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螺旋 6

こんばんは。🎵

予告していた『螺旋』です。🎶

短くてごめんなさいm(__)m


それではどうぞ~✴












凄っ!

久しぶりに見たけど
相変わらずだわこの姉弟‥


「うるさいわね!
病人なんだから大人しく寝てなさい!!」

「痛ぇーんだよ!!
んで殴んだよ!?」

「うるさいからよ!あんたは一日入院よ!
明日、様子を見てなんともなかったら退院できるから
今日は大人しくしてなさい!!」

お姉さんも彼に負けず劣らずの大声でそう言うと私に向き直り

「つくしちゃん、このバカはもう大丈夫みたいだから帰りましょうか?」

「えっ?!あっ、は、はい・・!」

「ダメだ!つくしはここに居ろ!
帰りたきゃ姉ちゃんだけ帰れ!!」

そう言った彼が私の腕を掴もうとしたよりも一瞬早く
椿お姉さんの拳が彼にヒットした‥

「つくしちゃんだって忙しいのよ!あんただけにかまってられないの!!」

「ダメだ!だったら俺も帰る!!」

ベッドから出ようとした彼を再びお姉さんの拳が襲う!

もぅ!殴られるの分かってるんだから大人しくしていて欲しい‥

見ているこっちがヒヤヒヤするわよ!

「我が儘言うんじゃないわよ!!」

「司?駿と莉緒が心配だから今日は帰るわね。
明日の朝また来るから。」

納得できない表情の彼を全く気にすることない椿お姉さんに腕を引っ張られて病室を出た

後ろ髪を引かれる思いだったけど、とにかく一度自宅に戻らなくてはいけないのも事実

いくらもう17歳だと言ってもまだまだ子供だし

何より先ほど、司の普通じゃない状況を目の当たりにした駿の事が気になった


「つくしちゃん、ごめんなさいね。」

「いいえ、私なら大丈夫ですから。」

「ありがとう・・ねぇ、つくしちゃん今から少し時間あるかしら?
少し話しておきたい事があるんだけど。」

「はい、大丈夫です。
それじゃあ、もしよろしければ家へいらっしゃいませんか?」

「いいの?」

「はい。狭いところですけど。
駿と莉緒も帰ってるころだと思いますから、二人にも会っていただけませんか?」

「つくしちゃん!
本当にありがとう!」

私の両手を握り締めながら涙ぐむお姉さんの姿を見ていたら高校生だった頃を思い出してしまう

あの頃だってお姉さんには心配ばっかりかけて

あんなに応援してもらってたのに

何度も何度もすれ違って傷つけて傷つけられて

それでも忘れられない想いが私の中に確かに存在している

どれだけの時間が経とうとも変わらない想いがある

今はもうその想いを無理やり押し込める必要もないはず

若かったあの頃の成就しなかった恋愛の続きをすることは出来ないけれど

今の私達でまた一から始めればいい







椿お姉さんを案内して自宅へと帰り着くとリビングには駿が居た

振り返り私の姿を確認した駿は‥


うっ!

機嫌が悪いのが分かる

私に恐ろしく不機嫌な視線を向けてくる駿

司にそっくりなその表情はわが子ながら思わず後ずさりしたくなるほどの威圧感を伴っている

「た、ただいま‥」

返事はない

「莉緒は?」

「バイオリンのレッスンに行った。」

「そ、そう‥あのね、駿?
紹介するわね、こちらは道明寺椿さん。
あなたの伯母様よ。
ちゃんと挨拶しなさい。」

私の言葉に駿はソファーから立ち上がると挑みかかるような瞳でお姉さんの前に立ち
軽く会釈しただけですぐに私の方へ視線を向けた

「あいつ、どうなったんだよ!?」

ぶっきらぼうだけど一応、司の心配をしてくれているのだろう

「今日は念のため入院する事になったけど、もう大丈夫よ。」

そう答えると何も言わずにリビングから出て行きかけたが

リビングの入り口付近で立ち止まるとこちらに背中を向けたままで

「お袋!好きにしていいから・・」

「えっ!?」

「莉緒、迎えに行ってくる!」

どういう意味なのか問い直す間もなく駿は出て行ってしまった

「申し訳ありません。
愛想のない子で‥お姉さん?」

呼びかけるとハッと我に返ったようなお姉さんと視線が合った途端
お姉さんの瞳からは再び静かに涙が零れ落ちた

「お、お姉さん?」

「つくしちゃん・・ありがとう!
あんないい子に育ててくれて!」

涙声で途切れ途切れで伝えられる言葉

でも‥いい子?

駿が?

「あ、あの‥いい子って駿がですか?」



「そうよ、昔の司にそっくりな瞳で‥
なんだか英徳でつくしちゃん達と一緒だった頃の司に会ったみたいで‥」

あの頃の司

短気で我が儘で凶暴でどうしようもないバカな奴だったけど

まっすぐに私に向けられる瞳はどんなに不可能だと思える事でも彼なら実現させてしまうんじゃないかと
思わせる強い力を持っていた

私はそんな彼が大好きだったんだ

再び取り戻せるだろうか?

あんな彼を

二人が一緒なら出来るのだろうか?

いや!今は四人だ!

駿と莉緒も一緒に
四人で家族として取り戻すためにがんばってみよう!

大丈夫!みんな一緒なら怖くない!









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kirakira
Posted bykirakira

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