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Day Light 2

こんにちは。

本宅の更新情報用だと言いながら
現在、PC環境が悪くまだ本宅と繋げられていません。
(本宅の更新が出来ていないので問題ないのですが…)
一方通行ですがとりあえずこちらから本宅への入り口を作ってみました。


そしてメモ(覚え書き?)代わりの
お話しをUpするにはやはりこちらの方が早くて簡単かも…なんて考えています♪
これからどうしましょ?色々と考えながらの運営です。


とりあえずDayLightの続きです♪








夕方、オフィスで仕事をしていた俺の携帯にあきらからメールが入った


”今夜、連れて行く”


簡潔な一文

たったこれだけの文字の羅列に心が踊る

携帯を閉じ大きく息を吐き出した

待ち焦がれていた瞬間だ

記憶が戻ってからどれほどこの日が来る事を待ち焦がれていたか

後悔なんて生易しいもんじゃない

言いようの無い苦しみの中ではっきりと分かったのは

俺は牧野がいないと生きては行けない

という事だけ

今さら何を言っているんだと笑われても

これだけは変えようの無い俺の真実

再び彼女をこの手に抱く為に

あきら達の忠告を受け入れ

慎重に行動してきた

その努力が今夜やっと実る

そう思っただけで自然と笑みが零れる

仕事を終え一度、部屋に戻り

着替えを済ませ自分の運転する車でいつもの集合場所である類の部屋へと向かった

部屋に着くと既に類と総二郎は到着していた

二人共、牧野に会えるかどうか分からないが

あきらの出張に合わせてスケジュールを調整しこっちに来ていた

二人にもあきらから連絡が入っているのだろう

その表情は幾分緊張していた

そういう俺も緊張してんだけど・・・

後少しで牧野に会える

あきらと牧野が到着した

あきらの後ろに隠れるように部屋へと入ってきた牧野は

あの頃の面影を残したまま大人の女性へと変身していた

あきらが少し彼女の背中を押し前へと促した

まず口火を切ったのは総二郎

総二郎は総二郎なりのやり方で

敢えて明るく牧野に声を掛けた

「よぉ!久しぶりだな!元気だったか?」

「・・・西門さん・・・」

「牧野、久しぶり」

「・・・花沢類・・・」

泣き笑いのような表情で二人の名前を口にした牧野

俺だけ声が喉に張り付いたみたいで上手く言葉にならない

夢の中では何度も何度も呼んだ名前なのに・・・

「・・・道明寺・・・」

彼女に呼び掛けられてやっと出た声は少し掠れていた

「牧野・・・ごめんな」

牧野はごめんなと言った俺に小さく首を振った

「・・・あたしこそ・・・ごめんね・・・」

零れ落ちそうになる涙を堪えるようにそう言った彼女

「まぁ、立ち話しもなんだから二人共こっち座れよ!
久々の再会なんだから今夜はゆっくり飲み明かそうぜ!」

10年ぶりの再会に最初はぎくしゃくしていた空気も

総二郎とあきらのお祭りコンビのお陰で

時間と共に少しづつ牧野の緊張も解れてきたようで

俺達が知りたがっていたこの10年の出来事を話し始めてくれた

牧野は俺が退院しババァによって再びNYへと連れて行かれたのと前後して英徳を辞め

家族と共に関東近郊の都市に引越し地元の公立高校に編入していた


そこから奨学金を貰い都内の大学に進学し

再び東京に戻ってきていた

留学したきっかけは

牧野が2回生の頃にルームシェアしていたカナダからの留学生に触発され

姉妹校として提携していたシカゴの大学に交換留学生としてアメリカに渡り

その後、正式に編入試験を受けシカゴの大学を卒業していた

そこで牧野は一度言葉を切り俺達を見回した

「私ね・・・去年離婚したの・・・」

思ってもみない告白に部屋には沈黙が下りてくる

牧野が離婚していた・・・

って事は結婚してたって事だよな・・・

「ごめんね・・・びっくりしたでしょ・・・
いきなりこんな話しして・・・けどこれが今の私だから・・・」


「いや・・・大丈夫だ・・・けど相手は誰なんだ?」

「相手は最初に美作さんと会った時に一緒にいた彼よ・・・
彼とは大学の同級生だったの」

「留学したばかりでまだ右も左もよく分からなかった頃から
いろいろ教えてくれて親切にしてくれてた友人だったの
その彼と卒業の少し前から付き合い始めてて
卒業後に彼の出身地であるNYに一緒に戻って・・・」

「戻って?」


「戻って・・・結婚して彼の夢だった広告のデザイン会社を立ち上げたの・・・
彼とは離婚したけど今でも仕事は一緒にしてる」


「今でもそいつの事が好きなのか?」

「ううん・・・今でも友人として好きだけど・・・
私は彼を傷付けてしまったから・・・」

「離婚の事か?」

「そう・・・彼は私を真剣に愛してくれたけど
私は彼程の感情は持てなかったから・・・
お互い仕事もプライベートも中途半端になるのが嫌で離婚したの」

牧野の歩んできた道を聞いて

正直ショックだった・・・

牧野が俺以外の男を受け入れ・・・

受け入れただけじゃなく結婚までしていた

その事実に身体中の血液が逆流していくような感覚に襲われる

俺にはそんな資格は無いと分かっているけれど

激しい嫉妬に駆り立てられる

「牧野?大変だったね」


類が優しくそう言うと

牧野は視線を落としたまま小さく首を横へと振った

「牧野?」

呼び掛ける俺の声に視線を上げた彼女と目が合った

「牧野・・・お前にとっては今さらかもしれないけど
記憶が戻った俺の気持ちはあの頃と何一つ変わっていない
けどお前の気持ちを無視して強引な事はしない。
最初は友達としてからでいいからこれからも会ってくれないか?」

本心は友達なんかじゃなく

牧野の特別な男になりたい


けれど記憶を失っていた時の俺は最低最悪の男だったし

何よりやっと会えた彼女を追い詰めたくなかった

「けど・・・私は・・・」


「牧野、俺は過去の事なんて気にしない。
俺だって人には言えねぇような事をいっぱいしてきたし
それらを全部無しになんて出来ないけど
もう後悔するような事したくないんだ!」

逃げ腰の牧野を繋ぎ止めようと必死で言葉を繋ぐ俺

そんな俺の思いが通じたのだろうか

牧野も最後には友達としてならと連絡先を教えてくれた


同じNYにいるのだから連絡先さえ分かれば後は俺次第

少しづつ広がってしまっていた心の距離を縮め

ゆっくりと二人で歩く未来を現実の物にして行ける

この時の俺はやっと再会出来た牧野との幸せな未来を信じていた・・・


牧野との未来を手に入れる為には

まず俺自身の環境を変える必要がある

いつまでもババァの思い通りにはさせない

その意思表示に部屋やオフィスに仕掛けられたままにしている盗聴器を全て取り外した


盗聴器を外した事はババァにはすぐにバレているはずだけど

三ヶ月が過ぎても再び盗聴器が仕掛けられる事も

新たに何か仕掛けてくる事も無いままだった


だからと言ってババァに対する警戒を解いたわけではなかったが

これを機に牧野との関係を前に進めたいと考えていた

あの夜以降、牧野には週に一、二度のペースで連絡をしている

話す内容はどうって事のない物ばかりで

今日は仕事でトラブルがあっただとか

夕飯には何を食っただとか


たわいもない内容ばかりだったけれど

牧野の声が聞けるだけで嬉しかった


時間を重ねる事に少しづつ牧野との関係も良くなり

まだ友人の域を出ていなかったが

ランチやディナーに出掛けるまでになっていた

ババァの妨害も無く全てが順調に行っているように思えていたあの夜

あの夜から再び長く長く続く地獄の苦しみが始まった








応援ありがとうございます。♪
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kirakira
Posted bykirakira

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