2009 バレンタインデー 『Bitter Sweet』 4
2009年バレンタイン話の続きです。🎶
それではどうぞ~✴
何が鳥を探してたよ!
嘘つくんだったらもっとマシなのつきなさいよね!
くっだらないのよ!
「何でそんな端っこ座ってんだよ!?
もっとこっち来いよ!」
道明寺のバカでかいリムジンの中
嘘つきバカ男から離れて座る私を
引き寄せようと腕を伸ばしてくる道明寺
その手を払いのけながら
「五月蝿いわね!こっち来ないでよ!」
「まだ怒ってんのかよ!?
デート出来てんだからもういいだろ!?」
「よくないわよ!嘘つきバカ男!」
「俺様が嘘つきバカ男ならお前は尻軽バカ女じゃねぇーかよ!ドブス!
いい加減にしねぇと温厚な俺様も切れるぞ!」
もう本当にあったまにきた!!!
「こっちはとっくに切れてんのよ!」
本当に頭にきたから横に置いてあったバッグの中から
バカ男に渡そうと一応用意しておいたチョコの箱を取り出し
走行中のリムジンの窓を少しだけ下げ
チョコの箱を窓の外へと出した
「おまっ!?それ何だ?!」
「あんたに渡そうと思ってたバレンタインのチョコよ!」
「俺へのチョコ?」
「そうよ!愛情をた~っぷり込めておいてあげたけどもう必要ないから捨てるのよ!」
「なっ!?馬鹿野郎!それ俺んだろ?!勝手な事すんじゃねぇーよ!」
「まだ渡してないから私の物よ!
自分の物をどうしようと私の勝手でしょ!」
「俺様の物だ!寄こせ!」
「欲しいんだったら認める?さっきのは全部嘘だったって認めて謝る?
ちゃんと心から謝罪するんだったら考えてあげてもいいわよ」
「う、嘘じゃねぇしお前だって類と行こうとしてたんだから
俺様だけが謝る必要ねぇだろ・・」
どうあっても認める気はないわけね!
だったらこっちにだって考えがあるのよ!バカ男!
窓の外に出したままのチョコをそのまま放り投げてやる!
走るリムジンから放り投げられたチョコの箱は
勢いよく車道の端っこをコロコロと転がっていく
「おまっ!何やってんだよ!?」
道明寺は慌てて窓を全開にして
転がるチョコの行方を追いかけているけど
勢いのついたチョコの箱は進行方向とは逆にコロコロと転がり転がり
どんどんリムジンから遠ざかって行く
道明寺は車内電話を手に取り
ドライバーさんにリムジンを停車させると
自らドアを開けチョコを追い掛けて行ってしまった
ざまぁみろ!
開けっ放しのドアを閉めて車内電話を手に取る
「行っちゃって下さい」
そう告げると一瞬の沈黙の後、
ドライバーさんの戸惑ったような声が聞こえてきた
『・・・えっ!?ですが・・・司様がまだ・・・』
「大丈夫です!後の責任は私が取りますから!
さっさと車出しちゃって下さい!」
『・・・か、畏まりました。
で、では発車致します』
チョコを追い掛けているバカ男は
まだ車が走り始めている事に気付いていない
やっとチョコに追い付き箱を拾い上げ汚れを手で払っている
あっ!?顔を上げて今気付いたみたい
走り出しているリムジンを見て一瞬ポカ~ンとバカ顔してる
「オイ!止まれ!」
ハハハ!あの道明寺がリムジン追い掛けて車道を走ってる~!
全開のままの窓から少しだけ身を乗り出し
走ってくる道明寺に声を掛ける
「ねぇ?これからどこに行く予定だったの~?!」
「はぁ?!そんな事どうだっていいだろ!?
早く車止めろ!!」
「いいから答えなさいよ~!」
「メ、メープルだよ!
答えたんだからさっさと止めろ!」
「じゃあ先に行ってるから!
あんたは頑張って走って来て~!」
「テメェ!ふざけんな~!ぶっ殺すぞ!!」
ぶっ殺すぞ~!なんて怒ってるけど
リムジン追いかけて走ってる道明寺なんて全然迫力不足
バッグから携帯を取り出し
間抜け顔で追いかけてくる道明寺をパチリと写真に収める
「メープルで待っててあげるからズルしないで走って来てね~!
ズルしたらこの写真みんなに送りつけるからね!」
道明寺はまだなんか怒鳴ってるけど
窓を閉めちゃえば声も届かない
ざまぁみろ!
メープルまでは3キロ程
頑張って走って来てね!
そしたら今日の嘘を少しだけ忘れたげる
~Fin~

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