月夜に 13
こんにちは。🎵
お引越しです。
それではどうぞ~✴
本日は
『Family 113』
『Fly High 13』
『月夜に‥ 13』
の3本立てです。🎵
雛が産まれて2年が過ぎようとしている
子供の成長は早い
今、俺の目の前にいる雛はますます司に似てきている
漆黒の髪には軽くウェーブがかかっていて
肌の色は透き通るように白く
長いまつげに鼻筋の通った顔立ちに大きな瞳には母親譲りの強い光を宿している
はっきりいって美人だ・・・・
小さいくせにとにかく自我が強く
一旦火が点くと櫻でも手に負えないうえに
親父四人組の猫かわいがりのおかげで今や怖いものなしの無敵のお嬢様に成長している
櫻も最近ではそんな雛にかなり手を焼いていてよくぼやいている
「ねぇ、雛って絶対父親似よね?」
「どうしたんだ急に?まさか、お前何か思い出したのか?」
「残念ながら何も思い出せてない・・
でもね、雛のこの性格って私じゃないような感じがするの?
気は強いしなんでも自分が一番じゃないと気がすまないし」
「そうだな、似てるかもな?でも似てるのは性格だけじゃないぜ
外見もそっくりだぞ、誰が見ても親子だって分かるくらいにな」
「そうなの?雛ってそんなに似てるの?」
「ああ、似てるよ」
「私っていったいどんな人と付き合ってたの?
雛って母親の私が言うのもなんだけど結構美人よね?
私には全然似てないし・・それに短気ですぐに手が出るタイプみたいだし」
「雛見てたら分かるだろ?あのまんまだよ」
「そう・・・ねぇ、私の好みって変わってたの?」
「変わってたって・・・・あぁ、確かに変わってたかもな・・・」
変わってる・・・か・・
ハハハ・・そうだな最初に好きになったのが類でその後が司だもんな
司が聞いたら怒るだろうけど、やっぱり変わってるよ
「あきら、一つだけ教えて?」
「何を?」
「私は雛の父親の事、本当に愛してたのよね?」
「ああ、愛してたよ。
それに愛されてた、それは間違いないよ」
愛してた・・・
愛されてた・・・
過去形で交わされる会話
なぁ、櫻・・お前は知らないけど
司の中では決してお前の事は過去なんかじゃなくて今でもお前を愛してる
だけど・・それは伝えることが出来ない・・
お前は今でも愛していると聞かされたらどう思うのだろうか?
「そっか、ありがとう・・」
だったらどうして?
そんなに愛してた人を私は忘れてしまったのだろう?
雛の父親は今、どうしているんだろう?
顔も思い出せないあなたは今、何を思っているんだろう?
最近、櫻の様子が何となくおかしい
表面上はいつもとかわりなくしているが何か考え事をしているようだった
段々と司に似てくる雛も来月で2歳になる
今度の週末にはお誕生日パーティーが開かれるらしいが俺は今から頭がイタイ
それは雛の1歳の誕生日のパーティーのこと
場所は俺が最初に親父達と会ったシャトー
そこは司の親父が所有しているシャトーで年に何回かパーティーが開かれるだけの場所だった
そこに親父達はサーカスを呼んでいた
広大な敷地に本物のサーカスのテントが建てられていて
一日だけの雛の為だけのサーカスが催された
さすがに俺も櫻も驚いていたが、当の雛と双子の妹たちは大喜びだった
雛が大喜びしていたのを見て親父たちは
早くも来年の誕生日パーティーの計画を立てだしたようだったが
去年はサーカス・・・・
今年は一体何が飛び出してくるのだろうか・・・・・?
大学から戻って部屋でレポートを片付けていると櫻がお茶を持って入ってきた
「あきら~お茶にしない?」
「あぁ、いいよ」
櫻がハーブティーを入れたカップを俺に手渡し自分もカップを持って
デスクの横のイスに腰を下ろした
櫻はデスクの上に広げられている大学のテキストやレポートを興味深げに眺めていたが
ふいに顔を上げて俺の方を見ると
「ねぇ、あきらの学校って楽しい?」
「ああ、大変だけどな。珍しいなお前が学校の事聞くなんて?
どうしたんだ?」
「う~ん、何となくね。
私も日本にいる時は学校に通ってたんだよね?」
「通ってたよ、お前も学校に行きたいのか?」
「そういうわけじゃないんだけどね・・・・やっぱ無理だよね・・・」
カップを持ち上げたままで最後は独り言のようにつぶやいている・・・
「どうしてそう思うんだ?」
「だって高校だって卒業してないし
雛だってまだ小さいし・・記憶だってないし・・」
牧野のクセの一つだった独り言
記憶を失って2年以上経つがこのクセは変わらない
まだ一人でぶつぶつと言っている櫻を会話に引き戻す
「お前、何かやりたい事があるのか?」
「う・・・・・ん・・・・・」
うつむいたまま顔をあげない・・・
「やりたい事があるんならはっきり言ってみろよ」
「笑わない?」
「笑わないよ、だからなんだ?」
「ん…とね…カメラ…やりたいなぁ~って…思って…」
「・・・・・・」
あまりに予想外だったので、思わず黙ってしまった
そんな俺の表情を見て誤解した櫻は
「あっ!やっぱ、ムリだよね!いいの今の忘れて・・」
俺は櫻の誤解をとくように慌てて言葉を繋ぐ
「どうして?・・・・いいじゃん、俺はいいと思うよ。
お前写真好きだし、俺はお前が本気でやりたい事だったらどんな事でも応援するよ。
それに雛の事だって心配ないと思うけどな」
「本当!?あきらは本当にそう思う?」
余程嬉しかったのか
櫻の表情は輝いていた
「ああ、思うよ。
いい事じゃないか?お前が何かやりたいって思うのって」
「でも、お父様たちは反対なさらないかしら?」
「逆に喜ぶんじゃないか」
「う~ん、だといいんだけど・・
でも、高校は卒業してなきゃダメよね?」
「そうだな、じゃぁ高校からやり直すか?
お前なら一年通えばOKだろうしな」
「うん!じゃぁ、さっそく今夜、お父様にお願いしてみる!」
「俺も協力してやるよ」
「ありがとう」
そう言った櫻の顔はまぶしいぐらいの笑顔だ
こいつは雛が全然自分と似ていないって思ってるようだけどそれは間違いだ
今の櫻ははっきり言って美人だ
あの頃とは比べ物にならないぐらい美しい女性に成長している
鈍感なのは変わらないらしいな
だけど、もし櫻が表に出るようになったら、きっと男がほっておかないだろうな
活動的になるのはいいけれど、俺の気が休まるヒマがない
櫻の記憶は相変わらず戻らないままだったが
彼女が自分自身の人生について考えだした事は大きな進歩だった
この先、櫻がどんな人生を選択するかは分からないし記憶が戻るという保証もない
だが今は少しでも櫻が彼女らしく生きていけることを願っている

応援ありがとうございます。
お引越しです。
それではどうぞ~✴
本日は
『Family 113』
『Fly High 13』
『月夜に‥ 13』
の3本立てです。🎵
雛が産まれて2年が過ぎようとしている
子供の成長は早い
今、俺の目の前にいる雛はますます司に似てきている
漆黒の髪には軽くウェーブがかかっていて
肌の色は透き通るように白く
長いまつげに鼻筋の通った顔立ちに大きな瞳には母親譲りの強い光を宿している
はっきりいって美人だ・・・・
小さいくせにとにかく自我が強く
一旦火が点くと櫻でも手に負えないうえに
親父四人組の猫かわいがりのおかげで今や怖いものなしの無敵のお嬢様に成長している
櫻も最近ではそんな雛にかなり手を焼いていてよくぼやいている
「ねぇ、雛って絶対父親似よね?」
「どうしたんだ急に?まさか、お前何か思い出したのか?」
「残念ながら何も思い出せてない・・
でもね、雛のこの性格って私じゃないような感じがするの?
気は強いしなんでも自分が一番じゃないと気がすまないし」
「そうだな、似てるかもな?でも似てるのは性格だけじゃないぜ
外見もそっくりだぞ、誰が見ても親子だって分かるくらいにな」
「そうなの?雛ってそんなに似てるの?」
「ああ、似てるよ」
「私っていったいどんな人と付き合ってたの?
雛って母親の私が言うのもなんだけど結構美人よね?
私には全然似てないし・・それに短気ですぐに手が出るタイプみたいだし」
「雛見てたら分かるだろ?あのまんまだよ」
「そう・・・ねぇ、私の好みって変わってたの?」
「変わってたって・・・・あぁ、確かに変わってたかもな・・・」
変わってる・・・か・・
ハハハ・・そうだな最初に好きになったのが類でその後が司だもんな
司が聞いたら怒るだろうけど、やっぱり変わってるよ
「あきら、一つだけ教えて?」
「何を?」
「私は雛の父親の事、本当に愛してたのよね?」
「ああ、愛してたよ。
それに愛されてた、それは間違いないよ」
愛してた・・・
愛されてた・・・
過去形で交わされる会話
なぁ、櫻・・お前は知らないけど
司の中では決してお前の事は過去なんかじゃなくて今でもお前を愛してる
だけど・・それは伝えることが出来ない・・
お前は今でも愛していると聞かされたらどう思うのだろうか?
「そっか、ありがとう・・」
だったらどうして?
そんなに愛してた人を私は忘れてしまったのだろう?
雛の父親は今、どうしているんだろう?
顔も思い出せないあなたは今、何を思っているんだろう?
最近、櫻の様子が何となくおかしい
表面上はいつもとかわりなくしているが何か考え事をしているようだった
段々と司に似てくる雛も来月で2歳になる
今度の週末にはお誕生日パーティーが開かれるらしいが俺は今から頭がイタイ
それは雛の1歳の誕生日のパーティーのこと
場所は俺が最初に親父達と会ったシャトー
そこは司の親父が所有しているシャトーで年に何回かパーティーが開かれるだけの場所だった
そこに親父達はサーカスを呼んでいた
広大な敷地に本物のサーカスのテントが建てられていて
一日だけの雛の為だけのサーカスが催された
さすがに俺も櫻も驚いていたが、当の雛と双子の妹たちは大喜びだった
雛が大喜びしていたのを見て親父たちは
早くも来年の誕生日パーティーの計画を立てだしたようだったが
去年はサーカス・・・・
今年は一体何が飛び出してくるのだろうか・・・・・?
大学から戻って部屋でレポートを片付けていると櫻がお茶を持って入ってきた
「あきら~お茶にしない?」
「あぁ、いいよ」
櫻がハーブティーを入れたカップを俺に手渡し自分もカップを持って
デスクの横のイスに腰を下ろした
櫻はデスクの上に広げられている大学のテキストやレポートを興味深げに眺めていたが
ふいに顔を上げて俺の方を見ると
「ねぇ、あきらの学校って楽しい?」
「ああ、大変だけどな。珍しいなお前が学校の事聞くなんて?
どうしたんだ?」
「う~ん、何となくね。
私も日本にいる時は学校に通ってたんだよね?」
「通ってたよ、お前も学校に行きたいのか?」
「そういうわけじゃないんだけどね・・・・やっぱ無理だよね・・・」
カップを持ち上げたままで最後は独り言のようにつぶやいている・・・
「どうしてそう思うんだ?」
「だって高校だって卒業してないし
雛だってまだ小さいし・・記憶だってないし・・」
牧野のクセの一つだった独り言
記憶を失って2年以上経つがこのクセは変わらない
まだ一人でぶつぶつと言っている櫻を会話に引き戻す
「お前、何かやりたい事があるのか?」
「う・・・・・ん・・・・・」
うつむいたまま顔をあげない・・・
「やりたい事があるんならはっきり言ってみろよ」
「笑わない?」
「笑わないよ、だからなんだ?」
「ん…とね…カメラ…やりたいなぁ~って…思って…」
「・・・・・・」
あまりに予想外だったので、思わず黙ってしまった
そんな俺の表情を見て誤解した櫻は
「あっ!やっぱ、ムリだよね!いいの今の忘れて・・」
俺は櫻の誤解をとくように慌てて言葉を繋ぐ
「どうして?・・・・いいじゃん、俺はいいと思うよ。
お前写真好きだし、俺はお前が本気でやりたい事だったらどんな事でも応援するよ。
それに雛の事だって心配ないと思うけどな」
「本当!?あきらは本当にそう思う?」
余程嬉しかったのか
櫻の表情は輝いていた
「ああ、思うよ。
いい事じゃないか?お前が何かやりたいって思うのって」
「でも、お父様たちは反対なさらないかしら?」
「逆に喜ぶんじゃないか」
「う~ん、だといいんだけど・・
でも、高校は卒業してなきゃダメよね?」
「そうだな、じゃぁ高校からやり直すか?
お前なら一年通えばOKだろうしな」
「うん!じゃぁ、さっそく今夜、お父様にお願いしてみる!」
「俺も協力してやるよ」
「ありがとう」
そう言った櫻の顔はまぶしいぐらいの笑顔だ
こいつは雛が全然自分と似ていないって思ってるようだけどそれは間違いだ
今の櫻ははっきり言って美人だ
あの頃とは比べ物にならないぐらい美しい女性に成長している
鈍感なのは変わらないらしいな
だけど、もし櫻が表に出るようになったら、きっと男がほっておかないだろうな
活動的になるのはいいけれど、俺の気が休まるヒマがない
櫻の記憶は相変わらず戻らないままだったが
彼女が自分自身の人生について考えだした事は大きな進歩だった
この先、櫻がどんな人生を選択するかは分からないし記憶が戻るという保証もない
だが今は少しでも櫻が彼女らしく生きていけることを願っている

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