Fly High 12
こんにちは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
本日も
『Family 112』ちょこっと大人風味♥
『月夜に‥ 12』
『Fly High 12』
の3本立てです。
社会人になって三年寝太郎なんて言われていた僕だって
学生の頃とは違って苦手な初対面の人間とだって仕事だと思えば食事ぐらい出来る
それでもやっぱり気乗りしない出張で取引先の人と
お昼にランチを食べていたレストランで偶然に牧野を見つけた
8年ぶりに見た彼女はすっかり見違えていてすっきりとした
品のいいグレーのジャケットに同色の膝丈のタイトなスカートに
オフホワイトのシャツの胸元は大きく開いていて
ピンク色のダイヤのネックレスが陽の光に反射して輝いていた
そして左手首にはプラチナのブレスレットにピアジェの腕時計
右手にはシンプルなプラチナのリング
身に着けている物が昔の彼女から想像出来なくて
戸惑ってしまうが左手の薬指にリングはなかった
僕の知っている彼女じゃない彼女は
僕に気づく事なくテラス席に座ると本を読み始めた
最初は誰かを待っているのかと思ったがどうやら一人らしい
彼女が同じレストランにいる事に気付いてからは
食事相手の話なんか全然、頭に入ってこないでただ適当に頷いていただけ
食事は終わったけどまだまだ続きそうな話しを次の仕事の時間だから
と少し強引に切り上げレストラン前で取引相手と別れ
僕は再びレストランへと戻った
牧野はまだ僕の存在に気付いていない
音を発てずに彼女の前に座ると
ゆっくりとまるでスローモーションのように彼女が視線を僕に向けた
目が合った、その瞬間僕の顔を見たまま固まっている
「牧野」
なつかしい名前を呼んでみる
「・・・・・」
反応がない・・
目の前にいるのは牧野に違いないのにもう一度呼んでみる
「牧野だよね?」
二度目の呼びかけでやっと彼女から反応が返ってきた
「・・花沢類」
彼女の口から僕の名前が零れた瞬間
テーブル越しだったけど思わず彼女を抱きしめたい衝動に駆られた
ずっと聞きたかったんだ
あんたの口から零れる僕のフルネーム
世界中でたった一人
僕の事をフルネームで呼ぶ女性
普通は呼ばないよね・・?
だって変だもん
花沢類
・・って呼ぶの
けど牧野だといいんだ
牧野以外はダメだけど
あんたに呼ばれる僕の名前はなんだか特別に聞こえるから
たった一言"花沢 類"って呼ばれただけで心臓がドキドキしてる
あんたにも聞こえちゃうんじゃないかって思うくらい
バクバクと音を発てている
ドキドキを悟られないように平静を装って話しかけてみる
けど、上手く話せないよ
久しぶりだとか元気だった?とか僕の口からは
ありきたりな言葉しか出てこない
気の利いた言葉の一つも思いつかないまま挙句の果てに
総二郎まで引っ張りだしてきて食事に誘ってる
だけど連絡先を教えてと言った僕に
彼女が差し出した名刺を見た時一瞬だけ息をするのを忘れた
だって、名前がケイト・ライズ・・?
誰の事・・?
M&K.Coってなんとなく聞いた事のある社名だけど
肩書きが・・・GM・・・?
「これ誰の名刺?」
今思えば間抜けな質問だったよね
けどあまりにもあっさりと“私の”と言った彼女の言葉に
僕の思考回路が完全に停止してしまった
いろいろ聞きたい事がある・・
でも一番気になっている事・・
─── 名前が変わっている ───
僕の質問に彼女は明確な答えはくれなかった
夜、食事に行くからその時聞ければいいんだけど
気になって仕事なんて全然手につかないじゃん!
だけど仕事は僕の感情なんかお構いなしで待ってはくれないから
とりあえずの仕事を片付け少し早いけどオフィスを出た
足は自然と牧野のオフィスへ
彼女のオフィスのあるビルの向かい側に立ちしばらく入り口付近を眺めていた
さっさと彼女のオフィスへと訪ねればいいのに
何故かそれがためらわれ街灯にもたれかかりぼんやりとしていると
ビルの前に一台の真っ赤な高級車が滑り込んできた
見るともなしに真っ赤なBMWを見ていると
降りて来たのは一組の男女は
牧野と総二郎
だった・・
どうして・・?
どうして総二郎が牧野と一緒にいるわけ?
二人が肩を並べてビルへと消えていく後ろ姿を眺めながら
僕はその場から動けなかった・・
どれぐらいの時間そうしてたんだろう?
10分ぐらいだと思うけど
しばらくすると総二郎だけがビルから出てきて再び車に乗り込み
どこかへ行ってしまった
総二郎を見送ってから僕はゆっくりと牧野のオフィスへと向って歩き始める

応援ありがとうございます。
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴
本日も
『Family 112』ちょこっと大人風味♥
『月夜に‥ 12』
『Fly High 12』
の3本立てです。
社会人になって三年寝太郎なんて言われていた僕だって
学生の頃とは違って苦手な初対面の人間とだって仕事だと思えば食事ぐらい出来る
それでもやっぱり気乗りしない出張で取引先の人と
お昼にランチを食べていたレストランで偶然に牧野を見つけた
8年ぶりに見た彼女はすっかり見違えていてすっきりとした
品のいいグレーのジャケットに同色の膝丈のタイトなスカートに
オフホワイトのシャツの胸元は大きく開いていて
ピンク色のダイヤのネックレスが陽の光に反射して輝いていた
そして左手首にはプラチナのブレスレットにピアジェの腕時計
右手にはシンプルなプラチナのリング
身に着けている物が昔の彼女から想像出来なくて
戸惑ってしまうが左手の薬指にリングはなかった
僕の知っている彼女じゃない彼女は
僕に気づく事なくテラス席に座ると本を読み始めた
最初は誰かを待っているのかと思ったがどうやら一人らしい
彼女が同じレストランにいる事に気付いてからは
食事相手の話なんか全然、頭に入ってこないでただ適当に頷いていただけ
食事は終わったけどまだまだ続きそうな話しを次の仕事の時間だから
と少し強引に切り上げレストラン前で取引相手と別れ
僕は再びレストランへと戻った
牧野はまだ僕の存在に気付いていない
音を発てずに彼女の前に座ると
ゆっくりとまるでスローモーションのように彼女が視線を僕に向けた
目が合った、その瞬間僕の顔を見たまま固まっている
「牧野」
なつかしい名前を呼んでみる
「・・・・・」
反応がない・・
目の前にいるのは牧野に違いないのにもう一度呼んでみる
「牧野だよね?」
二度目の呼びかけでやっと彼女から反応が返ってきた
「・・花沢類」
彼女の口から僕の名前が零れた瞬間
テーブル越しだったけど思わず彼女を抱きしめたい衝動に駆られた
ずっと聞きたかったんだ
あんたの口から零れる僕のフルネーム
世界中でたった一人
僕の事をフルネームで呼ぶ女性
普通は呼ばないよね・・?
だって変だもん
花沢類
・・って呼ぶの
けど牧野だといいんだ
牧野以外はダメだけど
あんたに呼ばれる僕の名前はなんだか特別に聞こえるから
たった一言"花沢 類"って呼ばれただけで心臓がドキドキしてる
あんたにも聞こえちゃうんじゃないかって思うくらい
バクバクと音を発てている
ドキドキを悟られないように平静を装って話しかけてみる
けど、上手く話せないよ
久しぶりだとか元気だった?とか僕の口からは
ありきたりな言葉しか出てこない
気の利いた言葉の一つも思いつかないまま挙句の果てに
総二郎まで引っ張りだしてきて食事に誘ってる
だけど連絡先を教えてと言った僕に
彼女が差し出した名刺を見た時一瞬だけ息をするのを忘れた
だって、名前がケイト・ライズ・・?
誰の事・・?
M&K.Coってなんとなく聞いた事のある社名だけど
肩書きが・・・GM・・・?
「これ誰の名刺?」
今思えば間抜けな質問だったよね
けどあまりにもあっさりと“私の”と言った彼女の言葉に
僕の思考回路が完全に停止してしまった
いろいろ聞きたい事がある・・
でも一番気になっている事・・
─── 名前が変わっている ───
僕の質問に彼女は明確な答えはくれなかった
夜、食事に行くからその時聞ければいいんだけど
気になって仕事なんて全然手につかないじゃん!
だけど仕事は僕の感情なんかお構いなしで待ってはくれないから
とりあえずの仕事を片付け少し早いけどオフィスを出た
足は自然と牧野のオフィスへ
彼女のオフィスのあるビルの向かい側に立ちしばらく入り口付近を眺めていた
さっさと彼女のオフィスへと訪ねればいいのに
何故かそれがためらわれ街灯にもたれかかりぼんやりとしていると
ビルの前に一台の真っ赤な高級車が滑り込んできた
見るともなしに真っ赤なBMWを見ていると
降りて来たのは一組の男女は
牧野と総二郎
だった・・
どうして・・?
どうして総二郎が牧野と一緒にいるわけ?
二人が肩を並べてビルへと消えていく後ろ姿を眺めながら
僕はその場から動けなかった・・
どれぐらいの時間そうしてたんだろう?
10分ぐらいだと思うけど
しばらくすると総二郎だけがビルから出てきて再び車に乗り込み
どこかへ行ってしまった
総二郎を見送ってから僕はゆっくりと牧野のオフィスへと向って歩き始める

応援ありがとうございます。
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