修羅場ってる？ 10

クソッ！

朝っぱらから！


なんて日だ！！


って…どっかのお笑い芸人みてぇだけど


俺の身に現在降りかかっている災難を思えば

心の底から沸き上がってくる叫びはまさにそれで


驚きの連続で今ちょっと酸欠状態


「オイ！いい加減、降りろ！」



数年ぶりに突然姿を現した男は制止する秘書やＳＰをなぎ倒し
俺のオフィスに入ってくると
驚きの余り椅子から腰を浮かせ中腰で固まっていた俺に勢いだけで
ラリアットを掛けやがった


分かるか？


プロレスなんかでよくやっているあの技だぞ！


信じられるか？



俺は信じられねぇ！



上手い具合に喉元に入ったバカ男の腕に
勢いよく椅子ごと後ろに倒れ込むと

突然の出来事に抵抗出来ない俺に馬乗りになり
首元をギュウギュウに締め上げてきやがる

軽く殺意を覚える状況


イヤ！相手がこいつじゃなきゃ確実にぶっ殺している！


「うるせぇ！牧野の相手は誰だ？！
さっさと教えろ！」


降りろ！と言った俺の言葉を無視して
続けられたバカ男の言葉に今度は今までとは違う意味で衝撃を受けた


「おまっ…な、に…言ってんだ？」


「牧野だよ！あいつ、重婚になるから俺との婚姻届にはサイン出来ねぇって言いやがあった！
だから相手は誰だ？！」



もしかして？



記憶が戻ってんのか？



ここにきて漸く思い浮かんだ思考に瞬きが多くなり
脳内を駆け巡る思考を追いかけるように視線が泳ぐ



「わ、分かったから！
ちょっと落ち着け！」


それにしてもなんて顔してんだよ？！


ラリアット掛けられて泣きたいのはこっちの方なのに

なんで掛けた方のお前がそんな泣きそうな面してんだよ？！


おかしいだろ？！


まぁ、長い付き合いだから気持ちは分かるけどよ


とりあえず退けよ！


「とりあえず退けって！
じゃねぇと話しも出来ねぇだろ！」


勢いよく飛び込んできたバカ男の腕を力一杯押し返して
ようやく立ち上がる事が出来た


倒れた椅子を戻しバカ男をソファーに座るよう促し

俺も向かい側のソファーへと腰を下ろし

漸く落ち着いて話しが出来る体勢にはなった



「で？いつ記憶が戻った？」


「そんな事どうでもいいだろーが！
さっさと牧野の相手の野郎の事教えろ！」


「ダメだ！まず俺の質問に答えろ！
話しはそれからだ！
いいか、司？俺達はずっとお前と牧野の事を見てきたし協力だって惜しまねぇけど
もうあの頃とは状況が違い過ぎるんだ！俺達に協力して欲しいんなら今のお前の状況をちゃんと教えろ！
じゃなきゃ俺だけじゃなく類も総二郎も誰も例え殺されたってお前の味方をする奴はいねぇぞ！」


きつい言い方かもしれないがこれが今の現実だ

司にしてもそこら辺は理解出来ているのだろう

観念したように記憶を取り戻してからの事を話し始めた


で…俺の感想


夕べあいつが言ってた


ハプニングって…



これかよ！


で…


猛獣復活記念が婚姻届とラリアットってか？


やっぱり今日は


なんて日だ！









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