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2009 バレンタインデー 『Bitter Sweet』 3

こんばんは😃🌃

2009年バレンタイン話の続きです。🎶

それではどうぞ~✴








「あっ!!み、美作さん!う、後ろ!!あぶ・・・!!!」

「ぐぇ~~!!!○◇■×□☆!!」

牧野の後ろ!と言う声が聞こえた瞬間
背中に物凄い衝撃を感じて体が・・・

俺の体が・・・

お、俺の体が~~

逆くの字に折れ曲がったぞ!!

せ、背骨がいったか?!

後ろからの衝撃に逆くの字に曲がった俺の体は

その反動で前へと倒れ込み

潰されたカエルみたいに冷たい床に突っ伏してしまった・・・

ヤベェ・・マジすっげぇ格好悪ぃ・・・

「道明寺!!」

司かよ・・・

まぁ・・・前置き無しにいきなり背後から飛び蹴りしてくる奴なんて

お前ぐらいだろうけど・・・

何で俺なんだよ?!

この場合、類だろ?!

「ちょっと!あんたいきなり何やってんのよ!?」

「うるせぇ!尻軽女は黙ってろ!」

「し、尻軽女ですって!?
 私のどこが尻軽なのよ!」

「全部がだよ!俺とのデートがキャンセルになった途端
 嬉しそうに類と手繋いで行こうとしてただろーが!」

頭上から聞こえる二人の怒鳴り合い

「よぉ!大丈夫か?あきら」

床に突っ伏したままの俺に声を掛けてきたのは総二郎だった・・・

お前も居たのかよ・・・

総二郎に手を借りてやっと立ち上がれた俺

マジで腰痛てぇ~

「お前も居たんなら早く声掛けろよ!」

「悪ぃ悪ぃ!」

悪ぃなんて口では謝っているけど

顔は完全に笑っている総二郎

「お前は何時からここに居たんだよ?!」

「司が牧野にドタキャンの電話する前からここの5階に居たぞ」

「だったら早く声掛けろよ!」

「声掛けたら俺等がここに居るのが牧野にバレるだろ!
 そもそもお前と類がここに居るのが予想外なんだよ。
 お前らこそ何やってたんだ?」

「何やってんだって・・・俺は今朝、類に紅茶飲みに行こうって叩き起こされて
 無理やり連れて来られたんだよ!お前こそ司と一緒になって何やってんだよ!?」

「俺も来たくて来たんじゃねぇよ!
 司に無理やり連れて来られたんだよ!」

お前もかよ・・・

「最初っから見てたんだったらもっと早く声掛けろよ!」

せめて司に飛び蹴りされる前に声出せよ!

「だからさっきも言っただろ!?お前らの登場は予想外だったって!
 お前らが現れなかったら牧野に声掛ける事無く
 この場から立ち去るつもりだったんだよ!」

「で、どうせその後は牧野の尾行するつもりだったんだろ!?」

「司はそのつもりだったんじゃねぇか?!」

他人事みたいな顔して言ってんじゃねぇーよ!

元はと言えばお前が余計な事を吹き込んだせいだろーが!

「ちょっと!あたしの事を尻軽だなんて言う前に
 何であんたがここにいんのよ!?仕事はどうしたのよ!?」

「うるせぇ!俺様とのデートがダメになった途端、
 他の男とイチャついてたくせにエラソーに言うな!」

「偉そうなのはあんたの方でしょうが!
 ちゃんとあたしの質問に答えなさいよ!
 仕事だってドタキャンしたくせに西門さんとここで何やってたのよ!?」

「仕事だ!」

「嘘つき!」

「だから仕事だって言ってんだろ!
 お前は俺様の言葉が信じられないのかよ!?」

「普段着で首には双眼鏡掛けてるバカの何を信じられるって言うのよ!
 嘘つくにしてももっとマシな嘘つきなさいよね!」

「普段着で双眼鏡を使う仕事なんだよ!」

バレバレの嘘を勢いで押し通そうと必死の司だけど
そんなんで押し切れるほど甘くねぇーだろ・・・

さっさと謝っちまえばいいものを・・・

素直に謝れない司

「どんな仕事よ?!」

「仕事の内容は道明寺のトップシークレットだ!
 いくらお前でも話せない!」

総二郎のバカな入れ知恵がどんどんデカイ嘘に発展していく・・・

「普段着で双眼鏡が必要なトップシークレットって何よ!?」

「トップシークレットなんだから簡単に話せるわけねぇーだろ!?
 俺達は今、身分を隠して隠密行動中なんだよ!
 嘘だと思うならあきらにも確かめてみろよ!」


隠密行動なんて言葉知ってたのは褒めてやるけど・・・

お、俺かよ!?

牧野・・・お前もこれが茶番だってとっくに気付いてんだろ!?

そんな攻めるような視線向けてくんなよ!

俺に振った司も目力が凄い・・・

ダチ相手に本気で威嚇してんじゃねぇーよ!

あ~分かったよ!

乗っかればいいんだな!

俺はとりあえずお前との友情を取るけど

後はどうなっても知らねぇからな!

責任は取れよ!!

普段着に双眼鏡・・・

この二つのアイテムを使って牧野を納得させられる
上手いトップシークレットなんてあんのか?

あるわけねぇよな・・・

なんて思いながら俺の口をついて出た嘘は・・・

「牧野!その・・・あれだ!
 トップシークレットだから詳しくは話せないけど
 最近このビルの周辺で見た事無い鳥を見たって目撃情報があって・・・
 俺達はそれを調査してるん・・・だよな?!司?!」

「お・・・おぉ!そうだ!あきらの言うとおりだ!」

我ながら人生で最低最悪の嘘だって思うけど

司は否定しなかった・・・

「その鳥を探す為に双眼鏡?
 あんたは野鳥の会か!?」

「野鳥じゃねぇ!誰も見た事ねぇ鳥だ!」

牧野の突っ込みもどうかと思うけど
全く意味が通じてない司もどうだ?

「プッ!クククッ・・・」

突っ込みにボケで返す荒業に
とうとう類が噴き出した・・・

「類!何がおかしいんだよ!?」

笑い出した類に司は怒っているけど

ツボに入ってしまっている類には届いていない・・・

何がおかしいかって・・・

この状況で聞くまでもねぇーだろ!?

もう何もかもがおかし過ぎて突っ込む気にもなれない・・・

総二郎は我関せずといった態度を取りながらも
口元は笑いを堪えきれていない

「何が野鳥よ!もし美作さんの言った事が本当だとしても
 そんな事わざわざあんた達がしなきゃいけない事なわけ?!」

「だからトップシークレットだって言っただろ!?
 この事を知ってるのはごく一部の人間だけだし
 いくらJr.だつってもこういう細かい事からやっていかねぇーとダメなんだよ!
 分かったか!尻軽女!」

司・・・最後の一言は完全に余計だぞ!

ほら見ろ!牧野の眼光がまた一段と鋭さを増しただろーが!

これ以上怒らせてどうすんだよ!

「ま、牧野!そういう事だ!
 悪かったな司がお前とデートの約束してるなんて知らなくて!」

わざとデートって言葉を強調してみる・・・

牧野の眼光は鋭いままで司を睨んでいる

司も牧野を睨みつけてるから二人の間にはバチバチと火花が飛んでいる

「つ、司!後は俺達だけでやっとくから牧野とデートして来いよ!
 牧野!巻き込んで悪かったな!そういう事だから司とのデート楽しんで来てくれ!」

もうなんでもよかった・・・

さっさとこの場から逃げ出したい気分だったけど

俺一人ここから逃げる事は出来ないから
諸悪の根源にさっさと退場してもらう

「ほら!二人共なにやってんだよ!?
 ボサッとしてねぇーでさっさとバレンタインデートしてこいよ!」

司が首に掛けたままの双眼鏡を取りあげ
二人の背中を強引に前へと押し出す

「お、おぉ!分かった、じゃあ後は頼んだぞ!
 牧野!行くぞ!来い!」

「ちょ、ちょっと!痛い!引っ張んないでよ!!」

ハァ~~

司に無理やり引っ張られギャーギャー言いながらビルから出て行く牧野

やっと行ってくれた・・・

「あぁ~やっと行ったな!?」

ひたすら笑いを堪えてるだけだった総二郎が
後ろから俺の肩に腕を回しながら声を掛けてくる

「やっと行ったなって・・・お前もちょっとぐらい協力しろよ!
 元はと言えばお前が司にくだらない入れ知恵したからこうなったんだろ!?」


「まぁまぁそうカリカリすんなって!
 とりあえず上手く行ったんだからOKでしょ!?」

何がOKなんだよ!

「あいつらもやっと行った事だし腹減ったな!
飯でも食いに行こうぜ!類?お前も行くだろ?」


「俺、フルーツグラタンが食べたい」

俺はそんなもん食べたくない!


「あきら?俺と牧野のデートの邪魔したんだから付き合ってよね」

一難去ってまた一難・・・

今度はこっちかよ・・・


静かに密かに臍を曲げていた類は
俺達の返事を待たずさっさと歩き出している


「まぁ、とにかく何か食いに行こうぜ!」

肩に腕を回したまま類の後を追うように歩き始めた総二郎に
引きずられるように歩き始めた俺

ハァ~

こいつらの居ない星に移住したい・・・






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kirakira
Posted bykirakira

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