箱根で一泊しませんか？ 5

やっと高速に乗り

途端にスピードを上げる３台の車の後を追いかける

Ｆ４それぞれが運動神経は抜群だから
運転の技術も約一名を除いて問題は無いけれど

速すぎる‥


先頭を行くのは司

その斜め後方を類

それに続いているのが総二郎

俺はしんがりだけど‥

高速に乗った途端、アクセルべた踏みなのに
ついて行くのがやっと

何キロ出てんだ？

メーターを確認すると１６０を超えている


法定速度の倍のスピードで飛ばす４台の車


まぁ、先頭が司だから捕まる心配も事故る心配もねぇだろうけど
それにしてもまだそこそこの交通量のある都内の高速道路を
右へ左へ車線変更しながら縫うようにぶっ飛ばす４台の車


そしてその俺らを上回るスピードで
ぶっ飛ばしてきたのがドピンクの滋の愛車には馬のエンブレム

色だけでもかなりな悪趣味なのに
こいつの場合、シートまでピンク
珍しく自分で運転しているが
俺の車を追い抜かす時にチラリと見えた
助手席にはシートベルトを掴んだまま
青い顔した桜子が座っているのが見えた





クソッ！

どいつもこいつもチンタラ走りやがって！


俺様の前をチョロチョロすんじゃねぇーよ！


ムカつく車を追い越しながら滋達との合流場所になっているサービスエリアに車を入れた


並んで駐車したが滋以外の女達の機嫌が悪い


「イテッ！んで殴んだよ？！」


「スピード出し過ぎだっつーの！
あんたは私を殺す気か？！
死にたいなら一人で死ね！クルクル頭！」


「そうですよ！西門さんも！
あんなスピード出して！生きた心地しなかったですよ！」


「わたくしもです！
滋さん！いい加減にして下さい！
わたくし二度と滋さんの運転する車には乗りたくありませんから！」

「ワン！」


「え～ごめん～謝るからさ
許してよ、桜子～」


「とにかく！この先は滋さんの車には乗りたくありません！
だけどヤギとも乗りたくないので
滋さんで我慢してさしあげますわ！」


「桜子？お前、今、死かもしれない恐怖とヤギを天秤に掛けて
恐怖を取っただろ？」


「えぇ、それが何か？
ヤギと同乗するぐらいなら死んだ方がマシですから」


「だとよ、あきら！
残念だったな！」


「うるせぇーよ！」


肩に腕を回してくる総二郎を払いのけながら
建物の方へと行ってしまったあいつらを追いかける







サービスエリアで一頻り俺には理解のしがたい物を買い食いし
隣に座る妻はご機嫌だ

妻の機嫌は良いにこした事はない！


ＮＹでも東京でも喧嘩の度に家出しやがって！


お前の趣味は家出か？！っつーの！


で、その度に迎えに行って謝ってって

なんか俺ばっかが悪ぃみたいじゃねぇーかよ？！


ざけんなっつーの！


まぁ、たまには俺だって悪い時もあるけどよ

最近は圧倒的にお前だろ？


お前の我が儘だろ？！


なんで俺ばっか悪もんにされなきゃなんねぇーんだよ？！


とは思うんだけどよ‥


やっぱ惚れた弱みっつーか

１０年も一人にしてしまった罪悪感っつーか‥


怒ってる顔さえも可愛いと思っちまって


とにかく少しでも側に居たくて


小さくしてポケットにでもいれて
毎日、持ち歩きたいって思ってんのによ

分かってんのか？

この俺様がどうしたらいいのか分からなくなるぐらいに惚れてんだぞ！

もうちっと優しくしろよな！






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