園ちゃんシリーズ 2008年クリスマスVer 10

そのお話しはまたの機会にするとして

話しをクリスマスデートに戻すわね


待ち合わせ場所までの約３０分


パパと一言も会話を交わす事なく

待ち合わせ時間の５分前に到着


待ち合わせ場所のツリーの周辺は


同じように待ち合わせをしている人達で混雑している


パパは車を広場の少し手前に停めると

自分も車を降りてきた

もしかしてパパも一緒に行く気？


「パパも行くの？」


「ああ、パパの大切な園子を攫って行く奴の顔を拝んでやる！」


パ、パパ・・・顔が怖いんですけど・・・

車を降りて広場までの短い距離をパパと並んで歩いてるんだけど・ ・・

パパ～手繋がないでぇ～！

恥ずかしいでしょ！？


無理に振りほどくわけにもいかないし・・・


クリスマスデートの待ち合わせ場所にパパと手を繋いで現れるなん て

世界中何処を探しても絶対私ぐらいだわ・・・

パパに繋がれた手を離したくて指先をモゾモゾ動かすんだけど


余計に力を入れられるばかりで離してくれない


ツリーの側まで来て彼の姿を見つけて

思わずパパの手を振りほどいたんだけど

彼には見られてないわよね？

ママ達は私達から少し離れて着いてきているみたいで


時折、後ろから滋おばちゃんの声が聞こえてくる

デートにパパと現れた私に彼は驚いている


当然よね・・・

当然よね・・・

保護者付きなんだもん・・・


彼の前まで行くと私より先にパパが言葉を発した


「こいつか？」


だから・・・パパ～顔が怖いって！


「う、うん・・・大学の先輩で川野聡介さん・・・です」


彼をパパに紹介するのには最悪のタイミングでの初対面


彼の方も状況が読めなくて固まっちゃってる・・・


「園子の父親の美作あきらだ」


「・・・あっ！聡介さん！紹介するね・・・パパなの・・・」


「エッ？！・・・あ、あの俺・・・じゃなくて私、
　園子さんとお付き合いさせていただいてます川野聡介です！」


慌てて自己紹介した彼・・・


「お前、園子の事本気なのか？」


パパ～初対面で何聞いてんのよ！


慌ててパパのコートの腕辺りを引っ張ったけど


パパには無視されて


「どうなんだ？遊びなのか？」


だから・・・止めてってば！


「あ、いえ！遊びなんかじゃないです！
　僕は園子さんの事が本気で好きです！」


彼からの嬉しい告白なんだけど・・・


またまた複雑な乙女心がムクムクと頭をもたげてきちゃいました・ ・・


「なら大事にしろ！
　もし園子を泣かせるような事があれば俺が容赦しないからな！」


パパ・・・重いって・・・

私はまだハタチなんだからそんなにハードル上げないでよ！


「分かってます。」


「その言葉忘れるな。
　門限は１２時だ！日付が変わるまでに家に送り届けろ！」


「分かりました」


「園子！パパは寝ないで待ってるからな！」


もう！パパ大嫌い！


「返事は？」


「分かった・・・」


「ちゃんと返事しなさい！」


「分かったわよ！
　もう行っていいでしょ！？」


「ああ、行っていいけど、
　絶対に日付が変わるまでには帰って来いよ！
　パパ、起きてずっと園子の事を待ってるからな！」


なんだか面倒臭くなってきちゃった・・・

パパが私の事を心配してくれてるのは分かるけど

そんなに何度もこれ見よがしに門限を連呼しないでよ！

ちょっと機嫌が悪くなり始めた私に気付いた彼は

「僕が責任を持って園子さんを１２時までにお送りします！」


「分かった。
　園子！パパは園子を信じてるからな！」


もう！分かったってば！

分かったから私のコートの裾を掴んでるその手を離してよ！

これが今生の別れってわけでもないんだから！

たかがデートに行くだけなんだから！

もう！パパ～こんな所で泣かないでよ！！

こうなったら逃げるが勝ちだわ・・


「園子・・」


「あ～もう！パパ！分かったから！
　それじゃあ行ってくるね！」

そう言って彼の腕を掴み走り出した


"園子～～！パパは信じてるからな～！"


背中から追いかけてくるパパの絶叫・・


クリスマスイルミネーション輝く街中を

パパの絶叫と涙を背に受け始まったクリスマスデート


いよいよ素敵な夜が幕を開ける




　　　　～fin～





　　　　　　　 Merry Christmas ＆ Happy New Year


　　　　　　　　　　　　　2008/12/24　KiraKira












応援ありがとうございます。♪