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月夜に 14

こんにちは。🎵
お引越しです。🎶
それではどうぞ~✴




櫻の写真の勉強をしたいという願いはあっさりと聞き入れられ

現在、高校3年生からやり直している

過保護な親父達が櫻の為に選んだ学校は屋敷から車で10分程の距離にあり
緑豊かで環境が良く、学力はもちろんだが上流階級の子女が多く通っているため

マナーや立ち振る舞いにも厳しい、私立のお嬢様学校だった

学校に通い始めた当初は心配していたが今は、結構楽しく通っている

櫻はあっさり一年で高校を卒業し難関を突破し
国立の芸術大学に合格してしまった

やっぱり、こいつはただ者じゃナイ・・

言うまでもないが親父4人組はそれぞれが櫻にカメラをプレゼントしていた
それも何台も、そして屋敷の一角を改造し櫻の為に撮影スタジオまで作ってしまった

雛が産まれてから毎月のように屋敷は改造されている・・・

最初はヨチヨチ歩きを始めた雛のために屋敷中の角という角が
全てぶつかっても怪我をしないようにと丸くなり
その後は砂場にブランコ、動物の形をした乗り物etc...

今や屋敷は原形を留めていない

日本の屋敷はお袋の少女趣味で統一されているが
ここは雛が中心・・来月にはメリーゴーランドが出来るらしい・・が、

あんなもん何処に行けば買えるんだ??

ったく・・親父達は雛が口にした事は全て叶えてしまうつもりだろうか?

完成したスタジオを見た櫻が俺に言ったのは

「後、ここに足りない物は私の技術だけね・・」

ため息まじりにつぶやいている

「ハハハハ・・確かに、そうだな・・」

「でも、こんなに応援してもらってるんだからがんばらなきゃね!」

「そうだな、がんばれ」

その後、俺はそのまま大学院へ、櫻も大学へ、

そして現在5歳の雛は3歳になった頃から幼稚園に通っている

俺も櫻も、雛が幼稚園に通い始めた当初はどうなる事かと心配していたが

今では結構気に入っているのか

我が家のお姫様は毎日ご機嫌で幼稚園に通っている

俺も大学院に進んだ頃から本格的に親父の仕事の手伝いを始めていた

櫻は大学ではカメラだけでなく絵画やデッサン・陶芸やCGとありとあらゆる分野に挑戦し始め

まるで無くしてしまった時間を取り戻すかのように知識を吸収し始めていた

そして、櫻が意外な才能を発揮しはじめたのはデザインの分野だった







最初は単なる思い付きだった

俺は久しぶりの休日を櫻とのんびり過ごしていた

雛は司の親父さんがどこかに連れ出している

まったく、相変わらずだ・・

二人で庭のテラスでお茶を飲んでいる時に

「ねぇ、あきら?うちの会社ってデザイナーさんているわよね?」

「ああ、いるけど。それがどうしたんだ?」

「ん~あのね、私、雛のお洋服デザインしてみたんだけど・・
 それをお洋服に仕立てるのって難しいのよね・・
 どうすればいいのか分からないから作ってもらう事ってできないかなぁって思って」

「お前がデザインしたのか?」

「そうだよ。結構イケてると思うんだけどお洋服に仕立てるのって
型紙をおこしたりとかいろいろあるじゃない?
それに私、ミシンて苦手なのよね・・だからダメかな?」

「そのデザインって今、あるのか?
 とりあえず見せてくれよ」

「いいわよ、取ってくるから待ってて」

嬉しそうに部屋を出て行く櫻を見送りながら
その時まで俺は大したことないだろうと思っていた

でも櫻が、雛の為にデザインしたものならば
出来る限りそれを形にしてやりたいと思っていただけだった…

しばらくして櫻が何冊かのスケッチブックを持って戻ってきた

「はい、これなんだけど見てくれる?」

そう言って俺に持ってきたスケッチブックの1冊を手渡した
何気なくそのスケッチブックを開いて中を見始めたが

すぐに・・・

「オイ!櫻!」

「・・何よ!急に大きな声出して・・・どうしたの?」

「これ、本当にお前一人で書いたのか?」

「・・そうだけど・・それがどうかしたの?」

「・・あ、いや・・・そっちのも見せてくれ」

「いいわよ」

俺の言葉に櫻は不思議そうな顔で
自分が持っていたスケッチブックを全てこちらに手渡した

中に描かれていたデザイン画は子供服とそれとお揃いの婦人服もあった

それらはどれも完成度が高く、俺の予想以上の物が並んでいた

その時俺が思ったことは

これは、いけるかもしれない

美作商事にも繊維部門があり

オリジナルブランドをいくつか展開している
ターゲットは主に20代~30代の働く女性

最近ではファミリー層にターゲットを絞ったブランドも展開をしているが

少子化などの影響もあり業績はおもわしくなく

打開策を模索している最中だった

櫻の描いたデザインはまさに俺が探していた打開策そのものだったのだ

今は価格の設定を少し高くしてもいい物は売れる
この櫻のデザインで品質の良いものを展開していけばいけるかもしれない

今夜にでも親父に見せてみるか・・・

「櫻、これ少し俺が預かっておいても構わないか?」

「いいけど、どうするの?」

「うん、ちょっといろんな人の意見も聞いてみたいなって思ったんだ」

「そう、何だか良く分からないけどいいわよ」

櫻は少し首をかしげながら俺を見ている




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kirakira
Posted bykirakira

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