月夜に 17
こんばんは。🎵
お引越しです。
それではどうぞ~✴
パリ 美作邸のダイニング
静はあきらとディナーを取っていた
ディナーの間はお互いの仕事の事や
日本にいる仲間の事など当たり障りのない会話は弾んでいた
食後は場所をリビングへと移しお茶を楽しんでいる
「ねぇ、そろそろ私をここへ連れてきた本当のワケを話してくれないかしら?」
静は車の中でも食事の間中もずっとあきらの様子がおかしい事に気付いていた
食事は美味しく会話も弾んでいたがどこか上の空でずっと考え事をしているようだった
「静、こっちで牧野らしき女性を見かけたんだろ?」
「やっぱり、用件ってつくしちゃんの事だったのね。
遠くからだったけどつくしちゃんによく似てたから類に電話したんだけど。
類、何か言ってきた?」
「あぁ、俺にも調べてくれって」
「それで何か分かったの?」
あきらは私に一冊のファイルを差し出した
「見てもいいの?」
「あぁ」
そのファイルには報告書と書かれていた
しばらく黙ってその報告書に目を通す
内容は私が見た女性はつくしちゃんとは別人で
彼女がフランスにいる事示すものは何も無いとの事だった
だけど・・・
私には何故かこの報告書が信用出来なかった
その理由は目の前に居るあきら
今日、会った時からずっと彼の表情が気になっていた
この報告書を読んで最初は彼も私が見かけた女性が
つくしちゃんとは別人だったことに落胆しているのかと思ったけど
何となくそれは間違いのような気がする・・
彼の表情は落胆なんかじゃない
もっと別の物
彼はずっと私と目を合わせようとしない
今、こうして私と話しているのもすごく辛そうだ
あきらは何かを隠してる・・・・?
そんな疑問が湧き上がってきた
弁護士という仕事柄
人の嘘を敏感に感じ取ることが出来るようになっていた
私は自分の中に湧き上がってきた疑問の答えを見つけるために賭けに出る
ゆっくりと手にしていた報告書をテーブルの上に置き
なるべく表情を表に出さないままで
「私がこんな報告書で納得すると思ったの?」
即答で返ってきた答えは
「ああ、思ってるよ」
今度はまっすぐ私の目を見て
怖いくらいの表情で私も彼から目をそらす事が出来ない
そんな態度が私の中の疑問をさらに大きくしている事に彼は気付いていない
「ムリよ」
短く一言だけで返してみる
「・・・・・」
今度の何も答えない彼
私は構わず言葉を続ける
「あなたは何を隠してるの?」
決定的な問いかけを投げかけてみるが…
「何も…」
彼が苦しそうに小さく呟くとまた目を逸らした・・
そんな彼の態度に不信感だけが募っていく
私は彼から目逸らすことなく
今度は少し強い口調で言葉を続ける
「ウソよ。じゃぁ、どうしてあなたはさっきからそんな辛そうな顔してるの?
私はそんなに信用できない?」
「辛そう・・・俺がか?」
私の言葉を雄武返ししただけの彼の中に先ほどまでとは違う空気を感じた
「ええ、顔色も悪いし今にも倒れそうな感じよ」
そう言うと彼は目を閉じ小さく息を吐き出した
「信用出来るとか出来ないの問題じゃないんだ」
今度は少し笑っている
心を決めたのだろうか・・?
彼の顔から辛さや苦しみのようなものが少しだけ消えたような気がした
後は彼が話し始めるのをゆっくりと待つだけ
もう余計な言葉は必要ない・・
「静を巻き込みたくないんだ・・」
彼の言葉は私にとって予想外のものだった
「どういう事?つくしちゃんに関係あるの?」
「今から俺が話すことは絶対に誰にも口外しないでくれるか?」
「それは類たちにもって事?」
「そうだ、たとえ類達を裏切る事になってもだ。出来るか?」
彼の口調は静かな物だったが有無を言わせないものがあった
たった一言で立場が逆転してしまった・・
「今ならまだ引き返せる・・どうする?」
「それは話の内容にもよるわね」
「そうか、じゃぁこの話はこれで終わりにしよう。
俺は今後、二度とお前に会うことはないし類たちにもだ・・」
ショックだった
私の知っている彼は友達思いで個性がバラバラのあの3人を上手くまとめていたのに・・
だけどそれ程までに彼が守ろうとしている物は何なのか知りたかった
「・・・・分かったわ、だから話してちょうだい。
あなたが何に苦しんでいるのか私に教えて・・・」
「・・本当にいいんだな?」
「ええ」
最初に疑問を口にしたのは私・・
彼は私を巻き込みたくないと言ったのに
それに踏み込もうとしているのは自分の意志・・
私も心を決めた

応援ありがとうございます。
お引越しです。
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パリ 美作邸のダイニング
静はあきらとディナーを取っていた
ディナーの間はお互いの仕事の事や
日本にいる仲間の事など当たり障りのない会話は弾んでいた
食後は場所をリビングへと移しお茶を楽しんでいる
「ねぇ、そろそろ私をここへ連れてきた本当のワケを話してくれないかしら?」
静は車の中でも食事の間中もずっとあきらの様子がおかしい事に気付いていた
食事は美味しく会話も弾んでいたがどこか上の空でずっと考え事をしているようだった
「静、こっちで牧野らしき女性を見かけたんだろ?」
「やっぱり、用件ってつくしちゃんの事だったのね。
遠くからだったけどつくしちゃんによく似てたから類に電話したんだけど。
類、何か言ってきた?」
「あぁ、俺にも調べてくれって」
「それで何か分かったの?」
あきらは私に一冊のファイルを差し出した
「見てもいいの?」
「あぁ」
そのファイルには報告書と書かれていた
しばらく黙ってその報告書に目を通す
内容は私が見た女性はつくしちゃんとは別人で
彼女がフランスにいる事示すものは何も無いとの事だった
だけど・・・
私には何故かこの報告書が信用出来なかった
その理由は目の前に居るあきら
今日、会った時からずっと彼の表情が気になっていた
この報告書を読んで最初は彼も私が見かけた女性が
つくしちゃんとは別人だったことに落胆しているのかと思ったけど
何となくそれは間違いのような気がする・・
彼の表情は落胆なんかじゃない
もっと別の物
彼はずっと私と目を合わせようとしない
今、こうして私と話しているのもすごく辛そうだ
あきらは何かを隠してる・・・・?
そんな疑問が湧き上がってきた
弁護士という仕事柄
人の嘘を敏感に感じ取ることが出来るようになっていた
私は自分の中に湧き上がってきた疑問の答えを見つけるために賭けに出る
ゆっくりと手にしていた報告書をテーブルの上に置き
なるべく表情を表に出さないままで
「私がこんな報告書で納得すると思ったの?」
即答で返ってきた答えは
「ああ、思ってるよ」
今度はまっすぐ私の目を見て
怖いくらいの表情で私も彼から目をそらす事が出来ない
そんな態度が私の中の疑問をさらに大きくしている事に彼は気付いていない
「ムリよ」
短く一言だけで返してみる
「・・・・・」
今度の何も答えない彼
私は構わず言葉を続ける
「あなたは何を隠してるの?」
決定的な問いかけを投げかけてみるが…
「何も…」
彼が苦しそうに小さく呟くとまた目を逸らした・・
そんな彼の態度に不信感だけが募っていく
私は彼から目逸らすことなく
今度は少し強い口調で言葉を続ける
「ウソよ。じゃぁ、どうしてあなたはさっきからそんな辛そうな顔してるの?
私はそんなに信用できない?」
「辛そう・・・俺がか?」
私の言葉を雄武返ししただけの彼の中に先ほどまでとは違う空気を感じた
「ええ、顔色も悪いし今にも倒れそうな感じよ」
そう言うと彼は目を閉じ小さく息を吐き出した
「信用出来るとか出来ないの問題じゃないんだ」
今度は少し笑っている
心を決めたのだろうか・・?
彼の顔から辛さや苦しみのようなものが少しだけ消えたような気がした
後は彼が話し始めるのをゆっくりと待つだけ
もう余計な言葉は必要ない・・
「静を巻き込みたくないんだ・・」
彼の言葉は私にとって予想外のものだった
「どういう事?つくしちゃんに関係あるの?」
「今から俺が話すことは絶対に誰にも口外しないでくれるか?」
「それは類たちにもって事?」
「そうだ、たとえ類達を裏切る事になってもだ。出来るか?」
彼の口調は静かな物だったが有無を言わせないものがあった
たった一言で立場が逆転してしまった・・
「今ならまだ引き返せる・・どうする?」
「それは話の内容にもよるわね」
「そうか、じゃぁこの話はこれで終わりにしよう。
俺は今後、二度とお前に会うことはないし類たちにもだ・・」
ショックだった
私の知っている彼は友達思いで個性がバラバラのあの3人を上手くまとめていたのに・・
だけどそれ程までに彼が守ろうとしている物は何なのか知りたかった
「・・・・分かったわ、だから話してちょうだい。
あなたが何に苦しんでいるのか私に教えて・・・」
「・・本当にいいんだな?」
「ええ」
最初に疑問を口にしたのは私・・
彼は私を巻き込みたくないと言ったのに
それに踏み込もうとしているのは自分の意志・・
私も心を決めた

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