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続・ミッションインポッシブル 9

こんばんは。🎵

スーパーサラリーマンシリーズのミッションインポッシブルの続編です。🎶

それではどうぞ~✴








「は、はい・・・多分」

「どこも怪我とかしてない?」

「はい、それは大丈夫ですけど・・・俺の一張羅が・・・」

「ごめんね、スーツは日本に帰ったらちゃんと新しいの買ってあげるから泣かないで」


な、泣いてません!

泣いてなんていません!

流石に最後の言葉には反論しようと思ったんだけど

それより先にまだ俺の襟首を掴んだままの道明寺さんが怒鳴り声を上げた


「日本には帰んねぇーよ!」


「私は帰るのよ!第一あんたが浦添君を引っ張ったりするから
 スーツが破れるんじゃない!あんたも謝んなさいよ!!」


「帰さねぇーし!引っ張ったのはお前だし!
 俺様は謝んねぇ!」


「もう!勝手に言ってればいいわ!
 分からず屋のバカ男!」


「テメェ!ご主人様に向かってバカとはなんだ!?バカとは!?」


「バカだからバカだって言ってんのよ!
 とにかく私達は日本に帰るんだからさっさと浦添君から手離しなさいよ!」


あの~お言葉ですが・・・

道明寺さんの手はとっくに俺の襟首から外れてるんですけど・・・

二人は喧嘩に夢中で気付いてないみたいですけど・・・

日本語で怒鳴り合ってるお二人は結構注目浴びちゃってて

さっきから沢山の人達がわざわざ立ち止まって

事の成り行きを見守ってるんですけど

気付いてないですよね・・・

「あの・・・牧野先輩・・・」

「浦添君はちょっと黙ってて!」

「・・・は、はい・・・ですが・・・あの・・・」

「お前はさっきから何なんだよ?!
 用があるんならさっさと言え!」

「浦添君に八つ当たりしないでよ!」

「八つ当たりなんてしてねぇーよ!」

誰かまともに俺の話しを聞いてくれる人はいないのか・・・?


「とにかく私は浦添君と一緒に日本に帰るの!邪魔しないで!」

「お前もこいつも絶対に帰さねぇ!」


お、俺もですか?!

「空港閉鎖してやる!」

「こんな時に権力使うなんて卑怯者!!」

「なんとでも言ってろ!
 オイ!西田!空港閉鎖しろ!」

「畏まりました」


畏まりましたって・・・


畏まりましたって・・・


空港閉鎖だぞ?!

マジでそんな事出来るわけない・・・とは思うけど

ここ数週間で俺の価値観を根底から覆すような事ばかり起っていて

この人なら空港を閉鎖するぐらい朝メシ前で出来てしまうような気もする・・・

「あ、あの、お二人ともちょっと落ち着きませんか?」

「私は落ち着いてるわよ!」

「俺は落ち着いてんだよ!」


重なる二人の声・・・

息ピッタリじゃないですか・・・

思わず口を挟んでしまった事で

口撃の矛先がこちらへと向いてしまった

「そもそもテメェが酔っ払ってベラベラしゃべっちまったからややこしい事になってんだろーが!」


お、俺のせいっすか・・・?

確かに酔っ払って喋ってしまったのは悪いとは思いますけど・・・

「痛てっ!ご主人様を蹴るんじゃねぇ!」


「何がご主人様よ!?元々はあんたが浦添君に変な事頼んだのが原因でしょ!?
 彼に八つ当たりしないで!」

牧野先輩の蹴りが臑にクリーンヒットして

思わず崩れかかった道明寺さんだったけど

すぐに体制を立て直して次の攻撃に備える為か

身体を半歩ずらしている

「俺様は八つ当たりなんてしてねぇぞ!
 お前が我が儘言ってるだけじゃねぇかよ!」

「私は我が儘なんて言ってないわよ!」

「我が儘ばっかりじゃねぇかよ!
 いきなり日本で働きたいって言い出したり
 3年だけだって約束もまだやり残した事があるからって勝手に延長しやがって!
 俺がNYでどんな気持ちで待ってたかちっとぐらい考えやがれ!」


「考えたわよ!考えたから戻るって決めたんじゃない!
 それにやり残した事があるって話した時、あんたも賛成してくれたじゃない!
 今さらあの時の事持ち出してネチネチ言わないでよね!」

「ネチネチなんて言ってねぇ!
 とにかく素直に帰ってこないお前が悪い!」


「・・・た、確かに先延ばしにしたのは私も悪かったけど・・・
 だけど浦添君使って変な小細工したあんたも同罪よ!」


「だからそれは悪かったって言っただろ!
 こいつ使った事は悪かったと思ってるけどじゃあどうすればよかったんだよ?
 俺は限界だったんだよ!もうこれ以上一秒だって待てねぇからな!
 どうしても帰るって言うんだったら俺も仕事全部投げ出して一緒に帰るからな!!」

最後にとんでもない脅し文句が飛び出したけど

浮かんできたのは道明寺さんが帰るなら俺も帰れるかも?!

なんて現実離れした願望だった・・・


「そ、そんなバカな事出来るわけないでしょ?!」

「出来るよ!俺はお前が一緒にいてくれるんだったら何もいらねぇんだよ!」

「バッカじゃないの!?」

「バカで上等だ!お前に惚れた時点で俺の覚悟は決まってんだ!
 後はお前次第なんだよ!」

「・・・・・・」

「どうすんだよ?!さっさと決めろ!ここから飛行機に乗って日本に帰るか?
それとも残るか?どっちにしても俺はもうお前から離れねぇぞ!」

目の前で繰り広げられていた夫婦喧嘩と言うか・・・

ジャレ合いと言うか・・・


聞いているこちらが恥ずかしくなるようなストレートな愛の告白に

牧野先輩から急速に戦意が喪失していくのが分かる

道明寺さんを睨みつけていた牧野先輩の目から怒りは消え

変わりに涙が浮かび始め

少しの沈黙の後、牧野先輩がゆっくりと道明寺さんに抱き着いた

「あんたって・・・ほんとバカ・・・」

「バカを連呼すんな!ドブス!」

なんだこれ?

すっかり甘い二人だけの世界に浸っている牧野先輩と道明寺さん


公衆の面前での大喧嘩に

何事かと足を止め二人の成り行きを見守っていた人々の間から歓声が上がる

口笛を吹く人

拍手をする人

いろいろいるけど

二人の間で心配してオロオロしていた自分がバカみたいだ


ダメだ・・・


ここにきてどっと疲れが・・・


自分のベッドが恋しい・・・


道明寺さんと牧野先輩は熱い~抱擁の後

しっかりと手と手を絡めあって


さっさと元来た道を戻り始めている



俺はどうすればいいんだ?









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kirakira
Posted bykirakira

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