Family 73

ご家族の邪魔にならないように

尚且つ、素の表情が撮れるように

さりげなくスタートした取材

道明寺氏は四人のお子様達とツリーの飾り付けをしている


色とりどりの綺麗なオーナメント

双子ちゃん達が付けたオーナメントは
下の方ばかりだから付けた瞬間から
ワンちゃん達が引っ張り外れてしまう

それをワンちゃん達から取り返し
また下の方に取り付けるから
ワンちゃんに外されてしまう‥


双子ちゃん達は怒っているんだけど
ワンちゃんは遊んでいるつもり

付けては外され

取り返しては付けて

の無限ループがツリーの下で展開されているのを微笑ましく見ていた


下以外は道明寺氏と二人の坊っちゃん達によって
順調に飾りつけが進んでいる

ん？


飾り付けをする道明寺氏に釘付けになっていると
フラッと視界の端を何かが通り過ぎた



音も無くフラッと視界を過った物体？は
そのままフラフラとソファーへと倒れ込んだ


「あれ？類？おはよう。
早かったんだね？」


「ん？おやすみ‥」


「お、おやすみ‥？」


フラッと横切ったのはＦ４の一人の花沢氏だった


美形揃いの中でも道明寺氏とは全く違うタイプで
道明寺氏は気難しくて冷酷ってイメージなのに対して
花沢氏はその風貌から王子様的な雰囲気を漂わせていて
一見すると穏やかで優しい印象を受けている人が多いと思うけれど

実際は冷酷さでは道明寺氏以上かもしれないし
気難しくはないがとにかく気まぐれで
どうやら私達取材クルーは彼の視界には入っていないようだった

とりあえず挨拶をしようとプロデューサーが話しかけても
見事にスルーされていた

うちのプロデューサーって学生時代にはアメフト部で
無駄にデカイ身体と態度で存在感は抜群のはずなのに‥


余計な物っていうか‥


花沢氏には奥様と双子ちゃんしか見えていないみたい


そしてそんな花沢氏を追いかけるように入ってきたのは
どうやら花沢氏の秘書さんのようで

真冬なのに額には汗を浮かべ

両手には大量の荷物を持っていた


「失礼いたします。」


「南條さん、お久しぶりです。」


「こちらこそご無沙汰しております。
お騒がせして申し訳ございません。」

「いえいえ、気にしないで下さいね。
類はお仕事だったんですか？」


「はい、先ほどパリから帰国したばかりでございます。
空港からこちらに直行されるとの事でしたので
お着替えも準備しておりますので
お願いしてもよろしいでしょうか？」


「はい、大丈夫ですよ。
類も疲れているようなので後は引き受けます。」


「よろしくお願い致します。ですが機内でもこちらに向かう車中でも
ずっと寝ておられましたので疲れているとすれば
寝過ぎで疲れているだけでございます！」

少し強い口調で花沢氏に聞こえるように言った秘書さん

「そ、そうなんですか‥？」


「南條、うるさい！
用が済んだらさっさと帰って！」


「分かりました！帰りますよ！
明日は朝の７時にお迎えにあがりますので
ちゃんと起きてて下さいね！
それでは、私は失礼いたします。」

取材クルーにも軽く会釈して帰って行った秘書さん

道明寺氏の秘書の西田さんとはまた違ったタイプだけれど

こちらはこちらで大変そうだった‥


そう感じながら視線をソファーに突っ伏している花沢氏に戻すと

彼はコートも脱がず近くにあったクッションを抱きしめたまま夢の中


「ほら！類！
皺になるからコート脱いで！
着替えるんでしょ？」



奥様が寝てしまっている花沢氏を揺り動かしながら
声を掛けているけれど花沢氏の反応は鈍い


「ん～‥牧野‥お願い‥」


「もぅ！我が儘なんだから！
ほら！腕抜いて！」


奥様が寝ている花沢氏のコートを脱がせようとしるけれど

脱がせてと言って花沢氏はあまり協力的じゃなくて

道明寺氏と大差ない体格の花沢氏に苦戦されている

花沢氏が現れてまだ５分も経っていないと思うんだけど

花沢氏のイメージがガラリと変わってしまいました‥






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