Day Light 10
本日は二度目の更新です。
本日のDayLightです🎶
意外な人物登場 & ちょっとだけ前へ…🎵
それではどうぞ~✴
私信です。
拍手コメントのお礼です🎶
☆様
コメントありがとうございます。
どんどんお邪魔しちゃってくださいませ。(^-^)v
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お袋さんの動向を知るには一番近くにいるお前がまず仕事に戻る事だと説得され
司が渋々ながら自分の部屋へと帰って行ったのを皮切りに
あきらも自分の部屋へと戻って行った
NYに部屋を持っていない俺は普段から類の部屋に居候している
いつも使っているゲストルームのベッドに倒れ込むように体を横たえ目を閉じる
静かな夜だった
目を閉じこのまま眠ってしまえば朝になって目覚めた時には
今日の事は全て悪い夢だったんだと・・・
そう思えるんじゃないかと思ってしまう程に静かで穏やかな一時だった・・・
出来る事なら本当に悪い夢であって欲しい・・・
心の底からそう願った・・・
NYの夜が更けていく・・・
翌朝、目を覚ましたのは7時少し前だった
昨夜ベッドに倒れ込んだままの格好で眠ってしまっていたから
軽くシャワーを浴び着替えをして部屋を出ると
リビングでは類が夕べの格好そのままにパソコンと向き合っていた
「よぉ!お前夕べからあのままか?」
「・・・うん・・・日本の仕事片付けてた」
「そっか・・・」
「総二郎は?」
「ん?」
「少しは眠れた?」
「あぁ・・・少しだけは・・・」
「そぅ・・・ならよかった」
「お前は今日どうするんだ?」
「今はゼウスって奴の情報待ちだからとりあえずオフィスに出て仕事を片付けるよ。
総二郎はどうするの?」
「俺はこっちで仕事はねぇから
とりあえずこっちの支部に顔だけだしたら牧野の病院に行ってみる」
「そう・・・じゃあ牧野の事よろしくね」
「あぁ、分かった」
その後30分程で類はオフィスへと出掛けてしまい部屋に残ったのは俺一人だった
9時少し前、そろそろ出掛けようかと考えていたところに携帯が鳴った
携帯を手に取るけれど画面に表示されているのは見覚えの無い番号
この番号を知っている人間はごく限られているプライベート用の携帯だから
普段から見覚えの無い番号からの着信には応答しない事にしている
しばらく鳴っていた携帯だったけれどやがて留守電に切り換わり
手にしたままだった携帯を再び置こうとした瞬間また同じ番号から着信があった
今度はスリーコール考えてからゆっくりと電話に出た
「誰だ?」
『西門総二郎様でございましょうか?』
「そうだが、お前は誰だ?」
『西田でございます』
西田・・・?
西田ってあの西田か・・・?
思ってもみない人物からの電話に思わず黙り込んでしまった俺に
電話口で西田と名乗った男は
『牧野様の事でお話ししたいことがございますので
お時間を作っていただけませんでしょうか。』
ストレートに耳に飛び込んできた牧野という名前に
頭の中で五月蝿いぐらいに警戒音が鳴り響く
「牧野?何の事だ?
俺には関係の無い話しに時間を割く程暇じゃねぇんだ」
『皆様方の動向は全て把握しております。
私もあまり時間がございませんので
単刀直入にお伝えいたしますが今回の件でどうしてもお伝えしなければならない事がございます』
「話す相手を間違ってんじゃねぇのか?」
『いいえ、間違えてはおりません。
私はすでに道明寺の人間ではございませんので。』
道明寺の人間じゃない?!
「どういう事だ?」
『私は先週解雇されました。』
解雇されただと!?
「どこに行けばいい?」
『お車をご用意しますのでそれにお乗り下さい。
行き先は運転手が知っております。
それではお待ち申し上げております。』
それだけ言うと西田は一方的に電話を切ってしまった
思いがけない相手からの電話に
切れてしまった携帯を握り締めたまま
しばらく考え込んでいた
道明寺楓の懐刀だった西田が解雇されていた
そんな情報は入ってきていない
罠か?
油断させ呼び出し懐柔し俺達の動きを封じる・・・
その手始めが俺か?
いや・・・なんとなく違うような気がする
もし司のお袋さんの企みなら俺達を一人づつ懐柔などと
まどろっこしい手段を用いるはずはない
そんな事をしなくてもあの人なら俺達の動きを封じる事ぐらい朝飯前だろう
西田は俺達に牧野の何を伝えようとしているのか・・・?
グダグダ考えていたって真実なんて見つからない
ここは思い切って相手の懐に飛び込んでみるのも手だな
そう思い至って念のために類にだけ連絡を入れ西田が寄越した迎えの車に乗り込んだ
車は俺が乗り込むとすぐに発車し
目的地に着くまで運転手は一切口を開かなかった
移動に要した時間は一時間程
車はマンハッタンを抜けマンハッタンで成功した奴らが多く住む
NY郊外の高級住宅地に建つ一軒の住宅の前で停車した
運転手は相変わらず無言のままドアを開けた
俺が降り立つとそのまま車は行ってしまった
取り残された俺は目の前に建つ住宅の呼び鈴を押した
すぐに出て来たのはラフな格好の西田だった
スーツ姿以外の彼を見たのは初めてだ
「お待ちしておりました。
わざわざこんな所までお越しいただいて申し訳ございません。
どうぞ中へお入り下さい。」
無言のままの俺を中へと促した西田は口元だけ薄く笑みを浮かべていたが
その表情全体には緊張の色を隠しきれていなかった
中に入るとそこはいたって普通の家庭で生活感が漂っていた
案内されたのはリビング
アンティークのソファーが配され壁には大型の薄型テレビが掛けられている
窓からはよく手入れされた芝生の庭が目に入る
庭に子供が遊ぶような物は置かれていないし
サイドボードの上の写真立てもは伏せられている
「ここはあんたの家か?」
「いえ、私の友人の自宅を今日だけ借り受けました。
家人はみな出掛けております。今この家に居るのは西門様と私だけです。」
マンハッタンから離れわざわざ他人の家を借り受け
俺を呼び出すなんてよっぽどの事があるんだろうな・・・
「コーヒーでもお飲みになりますか?」
「いや、いい・・・それよりもさっさと俺をこんな所まで呼び出した訳を聞かせてくれ。」
「畏まりました。では・・・」
そう言った西田は俺の前のソファーに腰を下ろした
対峙するような格好で向き合う俺と西田
「まず最初に突然のお電話でこのような所までお越しいただいて申し訳ございません。」
「それはもういいから先に進んでくれ」
「はい、先程の電話でも申しました通り私は先週、社長より道明寺財閥を解雇されております。」
「原因は聞いていいのか?」
「はい、原因は私が社長の意に沿わない人間だからでございます。」
「あんたがあの人の意に沿わない?なんかの間違いだろ?」
「いいえ、事実でございます。私は長年社長にお仕えして私自身、
社長のお考えや意思など充分に理解出来ていると自負しておりましたが
ここ数年は少しづつですがその気持ちに変化が生じてまいりました。」
「回りくどい言い方だな。」
「申し訳ございません。私自身にも今はまだ迷いがございますもので・・・」
「で?あんたの迷いって?」
「それは・・・私がしようとしている事が長年お仕えした社長を裏切る事になるからでございます・・・」
「裏切るって・・・先に裏切ったのは向こうじゃないのか?」
「いえ・・・私が社長の意に沿えなかっただけでございます・・・」
社長は・・・
楓様は素晴らしい女性です
今でもそう思う気持ちに変化はございませんし
解雇された事を恨みにも思ってはおりません
西門様・・・光のある所には必ず影が存在します・・・
この両者を切り離す事は不可能なのでございます
この前置きで始まった西田の告白は驚愕の真実だった
真実からは目をそらす事は出来ない
そして現実から決して逃れる事は出来ない
「社長は司様が記憶を失いNYへ移られた後もずっと牧野様を監視し続けられておりました。」
「し続けていた?
それは今も続いてたって事か?」
「はい・・・どんな世界にも光の後ろに影が存在するように道明寺にも影は存在します
その全てを知っているのは社長だけです。
いつも社長と行動を共にしていた私でさえ
その存在の全てを知らされてはおりませんでした。」
「知りたいとは思わなかったのか?」
「今となっては後悔しておりますがその当時は思いませんでした・・・
以前より薄々おかしいとは感じてはおりましたが
社長のお側で仕事をしていてこの世界・・・
綺麗事ばかりでは済まされない事もあると認識しておりましたので
必要悪だと考えておりました。」
「それで?結局あんたは何が言いたいんだ?
今までの話しは俺にはあんたの自分勝手な懺悔にしか聞こえねぇけど?」
「回りくどい言い方で申し訳ございません。
私は決して懺悔などしたいとは思っておりません。
話しを続けさせていただきます。」
西田はそう言って顔を少し伏せ気味のまま目を閉じると大きく深呼吸をした
「今回の牧野様の自殺未遂は社長の命を受けた者による偽装殺人です・・・」
殺人・・・?!
選択肢の中にはあった
今までの不自然過ぎる状況から十分考えられる選択肢ではあったけれど
無意識の内にその言葉を避けていたような気がする
殺人・・・
司のお袋さんがまさかそこまでするとは考えたくはなかったし
何より司と牧野が会わなくなってからすでに10年の時を経ている
今さらあの人が牧野に対しそれほどの脅威を抱いているとは考えにくかった
それに希望もあった・・・
仮にもあの人は親友の母親だ
いくら俺達がいい感情を抱いていなくても
どれだけ司との親子関係が冷え切っていたとしても
あの人が司の母親だという事実は変えられない
だから信じたくはなかった・・・
「証拠はあんのか?」
「確たる物証はございません。ただ・・・」
「ただ?何だ?」
「私が調べうる限りの事柄はこちらに記してございます。」
西田が差し出したのは一冊のファイル
それを受け取り中を確認する俺の指先が少し震えていた・・・
ファイルに書かれていたのは牧野の監視報告書と
夕べジャックが話していたゼウスと言う男の素性だった
「ゼウスの本名はライアン・コール
ミシガン出身の元レンジャーです。」
「そいつは道明寺の社員なのか?」
「いいえ、彼は一匹狼の掃除屋です」
「掃除屋?」
「はい、正攻法だけでは解決しえない諸々の問題を専門的に解決する人間です。」
「それが掃除屋か?」
「はい、彼の仕事は多岐に渡っております。
たいていは交渉を優位に進めるための情報収集が主ですが
時には直接的な行動に出る場合もございます。」
「それが殺人・・・ってか?」
「はい・・・脅迫に暴行、監禁等目的の為には手段は選びません。」
「あの人はそんな危ねぇ奴とも付き合いがあったのか・・・」
当然この世界には闇に紛れ人知れず汚い仕事をする人間が存在している事は分かっている
だけど西田の言葉を全てそのまま鵜呑みには出来ない
殺人さえ厭わない人間は珍しくないだろう
そしてそんな人間を重宝する人間も珍しくはないだろう
全てを綺麗事で済ませるつもりは毛頭無いけれど
けれど・・・
道明寺楓が牧野にそこまでする必要があるのだろうか?
「ゼウスについては分かったけれど・・・
あの人がそこまでする動機は何だ?今さら牧野を殺す理由なんてねぇだろ?!」
冷静に・・・
冷静に・・・
不穏な気配を感じれば感じるほどに
冷静になれ!と自らに言い聞かせてきたけれど
西田の口から次々と明かされる真実に
つい言葉尻がきつくなる
「それは・・・そちらのファイルを見ていただければ分かりますように
社長も以前は牧野様をそれほど脅威には感じてはおられませんでした・・・」
俺が手にしたままのファイルに視線を落とした西田がつぶやくような声でそう言った

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