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恋は盲目? 2

こんにちは✨😃❗

『恋は盲目?』の続きです。🎶

それではどうぞ~✴







NYへ来て4年目

日本にいる牧野とは会えないもどかしさを抱えながらも大学と仕事に忙しい時間を過ごしていた

こっちへ来て俺は自分でも変わったと思う

これは牧野に出会い恋をしたお陰なのか・・?

それとも多民族国家であるアメリカの自由な空気のお陰なのか・・?

とにかく英徳のような閉鎖的な空気は無く
多少は他の生徒とは立場が違っていてもそれが大きな障害だと感じる事もなく
充実した大学生活を送っていた

そんな中で俺は一人の女と出会った

最初はなんとも思っていなかったけど

毎日のように大学で顔を合わせ話しをするうちに牧野とは全く違う俺への接し方に

知らず知らずのうちに惹き付けられ恋に落ちていた・・・

彼女と過ごす時間が楽しくて一秒でも彼女と一緒にいたくて

牧野とは違い打てば響くように想いを伝えればストレートに返ってくる言葉に

俺はすっかり舞い上がっていた


日本に居る牧野の事を忘れ

俺には彼女しか居ないんだ

俺の運命の女は彼女なんだと思い込み

あっさりと牧野に別れを告げていた


今、思い返してみても
なんとも愚かな男だったんだと思う


日本に帰り他に好きな女が出来たから別れてくれてと告げた時

牧野は信じられないという表情で俺を見ていた・・


牧野がどれ程、俺を想ってくれていたのか
どれ程、NYで頑張っている俺を信じてくれていたのか
全く考えていなかった



ただ彼女とのことに一生懸命で
周りの状況も全く見えていなかったと思う


愛を囁けば囁き返してくれる
俺の想いを全て受け止めてくれる
俺はそんな彼女に完全に溺れていた


どこに行くのも一緒で噂はすぐに広まった
パーティーにも彼女をパートナーとして出席していたので
週刊誌にも俺と彼女のツーショットが毎週のように載っていた


心も身体もかつてないほど満たされていて
幸せだった・・


ハァ~・・思い出しただけで鳥肌が立つ・・

どうしてあの時の俺はあんな事を思ったのだろうか・・?

実際、彼女との交際は上手く行っていたのは最初の3ヶ月ほどだけで

その後の数ヶ月間は何かが違うと自問自答を繰り返す日々だった


一瞬でも彼女が運命の女性だと思った事は確かで
あれ程、愛していた牧野の事は俺の中からすっかり消えていたはずだったのに
段々と牧野が恋しくなってくる・・


思い返してみれば彼女との始まりも牧野との比較だった

牧野と比べて彼女はストレートに俺の想いに応えてくれる

それだけだったのに・・

それが全てになってしまって・・

一番大切な人の手を離してしまっていた

だけどそれに気付いた時にはもう全てが遅くて

日本に戻って3年が経つけど

牧野は今でも俺の元には戻ってこない・・・






「クソッ!なんで出ねぇーんだよ!」

目の前のバカ男が携帯に八つ当たりしている

「今度はどうしたんだよ?」

「牧野に電話してんのに出ねぇーんだよ!」

それもいつもの事だろ・・


「まだ仕事してんじゃねぇーのか?」

「さっき会社にかけたらもう退社したって言われたんだよ!」

お前・・会社にまでかけてんのかよ?!


「いい加減にしとかねぇーとマジで切れられるぞ!」


「うるせぇー!俺様に指図すんな!」


そんなつもりねぇーけどよ・・

結局、なんかあったらこっちにとバッチリが来るんじゃねぇーかよ!

何度も何度もしつこいほどリダイヤルを繰り返しているバカ男を乗せたリムジンが
メープルの玄関に滑り込んだ


今年に入りリニューアルされたメープルのラウンジは
ゆったりとくつろげるようにソファーが配置され
全面ガラス張りの窓の向こうには圧倒されるような東京の夜景が広がっている


緩やかにジャズが流れるそのラウンジに到着するまで

正確にはエレベーターでここまで上げってくる間中も
ずーっとリダイヤルボタンを押し続けている司・・

何がなんでも牧野をもう一度振り向かせようと頑張っているのは分かるけど

元々、限度ってものを知らないこの男は
この3年間で何十万回と牧野に電話を掛け続けている
正真正銘のストーカーだ・・・

大学の卒業式に出席したその足で日本に戻ってきた司は
空港まで出迎えに来た俺達が止めるのを聞かず
牧野に会うために英徳大学のカフェへと出向いた


その当時、牧野には付き合い始めた男がいた
英徳大学の大学院生で俺達と同い年


外部から英徳大学へと入学してきた奴だったが

気のいい奴で俺や類と同じ学部だったため仲良くしていた
牧野は俺達と一緒に居る事が多かったから


そいつともいつの間にか親しくなっていて

気付いた時には付き合いが始まっていた


まぁ・・牧野は一人なんだし・・

誰と付き合おうと問題は無いのだが


怒り狂ったのがこのバカ男で

いくらお前には怒る資格は無いと諌められても聞く耳を持たず

挙句の果てに牧野を激怒させ

"あんたの顔なんか二度と見たくない!!
一生、私に話しかけないで!"

と宣言され


土下座してやっと許してもらっていた

この3年間で土下座・泣き落とし・脅迫・・
思いつく限りの手段を使って牧野を振り向かせようとしていたが
そのどれもが失敗に終わっている

延々と説得を繰り返す司を"無理!"の一言で玉砕してきた牧野・・

はたから見ていると流石に可哀相に思えてくる事もあるけど
自業自得だとも思う

恋愛経験の乏しい司が初めて経験した気持ち
誰もが経験する事だとは思うけど
その失敗を糧とする事が出来ていない・・・





これは牧野にしたって同じ事で

初めて付き合った男が司で
気が遠くなるような遠距離恋愛の果てにあっさりと捨てられたんだ・・

自分を捨てた男が戻ってきたところで
素直にその想いに耳を傾けるような奴じゃない・・


俺が思うに司は牧野に惚れている・・
これは誰の目にも明らかだけど

牧野もまた司に今でも惚れているような気がしている
あいつは鈍感だし何より頑固だから
自分の気持ちを素直に認めるような事は無いけれど

それでもなんやかんやとバカ男のストーカーを許しているのは

何を言っても無駄だと司の性格を理解して諦めているわけじゃなくて
逃げれば何処までも追いかけてくる司との追いかけっこを楽しんでいるようにも感じていた

まぁ・・だからって状況が好転する事なんて
余程の事が無い限り無理だろうけどな・・








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kirakira
Posted bykirakira

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