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10年後のアイラブユー

こんにちは。🎵

本日は仲良くしていただいている☆様からのリクエストのお話しです。♥
タイトルは☆様に付けていただきました~🎵ありがとうございます。💕

『10年後のアイラブユー』です。🎶

それではどうぞ~✴



私信です
☆様
こんにちは👋😃
コメントありがとうございます。😆
ハイ!最終的にはどちらもハッピーエンドを目指してます!(#^.^#)








「つ、付き合って下さい!」

「何処にでしょうか?」

邪気を感じさせない真っ直ぐな視線


「あ、あのお食事‥」

「あっ!気づかなくてごめんなさい!
お腹空かれてたんですね!これどうぞ!」

弾けるような笑みで目の前の男に
オードブルの乗った皿を差し出している


ハァ~

ハァ~


渾身の告白だったろうにな‥

ガックリと肩を落とし立ち去る男達






「あいつ、鬼だな‥」

「いや!悪魔だ!」

「牧野は猛獣使いでしょ」


日本を代表する大手ゼネコンの田岡建設の創業70周年を記念した祝賀パーティー

東京メープルの大広間で開催されているパーティーに俺達は出席している

俺達ってのは類と総二郎と牧野と俺
美作あきらの四人で

今の複雑?な状況を説明するには
ちょっとばかし時間が掛かるので

とりあえずは鬼だの悪魔だのの説明を先にすると

パーティー会場の一角

飲食スペースで先ほどから図らずも超鈍感女に惚れてしまった哀れな男達の果てしない攻防戦が繰り広げられていて

鈍感女に玉砕してゆく男達を眺めながらの率直な感想


牧野を口説こうなんて連中が何人玉砕しようとも同情はしないけれど

この鈍感ぶりと天然が俺達にも発揮されているからたちが悪い


10年前

暴漢に刺され一命はとりとめたが
牧野の事だけを綺麗サッパリと忘れるというミラクルを起こした司が
そのままNYへと渡ってしまい周囲を巻き込んだ嵐のような恋愛が幕を閉じた


二人のその後の接点は司が帰国した
3年前まで全く無し


NYへ渡った司は大学に通いながら財閥の後継者として仕事も始め
一時期は俺達でもまともに連絡の取れないほど多忙を極め

在学中から世界中を飛び回り
幾つものプロジェクトを成功させ
怪物のような財閥の後継者としての
確固たる地位を築き上げていた


ビジネスの才覚は超一流

常に冷静沈着で完璧主義者

国家元首並の財力に完璧な外見

憂いを帯びたような横顔に


って!


ガキの頃からの付き合いの俺達は誰の事だ?と思うほどの世間の評判


確かにあいつのビジネスの才能ってやつには
これまでの実績を見ても頷けるし
俺達も一目置いている事は確かだけれど


それ以外の所謂、私生活ってやつは‥

NYへ渡って以降、見事なまでに女っ気はない

寄ってくる女は星の数ほどいるが
全く女に興味を示さないどころか

お袋さんが持ってくる見合い話しも全て断っている


って‥

すんげぇ控え目な表現であって

見合いでもパーティーでも司に言い寄って玉砕した‥


文字通り砕け散った女の数は数知れずで
今や周囲は司はゲイなんじゃないかって思い始めている


あいつがゲイって‥

あの頃を知っている俺達にしてみれば
笑い話でしかないけれど笑っていられないのが司のお袋さんで


なんとか自身のお眼鏡に叶う良家のご令嬢と
政略でも仮面でも結婚させてしまおうと頑張っていたみたいだったが

それらのお嬢様方も最初は司との結婚に乗り気だったとしても
司の冷酷非情さと無慈悲さに嫌気がさし
ご令嬢側から破談にされるって事が続き
流石のお袋さんもお手上げ状態のようで

日本支社に支社長として赴任した以降は
見合い話も鳴りを潜めている

ってのが先週までの司


日本支社長として3年前に帰国した司

この時点では奴の記憶は戻っていなかった


そして牧野はと言えば

司がNYへ行ってしまった後も何とか英徳に留まり無事に卒業し

卒業後は俺たちの強力な後押しで
英徳の大学部へと進級してきた

大学部には高等部からの進級組も多いが
授業料は高いが大学としての設備は
潤沢な寄付金のお陰で日本でもトップクラスで
偏差値にしても日本でトップ10に入る程高く

大企業トップの子息が多く在籍する事が知られているため
優秀な生徒が数多く集まってきている


その中で特に偏差値の高いのが法学部で
毎年、何人もの生徒が在籍中に司法試験を突破するほど


牧野はその法学部に自力で合格してしまった

牧野を大学部に進級させるぐらい俺達なら簡単な事だったから
その準備はしていたが成績は良かった牧野は
進級すると決めた途端、持ち前の根性を発揮し
自力で最難関の法学部に合格してしまい俺達の出番は無し

弁護士になるという将来の目的を得た牧野は俄然やる気になり
成績優秀者だけが取得出来る奨学金も得て
活き活きと大学生生活を謳歌し始めた牧野

俺達にしてみれば大誤算だった


確かに進級を勧めたのは俺達だが

俺や類がいる経営学部か総二郎がいる文学部に進級させるつもりだった

俺達の目の届く場所に置いておくつもりだったのに‥

高等部から進級してきた奴らの中には
未だに司の事で牧野を目の敵にしている奴らもいる

そんな奴らから守る為に


そして外部から進級してきた奴らにも目を光らせる為にも

同じ学部でと考えていたのに

その目論みは見事に外れ新学期早々に
やっぱりな展開になっていた


特別美人って訳じゃないし
オシャレとも無縁で唇が乾燥しちゃうんだよね~なんて言いながら
俺達の前で薬用のリップを塗っているような女なのに

何故か男が寄ってくる


男だけじゃなく女も寄ってくる


そして老若男女構わず寄ってくる


天性の人たらし


だが本人は全くその事に気づいていなくて
邪心などなくいつでもどこでもお人好しパワーを発揮しまくっていて

あいつの姿を探してキャンパス内をウロウロしていると
たいてい男を4~5人従えた牧野を見つけることになり

無表情で無言のままMAXで怒っている類を何度も見ていた

どうして俺達が牧野をこんなにも気にかけていたのかって?

それは簡単


司が居なくなった後、傷ついた牧野を気にかけている内に
自分の気持ちに気づいてしまったから

類は早々にストッパーを外し

優しいよく気が利くお兄ちゃん的ポジションから
ステップアップしたいと思い始めていた俺と

そこに女遊びから綺麗さっぱり足を洗い参戦してきた総二郎


他の男なんて目じゃねぇけど

幼なじみで互いの性格を知り抜いている二人は強力な恋敵だったが
キャンパス内では暗黙の了解であいつに群がる男共を協力して蹴散らしていた


雑魚を牽制しつつ類は語学を教え

総二郎は茶道を教え

俺はダンスやテーブルマナーを教え


る‥と三者三様の理由をつけ牧野の側で見守り続けた


結果‥


これがまたしても予想外の展開を見せる


全く!この鈍感ボケボケ天然女は俺達の予想の斜め上を行きやがる!


蛹が羽化するように少しずつ少しずつ
ゆっくりと大人の女へと成長した牧野は

俺の両親は勿論だが総二郎と類の両親にも気に入られていて

俺達が居ない時にでも屋敷に呼び出され
俺達抜きで両親と飯を食っている事もある


今日のパーティーにしても事情がちょっと複雑で


俺と類が招待されているのは仕事上の付き合いがあるからだけど

牧野は俺達のパートナーとして出席しているわけじゃない

主催者である田岡建設の社長夫人が西門流の婦人部の会長を勤めていて

その夫人の大のお気に入りが牧野なのだ


大学在学中から総二郎の弟子として
西門流の茶会に出席していた牧野

最初は当然、風当たりが強く肩身の狭い思いをしていたのだが

明るく裏表の無い性格と元来のガッツで
あっという間に逆風を追い風に変えてしまった

今やあいつは日本の社交界では知らない奴はいないほどの有名人で
注目度も半端ない

今日は田岡建設のパーティー

社長夫人のお目当ては牧野であって
俺達じゃない

そりゃ美作も花沢も田岡建設とは取引があるので招待はされているし
総二郎にしても西門流の若宗匠として招待はされてはいるが

どちらかというと牧野のオマケのような存在だ


今夜の牧野はパートナーは伴わず
社長夫妻と共に会場に登場していた


ワンショルダーの濃紺のドレスを身に纏い
艶やかな黒髪は軽くウェーブがかけられていて
剥き出しの肩から腕にかけての白く滑らかな肌を惜し気もなく男達に晒している牧野の元には
次から次へとハエのように男共が寄ってきている


ほら!見ろ!

また類が無表情で無言のまま怒りがMAXになってるぞ!


まぁ、そう言う俺も総二郎も内心ではあいつに群がっている男共を
一人残らずぶちのめしてやりたい心境だけどな!


本人は至って普通?

いつもの鈍感っぷりを発揮しまくっていて
大口開けて田岡夫人が牧野の為に用意した料理を食ってやがる

こんなパーティーでの食事なんて形式だけ準備されているのがほとんどで
並べられている物にしても一口で軽く摘まめる程度の物ばかり

シャンパンやワインなんかと一緒に少しだけ口に入れるってのがほとんどで
若い女性は特に周囲の視線を気にしてか
何も食べない女性が多いなかであいつはガッツリ食う!


周囲の視線なんて気にせず大口開けて旨そうに次から次へと食っている

そんな牧野の様子を嬉しそうに見守っている田岡夫人

端から見ているとまるで本当の親子のようにも見えてしまうほどだ


「あ~あいつ‥すっかり餌付けされてんな?!」

「あいつを手懐けるのに食い物が一番だからな‥」


「牧野見てたら俺もお腹空いてきちゃった。
あきら、何か取って来てよ。」


「ガキじゃねぇーんだから自分で行って来い!」


「あきらのケチ!」


「ケチとか言うな!
それよか司はまだNYなのか?」


「ん?司?
どうなんだろう?でもなんかトラブってるとか言ってたから
まだ掛かるんじゃない?」


「そうか‥あいつ‥どうすんだろうな?この状況を‥」

最後のは出るとも無しに出た言葉


ちょうど一週間前


俺達が一緒にいるタイミングで記憶を取り戻した司

きっかけがあったのか?なかったのか?

その場に居合わせた俺達にも分からない


3年前、NYから帰国し日本支社の支社長として活躍し始めた司


この時点では記憶は取り戻しておらず
牧野との接点もほぼゼロのままだったが

先週、久しぶりに時間が合い4人で飲むことになったメープルのラウンジの個室で
疲れていたのか珍しく俺達と飲みながらウトウトし始めた司


寝るのは類の専売特許なのに
その類よりも先にウトウトし始めた司に
珍しいこともあるもんだと思いながらも
そのままで俺達は飲んでいた


時間にして10分か15分ぐらいだったはずだが
目を覚ました司は全て思い出していた


それだけ‥


頭が痛いとか魘されていたとか全く無しで


思い出した司にしても暫く状況が理解出来なかったようで

ぼんやりとした視線を宙に漂わせた後、
徐に”牧野に男はいるのか?”と聞いてきた


それが先週の話しだ


声を荒げるでもなく暴れるでもなく
俺達が拍子抜けするほどただ淡々と過ぎてしまった時間を受け入れていたように感じていた


司にとって牧野はもう過去の事なのだろうか?

ただ思い出しただけの今さらな過去なのだろうか?


その場で俺達から牧野は弁護士をしているとだけ聞いた司は
“牧野には何も言うなよ!”とだけ言い残して仕事の為にNYへと行ってしまったっきりで連絡はない


そもそも牧野はどう思っているのだろうか?

この10年、あいつの気持ちを確かめた事はなかった


ただ年頃になった牧野に対して田岡夫人が見合いをセッティングしているのは知っていたが
今のところ牧野にその気はないようで上手く断っているようだが
今は見合いよりも俺達の目の前で牧野に付きまとっている男を引き剥がしにかかる


この男も日本を代表する大手ゼネコンの御曹司で
半年程前にイギリス留学から帰国し
パーティーで牧野を見かけそれ以降、何かと付きまとっている奴だ

家柄も財力もルックスも俺達より少々劣るが
まぁ~全体的に見てそこそこなのだが
とにかく押しが強い奴で

押しの強い男に弱い牧野が最近では何となく引っ張られているように感じている

パーティーもそろそろお開きの時間

“ご自宅までお送りしますよ。”なんてふざけた事をほざいている男から
牧野を引き剥がすべく動こうとした瞬間


表現のしようの無い圧倒的なオーラを身に纏った男がパーティー会場に現れた








10年

この衝撃が分かるか?


忘れていた事すら忘れていた10年間

記憶が戻った状況が余りにも呆気なさ過ぎて今の状況が上手く理解出来いまま
どうしても外せないNY出張へと出かけたが

頭だけじゃなく心も身体も支配するのは牧野の事だけ

10年ぶりに甦ったたぎるような熱い想いが
うねりとなって何度も何度も押し寄せる


そんな状態でまともに仕事になんて出来るわけもなく
NYでの予定を切り上げ東京へと戻ってきた

この10年間、まともにあいつと話しをした事はなかった

ただ日本に帰国後に時折、パーティーで顔を合わせる程度で
その時でさえも言葉を交わした事は無く
たいていあきら達が牧野の側に居てガードしていた

女に全く興味の無かった俺は大事そうに一人の女を取り囲み
ガードするあいつらを鼻で笑っていただけなのに

今はあいつらでさえ牧野の視界に入る男は全てぶっ飛ばしたい

勝手な想いだって事は分かっているが気に入らねぇもんは気に入らねぇ!


今夜、あいつらがメープルで開催されているパーティーに出席している事は分かっている

機内でタキシードに着替え空港からリムジンに乗り込み
メープルへと直行した

今夜、決着を付けてやる!


パーティー会場に入ると周囲の視線が俺へと注がれる


ウザいその視線を全て無視したまま
目指すは一点


大口開けてローストビーフを食ってやがる
愛しい女の元へ


会場内にいるあいつ以外の人間は全て俺の存在に気づいているのに

食い物に夢中のあいつだけ気づいてねぇ‥


そんな所があいつらしくて‥

あの頃と変わってなくて‥

ちょっとだけホッとしている俺が居るが

隣の男は誰だ?!


馴れ馴れしくあいつの腰辺りに手を置き
牧野に話しかけてやがる


脇目も振らず一気にあいつの前まで歩を進める


「オイ!その男誰だ?!
消えろ!!」

俺の牧野の腰に手を置いている野郎を追い払う


「ホヘッ?」


ちょうどローストビーフを食べようと大口を開けていた瞬間の問いかけに返ってきた間抜けな返事

突然の俺の登場に大口開けたままで大きな瞳を更に見開いたままの牧野に構わずたたみかける


「お前はちょっと目を離すとすぐに他の男にキョトキョトしやがって!」


零れ落ちそうなほど見開かれた大きな瞳で
瞬きもせず俺の顔を凝視しているだけの牧野


「オイ!聞いてんのか?ブス!」


状況が理解出来ず俺を凝視したままの牧野だったが
流石にブス!という言葉には反応を見せ

大きく見開いたままだった瞳を今度は最小限まで細め
眉間に皺を寄せている

ヤベェ?!ちょっと言い過ぎたか?
とも思ったが言っちまったからにはしょうがねぇ

当初の予定通りこのまま勢いで押し通す作戦を続行する


記憶が戻って一週間

俺の元に届けられたあいつの調査報告書には

あいつの現在の職業や人間関係が詳しく書かれていた

牧野は現在、都内の法律事務所に勤めていて
主に企業法務を担当しているがその顧客リストにはそうそうたるメンバーが名を連ねていた

元来、人を惹き付ける不思議な魅力を持つ女だったが
離れていた10年間で更に磨きが掛かっていた


そして俺にとって一番重要なあいつの男関係だが

こっちは驚く程、何もなかった

いや‥あるにはあるのだが

調査報告書に書かれていたのは
この10年間、あいつは特定の男とは付き合っておらず
恋人と呼べるような男はいない

10年間もの長い時間を俺を待っていてくれた‥

そんな都合のいい考え‥

とは思っているが

実際、10年もの間

あいつには彼氏と呼べるような存在は居なかったのだから

都合よく取ってもOKだろ?

勢いだけだでどうにかなるなんて本気で考えているわけじゃねぇし


あいつに惚れている男は相当数いるが
どれも俺の足元にも及ばねぇから気にはしていないが

厄介なのがあきら達だ!

あいつら!

三人が三人とも!

揃いも揃って!


ふざけんな!


あいつらは俺の記憶が戻っていると知っている

一応、口止めはしてあるが出し抜かれないとも限らねぇから
帰国の事は伝えていない

突然現れた俺を見てあいつらも驚いているが
構わず勢いだけなのは自分でも分かっているが‥

とにかくこの場で牧野に惚れている野郎共を纏めて蹴散らせるのにはいい方法だろ?

まぁ‥勢いとはいえ

言葉のチョイスは間違えたような気もするが

気にしてる場合じゃねぇ!


あいつの眉間に寄ってるシワに少々
怯んではいるが構わずたたみかける


「牧野!」


しっかりとあいつの瞳を見ながら
呼び掛けた俺の声にビクッ!と反応した牧野


「ホラ!来い!」


急かす用に手を差し出した俺


牧野の視線がゆっくりと差し出した俺の手元に移動する


相変わらず眉間に皺は寄ったまんまだけど

再び視線がゆっくりと上がってきて
瞳が合った


その瞳には見る見る内に涙が溜まり
牧野の微かに震える指先がゆっくりと俺の方へと向かって伸ばされたのを
勢い良く引き寄せるとそのまま抱き寄せた


スッポリと胸に納まった牧野の身体は少し震えていて
顎に手を掛け強引に上を向かせると
大きな瞳から涙が零れ落ちた

その涙を掬い取るように瞳から頬へと唇を這わせ
少し開いたままだった牧野の唇を防いだ


周りの奴らなんて全く視界に入っていない‥


二人だけの世界で

自分でも呆れる程に牧野の唇から離れられない‥


ウンザリする程に濃厚な口づけに
息苦しさを感じた牧野が抵抗するように小さく動いたが
離してやれずやがて身体から力の抜けた牧野が左手に持ったままだった皿を床に落とした音で
漸く離してやる事が出来た


俺のタキシードの胸元を力の入らない手で掴んだままの牧野

その大きな瞳からは止めどなく涙が溢れ出している

「嬉し涙だよな?」


「バカ!」

「ごめん」


涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔のまま
そう言った牧野はそのまま俺の胸元に顔を埋めて
子供みたいに泣きじゃくっている


そんな牧野を抱き上げ

今更ながら慌てている牧野を無視したまま足早にパーティー会場を後にし
後ろからあきら達が追いかけてくる声が聞こえたが
メープルの正面玄関にドアを開けたまま待機させたいたリムジンに放り込んだ


夜の街へと走り出したリムジンの車内


漸く少し落ち着いた牧野は隣に座る俺の顔をまじまじと見上げると

“信じられない‥”


と呟いた


牧野の後頭部に手を回しこちらへと引き寄せ顔を寄せる

鼻先が触れ合う程の距離

目を閉じため息のような吐息を一つ吐き出した牧野の額に自身の額を軽くぶつけた


「ほんとうにごめんな‥
愛してる‥」


「うん‥バカ‥なにしてくれてんのよ‥
ゆるさない‥から‥」


「許さなくていいから‥
これからはずっと俺の側に居ろ!」


「めいれいすんな!‥バカ!
ゆるさないから‥でも‥」


「でも?」


「いまはまだ‥言わない!」


「あぁ‥分かってる‥
愛してる‥これからベッドの中でたっぷりと言わせてやるから覚悟しとけよ!」


「バカ‥」


夜の闇に溶け込むように街を走り抜けるリムジン

10年ぶりに動き出した俺達の時間は
まだ始まったばかり

今夜からは二人一緒にどこまでも‥



~fin~






応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

Comments 4

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2019/02/06 (Wed) 19:03 | EDIT | REPLY |   

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2019/02/06 (Wed) 21:12 | EDIT | REPLY |   

kirakira  

悠○様

こんにちは。🎵
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m

つくしちゃんが落ち着いたらきっと一筋縄ではいかないと思います❗
今はまだちゃんと状況を理解しきれていないかも‥😅(笑)


2019/02/08 (Fri) 16:54 | EDIT | REPLY |   

kirakira  

つ○○ん○様

こんにちは👋😃
コメントありがとうございます。😆
返事が遅くなってごめんなさいm(__)m

ありがとうございます❗😆💕✨
楽しんで頂けて嬉しいです🎵😍🎵

あまりつくしちゃんの心情を書けなかったので
どう表現すれば伝わるかな?と思っていたので
すっごく嬉しいです。(#^.^#)

2019/02/08 (Fri) 17:02 | EDIT | REPLY |   

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