月夜に 16
こんばんは。🎵
お引越しです。
それではどうぞ~✴
社長室の前で一旦立ち止まり深呼吸をする
「失礼します」
「どうした急用か?」
「はい、ご相談したい事があります」
「何だ?言ってみろ」
俺は親父にさっき掛かってきた類からの電話の内容を伝えた
「そうか、静さんに見られたか」
「はい」
「どう対処するかは他の方々と相談して決める。
結果は後で連絡する、いいな?」
「分かりました」
一週間後、親父たちの結論が出た
珍しく早い時間に帰宅していた親父にディナーの後
書斎に呼ばれ一通の書類を渡された
「静さんの件はこれで対処しろ」
「中を確認しても宜しいでしょうか」
「構わないよ」
中には報告書と記された一冊のファイルが入っていた
その内容はだいたい予想通りだったが
静が見た女性は牧野ではなくパリ在住の別の日本人女性だとなっていた
そしてご丁寧に過去6年間のEU圏内各国の出入国記録が調べてあり
牧野つくしという女性がそのどの国にも入国した記録残っていないとなっていた
たしかに牧野つくしという名前で調べたところで何も見つかるはずはない
それにこの報告書の日本人女性もパリに実在する人物なのだろう
類達がこの報告書について調べなおしたとしてもきっと怪しいところは出てこないだろう
ある意味完璧な報告書・・・
「分かりました。まず、静と会って話しをしてみたいのですが静は勘の鋭い女性です。
これを見て逆に怪しむかもしれませんが?」
「そうだな、完璧すぎるのもかえって怪しいな。
もし、静さんがこれで納得しなかった場合は彼女にも共犯者になってもらうしかない。
私たちもそろそろ覚悟を決める時が来たのかもしれないな」
「それは、櫻に会わせてもいいということでしょうか?」
「ああ、静さんなら歳も近いし女性同士、櫻のいい相談相手に
なってくれるかもしれん。
だがな、これはあくまでも最終的な手段だ静さんには出来るだけ
この報告書で納得してもらえるように対処するんだ、いいな?」
「分かりました」
「頼んだぞ」
「はい」
一礼し親父の書斎を後にし
自分の部屋に戻るともう一度報告書を読み返す
確かに・・完璧すぎるのはかえって怪しいよな・・・
出来れば静まで巻き込みたくない
友達を裏切る辛さはこの6年間嫌というほど味わってきた
だからこそ静には嘘をつかせたくなかった
静が仕事を終え、勤めている法律事務所があるビルから出てくると意外な人物が立っていた
「あきら!どうしたの?
ひさしぶりね。」
「あぁ、元気だったか?」
「ええ、元気よ。
あきらもずっとこっちにいたんでしょ?」
「全然連絡出来なくて悪かったな」
「いいのよ、私だって同じだし。
でも、旧友を温める為に待ってたわけじゃなさそうね?」
「類から連絡があった。時間あるか?」
「ええ、じゃぁ、食事にでも行く?」
「いや、俺んちに来てくれないか?」
「構わないけど、いったいどうしたの?」
「着いたら話すからとにかく乗ってくれないか?」
そう言ってあきらは自分で運転してきた車の助手席のドアを開けた
「自分で運転してきたの?」
「あぁ・・」
「そう、それで用件はまだ話してくれないのね?」
「後で・・・」
一言だけ言うと車を走らせた
結局、あきらは屋敷に着くまで一言も話さなかった

応援ありがとうございます。
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「失礼します」
「どうした急用か?」
「はい、ご相談したい事があります」
「何だ?言ってみろ」
俺は親父にさっき掛かってきた類からの電話の内容を伝えた
「そうか、静さんに見られたか」
「はい」
「どう対処するかは他の方々と相談して決める。
結果は後で連絡する、いいな?」
「分かりました」
一週間後、親父たちの結論が出た
珍しく早い時間に帰宅していた親父にディナーの後
書斎に呼ばれ一通の書類を渡された
「静さんの件はこれで対処しろ」
「中を確認しても宜しいでしょうか」
「構わないよ」
中には報告書と記された一冊のファイルが入っていた
その内容はだいたい予想通りだったが
静が見た女性は牧野ではなくパリ在住の別の日本人女性だとなっていた
そしてご丁寧に過去6年間のEU圏内各国の出入国記録が調べてあり
牧野つくしという女性がそのどの国にも入国した記録残っていないとなっていた
たしかに牧野つくしという名前で調べたところで何も見つかるはずはない
それにこの報告書の日本人女性もパリに実在する人物なのだろう
類達がこの報告書について調べなおしたとしてもきっと怪しいところは出てこないだろう
ある意味完璧な報告書・・・
「分かりました。まず、静と会って話しをしてみたいのですが静は勘の鋭い女性です。
これを見て逆に怪しむかもしれませんが?」
「そうだな、完璧すぎるのもかえって怪しいな。
もし、静さんがこれで納得しなかった場合は彼女にも共犯者になってもらうしかない。
私たちもそろそろ覚悟を決める時が来たのかもしれないな」
「それは、櫻に会わせてもいいということでしょうか?」
「ああ、静さんなら歳も近いし女性同士、櫻のいい相談相手に
なってくれるかもしれん。
だがな、これはあくまでも最終的な手段だ静さんには出来るだけ
この報告書で納得してもらえるように対処するんだ、いいな?」
「分かりました」
「頼んだぞ」
「はい」
一礼し親父の書斎を後にし
自分の部屋に戻るともう一度報告書を読み返す
確かに・・完璧すぎるのはかえって怪しいよな・・・
出来れば静まで巻き込みたくない
友達を裏切る辛さはこの6年間嫌というほど味わってきた
だからこそ静には嘘をつかせたくなかった
静が仕事を終え、勤めている法律事務所があるビルから出てくると意外な人物が立っていた
「あきら!どうしたの?
ひさしぶりね。」
「あぁ、元気だったか?」
「ええ、元気よ。
あきらもずっとこっちにいたんでしょ?」
「全然連絡出来なくて悪かったな」
「いいのよ、私だって同じだし。
でも、旧友を温める為に待ってたわけじゃなさそうね?」
「類から連絡があった。時間あるか?」
「ええ、じゃぁ、食事にでも行く?」
「いや、俺んちに来てくれないか?」
「構わないけど、いったいどうしたの?」
「着いたら話すからとにかく乗ってくれないか?」
そう言ってあきらは自分で運転してきた車の助手席のドアを開けた
「自分で運転してきたの?」
「あぁ・・」
「そう、それで用件はまだ話してくれないのね?」
「後で・・・」
一言だけ言うと車を走らせた
結局、あきらは屋敷に着くまで一言も話さなかった

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