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続・かりゆしの島 3

こんばんは。(#^.^#)

本日も『かりゆしの島』です。🎶

中途半端な所で切ってしまってます‥😅

それではどうぞ~✴



私信です。
☆様
こんばんは。(#^.^#)
コメントありがとうございます。❤
最後は孫ちゃんと過ごせて良かったと思います。
やっぱり孫って無条件に可愛いみたいなので‥💕








「楓さんね‥あんたの代わりに私と千尋の側に居てくれたんだと思う‥
楓さんには本当に助けてもらった‥
もう充分だからこれは持って帰って‥」


私宛の遺言書を彼に返す


「んでだよ?
これはババァがお前と千尋にって遺した物だろ!」


「言ったでしょ?もう充分だって‥」


「それって俺とはもう関わりたくねぇって事か?」


「そういうんじゃないけど‥
ねぇ、司?もう拘らなくていいから‥
私と千尋はずっとここに居るから‥
千尋には父親として会いたくなれば会いに来てくれて構わないから‥
だからちゃんと幸せになって‥」


「お前は俺が千尋が居るから
罪悪感から気にしてるだけだって思ってんのか?!」


「そんな事は思ってないけど‥
私はもうあんたとは‥」


「ヨリを戻すつもりはないってか?」


「うん‥」

千尋の父親としては認めるけど
やり直すつもりはない

ずっと昔に決めたこと‥

今さら浮気の事に拘っているわけじゃない
高等部の頃からアップダウンの激しい恋愛を経験してきて
挙げ句の果てに浮気をテレビで知るなんて
貴重な経験までしてその代償にやっと手に入れたここでの生活を私は気に入っている

何もない不便な島での暮らしだけど
穏やかなここでの生活を手離したくない

正直に告げた思いに彼はしばらく考えていたようだけど
やがて何かを決意したようにニヤリとしたかと思うと
すぐに私の方へと向き直り


「ならヨリは戻さなきゃいいんだな?」


「えっ?あ‥う、うん‥?」


「分かった!
今日はこれで帰る!
千尋には近い内にちゃんと会いに来るから待ってろって言っとけ!」



「えっ?!あっ!ちょ、ちょっと!?」


いきなり言いたい事だけを一方的に捲し立て
慌てて行ってしまった彼


何あれ?










あの日から2ヶ月が過ぎた


あれから彼からの連絡はない


なんてことのない

いつもの日常を過ごしていた


私は毎日、診療所に通い


千尋は暗くなるまでお友達と島中を走り回っている


肌の色がますます黒くなり

髪質は司譲りで少し茶色がかっていて緩やかなウェーブが掛かっている

ショートカットでいつもTシャツにハーフパンツ姿だからまるで男の子みたい

島の子達は年齢性別関係なくみんな仲良しだし
千尋はそんな中でもいつも先頭を切って遊び回っているから
男の子達からも一目置かれている完全なるガキ大将


だからほら今日も‥



診療所の診察時間は一応、午前9時から午後5時まで

13時から1時間程、お昼休みはあるけれど
それはあってないような物

診療所に来るのは島の住人だけ

ほとんどの人が知り合いって小さな島で
確かにお年寄りは多いけれど
皆さんびっくりするぐらい元気だから
診察に来るっていうより畑で取れた野菜だとか
沢山釣れた魚のお裾分けだとかを持って来てくれる事の方が多くて
ついでに先生や近所の人と世間話をして帰って行く

だから診療所っていうより島民の憩いの場って感じ

先生も診察時間中でも時間があれば
港で釣りをしていたりと

島には都会では考えられないゆったりとした時間が流れている


診療所内の清掃を終え
時計を見れば午後3時

先生は釣りに行っちゃったし
診察に来る人もいない

一応、カルテの整理だとか薬の在庫管理だとかをしながら
窓から見える海を眺めていた時
待合室の方から私を呼ぶ声が聞こえてきた


「ちぃちゃんのおばちゃん~!」

響いてきたのは少し甲高い女の子の声

診察室と待合室を隔てているドアから顔だけ出すと
そこに居たのは千尋の同級生の万里ちゃんだった



「万里ちゃん、どうしたの?」


「おばちゃん!ちぃちゃんが木から落ちた!」


「また?」


「うん!でも今日は腕が痛いって!
ケガしたみたい!」


ハァ~


これが都会なら大事件なのかもしれないけれど
ここでは普通‥

っていうか‥


千尋にとっては日常茶飯事


ここの子供達にとっては島全体が遊び場


遊び方もかなりワイルドで素潜り木登りなんて当たり前だし
信号もないような島だから車だって滅多に走っていないから
道路がサッカー場になっている時だってある

だからケガなんてそれこそ日常茶飯事で
木から落ちたぐらいじゃとも思ったけれど
万里ちゃんがわざわざ呼びに来てくれたから
ついて行くと港近くにある神社の大木の下にみんな集まっていて
近付くとその輪の中心に千尋が踞っていた


「千尋?大丈夫?」

千尋の側に腰を落とし声を掛ける

少し痛そうに肩の辺りを押さえている


「ママ‥腕が痛い‥」


「痛いのは腕だけ?
頭は打ってない?」


「打ってないけど‥足も痛い‥」


足元を見ると膝小僧の辺りを擦りむいていて血が出ていた


腕のどの辺りが痛いの?と少し触っただけでもかなり痛がり腕に力が入らない様子の千尋

見た感じだと肩を脱臼しているみたい


「大丈夫よ。もしかしたら肩を脱臼してるかもしれないから
先生に診てもらいましょうね。
立てる?」


「ムリ‥ママ、起こして」


千尋の反対側に回り込み手を貸すと何とか立ち上がれたけれど
足もケガしていて自力では歩けそうにない

仕方ない

おんぶして診療所まで運ばないと‥


同年代の子より身体の大きな千尋を診療所まで運べる自信はなかったけれど
ここで考えていても仕方がないから
千尋の前で少し腰を屈めようとした時
港の方から千尋!と呼ぶ大きな大きな声が響いてきて
物凄いスピードでこちらに走ってくる人影が見えた










応援ありがとうございます。
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kirakira
Posted bykirakira

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