月夜に 10
こんばんは。(#^.^#)
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
高校生活も後は卒業式を残すだけとなった
パリへ向かう準備は着々と進んでいたが仲間達にはまだ伝えていない
司はお袋さんからもらった一年間の猶予で大学もそのまま英徳に進む事になっていて
類と総二郎も同じ
滋も永林から英徳へ移ってくるらしい
当然、俺もそのまま英徳に進むものだと思われている
卒業式も無事に終わり
俺達はプロムに出席していた
何故か滋も永林のではなく英徳のプロムに出席している
そんな中、プロムで一騒動起こった
司はプロムに海を伴って現れた
そのこと自体は予想された事なので大して問題じゃなかったが
海の首にかけられたネックレスを見た時
俺の中でここ1ヶ月ちょっと張り詰めていた糸がプッツリと切れたのが分かった
ネックレスに気付いた滋がすかさず海に話しかけている
「海ちゃん、そのネックレス素敵きだね。
どうしたの?」
滋に素敵だと言われた海は余程嬉しかったのか
自分の首に掛かっているそのネックレスのチェーンを
指にかけ持ち上げると満面の笑みで答えている
「これね~、すっごくキレイでしょ?
司がね海のお誕生日のプレゼントに特注で作ってくれたの~」
猫なで声の上目遣いで司を見ながら話している
司もそんな海を愛おしそうに見つめている
無神経な女だな・・・・・ここまでいくと見事だよ!
「・・その形って土星だよね?」
滋の声が震えているのが分かる
「うん、つくしちゃんが同じようなのしてたでしょ?
海ね、いいなぁ~って思ってたの。
それで司にそのこと話したらプレゼントしてくれたの~」
嬉しそうに司を見上げながら海が能天気に言い終えた瞬間
目に一杯の涙を溜めた滋の手が海の頬を思いっきりはたいていた
『バシッ!!』
ものすごい音が会場中に響き渡る
『キャッ!痛~い!』
海が自分の頬を押さえながら司に助けを求めてた
「滋!てめぇ、何してるか分かってんだろうな!」
司が滋にキレて今にも殴りかかりそうな勢いで睨んでいる。
すかさず類は滋と司の間に入り
総二郎もいざという時のために体を移動させた
類も怒っていた・・
類だけじゃない総二郎も桜子も今まで
見せたことないぐらいの怒りのオーラを纏っていた
そして俺は・・
俺も怒ってはいたが、それ以上に悲しかった櫻の顔が浮かんできた
俺は一瞬、あいつの記憶が無くてよかったと思ってしまった
司とにらみ合っていた類が
「司?お前たち最低の2人で良くお似合いだよ!
まぁ~、せいぜいお幸せに」
そう言うと滋をかばうようにして会場から出て行ってしまった
滋と類の後を追って桜子と総二郎も
「私も同意見です」
「俺も」
と言って会場を出て行ってしまった
最悪の状況の中俺は一人取り残された形になってしまったが司の
「あきら、お前も同じか?」
の問いかけには
「俺か・・・?俺は少し違うな・・・なぁ、司?
お前全部思い出したらきっと死ぬほど後悔するんだろうな?
だったらこのままの方がいいのかもしれないな・・」
「なんだソレ!お前まであの牧野とかいう女の方が大事だって言うのかよ!」
「俺にとってはどちらも大事だよ」
そう言い残して俺もプロムの会場を後にした
記憶のない司を責めても仕方が無いのは分かっている
だけど、もういい
俺はこの時、櫻がすべて忘れてしまいたいと思った気持ちを
はじめて少しだけ理解出来たような気がしていた
こんな辛い気持ちを櫻が経験しなくてよかった
俺もしばらくは忘れる事にするよ・・・・それでいいだろう?なぁ、牧野・・
会場を出ると類達が待ってた
全員このまま飲みに行くと言ったが俺はそんな気分にはなれず
疲れからたと言って一人プロムの会場を後にした
俺は一刻も早く家に帰りたかった
あいつの顔を見たかった
櫻の笑顔をみたかった
俺だけに見せてくれるあいつの笑顔・・
その笑顔を見ると安心できるから
屋敷に戻った俺は自分の部屋ではなく櫻の部屋へと直行した
俺がプロムに行っているのを知っていた櫻は、
こんなに早く帰ってくるとは思っていなかったらしく驚いている
窓辺に置かれているカウチに座り本を読んでいた櫻は俺が部屋へと
入って行くと驚いたように顔を上げたがすぐに
「お帰りなさい!早かったんだね?」
その笑顔にドキッとしてしまう・・
それを悟られないように
「あぁ、つまらないから帰ってきた」
わざと軽い口調でそう言いながら櫻の横に腰を下ろす
「いいの?そんな事言って?
パリに行っちゃったらしばらくはお友達とも会えないんだよ?」
「いいんだよ」
「ねぇ、あきら?その格好いいね!
すごく似合ってる!」
いきなり立ち上がり俺の前に立つとスーツ姿の俺をまじまじと見つめている
少しづつ明るさを取り戻してきた櫻は以前のような笑顔を見せるようになっていた
キラキラしたその笑顔に思わず見とれてしまう
「そうか、ありがとう」
俺は少し俯いてそう言うのが精一杯だった
ヤバイ・・・
これ以上この顔されたら・・
俺・・冷静でいられる自信がない・・・って、何考えてんだよ!俺は・・
俺のそんな様子には一向に気づく様子はなく
俯く俺の顔を覗きこむように首をかしげながら話を続けている
「ねぇ あきら?一つ聞いていい?」
「・・な、なんだ?」
ダメだ・・・冷静にしようと思えば思うほど声が上ずってしまう・・
「あきらってもしかしてお友達がいないとか?」
「どうしてそう思うんだ?」
何だいきなり?
「だって、あきらって学校の事とか
お友達の事とかって全然話さないから」
話せるわけないだろ!
そう言えるはずもなく・・・・
「あ~そうだな。でも、友達ならちゃんといるよ。
現にお前とも友達だったって言ったろ」
「そういえば、そうだね。
じゃぁ、あきらは私以外にもちゃんとお友達いるんだね?」
早くこの話題を終わらせたい…
「ああ、だから心配しなくていいよ。
ところでお前は何を読んでるんだ?」
「あっ!これね今日、お母様に頂いたの!
パリの本ですって!ねぇ、あきらはパリって行ったことあるわよね?」
「ああ、あるよ」
「パリってどんな所?」
「キレイな所だよ。古い建物も沢山残ってるしな。
それにパリの屋敷にはここよりも大きな庭があって
お前の好きなバラが沢山咲いてるよ」
「本当?私ねパリに行くのすっごく楽しみなの」
「そっか、よかったな。でも出発は一週間後だからな
それまであんまりムリするなよ。体調管理には気を付けろよ」
嬉しそうに話す櫻の頭を撫でながら俺の心もすでにパリでの新しい生活に思いを馳せていた
「うん、分かった」
俺は一週間後、櫻を連れてパリへと旅立った
誰も見送る人のいない二人っきりの出発

応援ありがとうございます。
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
高校生活も後は卒業式を残すだけとなった
パリへ向かう準備は着々と進んでいたが仲間達にはまだ伝えていない
司はお袋さんからもらった一年間の猶予で大学もそのまま英徳に進む事になっていて
類と総二郎も同じ
滋も永林から英徳へ移ってくるらしい
当然、俺もそのまま英徳に進むものだと思われている
卒業式も無事に終わり
俺達はプロムに出席していた
何故か滋も永林のではなく英徳のプロムに出席している
そんな中、プロムで一騒動起こった
司はプロムに海を伴って現れた
そのこと自体は予想された事なので大して問題じゃなかったが
海の首にかけられたネックレスを見た時
俺の中でここ1ヶ月ちょっと張り詰めていた糸がプッツリと切れたのが分かった
ネックレスに気付いた滋がすかさず海に話しかけている
「海ちゃん、そのネックレス素敵きだね。
どうしたの?」
滋に素敵だと言われた海は余程嬉しかったのか
自分の首に掛かっているそのネックレスのチェーンを
指にかけ持ち上げると満面の笑みで答えている
「これね~、すっごくキレイでしょ?
司がね海のお誕生日のプレゼントに特注で作ってくれたの~」
猫なで声の上目遣いで司を見ながら話している
司もそんな海を愛おしそうに見つめている
無神経な女だな・・・・・ここまでいくと見事だよ!
「・・その形って土星だよね?」
滋の声が震えているのが分かる
「うん、つくしちゃんが同じようなのしてたでしょ?
海ね、いいなぁ~って思ってたの。
それで司にそのこと話したらプレゼントしてくれたの~」
嬉しそうに司を見上げながら海が能天気に言い終えた瞬間
目に一杯の涙を溜めた滋の手が海の頬を思いっきりはたいていた
『バシッ!!』
ものすごい音が会場中に響き渡る
『キャッ!痛~い!』
海が自分の頬を押さえながら司に助けを求めてた
「滋!てめぇ、何してるか分かってんだろうな!」
司が滋にキレて今にも殴りかかりそうな勢いで睨んでいる。
すかさず類は滋と司の間に入り
総二郎もいざという時のために体を移動させた
類も怒っていた・・
類だけじゃない総二郎も桜子も今まで
見せたことないぐらいの怒りのオーラを纏っていた
そして俺は・・
俺も怒ってはいたが、それ以上に悲しかった櫻の顔が浮かんできた
俺は一瞬、あいつの記憶が無くてよかったと思ってしまった
司とにらみ合っていた類が
「司?お前たち最低の2人で良くお似合いだよ!
まぁ~、せいぜいお幸せに」
そう言うと滋をかばうようにして会場から出て行ってしまった
滋と類の後を追って桜子と総二郎も
「私も同意見です」
「俺も」
と言って会場を出て行ってしまった
最悪の状況の中俺は一人取り残された形になってしまったが司の
「あきら、お前も同じか?」
の問いかけには
「俺か・・・?俺は少し違うな・・・なぁ、司?
お前全部思い出したらきっと死ぬほど後悔するんだろうな?
だったらこのままの方がいいのかもしれないな・・」
「なんだソレ!お前まであの牧野とかいう女の方が大事だって言うのかよ!」
「俺にとってはどちらも大事だよ」
そう言い残して俺もプロムの会場を後にした
記憶のない司を責めても仕方が無いのは分かっている
だけど、もういい
俺はこの時、櫻がすべて忘れてしまいたいと思った気持ちを
はじめて少しだけ理解出来たような気がしていた
こんな辛い気持ちを櫻が経験しなくてよかった
俺もしばらくは忘れる事にするよ・・・・それでいいだろう?なぁ、牧野・・
会場を出ると類達が待ってた
全員このまま飲みに行くと言ったが俺はそんな気分にはなれず
疲れからたと言って一人プロムの会場を後にした
俺は一刻も早く家に帰りたかった
あいつの顔を見たかった
櫻の笑顔をみたかった
俺だけに見せてくれるあいつの笑顔・・
その笑顔を見ると安心できるから
屋敷に戻った俺は自分の部屋ではなく櫻の部屋へと直行した
俺がプロムに行っているのを知っていた櫻は、
こんなに早く帰ってくるとは思っていなかったらしく驚いている
窓辺に置かれているカウチに座り本を読んでいた櫻は俺が部屋へと
入って行くと驚いたように顔を上げたがすぐに
「お帰りなさい!早かったんだね?」
その笑顔にドキッとしてしまう・・
それを悟られないように
「あぁ、つまらないから帰ってきた」
わざと軽い口調でそう言いながら櫻の横に腰を下ろす
「いいの?そんな事言って?
パリに行っちゃったらしばらくはお友達とも会えないんだよ?」
「いいんだよ」
「ねぇ、あきら?その格好いいね!
すごく似合ってる!」
いきなり立ち上がり俺の前に立つとスーツ姿の俺をまじまじと見つめている
少しづつ明るさを取り戻してきた櫻は以前のような笑顔を見せるようになっていた
キラキラしたその笑顔に思わず見とれてしまう
「そうか、ありがとう」
俺は少し俯いてそう言うのが精一杯だった
ヤバイ・・・
これ以上この顔されたら・・
俺・・冷静でいられる自信がない・・・って、何考えてんだよ!俺は・・
俺のそんな様子には一向に気づく様子はなく
俯く俺の顔を覗きこむように首をかしげながら話を続けている
「ねぇ あきら?一つ聞いていい?」
「・・な、なんだ?」
ダメだ・・・冷静にしようと思えば思うほど声が上ずってしまう・・
「あきらってもしかしてお友達がいないとか?」
「どうしてそう思うんだ?」
何だいきなり?
「だって、あきらって学校の事とか
お友達の事とかって全然話さないから」
話せるわけないだろ!
そう言えるはずもなく・・・・
「あ~そうだな。でも、友達ならちゃんといるよ。
現にお前とも友達だったって言ったろ」
「そういえば、そうだね。
じゃぁ、あきらは私以外にもちゃんとお友達いるんだね?」
早くこの話題を終わらせたい…
「ああ、だから心配しなくていいよ。
ところでお前は何を読んでるんだ?」
「あっ!これね今日、お母様に頂いたの!
パリの本ですって!ねぇ、あきらはパリって行ったことあるわよね?」
「ああ、あるよ」
「パリってどんな所?」
「キレイな所だよ。古い建物も沢山残ってるしな。
それにパリの屋敷にはここよりも大きな庭があって
お前の好きなバラが沢山咲いてるよ」
「本当?私ねパリに行くのすっごく楽しみなの」
「そっか、よかったな。でも出発は一週間後だからな
それまであんまりムリするなよ。体調管理には気を付けろよ」
嬉しそうに話す櫻の頭を撫でながら俺の心もすでにパリでの新しい生活に思いを馳せていた
「うん、分かった」
俺は一週間後、櫻を連れてパリへと旅立った
誰も見送る人のいない二人っきりの出発

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