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月夜に 8

こんばんは。(#^.^#)

お引越しです。🎶

それではどうぞ~✴







パリ シャルル・ド・ゴール空港

到着ゲートから出ると、親父の秘書が迎えにきていた

「あきら様、お待ちいたしておりました。お疲れのところ申し訳ありませんが
 社長がお待ちですので、ご案内いたします」

言葉使いは丁寧だが有無を言わせない口調の秘書に大人しく着いて行く

「あぁ、分かった」

出迎えのリムジンに乗り込むと車はすぐに走り始めたが
向かう先はどうやら親父のオフィスでも屋敷でもないらしい

何処に行くんだ…?

リムジンが向かった先はパリ市内から約20kmほど郊外にあるシャトーだった

重厚なゲートを潜り10分程行った所でやっと見えてきた建物

リムジンが車寄せに止まり、秘書に続いて車を降りると

「あきら様、社長は中でお待ちです」

秘書はそう一言だけ言い残し、再び車に乗り込み行ってしまった

建物を見上げながら初めて訪れたこの場所に圧倒される

中世に建てられたシャトーのようだが

ここはどこだ・・?

戸惑いながらもドアの前に立つと測ったように中から扉が開き初老の男性が出てきた

「美作あきら様でございますね。お待ちいたしておりました」

恭しく一礼したその男は

「私は、このシャトーで執事を任されております、袴田と申します。
よろしくお願いいたします。
どうぞ中へお入りください。皆様方がお待ちでございます」

そう促されて建物の中に入ると

そこは幼い頃より豪華な物を見慣れている俺でさえ息を呑む空間が広がっていた

エントランス部分だけでも舞踏会が開けるんじゃないかと思うほどのスペースと
吹き抜けの天井に吊るされているシャンデリア
壁を埋め尽くしている絵画や調度品は美術館などに
展示されてておかしくないような代物ばかりで

一体、ここは何なんだ・・?

今、皆様って言ったよな?

親父、一人じゃないのか?

どうなってんだよ一体?!

頭の中に浮かび上がってくる数々の疑問を解消しきれないまま

袴田と名乗った男の後について行くと一際大きなドアの前で立ち止まり

「皆様はこちらのお部屋でお待ちでございます」

とだけ言って立ち去ってしまった

「ハァ~一体どうなってんだ!?
 この中で誰が待ってるんだ?」

疑問を声に出して言ってみたところでその問いに答えてくれる人間はいない

しばらく躊躇していたが意を決しドアをノックすると
中から

“入れ”

という一声だけが聞こえてきた

恐る恐るドアを開け一歩中に入ると俺は自分の目に飛び込んできた光景に
ドアの側で一歩踏み出しかけた右足は空中で止まり固まってしまった

中いた人物は全部で四人、全て男性で共に上品な身なりをしている

中にいた四人の視線を一身に受け
体中から一気に汗が吹き出てくる緊張感に包まれる


『えっ・・・!?』


この目に映っている光景が信じられない

だってこの四人は

一人は自分の父親・・・・・・・・美作 洋介

後の三人はそれぞれ司の父親・・・道明寺 誠

そして類の父親・・・・・・・・・花沢 彰彦

最後が総次郎の父親・・・・・・・西門 輝元

F4の父親

自分の父親でさえ数ヶ月ぶりに会うのに

他の三人に至っては数年に一度、パーティーなどで顔を合わせる程度で・・

一度に四人集まっている所など見た事が無かった

四人とも表情はそれぞれだが流石と云うか何と云うか

そこに居るだけで圧倒される存在感

この時点で俺の頭は完全に正常な思考能力を欠いていた








「あきら、遅かったな」

親父の声で我に返る

「あっ、はい!お待たせして申し訳ありません」

なんとか足を前に進め部屋の中程まで入っていき頭を下げた
そして、他の3人にも向き直りそれぞれに挨拶をして空いていたイスに腰を降ろした

自分が何のためにパリまで来たのか忘れそうになる

頭の中は真っ白で口の中はからからに渇き
言うべき言葉が見つからない

思っても見なかった状況に

「お父さん、一体どういう事でしょうか?」

そう言葉を絞り出すのが精一杯

「まぁ、そう焦るな。どうだ、お前も一杯飲むか?」

「は、はい、いただきます」

先ほどから他の3人は黙ったままで
少しイジワルそうな表情であきらの顔を見ている

勧められたワインを一口飲み、少し落ち着くと
最初に口を開いたのは司の親父だった

「あきらくん、いろいろと迷惑をかけたね。
すまなかった」

そう言って俺に頭を下げた

俺は慌てて立ち上がり頭を下げたが

本当、どうなってんだ?

「あの、どういうことでしょうか?もしかして、みなさんは・・・」

「ハハハハッ、そうだよ、今日ここに4人で集まったのはつくしさんの事を話すためだ」

「へっ・・?」

思わずマヌケな声が出てしまい慌てて右手で口を押さえた

「ハハハ、そんなに驚かないでくれるかね、あきら君。
 私達はもうずいぶん前から牧野つくしさんのファンなんだがね」

総二郎の親父が俺にウインクしながら話している

「ファ、ファン・・です・か・・?」

「そうだ、だから今回このような事態になってしまって私達4人で話し合ったんだがね」

「話し合った・・?何を・・でしょうか?」

道明寺財閥の総裁で司の親父

数えるほどしか会った事の無いし面と向かって話をするのも久し振りだった

数年前に会った頃より少し老けてはいるが
それでも鼻筋の通った精悍な顔付きと力強い瞳
そして司にそっくりな低くてよく通る声
この人にはこの世に不可能など無いと思わせる存在感

この人たちの前だと自分がいかに小さく幼くガキなのかと言う事がよく分かる

「まず、確認したい事があるんだが、
 つくしさんのお腹の子供は司の子供で間違いないんだな」

「はい、間違いないと思います」

「そうか、だとしたら私はおじいちゃんになるんだな」

予想外の笑顔が返ってきて思わず仰け反りそうになる体をなんとか押し留める

「そうですが、牧野は子供の父親が誰なのかも覚えていません」

「そこでだ私達四人でつくしさんの今後の事を話し合ったんだがね
これはお前にも関係のある事だからよく聞くように」

親父は有無を言わせない口調だった

親父達の中ではすでに答えは決まっているらしい

牧野のファンだと言った親父達は牧野をどうするつもりなのだろうか?

一抹の不安は感じるがだからと言って俺一人の力ではどうする事も出来ない

ここは黙って親父達に従うしかないのか…?

返事の代わりに真っ直ぐに親父の瞳を見た









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kirakira
Posted bykirakira

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