Family 131

ヤバい！

マジでヤバいくらい顔がにやけるのが止まらない


今の俺ってきっと世界一幸せな男で
世界一顔がにやけてる男だろう

でもそんな事は気にならない！



このタイミングでの妊娠

予想はしていなかったけど
密かに期待はしていた

別に父さんの真似しようなんて考えてなかったけれど
そうなったらそうなったで‥


もし子供が出来たらどんな気持ちなんだろう？って考えてた

子育てに関してはあの父さんが出来てるんだから
俺だったら楽勝だろ？

そう思うだろ？


なんてったって俺は双子が生まれた時から世話しているんだから

ミルクを飲ませてやって
オムツも変えてやって
着替えさせてやって
風呂にも入れてやって
絵本の読み聞かせまでやってたんだから

子育てなんて楽勝！


だって考えていた


だけど実際、望に子供が出来たって聞いてから
沸き上がってきた感情に余裕なんて全くなくて

子育てなんて生まれた後の心配なんかじゃなくて
無事に生まれてきてくれるまでの心配の方が上回っている

これから後何ヵ月だ？

妊娠期間は十月十日？だろ？

だったらまだ８ヶ月以上はあるよな？


母さんを見てたから分かるんだけど
細い体で腹だけが風船みたいにパンパンで
普段は胸の膨らみなんて控えめ過ぎて
背中と見分けつかねぇのに
パンパンのお腹と比例するように
すんげぇ巨乳になっていて
谷間が出来た～なんて喜んでいたのを
なにが嬉しいんだ？って見ていただけだったけど


あっ！一度、母さんの期間限定谷間に翼がふざけて指を刺し入れたところに
タイミングよく帰ってきた父さんに見つかり
翼が父さんにマジ切れされてたっけ？

で、その後は父さんが同じことしようとして
母さんにマジ切れされていた

あんなになるんだよな？

望も‥


体型も変わって

体型だけじゃなくて

この先の未来も変わってしまう

１０代の女の子にとっては大きな変化だと思う

俺にしてもそうだ


漠然と考えていた未来が急に現実となって
目の前に現れた

嬉しさと不安がない交ぜになって
落ち着かない

父さん達もこんな気持ちだったのかな？
なんて考えながら俺でさえこんな気持ちなんだから
望はそれ以上だろうと思って
彼女が眠っているベッドの端に腰掛けると
頬にかかる髪を耳に掛けてやり
ゆっくりと頬を撫でる


頬を撫でた感覚で目を開けた望


「望？大丈夫か？」



少し身体を起こした彼女の背中を支え
起き上がるのを手伝ってあげる

「‥う、うん‥大丈夫‥だけど‥
ごめんね‥」

「なんで謝るの？
謝んないでよ」


「だ、だって‥」

望の瞳に涙が浮かび始めた

そんな彼女を抱き寄せる


「俺、すんげぇ嬉しいんだけど。
望は？」


「うん‥私も嬉しい‥
だけど‥」


抱き寄せた胸元から涙声で話す望


「だけど？なに？」


「色々と予定が崩れちゃったし‥
両親にも‥やっと留学を許してもらえたのに‥
その上、赤ちゃんなんて‥なんて言ったらいいのか‥」


「予定なら心配しなくていいよ。
あくまでも予定なんだし。
多少、変更になっても問題無い。
それに望のお父さんとお母さんだけど
確かに順番は違うし約束だって違えちゃったけど
きっと喜んでくれると思ってる。
もし、お父さんが怒ったら俺が殴られるから
お前は何も心配しなくていいよ」


本気で殴られるなんて思ってないけど
もしそうなったらちゃんと受け入れるっていうか‥

なにがあっても諦めないって俺の決意表明みたいなもんだ


「ありがと、健君」


「おぅ！全部、俺に任せとけ！」


「うん‥でも‥皆さんにちゃんと報告しなきゃだね‥
それに‥間違いないと思うけど‥
病院でちゃんと診てもらわないと‥」


「そうだな‥でも病院に関しては母さんもまた俺の兄弟が出来たみたいだし
総二郎おじさんとこもみたいだから
今ごろ父さんが西田さんに連絡してるだろうから
慌てなくて大丈夫だよ」


「それよりも‥」


そう言いながら望を膝の上に乗せ
横抱きにしてまだ平らなお腹に手を添えた


「ここに俺達の子供がいるんだよな？」


「う、うん‥」


「どっちかな？
男かな？女かな？」


「クスッ‥まだまだ分からないよ」



「望はどっちだと思う？
俺は男の子のような気がするんだけど」


「健君、気が早すぎるよ。
それに私はどっちでもいいよ。
健康で生まれてきてくれればいい」


「そーだな。
オイ！なにも心配しなくていいから
元気で早く生まれてこいよ！」


望のお腹に向かって掛けた言葉に
望は"だからまだ気が早いって！"と笑っている





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