Emergency 3

道明寺達が退席した後は今まで長机の一番端っこに座っていた

スーツ姿の厳つい男性と所轄の署長さんと副署長さんだと言う

制服姿の男性が中央に座り


引き続き会見が行われている


捜査(？)状況を説明って言ったって大して説明する事はないようで


私の名前だとか身体的特徴などを繰り返しているだけだ・・


捜索願が出されたのは26日の夜で直ちに捜査が開始され


私の立ち回り先などが調べられたが所在は掴めず


誘拐の可能性もあった為、非公開で2日間捜査が続けられたが


犯人からの要求はもとより私本人からの連絡もなく


携帯電話も使用された形跡がない事から公開捜査に切り替わったらしい・・のだが


この迅速な捜査状況はひとえに捜索願いを出した道明寺によるもの・・


何より捜査本部が道明寺財閥の本社ビルに

設けられている事を見てもそれは一目瞭然・・・


あ～あ～思い出されるのは高等部の時・・


あの時も私、東京中のおまわりさんに追いかけられてたのよね・・


でもあの時はまだ非公開だったから・・


ＴＶで自分の顔写真とご対面なんて事はなかった・・


今さらなんだけど・・


非公開のままにしておいてほしかったなぁ～・・・


そして締めくくりは・・・・


"牧野つくしさんについて何か情報をお持ちの方、もしくは目撃されたという方は
　どんな小さな情報でも構いませんので捜査本部までご連絡ください。"



ここで一度、言葉を切った捜査官サマ・・・


"尚、道明寺氏より牧野さん発見に繋がる情報をお寄せいただいた方には
　謝礼をお支払いする用意があるとの事です。"


と締めくくった・・・・



途端にテンションの上がる記者さん達・・・



"それは懸賞金だと考えていいんですか？"


"いいえ、懸賞金というより謝礼金だと考えていただければ・・"


"具体的に金額は提示されているんですか？"


"・・は、はい・・一応は提示されていますが・・
　ここで金額を公表するのは差し控えさせていただきたいと思います。"



"どうしてですか？"


"何か問題でもあるんですか？"

"具体的な金額を公表したほうが情報も集まりやすいと思いますが？"

"どうなんですか？"



矢継ぎ早に出される質問に警察側は小さな声で二言三言、言葉を交わすと



"分かりました、それでは公表いたします。
　道明寺司氏から提示されている謝礼金は一億円です。"



い、いいいちおく・・えん・・？？？



金額を聞いた瞬間、ＴＶの画面はスタジオに切り替わり


キャスターさんが一億円を連呼している・・・


私はサイドボードに置きっぱなしのバッグを手に取ると


慌てて携帯電話を取り出した


病室内で携帯電話は使用禁止だけどこの際、そんな事は言ってられない



緊急事態だ！！


メモリーの中から道明寺の番号を呼び出してダイヤルする


慌てて道明寺の携帯にダイヤルする



『プルッ・・』


呼び出し音がワンコール鳴り終わるかどうかの

もの凄いタイミングで道明寺は電話に出た








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