月夜に 9
こんにちは。(#^.^#)
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
静かに親父が話し始めた内容についていけない・・・
「まず、つくしさんには美作家の養女になってもらう。
つまりお前の妹になるわけだ。そしてここにいるお三方に後見人になっていただく。
それからお前は高校を卒業後はパリの大学に通うこと、もちろん彼女も一緒だ。
お前は彼女と一緒にパリで生活をして出産もパリでしてもらう」
あまりの展開に言葉が出ない・・・
黙ったままの俺を無視して話は続けられる
「もちろんつくしさんの意思を尊重しなければならないが、
今の彼女の状態を考えると是非、そうして欲しいと思っている」
なんの反応を示さない俺に親父は少し呆れた表情でこちらを見ている
なにか言わなければと思うのだが、俺の頭の中は親父の言葉を反芻するのが
精一杯で返事など出てこない
「いいか?続けるぞ!つくしさんの情報はしばらく私達で伏せさせてもらうよ。
だからお前も類君たちには黙っているように。分かったな、絶対に悟られるなよ。
最後につくしさんのご両親の事だが、すでに養子縁組の了承はとってある、
そしてご両親には広島にある子会社の社員寮の住み込みの管理人として
働いてもらうことになったからそのつもりで」
「後はお前が日本に帰り、つくしさんを説得するだけだ」
親父の話しが終わり
「・・・わ、分かりました」
・・・そう言うのが精一杯で
俺の頭の中は?マークだらけ
聞きたいことは山ほどある・・・だが何から聞いていいのか見当も付かない
だけど、今ここである程度の疑問を解決しておかなければ今後
このような機会はないだろうし何より自分自身が納得できないだろうから
意を決して親父達に問い掛けた
「お話は分かりました。
ですが皆さんはどうして牧野の為にここまでされるのですか?」
俺の精一杯の質問も表情に何の変化もないままの親父に即答される
「最初に言っただろ、私達はつくしさんのファンだって」
「はぁ~それはお聞きしましたが・・・ですが・・・」
そんな答えで納得出来るわけがない!
ファンだからというだけで俺が本当に納得すると思ってるのか?
それとも親父達ははなっから俺を納得させようなんて考えていないのか?
どちらにしても親父達が牧野に対してここまでするなんて思ってもみなかった
「どうした?納得できないのかね?」
いまいち納得しきれていない俺に今度は司の親父が口を開く
「じゃぁ、こう言えばどうかね?つくしさんのお腹の子供は司の子供だろ?
だったら私はおじいちゃんという事になる。
自分の孫の事を大切に思ってもおかしくないだろ?」
「はぁ・・・?!」
もう間抜けな返事しか出てこない・・・・
「あきら君、もし司の記憶が無くなっていなかったとしたら、司はどうしたと思う?」
「きっと何に変えても守ろうとしたと思います」
「そうだろ?それに君たちはどうかね?」
「同じです。俺たちの何に変えても牧野と子供を守ってみせます」
これだけははっきりと自信を持って言える
今回はたまたま牧野を見つけたのが俺だっただけで
もしこれが総二郎でも類でも同じ事をしただろう
牧野はそれ程、俺達にとって大切な仲間なのだから
親父達は俺の返事に満足したようにうなずいている
「だからそれを君達の代わりに私達がやろうと言っているだけだよ」
「彼女は息子達を変えてくれた恩人だからね」
「恩人ですか・・?」
「そうだ、それに共犯者は多いほうが楽しいだろ?」
俺の親父が笑っている・・
「はぁ・・?共犯者・・ですか?」
共犯者という表現はいささか大げさな気もするが親父達は何だか楽しそうで
こうなってしまった状況を楽しんでいるようにも見える
「先ほど牧野の情報は伏せるとおっしゃいましたが・・
牧野の記憶も司の記憶も戻るという保証は何もありませんが?」
そんな事も全て想定内というように親父の口からは淀みなく答えが返ってくる
「そうなった場合は頃合を見計らって私の娘として世間に公表するよ」
「牧野の子供はどうなるのでしょうか?」
「もし男の子だった場合はそれなりの教育を受けさせて
将来は自分で選択させればいい、女の子だった場合はしかるべき嫁ぎ先を私達で見つけて
家からお嫁にやることになるだろうな」
「大丈夫だよ、つくしさんを悪いようにはしないから」
そう言ったのはずっと黙っていた類の親父だった
「分かりました。
日本に帰って牧野を説得してみます」
「よろしく頼むよ、君にも辛い思いをさせて悪かったね」
「いいえ、自分で決めた事ですから」
「そうと決まればお前はさっそく日本に帰って準備をしなさい」
「はっ…今からですか?ですが、もう日本行きの便は無いと思いますが」
「それなら心配無いよ、チャーター機を用意してある」
「・・分かりました、それでは失礼します」
一礼して部屋を出ると玄関にはリムジンが用意されていて
乗り込むとすぐに車が発車する
俺が何も言わなくても行き先は分かっているようだった
ったく・・何から何まで・・
パリ滞在時間約4時間、とんぼ返りする羽目になるとはおもってもいなかった
飛行機の中でもあきらは考え続けていた
俺がパリの父親に会いに来た理由は、もちろん牧野の事だったが
牧野の後見人になって欲しいという事と
無事に出産するまで家で預かることを了承して欲しいという事だけだった
それがパリに着いてみると
そこには親父だけでなく他の三人まで同席していて
牧野が俺の妹になり後見人があの三人でパリで生活をする
おまけに牧野の両親の仕事まで、遥かに俺の想像の域を越えてしまった
だが今回分かった事がいくつかある
普段俺達は父親との接触はあまり無いが
父親たちはそれぞれ自分の息子達の事を理解してくれていたという事と
司の父親と母親の意見が必ずしも同じでないという事
牧野の事は司の親父が引き取ると言えばそれでOKだっただろうが
彼はそうしなかった
恐らくそれは牧野の事を考えての事
肝心な司が牧野の事を思い出していない以上
あの家では牧野を守る事は不可能だ
子供を取り上げられ保護という名目の元
飼い殺しにされるのがおちだろう
だからこそ親父達は美作家で引き取る事を決めたのだろう
だが、このまま記憶が戻らないまま子供が成人してしまった場合
子供は戸籍上は美作家の人間だが血縁上は道明寺だ
もし男の子だった場合、司に他に子供がいなかったとしたら跡取という事になる
将来の選択は本人に任せると言っていたが
結局は美作家か道明寺家というだけだろう・・?
どっちにしてもややこしい運命を背負って産まれてくる事になるな
だが、そんな先の事よりも取りあえずは今だ
牧野が失踪した事が類達に知れるのは時間の問題だろうから
親父達の言いつけ通りなんとしても牧野の事は隠し通さなければならない
特に牧野に惚れている類には要注意だな
あいつ、牧野に関しては異常に鋭いからな
俺がパリに留学することも直前まで隠しておいた方がいいな
とにかく日本に帰って牧野を説得するのが先決だな
牧野にとってはこれが一番いいのかもしれない
安心して子供を産み育てられる環境
類達に内緒にしておく理由は分からないが
今は親父達の指示に従うしかない
思いがけず俺の人生が動き始め
もう後戻りは出来ない
あの時俺は何があっても牧野を守ると決めたのだから
俺は日本に戻り三日かけて牧野と話し合った
最初、牧野は俺の話しに驚いていたが両親が了承している事と
何も覚えていない上に妊娠している事などを考えたのか最終的にはOKしてくれた
そして牧野が俺の妹になったのを機に
つくしから櫻へと改名し、彼女は美作 櫻(さくら)になった
同時に英徳学園には牧野つくしの退学届けが出され
牧野の家族も弟を連れて広島へと引っ越して行った
こうして、牧野つくしは完全に類達の前から姿を消した
退学届けが出された事を類達が知ることになったのはそれからすぐだった
青い顔してカフェに飛び込んできた和也が俺達に
”つくしちゃんの退学届けが出された~”
と掴みかかってきた
その言葉に一番に行動を起こしたのは類
理事長室に駆け込むと理事長の胸倉を掴みながら
牧野の退学届けが出された経緯を聞いていたが
絞め殺さんばかりのその勢いに後ろから総二郎が慌てて類を理事長から引き離した
「類!止めろ!!」
引き離された類は口ごもる理事長を睨みつけると
何も言わず理事長室から出て行ってしまった
そんな類を総二郎と俺は慌てて後を追う
類の行き先の見当はついていた
恐らく牧野のアパートに向かっているのだろう・・
総二郎と共に少し遅れて牧野のアパートに着くと
牧野の部屋のドアは開いていて
中で類が呆然と座り込んでいた
牧野のアパートは数日前に引き払われていた
引越しと言っても大した荷物は無かったが牧野の洋服などは牧野の両親が引き取り
司から貰ったであろう土星のネックレスだけは俺が少しでも思い出すきっかけになればと
”大切にしていた物だから”と牧野に渡していた
座り込んだままの類を総二郎が立ち上がらせると類はその手を払いのけ
何も言わず車に乗り込み帰って行ってしまった
それから数日、類は部屋に篭ったきり一度も出てこなかった
何日も部屋から出てこない類を
無理矢理ベッドから引き剥がし学校へと連れてきたのは総二郎だった
滋は早速、大河原家の情報網を使って牧野の行方を捜し始めたが
牧野の行方はいっこうに判明しない
それどころか両親や弟の手がかりすら掴めない
俺は類を総二郎に任せ
滋と桜子の日に日に激しくなるヒステリーに付き合い
二人を宥めつつ牧野の行方を捜すフリをしていた
牧野の情報は親父達が抑えている以上
いくら大河原家の力でも何も見つかるはずはなかった
それに司は相変わらず牧野の記憶がなく
類達が必死で牧野を探している間も特に気にしている様子は見られなかった
俺は・・・
俺は類達を裏切っている罪悪感はあったが、それでも牧野を探すフリをしていただけ
牧野の体力も戻り始め安定期に入り医師からパリへ行くOKが出たのは卒業式直前だった
後は俺の卒業式を待って二人でパリに行く
新しい人生が始まる
この選択が正しかったのかは今は分からない
だけどこの状況ではこうするのが一番の方法だと思っていた

応援ありがとうございます。
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
静かに親父が話し始めた内容についていけない・・・
「まず、つくしさんには美作家の養女になってもらう。
つまりお前の妹になるわけだ。そしてここにいるお三方に後見人になっていただく。
それからお前は高校を卒業後はパリの大学に通うこと、もちろん彼女も一緒だ。
お前は彼女と一緒にパリで生活をして出産もパリでしてもらう」
あまりの展開に言葉が出ない・・・
黙ったままの俺を無視して話は続けられる
「もちろんつくしさんの意思を尊重しなければならないが、
今の彼女の状態を考えると是非、そうして欲しいと思っている」
なんの反応を示さない俺に親父は少し呆れた表情でこちらを見ている
なにか言わなければと思うのだが、俺の頭の中は親父の言葉を反芻するのが
精一杯で返事など出てこない
「いいか?続けるぞ!つくしさんの情報はしばらく私達で伏せさせてもらうよ。
だからお前も類君たちには黙っているように。分かったな、絶対に悟られるなよ。
最後につくしさんのご両親の事だが、すでに養子縁組の了承はとってある、
そしてご両親には広島にある子会社の社員寮の住み込みの管理人として
働いてもらうことになったからそのつもりで」
「後はお前が日本に帰り、つくしさんを説得するだけだ」
親父の話しが終わり
「・・・わ、分かりました」
・・・そう言うのが精一杯で
俺の頭の中は?マークだらけ
聞きたいことは山ほどある・・・だが何から聞いていいのか見当も付かない
だけど、今ここである程度の疑問を解決しておかなければ今後
このような機会はないだろうし何より自分自身が納得できないだろうから
意を決して親父達に問い掛けた
「お話は分かりました。
ですが皆さんはどうして牧野の為にここまでされるのですか?」
俺の精一杯の質問も表情に何の変化もないままの親父に即答される
「最初に言っただろ、私達はつくしさんのファンだって」
「はぁ~それはお聞きしましたが・・・ですが・・・」
そんな答えで納得出来るわけがない!
ファンだからというだけで俺が本当に納得すると思ってるのか?
それとも親父達ははなっから俺を納得させようなんて考えていないのか?
どちらにしても親父達が牧野に対してここまでするなんて思ってもみなかった
「どうした?納得できないのかね?」
いまいち納得しきれていない俺に今度は司の親父が口を開く
「じゃぁ、こう言えばどうかね?つくしさんのお腹の子供は司の子供だろ?
だったら私はおじいちゃんという事になる。
自分の孫の事を大切に思ってもおかしくないだろ?」
「はぁ・・・?!」
もう間抜けな返事しか出てこない・・・・
「あきら君、もし司の記憶が無くなっていなかったとしたら、司はどうしたと思う?」
「きっと何に変えても守ろうとしたと思います」
「そうだろ?それに君たちはどうかね?」
「同じです。俺たちの何に変えても牧野と子供を守ってみせます」
これだけははっきりと自信を持って言える
今回はたまたま牧野を見つけたのが俺だっただけで
もしこれが総二郎でも類でも同じ事をしただろう
牧野はそれ程、俺達にとって大切な仲間なのだから
親父達は俺の返事に満足したようにうなずいている
「だからそれを君達の代わりに私達がやろうと言っているだけだよ」
「彼女は息子達を変えてくれた恩人だからね」
「恩人ですか・・?」
「そうだ、それに共犯者は多いほうが楽しいだろ?」
俺の親父が笑っている・・
「はぁ・・?共犯者・・ですか?」
共犯者という表現はいささか大げさな気もするが親父達は何だか楽しそうで
こうなってしまった状況を楽しんでいるようにも見える
「先ほど牧野の情報は伏せるとおっしゃいましたが・・
牧野の記憶も司の記憶も戻るという保証は何もありませんが?」
そんな事も全て想定内というように親父の口からは淀みなく答えが返ってくる
「そうなった場合は頃合を見計らって私の娘として世間に公表するよ」
「牧野の子供はどうなるのでしょうか?」
「もし男の子だった場合はそれなりの教育を受けさせて
将来は自分で選択させればいい、女の子だった場合はしかるべき嫁ぎ先を私達で見つけて
家からお嫁にやることになるだろうな」
「大丈夫だよ、つくしさんを悪いようにはしないから」
そう言ったのはずっと黙っていた類の親父だった
「分かりました。
日本に帰って牧野を説得してみます」
「よろしく頼むよ、君にも辛い思いをさせて悪かったね」
「いいえ、自分で決めた事ですから」
「そうと決まればお前はさっそく日本に帰って準備をしなさい」
「はっ…今からですか?ですが、もう日本行きの便は無いと思いますが」
「それなら心配無いよ、チャーター機を用意してある」
「・・分かりました、それでは失礼します」
一礼して部屋を出ると玄関にはリムジンが用意されていて
乗り込むとすぐに車が発車する
俺が何も言わなくても行き先は分かっているようだった
ったく・・何から何まで・・
パリ滞在時間約4時間、とんぼ返りする羽目になるとはおもってもいなかった
飛行機の中でもあきらは考え続けていた
俺がパリの父親に会いに来た理由は、もちろん牧野の事だったが
牧野の後見人になって欲しいという事と
無事に出産するまで家で預かることを了承して欲しいという事だけだった
それがパリに着いてみると
そこには親父だけでなく他の三人まで同席していて
牧野が俺の妹になり後見人があの三人でパリで生活をする
おまけに牧野の両親の仕事まで、遥かに俺の想像の域を越えてしまった
だが今回分かった事がいくつかある
普段俺達は父親との接触はあまり無いが
父親たちはそれぞれ自分の息子達の事を理解してくれていたという事と
司の父親と母親の意見が必ずしも同じでないという事
牧野の事は司の親父が引き取ると言えばそれでOKだっただろうが
彼はそうしなかった
恐らくそれは牧野の事を考えての事
肝心な司が牧野の事を思い出していない以上
あの家では牧野を守る事は不可能だ
子供を取り上げられ保護という名目の元
飼い殺しにされるのがおちだろう
だからこそ親父達は美作家で引き取る事を決めたのだろう
だが、このまま記憶が戻らないまま子供が成人してしまった場合
子供は戸籍上は美作家の人間だが血縁上は道明寺だ
もし男の子だった場合、司に他に子供がいなかったとしたら跡取という事になる
将来の選択は本人に任せると言っていたが
結局は美作家か道明寺家というだけだろう・・?
どっちにしてもややこしい運命を背負って産まれてくる事になるな
だが、そんな先の事よりも取りあえずは今だ
牧野が失踪した事が類達に知れるのは時間の問題だろうから
親父達の言いつけ通りなんとしても牧野の事は隠し通さなければならない
特に牧野に惚れている類には要注意だな
あいつ、牧野に関しては異常に鋭いからな
俺がパリに留学することも直前まで隠しておいた方がいいな
とにかく日本に帰って牧野を説得するのが先決だな
牧野にとってはこれが一番いいのかもしれない
安心して子供を産み育てられる環境
類達に内緒にしておく理由は分からないが
今は親父達の指示に従うしかない
思いがけず俺の人生が動き始め
もう後戻りは出来ない
あの時俺は何があっても牧野を守ると決めたのだから
俺は日本に戻り三日かけて牧野と話し合った
最初、牧野は俺の話しに驚いていたが両親が了承している事と
何も覚えていない上に妊娠している事などを考えたのか最終的にはOKしてくれた
そして牧野が俺の妹になったのを機に
つくしから櫻へと改名し、彼女は美作 櫻(さくら)になった
同時に英徳学園には牧野つくしの退学届けが出され
牧野の家族も弟を連れて広島へと引っ越して行った
こうして、牧野つくしは完全に類達の前から姿を消した
退学届けが出された事を類達が知ることになったのはそれからすぐだった
青い顔してカフェに飛び込んできた和也が俺達に
”つくしちゃんの退学届けが出された~”
と掴みかかってきた
その言葉に一番に行動を起こしたのは類
理事長室に駆け込むと理事長の胸倉を掴みながら
牧野の退学届けが出された経緯を聞いていたが
絞め殺さんばかりのその勢いに後ろから総二郎が慌てて類を理事長から引き離した
「類!止めろ!!」
引き離された類は口ごもる理事長を睨みつけると
何も言わず理事長室から出て行ってしまった
そんな類を総二郎と俺は慌てて後を追う
類の行き先の見当はついていた
恐らく牧野のアパートに向かっているのだろう・・
総二郎と共に少し遅れて牧野のアパートに着くと
牧野の部屋のドアは開いていて
中で類が呆然と座り込んでいた
牧野のアパートは数日前に引き払われていた
引越しと言っても大した荷物は無かったが牧野の洋服などは牧野の両親が引き取り
司から貰ったであろう土星のネックレスだけは俺が少しでも思い出すきっかけになればと
”大切にしていた物だから”と牧野に渡していた
座り込んだままの類を総二郎が立ち上がらせると類はその手を払いのけ
何も言わず車に乗り込み帰って行ってしまった
それから数日、類は部屋に篭ったきり一度も出てこなかった
何日も部屋から出てこない類を
無理矢理ベッドから引き剥がし学校へと連れてきたのは総二郎だった
滋は早速、大河原家の情報網を使って牧野の行方を捜し始めたが
牧野の行方はいっこうに判明しない
それどころか両親や弟の手がかりすら掴めない
俺は類を総二郎に任せ
滋と桜子の日に日に激しくなるヒステリーに付き合い
二人を宥めつつ牧野の行方を捜すフリをしていた
牧野の情報は親父達が抑えている以上
いくら大河原家の力でも何も見つかるはずはなかった
それに司は相変わらず牧野の記憶がなく
類達が必死で牧野を探している間も特に気にしている様子は見られなかった
俺は・・・
俺は類達を裏切っている罪悪感はあったが、それでも牧野を探すフリをしていただけ
牧野の体力も戻り始め安定期に入り医師からパリへ行くOKが出たのは卒業式直前だった
後は俺の卒業式を待って二人でパリに行く
新しい人生が始まる
この選択が正しかったのかは今は分からない
だけどこの状況ではこうするのが一番の方法だと思っていた

応援ありがとうございます。
スポンサーサイト