彼女にしても同じだろうから
そこの所の見解はお互いに一致しているはず
だけど、一致しているのはそこだけ
牧野つくし
現在29歳
後、数週間で30になるんだけど
所謂、愛人ってやつをやっている
そして目の前に座る彼女の名前は西門綾乃さん、26歳
西門流次期家元で今や若宗匠と呼ばれて久しい西門総ニ郎の奥様
説明するまでもなくガチガチの政略結婚の相手で本妻
メープルのバーラウンジで本妻VS愛人ってわけ
その彼女に呼び出されてわざわざこんな場所まで出向いているんだけど
呼び出した当人は遅れて来て一言も話さない
別に沈黙は苦痛じゃないから構わないんだけどね
私には彼女が身に纏っている匂いが気になる
お互いに何も話さない沈黙の時間の中で
私が匂いに耐えかねて少し眉根を寄せて口元を手で覆うような仕草をしたのが彼女の気に触ったようで
一気に均衡が崩れた
帯を潰さないようソファーに浅く腰掛け
少し斜に構えて座っていた彼女は
いきなり立ち上がると私の前に置かれていたシャンパングラスを手に取り
中身を私目掛けてぶちまけてきた
最悪!
まぁ、このシチュエーションは想定内だったんだけど
隣には水が入ったグラスもあるんだから掛けるんならそっちにして欲しかったわ
だってこのシャンパン一杯3500円もするのよ!
勿体無い!
それに私の今日のワンピースは某ブランドのオートクチュールで一点物なのよ!
クリーニングに出せば臭いは落ちるだろうけど
シミになったら嫌だなぁ~
なんて…
私の頭の中に浮かんでくるのは緊迫感の欠片も無い考えばかり
「いい気にならない事ね!
あなたなんて総ニ郎様にとっては何人もいる遊び相手の内の一人なのよ!
道明寺様に捨てられたから今度は西門に手を出すなんて!
やっぱり出自の卑しい方の考える方は恥知らずなね!」
酷い言われようだけど想定内すぎて笑っちゃう
高等部の頃の方がもっと凄かったわよ!
なんかもっとこう…ガツンとくるような事言えないのかしら?
でも、これって修羅場じゃない?
修羅場でしょ?
私、今、修羅場ってる?
凄い形相で私を見下ろしている彼女
良家のお嬢様って触れ込みだったんだけど
本性見たり!って感じ
やっぱり私はこの人が嫌いだ
ここまで一言も発しない私に業を煮やしたのか
「なんとか言って見なさいよ!この泥棒猫!」
やっぱりガツンとこない
なんとか言ってみなさいよ!なんて言われても
私には今ここで彼女に言うべき言葉は無い
彼女に感じているのは僅かばかりの同情心
それすらも気にならないくらい私はただ彼女が嫌いだ
さて!次はどう出てくるんだろう?
なんて呑気に考えていたその時
突然後ろから響いてきた怒鳴り声
「てめぇ!俺様の女に何してくれてんだ!
こいつが誰か分かってやってんだろーな!?帰るとこ無くしてやろーか?!」
ハァ~
振り向かなくても分かる
背後に立つ男の顔
突然現れた男に気勢を削がれた彼女は呆然と立ち尽くしている
ハァ~この男のこのタイミングでの登場は想定外
俺様の女だなんてどの口が言ってるんだろう
出来れば3年前に聞きたかったかも・・・?
そのセリフ…今は聞きたくなかったなぁ~
だって私達…離婚してもう3年も経つんだもの
でもって…突然現れてこのセリフって事は…
思い出しちゃったのね…私の事
今さらに…思い出しちゃったのね
睨み付けているであろう男と無言のまま彼女を見上げている私
思わぬ助っ人?横槍?に形成不利だと思たのだろう
彼女は「今日のところはこれで失礼しますわ!」なんて捨て台詞でラウンジから出て行ってしまった
ハァ~とりあえず一難去った?感じかしら
私は未だ振り向いていない
背後にビンビンに感じる彼の怒り
彼女が出て行ったのを見届けると
彼は私の前へと回り込んできて
見下ろされてる感覚が不快だけど
今の私にはここで彼と対峙する精神的余裕は無い
視線が合わないままの私に業を煮やしたのか
彼が怒鳴り声を上げた
「お前、何やってんだよ!あの女、総二郎のだろ?
あの女が言っていた事は本当なのか?!
なぁ!答えろよ!お前、総二郎の…」
愛人…
そう続けようとした彼の言葉を
軽く手を上げ視線を合わせる事で止めた
いくら人が少ないと言えども
大声でこんな所でする話しじゃない
13年ぶりに交わった視線
情けない顔
捨てられた子犬みたい
不安と恐怖だけが色濃く滲んでいる
だけど私は今さらにそんな物に一ミリも心が動かない
今はただ掛けられたシャンパンが不快で
目の前の男が不快
彼がここに居るって事はもう一人のあの人も居るって事
私はその人が居るであろう彼の後方へと視線を向ける
「社長への報告はそちらにお任せします。
私は部屋に戻って着替えますので後はよろしくお願いします。」
そう告げるとスッーと彼の後ろから姿を現した高性能人型アンドロイド秘書さん
「つくし様、ご無沙汰しております。本日は大変申し訳ございませんでした。
社長への報告は私が責任を持ってさせていただきますのでご安心くださいませ。」
その答えにソファーから立ち上がった私の腕を掴み前を塞ぐように立つ男
「待てよ!話はまだ終わってねぇーだろーが!」
勘弁してほしい
今さらだし
今はまだあんたに構ってる暇は無いのよね
私の視線が腕を掴んでいる彼の手へと動いたのを見た私のSPの一人が
サッと体を私と彼の間に入れて来くると
アッサリと離された腕
腕を掴んでいた彼の手がダラリと下に下がったのを確認してその場を離れた
彼の横を通り過ぎた瞬間
「ま…きの…」
と小さく私を呼ぶ彼の声を聞いた気がした
少しばかりの心の動揺を悟られないように
ゆっくりとラウンジを出て既に待機していたエレベーターへと乗り込み
私専用にリザーブされている部屋へと入った
SPは部屋の中までは入って来ない
後ろ手にドアを閉め鍵を掛けて
大きく息を吐き出しバスルームへと向う
身につけていた物を全てダストボックスへと投げ入れ
頭からシャワーを浴びる
シャワーを浴びローブ姿のまま
バッグから携帯を取り出し
窓際に置かれているカウチに腰を下ろした
街はすっかり夜に支配されている

応援ありがとうございます。