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月夜に 6

こんにちは。🎵

お引越しです。🎶

それではどうぞ~✴








今野医師を見送ったお袋が再びリビングに腰を下ろした
お袋の表情もさすがに硬い

「あきら君?つくしちゃんをどうするつもりなの?」

「分からない・・けど、あいつをこのまま一人にしておくことは出来ない」

「そうね。何があったのか分からないけど。全部忘れてしまうほどショックな事が
 つくしちゃんの身に起こったのね・・・かわいそうに。」

「なぁ、あいつをもうしばらく家で預かってやってくれないか?」

「分かってるわ
心配しないで」

「悪いな、よろしく頼む」

「フフフッ・・・ねぇ、あきら君はいつからつくしちゃんの事が好きなの?」

「・・さぁな・・いつからだろうな・・・?」

そう答えた俺にお袋の顔は今まで見た事がない程、母親の顔をしていた
お袋でもこんな表情できるんだな

「あきら君、司君の為にもつくしちゃんをちゃんと守ってあげてね」

「あぁ・・・」

「ママはもう一度つくしちゃんの様子見てくるわね」

「えっ、あ、あぁ・・いや、いい 俺が行く」

「そう、じゃぁお願いね。
でもお腹の子供にさわるといけないからあまり興奮させちゃダメよ」

「あぁ・・分かってるよ」

お袋をリビングに残し、俺は一人で牧野の部屋へと向かう

長い廊下を歩きながら目を覚ました牧野の記憶が戻っている事を祈っていた








ゆっくりと意識が覚醒してくる

目を開けると見慣れない天井が目に映る

ここはどこ‥?

誰かの声がする‥

女の人‥?

やさしい声‥

誰?


「あっ・・目が覚めたのね!よかった!
気分はどう?つくしちゃん。」

「えっ・・・?」

声のするほうへ顔を向けると
綺麗な女の人が私の顔を覗きこんでいる

「すぐに先生が来てくださるから
 診察してもらいましょうね」

「診察・・・?私、病気なの・・?」

「そうよ、つくしちゃんは熱が高くて4日間も眠ってたのよ」

「・・熱が高くて・・・4日間・・?
 あの・・・つくしちゃんって・・誰の事ですか?あなたは誰ですか?
 ここは何処ですか?」

「・・・・えっ・・・・?つくしちゃん・・・・・何、言ってるの・・・?
 ねぇ、あきら君のママよ!憶えてないの・・・・・??」

「・・・つくしって・・私の事・・・・ですか?
 あの・・あきら君って誰・・・・ですか?」

「そ、そうよ、つくしちゃん、何言ってるの?
 冗談よね?混乱してるだけよね?ねぇ、自分の名前言ってみて?」

「えっ?・・・名前・・・私の・・名前・・・・って・・・・・?
 ・・何・・・?・・・・・分からない・・・・どうして?
 分からない・・・・・あの・・私の名前って・・・何ですか?
 ・・あの・・教えてください。私は誰なんですか?」

混乱しているつくしがだんだんと興奮し始めた

慌てて落ち着かせようとするけど私の声もつくしちゃんには届いていない
しゃくりあげるように荒い息をしながら泣いている彼女を思わず抱きしめていた

「だ、大丈夫よ・・・つくしちゃん、落ち着いてちょうだい。
 すぐに先生に診てもらいましょうね。
 大丈夫だから、安心して・・・」


どうして‥?

私はダレなの?

ここは何処?

不安で心細くて涙が止まらない

ふいに誰かに抱きしめられた

私を抱きしめたのは男の人

抱きしめられながらずっと

大丈夫だから‥と

優しい声を聞いていた‥

何が大丈夫なの?

何も思い出せないのにどうすればいいの?










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kirakira
Posted bykirakira

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